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『速さ 上級レベルの学習ポイント』2

速さの練習問題2013年11月30日18時00分
第158回 2014年度入試間近 前受け校研究 ~3~

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「浦和明の星女子中学校 26年度用―中学過去問シリーズ (4年間スーパー過去問413)」(声の教育社)




今回は再び関東エリアの「前受け校」、浦和明の星女子中学校です。


女子中ですが、算数の入試問題には定評のある学校です。


関東エリアの女子中には、女子中のトップ校である桜蔭中や豊島岡女子学園、
神奈川県のフェリス女学院など、難しめの問題を課す学校が少なくありません。


これらの学校の入試では、
基本問題や中級レベルの問題を正解するだけでは合格基準点に足りないため、
どうしても上級レベルの問題を正解することが求められます。


浦和明の星女子中学校の平成25年度入試(第1回)データは以下の通りでした。


合格者平均点 61.4点/100点(受験者平均 50.3点/100点)


大問1…小問集合
(1)四則計算
(2)差集め算
(3)売買損益算
(4)数の性質
(5)立体図形
(6)平面図形

大問2…立体図形(水の問題 小問2)

大問3…点の移動(小問3)

大問4…速さ(小問3)

大問5…論理・推論(小問4)


平成25年度の入試問題の合格者平均点は2003年以降では最も低く、
得点しやすかった平成24年度と比べて24.5点も低くなりました。


これまでの数年間が、偏差値の割には比較的得点しやすかっただけに、
「この問題で70点とらないといけないの?」と驚いた受験生もいたかもしれません。


小問数は18問(解答数は約20問)ですから、1問あたり平均で5点です。


受験者平均が50.3点ですから、
だいたい11~12問くらいの正解で合格者最低点になりそうです。


この偏差値の学校を非専願で受験するお子さんの実力から判断すると、

大問1(1)(2)(3)(4)(5)(6)
大問2(1)(2)
大問3(1)(2)

の10問(解答数11)は、かなりの確率で正解できる問題だと思います。


大問3-(3)や大問4-(1)、大問5-(1)も正解のチャンスがあると思います。


しかし、こんなときに上級レベルの大問1問を解く力があれば、ずいぶん楽ですね。


そこで(1)を正解できれば、得点をまとめてアップできる大問4についてみていきます。




浦和明の星女子中学校 平成25年度入試問題 算数 大問4


4 A地点からB地点に行く途中にC地点があり、C地点からB地点までの距離は300mです。太郎君はA地点とB地点の間を、花子さんはA地点とC地点の間を往復します。二人が同時にA地点を出発してから30分後にC地点に向かっている花子さんは、B地点からA地点に戻る太郎君とすれ違いました。花子さんはこのままでは太郎君よりかなり遅れてしまうと思い、すれ違ったときから歩く速さをそれまでの2倍にしました。その結果、二人かすれ違ってから、18分後に太郎君が。さらにその1分後に花子さんがA地点に戻ってきました。ただし太郎君と花子さんは、それぞれB地点とC地点に着くと、すぐにA地点に引き返したものとします。

(1)(太郎君の歩く速さ)と(太郎君とすれ違うまでの花子さんの歩く速さ)の比を、もっとも簡単な整数の比で答えなさい。
(2)A地点からB地点までの距離を求めなさい。
(3)花子さんが太郎君と同時にA地点に戻るためには、花子さんはどこから2倍の速さで歩けばよかったでしょうか。A地点からその地点までの距離を求めなさい。







これまでに、上級レベルの問題は、
・中級レベルの解法の選択と手順の組み合わせ
・大原則を守る

の2点を実行することで、安定的に正解できるということがわかっています。


この問題でも、これらに注意しながら解き進めてみましょう。


速さの問題は、
・距離条件が多い→線分図に整理する
・時間条件が多い→ダイヤグラムに整理する

が大原則です。


距離の条件は「300m」の1つ、
時間の条件は「30分後」「18分後」「1分後」の3つですから、
ダイヤグラムに整理してみましょう。


AB間の距離がわかりませんから、
「仮にAC間の方がCB間より長い」としてグラフを書き、
不都合があればCB間の方がAC間より長くなるように「書き換え」ることにします。



ダイヤグラムを書くときの大切な考え方ですね。


この問題では、「速さを変えることがない」太郎君を先に書き始めるようにしましょう。

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(1)は
(太郎君の歩く速さ)と(太郎君とすれ違うまでの花子さんの歩く速さ)の比
を求める問題ですから、

20131130_03.jpg


に着目することになります。


しかし、ここには「30分」という情報しかありません…。


こんなときはどうすればよいでしょうか?


大原則を思い出します!


ダイヤグラム解法は「時間条件に着目」する解法です。


時間について何かわかることはないでしょうか?


そうですね、「太郎君の1往復にかかる時間が48分」とわかりますので、片道は24分です。

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ということは、
B地点から太郎君と花子さんがすれ違う場所まで、太郎君は6分間で進むことがわかります。


太郎君は速さを変えないで歩きますから、

時間の比 24分:6分=4:1 → 距離の比 4:1

です。

20131130_05.jpg


ということは、
2人がすれ違うまでに太郎君が進んだ距離:花子さんが進んだ距離=5:3
となりますので、速さの比も5:3と求められます。




(2)は、A地点からB地点までの距離を求めるわけですが、
距離については「CB間=300m」しかわかっていませんので、
AB間とCB間の比が求められればOKです。


幸い、(1)でBD間=①がわかりましたから、
あとは下の図のCD間の距離比が求められると解決しそうです。

20131130_06.jpg


グラフを見ればわかるように、CD間に関わっているのは花子さんです。


花子さんの距離についてわかることを考えましょう。


3×30分=90…AD間
6×19分=114…D~C~A間

ですから、

(90+114)÷2=102…AC間
102-90=12…DC間

です。


ここまでわかればあとは太郎君の進んだ距離も計算して

5×24分=120…AB間
5×6分=30…BD間
30-12=18…CB間
なので、

20131130_07.jpg


となり、300m÷18×120=2000mがAB間とわかります。




大問形式によくある「誘導」を念頭に置けば、
「(1)でわかったことをどこかで使うかもしれない」
という予測が可能になります。





(3)は、(2)でいろいろな距離がわかってしまいましたので、
自分の解きやすい方法でOKです。


問題を言い直すと次のようになります。


「48分間で、片道102のAC間を、3の速さと6の速さで1往復しなさい。」


つるかめ算ですね。


(6×48-204)÷(6-3)=28分…3の速さで進む時間
3×28分=84…3の速さで進む距離比
2000m×84/120=1400m


(1)を正解すると太郎君と花子さんの速さの比の関係がすべてわかりますから、
(2)を正解することはさほど難しくはありませんし、
(2)まで正解できれば(3)はサービス問題です。




前回の岡山白陵中のときもそうでしたが、
上級レベルの問題で誘導形式の大問は(1)が解けるか解けないかで
大きな点数の差となりやすい傾向にあります。

※さらにワンランク上の難問は正解できるお子さんの数が少ないので、
合否の決め手にはなりにくいです。


ですから速さに限りませんが、
上級レベルの問題が解ける単元を何かひとつ持てると、
入試では落ち着いて問題にむきあえると思います。

速さの練習問題2013年11月30日18時00分

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主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。