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夏休みに成績を上げる準備2 SAPIX編

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受験算数と塾の使い方 2015年05月30日18時00分

「第236回 夏休みに成績を上げる準備2 SAPIX編」

前回は、
サピックスの2015年度に予定されている日程と2013年度の夏期講習資料を題材に、
夏期講習の学習内容について見ました。


今回は
引き続きサピックスの教材を使用して、
夏期講習で学ぶ問題と1学期に通常授業で学んだ内容との関係について考えていきます。




サピックスの夏期講習教材のひとつであるサマーサポートは、
「導入と基本」
「サマーアプローチ」
「Summer Support」
の3部構成になっています。


「導入と基本」はその名前の通り基礎知識のページ、
「サマーアプローチ」は典型パターン(上記の表中「単元」)の学習ページ、
「Summer Support」は「サマーアプローチ」の内容を演習する問題のページです。


通常授業で使われるデイリーサポートも、
「導入と基本」
「デイリーアプローチ」
「Daily Support」
の3部構成で、同じつくりとなっています。


これらの教材について、
サピックスの 2013年 小6 夏期講習 第1回 「数の性質1」を例に、
夏期講習教材のサマーアプローチと
通常教材のデイリーアプローチの関係を見ていきます。

20150530154906.jpg

※表の見方

・D09-②は、第9回デイリーサポートのデイリーアプローチ②に掲載されている問題です。
・「通常」は、夏期講習の問題が通常授業の復習となる問題です。
・「関連問題」は、夏期講習の問題を解くための基礎として通常授業で学ぶ問題です。
・赤字が記入されている単元は、通常授業の教材では取り扱われていない問題で、
この講習で新しく学ぶ内容です。




上記の表について、
夏期講習が通常授業の復習となっている「既約分数の個数」を例に、
実際の問題を比べてみましょう。

20150530155007.jpg

問題表現は多少異なりますが、問われている内容はほぼ同じで、
「夏期講習が通常授業の復習」となっています。


しかし、夏期講習第1回にはそのような単元が2つあるだけです。




では、それ以外の「新しく夏期講習で学ぶ問題」はどんな問題でしょう。


Summer Support(A~Eのレベルがあります)のC問題にも出てくる問題を見てみます。

20150530155032.jpg




この問題の類似問題は、1学期の通常授業の中にはありませんし、

夏期講習教材の「導入と基本」にもありませんので、
解きやすい(1)、やや難しい(2)で「順番に学びましょう」
という構成になっています。


ただ、
夏期講習教材の「サマ-アプローチ」には解説が書かれていませんので、
授業中の説明を聞いて理解することと、
「Summer Support」のページには解説がありますから、
家庭学習で解けなければその解説を読んでまちがい直しをすることになります。




【大問2の解き方】
(1) 問題文を式に表すと、ア÷23=○…○ ですから、
「余りは割る数より小さい」というわり算の決りから、
○=1~22の22個が候補です。

さらに「500以下」という条件がありますので、
500÷23=21…17 から、○は20以下の整数、
つまり20個とわかります。

答え 20個

(2) 問題文を式に表すと、イ÷○=○…◎ です。
(1)のように「余りは割る数より小さい」を利用できませんので、
「わり算はかけ算に書き換える」という原則にしたがって式を書き換えると、
イ=○×○+◎ なので、
200以下の整数で
「平方数+◎(割る数○より小さい整数)」
になる整数がイです。

200以下で最も大きい平方数は、14×14=196 ですから、
2×2+1
3×3+2、3×3+1
4×4+3、4×4+2、4×4+1



13×13+12、13×13+11、…、13×13+2、13×13+1
14×14+4、14×14+3、14×14+2、14×14+1
の、1個+2個+3個+…+12個+4個=82個 が答えです。

答え 82個




これを見る限り、
「夏期講習が通常授業の復習」になっていなくても、
「なんとかなる」
ようにも思えます。


しかし、
現時点で算数の家庭学習に時間がかかっているようでしたら、
気をつけなければいけない点があります。




前述のように、
サピックスの夏期講習教材も、通常授業で使われる教材も、
その構成や量はほぼ同じです。


ところが、
算数の通常授業は週に1回ですが、
夏期講習は5日連続+1日休みのサイクルですから、
算数が6日間で5回あります。


つまり、
今ならば1週間かけて取り組めばよい宿題や家庭学習のサイクルを、
夏期講習期間中は1日サイクルでこなしていかなければいけません。


仮に今が順調であったっとしても結構厳しいスケジュールですから、
現時点でお困りの場合はさらに大変な状況になりそうです。




ですから、
サピックスの夏期講習を塾の日程通り受けながら、十分な成果をあげるためには、
次の2点が大切だといえそうです。

1. 1学期あるいは5年生で習った単元に弱点があれば、夏期講習前に解消して、
夏期講習で新しく学ぶことの基礎部分を理解している状態、
そして夏期講習では新しく学ぶことに100%集中できる状態になっておくこと。

2. 現在、家庭学習にかかっている時間を短縮すること。

サピックスにお通いでしたら、
このような事前準備を6月~7月に取り組んで、
夏期講習の効果を最大限に得られるといいですね。




では、最後に、同じSummer SupportのC問題にもある、
少し難しめの問題を1問ご紹介します。


20150530155124.jpg






(1) 次のようになります。

20150530155224.jpg

20150530155256.jpg






(2) 順に調べていきます。


20150530155356.jpg

b=6のときは、右へ6個先の点と結ぶのですが、
これは左へ5個先の点と結ぶことと同じですから、
b=5の図と線対称となります。

同じように、
b=7のときとb=4のとき、
b=8のときとb=3のとき、
b=9のときとb=2のとき、
b=10のときとb=1のときが、同じ図になります。

答え 5種類

(3) (1)では8個の点のうち、4個が結ばれずに残っていますが、
(2)ではb=1~5の全ての図形で,結ばれない点はありません。

「aの値によって点が残ることがありそうだ」とわかりますので、
a=2の場合から順に調べてみます。

20150530155457.jpg


点が残るのは、(a、b)=(4、2)、(6、2)、(6、3)、(8、2)、(8、4)です。


つまり、aとbに1以外の公約数があるときに、円周上の点が残ります。


言い換えると、
aとbに1以外の公約数がないとき(このことを「互いに素」といいます)、
円周上の点は残りません。(a=2の場合を除きます)


ですから、
24÷2=12 と12以下の整数bとで、
1以外の公約数を持たないbは、1、5、7、11の4種類です。

答え 4種類




このように、Summer SupportのC問題でも難しい問題を学びます。


ですから、
6月~7月で弱点単元の克服と家庭学習時間の短縮に取り組み、
夏休みに成績が上がる準備を完了させておきましょう。

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受験算数と塾の使い方 2015年05月30日18時00分
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中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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