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文系ママだからできる算数の教え方 ~前編~

受験算数と塾の使い方2012年12月15日18時00分
山茶花!
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サザンカの花です。

椿かなとも思ったのですが、葉に鋸状のギザギザがあったのでサザンカじゃないかと思います。
雄しべや花びら広がり方も、サザンカっぽいし…。

サザンカは庭木にとしてもよく見かけます。
人の手によって水や肥料を与えるなど、手塩にかけて育てられ、
そのお礼といわんばかりに、美しい花を咲かせ、
庭の彩がさびしいこの季節、私たちの目を楽しませてくれます。


算数という科目も、
学び始めてから試験などで使えるようになるまでに
いろいろな練習や周囲からの指導を必要とするのですが、
木々がそうであるように
算数の成績も周囲の期待通りには伸びない時期があるものです。


お母さんはそんなとき、
「私が算数を教えてあげられないから…」とか、
「算数は昔から苦手だったし…」、
「私が文系だからうちの子も算数ができないのかしら…」など、
お子さんに「水や肥料」を与えられないことを嘆かれるかもしれません。


そこで、今回のテーマはそんなお母さんに贈る、
「文系ママだからできる算数の教え方 ~前編~」 です。


一般に、算数が得意なお子さん、「理系脳」のお子さんが算数の問題を解くときは、
次のような感じなんです。
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問題文を読む過程で「問題の輪郭」が次第に浮かび上がり、
問題文を最後まで読み終えたときには、
「問題の構造」を理解し終えています。


ですから、問題を読み終えるとすぐに、場合によっては問題文を読んでいる途中で「手が動く」のです。



では、算数が苦手なお子さん、つまずいているお子さんの場合はどうなんでしょうか?
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問題文を読む過程で、何となく問題の輪郭が浮かぶのですが、明確にはなりません。

そのため、問題の構造が置き換わってしまったり、不完全にしか構造をとらえきれないのです。


そのような状態ですから手も動きませんし、
動かしたとしても間違った構造を元にしていますから、
正解にたどり着けないのです。


算数の問題は、
難しくなるにつれ、いくつかの構造を積み重ねたり、組み合わせたりして作られますから、
このように問題の構造を正確に把握できないお子さんは学年が上がるにつれ、
あるいは同じ学年の中でも年度末に近づくにつれ、
算数の成績が停滞、下降し始めるのです。


算数が苦手だったり、成績不振だったりする原因を、
「つるかめ算がわかっていない」とか、
「平面図形が苦手」のように単元でとらえがちですが、
実はこのように「問題の構造が把握できない」ことが原因であるケースが案外多いのです。


理系パパにありがちな傾向として
「こいつは、なぜ、こんなこともわからないのか?」と
お子さんの不出来を疑問に感じられることがあるようですが、
理系パパは問題の輪郭や構造を「自動的」に把握できるため、
それができないお子さんのことがわからないだけなのです。


「単元」ではなく、「問題の構造」につまずきの原因があるからこそ、文系ママの出番なんです!


そして文系ママには、今回ご紹介する「スリーステップで解く算数」がピッタリ行くと思います。


では早速「ステップ1」に入りましょう。

「ステップ1」は、問題文の分解を教えることです。

といっても、何も難しいことはありません。


だって、「句読点で問題文を区切る」だけなんですから!


次の問題をみてください。
(作業をわかりやすくするために、平易な問題を例題としています。)


【例題1】
太郎くんは郵便切手を買うため、お母さんから預かった千円札1枚をおさいふに入れて、郵便局に行きました。郵便局で50円切手と80円切手を合わせて15枚買い、家に帰ってからお母さんにおつりの190円を返しました。太郎くんが買った50円切手は何枚ですか。


このレベルの問題ならば正解できるお子さんも多いと思いますが、
「ステップ1」の練習用だと思ってくださいね。


「ステップ1」は、「問題文を句読点で区切る」でしたね。


お子さんに、問題文に「」を入れるように教えるだけです。


『太郎くんは郵便切手を買うため、お母さんから預かった千円札1枚をおさいふに入れて、郵便局に行きました。郵便局で50円切手と80円切手を合わせて15枚買い、家に帰ってからお母さんにおつりの190円を返しました。太郎くんが買った50円切手は何枚ですか。』


つまり、この問題は

①太郎くんは郵便切手を買うため
②お母さんから預かった千円札1枚をおさいふに入れて
③郵便局に行きました
④郵便局で50円切手と80円切手を合わせて15枚買い
⑤家に帰ってからお母さんにおつりの190円を返しました
⑥太郎くんが買った50円切手は何枚ですか

