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塾テスト研究 SAPIX・浜学園 2

受験算数と塾の使い方2014年08月09日18時00分
第194回 「塾テスト研究 SAPIX・浜学園 小5」2





前回から、大手進学塾の小5のテストについて考えています。


今回は、浜学園小5のテストです。


毎月実施され、クラス分けの資料となる「公開学力テスト」と、
年2回実施され、6年生の「合否判定学力テスト」の予備テスト的要素が強い
「志望校判定模試」についてみていきます。




次の表はある年の8月公開学力テストと9月志望校判定模試の
出題構成と難度を分類したものです。





これを見ると、
公開学力テストは比較的得点のしやすい、
レベル1~3の問題が80%以上の比率で出題
されています。


一方、この公開学力テストの約1ヶ月後に行われた志望校判定模試は、
テストが2本立てになっている上に、
算数Ⅰでは最も得点しやすいレベル1の出題がなく、
算数Ⅱではレベル4以上の問題が半数以上を占めています。



公開学力テストは、
学習内容の定着度や到達度を測る復習テストと異なる実力テストですが、
志望校判定模試はそれ以上に実力が問われるテストとなっているのです。


公開学力テストは
「易しい問題→易しい問題→易しい問題→…→易しい問題→難しい問題」
のような問題配置ですから、
お子さんは「力尽きることなく」易しい問題に取り組むことができ、
失点しにくい環境にあります。


しかし、志望校判定模試は
「易しい問題→通常問題→少ししんどい問題→少ししんどい問題→難しい問題」
といった問題配置ですから、
途中で「エネルギー切れ」に陥りやすく、
実力通りの得点にならない可能性
があります。




このように、5年生になると、中学入試本番に類似した、
実力通りに得点をすることが難しい実力テストが実施されるようになります。


実際の問題をみて、具体的な違いを見てみましょう。




浜学園 8月公開学力テストより
【問題1-⑦】
2.6km-1306m-6560cm+6.1m=□m


浜学園 9月志望校判定模試 算数Ⅰ
【問題⑨】
光は1秒間に地球を7周半します。地球1周は40000kmとします。また音の速さはマッハで表し、マッハ1が秒速340mとするとき、光の速さを百の位で四捨五入すると、マッハ□になります。








公開学力テストでは、式が書かれているために単なる「単位換算」問題です。


一方、志望校判定模試では、
速さの3公式・単位換算・四捨五入の3つの要素が含まれていますので、
間違える可能性も公開学力テストの3倍
あります。


実際、正答率は、
公開学力テスト【問題1-⑦】は52%、
志望校判定模試【問題⑨】は13%
となっています。


公開学力テスト【問題1-⑦】の解答は、
2600m-1306m-65.6m+6.1m=1234.5m、

志望校判定模試【問題⑨】の解答は、4
0000km×7.5=300000km/秒=300000000m/秒…光の秒速 ですから、
300000000m/秒÷340m/秒=882352.9… → マッハ882000です。


志望校判定模試で得点するための大きな要素のひとつが
「計算力」である
ことが、この問題からはっきりとわかります。


計算練習は日々行なっておきたいですね。




もう1問、見ておきます。


浜学園 志望校判定模試 算数Ⅰより
【問題⑦】
100gの水に25gの食塩を入れてよくかき混ぜると□%の食塩水になります。


浜学園 志望校判定模試 算数Ⅱより
【問題3】
容器Aには、はじめ12%の食塩水400gが入っており、以下にある2種類の操作を行います。
(ア) 容器Aから200gを捨て、かわりに200gの水を加える。
(イ) 容器Aから200gを捨て、かわりに18%の食塩水を200g加える。
【中略】
(4) (ア)の操作と(イ)の操作をそれぞれ2回ずつ行なって、容器Aの濃度が最も高くなるとき、何%になりますか。








同じ濃度の問題ですが、
算数Ⅰの問題は「濃度計算の公式」の定着度確認だけの問題です。


それが算数Ⅱの問題では、
6通りの操作手順から最も濃度が高くなる手順を探さなければいけませんので、
正確な「計算力」と漏れなく調べ尽くす「整理力」が問われています。


さらに、
「6通りしかないのだから、調べ尽くせる」という判断をくだすために、
6通りを計算するための「場合の数」という、
別単元の知識も必要
です。


この2問の正答率は、
算数Ⅰ【問題⑦】は80%、
算数Ⅱ【問題3-(4)】は12%
と大差がついています。


「6通りしかない」ことがわかると、
「この問題に取り組もう」
「調べるだけだから正解できる」
となるので得点アップが可能です。


志望校判定模試で得点するための要素に
「他の単元の知識」が関係している
ことが、
この問題からわかります。


いいかえると、
弱点分野が多ければ多いほど、
実力テストで得点するチャンスがなくなっていきますから、
夏期休業や祝日といった、
「自分のための学習時間」がとれる日の活用方法が、
さらに増える6年生での実力テストを左右する
ともいえそうです。






算数Ⅰ【問題⑦】の答え
25g÷(25g+100g)×100=20


算数Ⅱ【問題3-(4)】の答え
操作(ア) → 濃度が操作前の1/2になる
操作(イ) → 濃度が操作前と操作後の平均になる

(ア)→(ア)→(イ)→(イ)のとき、12%→6%→3%→10.5%→14.25%
(ア)→(イ)→(ア)→(イ)のとき、12%→6%→12%→6%→12%
(ア)→(イ)→(イ)→(ア)のとき、12%→6%→12%→15%→7.5%
(イ)→(ア)→(ア)→(イ)のとき、12%→15%→7.5%→3.75%→10.875%
(イ)→(ア)→(イ)→(ア)のとき、12%→15%→7.5%→12.75%→6.375%
(イ)→(イ)→(ア)→(ア)のとき、12%→15%→16.5%→8.25%→4.125%


操作(ア)や(イ)を
解説のように「置き換え」ておくと、
計算が楽になります。

また、操作(ア)は「操作前と0%との平均」ともいえますから、
最後の操作は(イ)の方が濃度が濃くなることに気づけると、
3通りだけ調べれば正解が求められます。

この考え方は「数の性質」の知識ですから、
他の単元の知識を使える方がやはり有利ですね。
受験算数と塾の使い方2014年08月09日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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