中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 中学入試の算数問題 ->2013年 中学入試 平成26年度に向けて⑧

2013年 中学入試 平成26年度に向けて⑧

中学入試の算数問題2013年03月30日18時00分
m_20130330_01.jpg

慶應義塾中等部
JR山手線・京浜東北線 田町駅 徒歩15分、都営三田線・浅草線 三田駅 徒歩15分
都営大江戸線 赤羽橋駅から徒歩約25分、東京メトロ南北線 麻布十番駅 徒歩15分


今回は2013年度の灘中入試 算数1日目の図形問題から、
「これぞ灘中!」という問題をご紹介します。

さすがにこの問題は新5年生が解くには厳しいように思いますが、
チャレンジする価値のある問題だとは思います。


11 右の図の直角三角形ABCで、Mは辺ABの真ん中の点です。また、アの角の大きさは15度、ACとMDの長さはともに5cmです。このとき、イの角の大きさは ①□度、BDの長さは ②□cm です。
m_20130330_02.jpg


図形学習のポイントは4つあります。


1.基礎にあたる図形の計算技術をマスターする。
2.図形の特徴を知識として覚える。
3.工夫した解き方を身につける。
4.正確な作図を自分の手で書く。


このポイントは、「問題の難易度を計るものさし」の役目も持っています。


図形問題を解くときは、このうちの「4」から始まります。


問題の図を自分で正確(!)に書くんです。


たとえば2回前にご紹介した、2013年度灘中1日目-9でしたら、
問題条件に順々に従うと、
1. 1辺12cmの正方形を書く
2. 1つの辺を3等分する
3. 「2」の等分した点を順に結ぶ
と言う手順で、
「正確」な問題図を書き上げることができます。


ところがこの「11」は角Bの大きさや辺BCの長さがわからないために、
「ある程度目分量で書く」ことを強いられます。


この段階で「難しいかも…?」と気づけるんです。


難しい問題であることがわかれば、
制限時間のある入試や模擬テストでは、「あとまわし」や「パス」ができて、
試験時間を有効に使えますよね?!


ですから家庭学習で図形問題をするときに、
教材やプリントの問題図に書き込む癖がついてしまうと、
問題選択の技術を磨くことができなくなるかもしれないんです。


さあ、そんな難しそうな問題ですが、どうすればいいのでしょうか?


灘中の過去問演習にとりくんでいるお子さんは
もしかしたら気がついたかも知れません。


灘中で出題される直角三角形の問題が難しいときは、
過去問演習をするとわかるように
補助線としての「垂線」がポイントになっています。


一部では「灘中の直角三角形」という名でも呼ばれているように、
垂線を引いて直角三角形を作るんです。


この問題では点Mから辺BCに垂線を下ろすことによって
前半の設問①の答えがわかります。

m_20130330_03.jpg

この補助線MHによって、
三角形MBHと三角形ABCのピラミッド型相似が見つかりましたね。
ですから、MH=5cm×1/2=2.5cm です。

m_20130330_04.jpg

すると三角形MHDはMH=2.5cm、MD=5cmですから、
角Dが30度の直角三角形だとわかります。


この問題の補助線のように、
1本の補助線で2つ以上のヒントが見つかる補助線は
正解の可能性が高い補助線です。


「3.工夫した解き方を身につける。」でいう「工夫」とは
このように正解の可能性を判断する方法も含みます。


あとは、(15度+90度)-30度=75度 が、角イの大きさとして求められます。


ネタバレになってしまいますが、
例えば平成24年度1日目「9」、平成23年度1日目「8」、平成21年度2日目「5」などが、
これら「灘中の直角三角形」に属します。


さて灘中の算数は「誘導形式」の問題が多く、
その点ではとても親切だと思いますが、
本問も①の75度をなぜ求めさせたのかを考えると、
②のヒントが見えてきます。

m_20130330_05.jpg

直角三角形ADCの角Dが75度ですから、
「折り返し?」
という予測が働きます。


実際に折り返してみると次の図のようになります。

m_20130330_06.jpg

この次が少し難しいんです。
手当たり次第に補助線を引いても、なかなか上手くいきません…。


実は、①でみつけた直角三角形MHDは「30度問題」の三角形ですから、
HDの長さは求められないことを意識しておかなければいけないんです。


つまり、もしBHの長さがわかったとしても、
HDがわからない以上、正解は無理です。


また、直角三角形ADCも15度の直角三角形ですから、
DCの長さは求められませんね。
ということは、もしBCの長さがわかっても
やはりBDの長さは求められないんです。


これらのことから、
BDの長さは「直接、計算で求められるはずだ!」
となります。


ここで用いた知識が、
図形の学習のポイント「2.図形の特徴を知識として覚える。」のことなんです。


「図形の特徴」というのはこういったことも含めています。


さあ、「直接、計算で求められるはず」という視点でもう一度図を見てみましょう。


そうなんです。
三角形MBDの面積と三角形AMDの面積が等しいことが利用できます。

m_20130330_07.jpg

BD×2.5cm(MH)÷2=5cm(MD)×5cm(AI)÷2 なので、BD=10cm です。


①はもちろん、誘導形式とはいえ、②もなかなかの難問だったと思います。


もし、算数を得点源にして受験をするお子さんでしたら、
今回ご紹介した問題がそうであったように、
数の性質、規則性、速さ、図形問題、場合の数といった
中学入試でも特に難しい問題が出されやすい単元について、
難関校受験については一般的な受験勉強に加えて
学校別の傾向対策が大切です。


同時にこのことは、
「算数は合格者平均から合格者最低点くらいでOK、
他の科目で点数を稼ぐから。」
というお子さんにとって、
問題を選択する力を養うことが重要だということでもあるんです。


家庭学習などで問題選択力を身につけ、
「この問題は難問だから、僕(私)はパスしても大丈夫!」
と言い切れるようになり、
自信を持って、次の問題に進めるようになれるといいですね。
 
中学入試の算数問題2013年03月30日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.