中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 図形の練習問題 ->『水問題 上級レベルの学習ポイント』

『水問題 上級レベルの学習ポイント』

図形の練習問題2013年11月23日18時00分
第157回 2014年度入試間近 前受け校研究 ~2~

20131123_01.jpg

「岡山白陵中学校 平成25年度 入学試験問題」(学校販売品)




今回も前回に引き続きテーマは「前受け校」です。


前回書きましたように、前受け校を受験することで、

・みんなが正解できる問題は自分も正解する。
・明らかに難しい問題をパスして、見直しなどで試験時間を有効に使う。

という本命校に向けた最終のチェックができます。


そのためには、
比較的解きやすい問題ばかりを出題する学校や
逆に得点することが難しい問題を多く出題する学校を前受け校に選択してしまうと、
上記の最終チェックができません。


・合格証だけを目標とする前受け校
・合格証プラス最終チェックを目標とする前受け校



前受け校を選択するときは、このいずれかにしたいと思います。




さて今回ご紹介するのは、
大阪府や兵庫県の統一入試日(解禁日)に先立って入試を実施する
岡山白陵中学校の2013年度の入試問題です。


岡山白陵中学校が第1志望のお子さんは「専願」で受験することになりますが、
大阪府や兵庫県などの学校が第1志望のお子さんは「非専願(いわゆる併願受験)」です。


そのため、非専願の方が偏差値が高くなりますので、
前回の函館ラ・サール中学校同様、受験するかどうかは慎重な検討が必要です。
※日能研:男子54、女子55(2014年度用) 浜学園:男子56、女子56(2013年度結果)




岡山白陵中学校の平成25年度入試データは以下の通りでした。


非専願合格者最低点 143点/300点(算数 受験者平均 55.6点/100点)


大問1…小問集合
(1)四則計算
(2)逆算
(3)数の規則性
(4)比と割合の文章題
(5)場合の数
(6)速さと比
(7)平面図形

大問2
(1)数の性質(小問2)
(2)ニュートン算(小問2)

大問3…図形の回転移動(小問2+作図)

大問4…立体図形の移動(小問3)

大問5…水問題(小問3)


平成25年度の入試問題は過去8年の中では最も難しく、
非専願合格最低点も平成23・24年度の158点から15点、
平成22年度の181点からは38点も低くなっています。


算数の小問数は20問ですから、1問あたり平均で5点です。


得点率が48%ですから、
だいたい10問くらいの正解で合格者最低点になりそうです。


この偏差値の学校を非専願で受験するお子さんの実力から判断すると、

大問1(1)(2)(4)(5)(6)(7)
大問2(2)-1・2
大問3(1)
大問4(1)
大問5(1)

の11問は、かなりの確率で正解できる問題だと思います。


岡山白陵中学の過去問をよく研究していたお子さんは、
大問1(3)や大問4(3)の一部も正解できたのだろうと思います。




大問5は定番の水問題ですが、
上級レベルでときどき見かける「罠(?)」も仕掛けてあります。
もちろん、問題文を「精読」し、定跡通りに解けば
「罠」に引っかかることもないと思います。


問題文の精読力の点検とあわせて、
水問題の解法チェックをしてみて下さい。
(大問4「立体図形の転がし」も近年の流行のひとつです。チャレンジする価値があると思います。)




岡山白陵中学校 平成25年度入試問題 算数 大問5


5 高さが十分にあるAとBの2つの円筒形の容器があります。Aの底面積は20cm2でBの底面積は16cm2です。
Aの容器には高さ9cmまで水が入っていて、Bの容器は空です。Aには毎秒10cm3で、Bには一定の割合で同時に水を入れ始めます。
水を入れ始めて48秒後にAとBの水面の高さが同じになりました。その瞬間に水を入れるのをやめ、A、Bとも容器の底から毎秒4cm3で、ある一定の時間だけ水を出します。
その後、先ほどと同じ割合でA、B両方に水を16秒間入れると再び水面の高さが同じ(破線)になりました。その瞬間に水を入れるのをやめ、A、Bとも容器の底から毎秒4cm3の割合で水を出すと、Bの水がなくなってから11秒後にAの水がなくなりました。次の各問いに答えなさい。
(1)Bの容器には毎秒何cm3の割合で水を入れましたか。
(2)線部の「一定の時間」とは何秒ですか。
(3)線部(破線)の「再び水面の高さが同じ」になったときに、水を入れるのをやめて、Bの水の半分をAに入れた後、A、Bとも容器の底から毎秒4cm3の割合で水を出すと、AとBの水がなくなるのはどちらが何秒早いですか。








