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夏は受験の天王山 2014年度に向けて④

中学入試の算数問題2013年06月15日18時00分
~2013年度の開成中入試問題を題材に夏の学習準備をする~
『今の知識でワンランク上の問題を解けるようになるには?』

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写真提供:環境省

環境省が地球温暖化防止のためライトアップ施設の消灯を呼び掛ける
「CO2削減/ライトダウンキャンペーン」です。
写真は東京タワーです。
私たちもこのキャンペーンに参加しています。

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http://coolearthday.jp/


今回は2013年度 開成中の入試問題の難問のひとつを題材に、
夏期講習までの学習方法を考えてみましょう。


「四捨五入の逆算」問題です。


「四捨五入の逆算」は難しい問題なのですが、①は5年生でも挑戦できます。


①とくらべて②はかなり高度な問題ですが、必要な「知識」は①と変わりません。
何がちがうのかは、問題を解いてのお楽しみ…ということにしておきましょう。


②まで解こうと思うお子さんは、
「答えが出ればOKだ」といった考えで①を解かず、
「①は②を解くためのヒントになっているはずだ」という意識で
問題に取り組んでみて下さいね。




2013年度 開成中 大問1

(5) ある装置Aに0でない整数を入力すると、その整数の一の位から順にみて初めて0でない数字が現れる位で四捨五入した整数が出力されます。例えばAに95を入力すると100が出力され、320を入力すると300が出力され、2000を入力すると0が出力されます。このとき、①、②の問いに答えなさい。

①Aに0でない整数を入力したところ200が出力されました。このような整数はいくつありますか。
②ある3桁の整数アをAに入力したところ、イが出力されました。このイをAに入力したところ、0が出力されました。イが0でないとき、このような3桁の整数アはいくつありますか。




では、①からみていきましょう。


「何の位で四捨五入したか」による場合分けが、
この問題のキー・ポイントです。


ⅰ)一の位で四捨五入して200になる整数の場合
→195以上204以下なので、10個

ⅱ)十の位で四捨五入して200になる整数の場合
→150以上249以下なので、100個


「ⅰとⅱのうち、195以上204以下の整数は重なっているので100個だ。」


としてしまうと、残念ながら失敗です…。


この答えですと、
「十の位で四捨五入して200になる整数は何個ですか」
という問題と同じです。


しかしこの問題にはよく練習する問題と異なり、
「その整数の一の位から順にみて初めて0でない数字が現れる位で四捨五入」
という条件が追加されています。


難しい問題を解くときの注意点のひとつは、
「何のためにこんな文(=条件)がついているのだろう…」と、
一歩立ち止まって考えることです。


このように「深く問題を考える」ようになれると、
初めて見る問題や高度な問題にも対処ができるようになっていきます。


基本問題のマスターが終わって応用問題を解くときは、
○×をつけたり、解き直したりする以外に、
「深く考える」
「自分の考えと模範解答を比較する」
といった取り組みを学習時間内に取り込めるといいと思います。


さて、問題に立ち返って、この条件にあてはまる整数を書き出してみると、

ⅰ)一の位で四捨五入して200になる整数の場合
→195、196、197、198、199、201,202,203、204 の9個

ⅱ)十の位で四捨五入して200になる整数の場合
→150、160、170、180、190、210、220、230、240 の9個

となり、正解は 9個+9個=18個 だとわかります。




続いて②です。


この問題は、

3桁の整数ア →(装置A)→ 整数イ →(装置A)→ 0

という「流れ(フロー)」です。


このように流れ図(フロー・チャート)に表すと、
この問題が「巻き戻し」タイプであることが明確になり、
混乱を防ぐことができます。


四捨五入の逆算、食塩水のやりとり問題、為替レート問題などは
流れ図に整理すると、少しむずかしい問題(=今の知識ギリギリの問題)でも
安定して正解できるようになります。


さて、「整数イ →(装置A)→ 0」に着目したときに、
もしかするとお子さんが「あれ…?」「う~ん」といった反応
=手が止まってしまうことがあるかもしれません。


そのようなお子さんは、
「四捨五入の逆算」をすることはわかっているのに、
「何かのせいで」上手くいかないことに気づいたのです。


この「何か」がわからないでの、お子さんの手が止まっているんですね。

だからといって
「じゃあ手当たり次第に…」といった解き方を続けると、
いつまでもこのレベルの問題を攻略できず、
「調子(=カン)がいいときは解けるけれど」という状態から脱出できません。


こんなときこそ、
お父さん、お母さんが「SS-1式 声かけメソッド」を利用して
お子さんを応援してあげて下さい。


SS-1の教室であればこんな授業風景が見られそうです。


講師:何か困っているの?(否定や非難ではなく援助の言葉を用います。)
生徒:うん、さっきとおんなじように逆算をしようと思ったんだけど、できないんだ。
講師:①と何かがちがうってこと?(具体化を手伝います。)
生徒:うん、四捨五入しら0になる整数なんで無限にあると思うんだ。
講師:例えばどんなのがあるの?(手が止まってノートに書かれていないことを聞き出し、お子さんがどこまで解き進めているかを把握します。)
生徒:1,2…や10、20、…や100、200…や1000、2000…ってあるからきりがないよ。
講師:本当だね。じゃあ、まだ使っていない条件は何かないかな?(視点の切り替えを促します。)
生徒:う~んと…、「3桁にの整数ア」ってとこかな。
講師:そうだね。で、それを使うとどんなことがわかりそうかな?
生徒:「3桁の整数」っていうことは…。そうか!四捨五入して2000なんかになるはずがないんだ!


「手が止まってしまう」問題は、お子さんを成長させるチャンスです。


ワンランク上の取り組みを使えば、
今ある知識でワンランク上の問題が解けることを経験させ、
知識ではなく、取り組み方を磨くことで成長できることを
体験させてあげて下さい。


さてここまで気づくと、こんなノートができていきそうです。

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4個×2+9個×6+5個×3=77個


①を解くときに深く考えたからこそ、
この問題で間違ってしまいやすいところを引っかからずに正解できたのです。


夏期講習に向けて知識の点検はもちろん重要なのですが、
今よりも「一皮むける」ために「問題への取り組み方」のレベルアップを図ってみて下さい。

中学入試の算数問題2013年06月15日18時00分

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主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。