の6つの部分から構成されています。


この「ステップ1」の目的は、問題を構成している要素を明確にすることなんです。


上記の①~⑥のうち、
⑥は「何を答えに書くのか」を示している部分ですから、問題の構造には無関係です。

さらに、①、③も不要だとわかります。


ということでこの問題は、

②お母さんから預かった千円札1枚をおさいふに入れて
④郵便局で50円切手と80円切手を合わせて15枚買い
⑤家に帰ってからお母さんにおつりの190円を返しました

の3つの部分から構成されていることがわかります。


ここまで絞り込めばこの例題が、

『50円切手と80円切手を合わせて15枚買うと、810円です』

という問題と同じだとわかります。



では少し長めの問題文で同じ作業をしてみましょう。


【例題2】
文房具店で1本30円の鉛筆を120本、ノートを68冊、消しゴムを50個買って、全部で14260円払いました。これらを15人以上いる子どもに配るため人数分の袋を用意し、袋の中身が同じになるようにつめていきました。すると、ノートが4冊足りず、消しゴムは2個余りました。余った消しゴムを返金してもらい、足りないノートを買い足すと、差し引きして追加で380円必要になりました。次の(1)~(3)の問いに答えなさい。
(1)子どもの人数は何人ですか。
(2)ノートと消しゴムにかかった費用は全部でいくらになりましたか。
(3)ノート1冊、消しゴム1個の代金はそれぞれいくらですか。


さあ、少し長い問題文ですが、やはり「句読点で区切る」作業をします。


文房具店で1本30円の鉛筆を120本、/ ノートを68冊、/ 消しゴムを50個買って、/ 全部で14260円払いました。/ これらを15人以上いる子どもに配るため人数分の袋を用意し、/ 袋の中身が同じになるようにつめていきました。/ すると、/ ノートが4冊足りず、/ 消しゴムは2個余りました。/ 余った消しゴムを返金してもらい、/ 足りないノートを買い足すと、/ 差し引きして追加で380円必要になりました。/ 次の(1)~(3)の問いに答えなさい。


つまり

①文房具店で1本30円の鉛筆を120本
②ノートを68冊
③消しゴムを50個買って
④全部で14260円払いました
⑤これらを15人以上いる子どもに配るため人数分の袋を用意し
⑥袋の中身が同じになるようにつめていきました
⑦すると
⑧ノートが4冊足りず
⑨消しゴムは2個余りました
⑩余った消しゴムを返金してもらい
⑪足りないノートを買い足すと
⑫差し引きして追加で380円必要になりました
⑬次の(1)~(3)の問いに答えなさい

の13の部分から成り立っている問題ですね。


では例題1と同様に、不要なものを消しましょう。

明らかに不要なものは、⑦、⑬です。
このほか、⑥、⑩、⑪も削除しましょう。
注:問題のレベルがさらに上がると、⑥のような条件も重要です。


これで、この問題は次の8つの部分で構成されていることが明確になりました。

①文房具店で1本30円の鉛筆を120本
②ノートを68冊
③消しゴムを50個買って
④全部で14260円払いました
⑤これらを15人以上いる子どもに配るため人数分の袋を用意し、
⑧ノートが4冊足りず
⑨消しゴムは2個余りました
⑫差し引きして追加で380円必要になりました


ここでまたまた『文系ママ』の腕の見せ所です!


それは、「関連付け」です。


例えば「ノートに関する話をまとめる」んです。

この問題でいえば、②と⑧は「ひとまとめにする」ことができますよね!


こうやって「関連付け」を行うと、13の部分からできていたこの問題は

①文房具店で1本30円の鉛筆を120本→ 鉛筆120本の費用は3600円
②ノートを68冊 + ⑧ノートが4冊足りず→ ノートは72冊必要
③消しゴムを50個買って + ⑨消しゴムは2個余りました→ 消しゴムは48個必要
④全部で14260円払いました + ⑫差し引きして追加で380円必要になりました→ 費用は14640円
⑤これらを15人以上いる子ども

の「わずかに5つの部分だけ」からできていることがわかります。


ここまでくれば、あとは解けそうな感じがしませんか?


実はこの長文問題、2010年度の六甲中の入試問題「8」です。

難関中の入試問題(全9題)の最後から2番目の問題って普通難しいですよね?

でも、「問題文を句読点で区切る」という手法を用いると、こんなにも簡単になっちゃうんです。


「問題文を句読点で区切る」という「ステップ1」は、
問題を構成する要素を明確にすることができるので、
「頭の中の整理がしやすくなる」
という効果があるのです。


さらに、問題文がこのようにシンプルになると、
「どの基本問題と同じなのか」が気づきやすくなり、
「ということは、○○なんだな!」と
次の作業に移行しやすくなるのです。



この作業に慣れたら、次のように改良すると作業時間が短縮できますよ。

文房具店で1本30円の鉛筆を120本、ノートを68冊、消しゴムを50個買って、全部で14260円払いました。これらを15人以上いる子どもに配るため人数分の袋を用意し、袋の中身が同じになるようにつめていきました。すると、ノートが4冊足りず、消しゴムは2個余りました。余った消しゴムを返金してもらい、足りないノートを買い足すと、差し引きして追加で380円必要になりました。次の(1)~(3)の問いに答えなさい。


「重要な部分に線を引きなさい」という類似の指導方法もありますが、
「線だらけになった結局どこが重要だかわかんない」なんてことよくありませんか?


実は「不要部分を消す」という作業のほうが、問題を構成する要素の明確化にはピッタリなんです。


このあたりも、国語の記述テクニックに近いところがあるでしょ?
(国語の先生、まちがっていたらごめんなさい!)


こんな風にみていくと、算数こそ『文系ママ』の活躍の場ですよね!


では、次回は「ステップ2」、明確化した要素の整理方法について触れたいと思います。お楽しみに!
受験算数と塾の使い方2012年12月15日18時00分

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主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。