上級レベルの定番問題は、中級レベルの解法の組み合わせだと、前回お伝えしました。


「どの解法を選択し、どの順番に使うか」ということです。


さらに、大原則である「水の問題は正面から見た図を書く」は必ず実践しましょう。


この問題のように
「図がない問題は、図を書けばヒントが見つかる」
というラッキーな側面もありますから、
図を書くことは本当に大切です



というのは、
出題者は、図をヒントとして受験生に与えてしまうと
何かまずい(=解きやすくなってしまう)ことがありそうなときは、
あえて図を問題につけないようにするからなんです。




では、早速図を書いてみましょう。

20131123_02.jpg


図2では、容器Aの方が底面積が大きいので、
水面が容器Bよりも下がらないことに注意して書きます。


まず図1をみると、

10cm3/秒×48秒÷20cm2=24cm…容器Aに加えられた水の高さ
9cm+24cm=33cm…図1の水面までの高さ
16cm2×33cm÷48秒=11cm3/秒

と、(1)の解答まで一気にわかってしまいました。


次に図2からは、

容器Aの排水量:容器Bの排水量=1:1
容器Aの底面積:容器Bの底面積=5:4
Aの下がる水面:Bの下がる水面 =4:5

が、わかります。

20131123_03.jpg



図3からは、

10cm3/秒×16秒÷20cm2=8cm…容器Aに加えられた水の高さ
11cm3/秒×16秒÷16cm2=11cm…容器Aに加えられた水の高さ

20131123_04.jpg



がわかりますので、図2の①=11cm-8cm=3cm もわかります。


ということは、④=12cmですから、
20cm2×12cm÷4cm3/秒=60秒 が(2)の答えが求められます。


すると、図2で 33cm-12cm=21cm が容器Aに残った水の量なので、
21cm+8cm=29cm が図3の水を加えたあとの水面の高さです。

20131123_05.jpg



ということは、図4の◆秒も求められますね。

容器Aでは 20cm2×33cm÷4cm3=165秒
容器Bでは 16cm2×33cm÷4cm3=132秒


「おや、容器Aと容器Bで差が11秒にならないぞ…?」


(3)を解き始める前に「確認作業」をしておくと、
(2)の60秒がまちがった答えだとわかります。



上級レベルの水の問題で、注水したり、排水したりする問題では
・途中で水があふれる
・途中で容器が空になる
・おもりが操作の途中で着底する
・おもりの一部が水面からでている

といったことも、頭の片隅においておくようにします。


大問5では「途中で容器が空になるために、
おかしくなってしまったのではないか」と考えることが必要ですね。


ということで

20131123_06.jpg


正しい図だとわかります。


(2)をやり直しましょう。


図2-2は容器Aと容器Bとで排水している時間が異なっているわけですから、
ここから何かを求めるということはできません。


そんなときは…、


そうです!「巻き戻し」解法を用いましょう。


図4から戻ってくる解き方です。


図4で容器Aに残っている水の量から考えると、

4cm3×11秒÷20cm2=11/5cm…容器Aの水面の高さ
容器Aの排水量:容器Bの排水量=1:1
容器Aの底面積:容器Bの底面積=5:4
Aの下がる水面:Bの下がる水面 =4:5

から、

11/5cm×5/(5 -4)=11cm…排水前の容器B(容器A)の水面の高さ

がわかります。


そこで図3に戻ると、

20131123_07.jpg


ですから、

11cm-10cm3/秒×16秒/20cm2=3cm…容器Aに残っていた水の水面までの高さ

がわかり、これを図2-2に書き込むと、

20131123_08.jpg


なので、20cm3×(33cm-3cm)÷4cm3=150秒 が(2)の本当の答えです。


ここまで正解できれば(3)は簡単です。


先ほどの図3の状態(水面の高さが11cm)から、

(20cm2×11cm+16cm2×5.5cm)÷4cm3=77秒…容器Aが空になるまでの時間
16cm2×5.5cm÷4cm3=22秒…容器Bが空になるまでの時間
77秒-22秒=55秒 → (3)Bの方が55秒早い

となります。




この問題は「途中で容器が空になる」ということがおきますが、
水問題を解くときの大原則を忠実に守り、
移り変わる様子を、段階を追って図を書いておいたことで
(2)→(3)の10点分以上を芋づる式に失うことが防げました。


もし、
「式だけ」や「ひとつの図だけを書いて全部書き込んでいく」
といった方法で解いていたならば…。


「矛盾」に気づかないお子さんもきっといることでしょう。


今回の上級レベルでは、
「中級レベルの解法の組み合わせ」を必要としませんでしたが、
「大原則に忠実であることが大失点を防ぐ」好例となっています。


ちょっとした油断が大失点に結びつくところが、
上級レベルの上級レベルたる所以ですね。


図形の練習問題2013年11月23日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.