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小5生の学習方法 秋編 思考力を養いましょう(後半)

算数の成績アップ勉強法2015年10月10日18時00分

「第255回 小5生の学習方法 秋編 思考力を養いましょう(後半)」

前回は、「志望校診断サピックスオープン(小5)」の大問1~5に多い、
Aタイプ(基礎力・問題処理能力重視)で得点する方法について考え、
「中心を結ぶとおうぎ形や二等辺三角形ができる」
のような解法の理由と、
「線分図は同じ時間の→に距離や距離の比を書くと解ける」
のような解法の方針を身につける、
「覚える+理解する」という学習が必要であることをお伝えしました。

そこで今回は大問6~8に多い、
Bタイプ(思考力・記述力重視)の問題で得点する学習方法を考えてみようと思います。


題材は今回も2012年11月23日に実施されました、
「第2回志望校診断サピックスオープン(小5)」です。



2012年11月 志望校診断サピックスオープン 小5 算数より

大問7 箱の中に7枚のカードがあり、カードには1から7までの数が1つずつ書かれています。この箱の中からカードを1枚ずつ取り出し、次のようなきまりにしたがって数を記録していきます。
20151002192131.jpg
例えば、1枚目から順に、2、3、4が書かれたカードを取り出した場合。記録する数は、2、6、4となります。取り出したカードは箱に戻さないものとして、7枚すべてのカードを取り出したとき、記録される7つの数の和をAとします。次の問いに答えなさい。

(1) 1枚目から順に 1、2、3、4、5、6、7が書かれたカードを取り出したとき、Aはいくつになりますか。

(2) Aとして考えられる数のうち、最も小さいものはいくつになりますか。また、Aが最も小さくなるようなカードの取り出し方は何通りありますか。

(3) Aとして考えられる数のうち、最も大きいものはいくつになりますか。また、Aが最も大きくなるようなカードの取り出し方を1つ答えなさい。









【解き方】
(1) 問題のルール通りに計算します。
20151002185303.jpg
1+2+6+4=13

(2) (1)の答えを求めることで、
「5の直前の積の一の位の数が偶数であれば、5以降をすべて0にできる」
ことに気づけます。

ですから、「Aを最小」にするためには、
「2×5」がはじめにあればよいはずです。
20151002185432.jpg
3枚目以降はどんなカードであってもよいのですから、
A=2、残りの5枚の並べ方は、
5!=5×4×3×2×1=120(通り)とわかります。

(3) (3)は(2)の逆、「Aを最大」ですから、「偶数×5」が最後にあればよいとわかります。
20151002185514.jpg
「積の一の位」は1桁ですから、「9」が多いことが理想的です。

しかし、積の一の位が「9」になるかけ算は、「1×9」「3×3」「7×7」の3通りですが、
「1から7までの数が1つずつ」しかありませんので、「9」を作ることはできません。

そこで「8」をできるだけ多く作る並べ方を考えます。

1から7の整数で8を作るには
「2×4」「3×6」「4×7」「積の一の位が8×1」「積の一の位が8×6」なので、
1枚目=7、2枚目=4のときが、「Aを最大」にできそうだと予測できます。
20151002185657.jpg
あとは「8」ができるだけ多くなる並べ方を調べていきます。
(解答例)
20151002185637.jpg
A=45 



では、この大問7を正解するために必要な力とそれを身につけるための
学習方法はどのようなものでしょうか。

解法知識としては、
「一の位だけに着目してもOK」「順列」の2つがあれば正解できます。

「一の位だけに着目してもOK」については、仮に「2、3、4、7」の順であれば、
「2 → 2×3=6 → 6×4=24 → 24×7=168」としなくても、
「2 → 2×3=6 → 6×4=24 → 4×7=28」のように計算します。

この知識は、
「一の位に着目して解く類似問題の経験」や
「虫食い算」などから身につけることができます。


【一の位に着目して解く類似問題の例】
1×2×3×...×19×20の積について、一万の位の数を求めなさい。

(解答)
20151002185812.jpgより、下4桁が0になる。

1×2×3×4×5×6×7×8×9×10×11×12×13×14×15×16×17×18×19×20
=1×2×3×1×1×6×7×8×9×1×11×12×13×14×3×16×17×18×19×2×(5×10×5×10×4) 
から、
1×2×3×1×1×6×7×8×9×1×11×12×13×14×3×16×17×18×19×2
の一の位だけを順にかけていくと、
1→2→6→6→6→6→2→6→4→4→4→8→4→6→8→8→6→8→2→4 
答え 4


【虫食い算の例】
20151002185844.jpg


(解き方)
20151002185900.jpg


「順列」は学年に応じて、書き出し・樹形図・公式を「場合の数」で学びます。




解法知識以外に必要なものは、「問題を解く方針」と「思考力」です。

この問題のように、
「問題で定められたきまりにしたがって解く問題」は、
「初めの小問できまりを確認、それ以降は条件の整理と試行錯誤」
という問題の構造を知っておく必要があります。

この構造を知っていれば、
小問(1)を単に計算するだけでなく、
どんな特徴があるのか、
次の問題のヒントが隠れていないか
ということに気を配ることができます。

その結果、小問(2)や(3)をスムーズに解くことができたり、
(3)をとばすという判断をして試験時間を有効に使うことができたりするのです。

志望校診断サピックスオープンのようなテストで出題される、
「小問が3つ以上ある問題(除:計算問題・小問集合)」は、
概ねこのような構造=誘導形式になっていますから、
過去問演習などによって確認するようにしましょう。



「思考力」には、ひらめきも含まれますが、
中学入試問題のレベルでは、
「試してみる、特徴を見つける、整理する、順序よく調べる」
といった
「注意深さ、手を動かす、あきらめないこと」
に読み替えることができます。



サピックスの5年生であれば、
「思考力アップ」「思考力の養成」のページにある問題で、
これらの力を鍛えていくことができます。

場合の数の2問を例に、その鍛え方をご紹介します。


デイリーサポート 思考力の養成 より

20151002190245.jpg大問1 右図は名古屋と大阪の間の鉄道です。1回の行き方で、同じ駅は再び通らないことにします。また、通らない駅があってもよいものとします。このとき、名古屋から、大阪を通らないで京都に行く行き方は何通りありますか。






5年生が家庭学習でこのような問題を解くときは、
「なぞる」という方法は避けるようにしましょう。

「思考力を養成」するための問題ですから、
「試してみる、特徴を見つける、順序よく調べる」ことを心がけるようにします。

はじめに「大阪を通らずに」とありますから、無関係な部分を取り除き、
さらに、調べやすくするために、少し形も変えてみましょう。

20151002190408.jpg


この図を見ると、
名古屋から京都まで直接行く方法が1通り(図の赤線)、
草津を経由する方法、つげを経由する方法がそれぞれ2通りの
合計5通りという答えが、簡単に、間違えることなく求められます。

この学習方法は、
「問題図を整理すると解きやすい」「必ずしも樹形図は必要ない」
という経験になり、
このことが
「算数は工夫次第で楽に解ける」
という考え(動機)につながっていきます。

さらに、正解を得ることができれば、
「算数って、面白いんだ」
「算数、好きかも」
となる可能性もでてきます。

答えに○と×をつけているだけでは、
なかなかこのようにはなりませんし、
思考力もつきません。


せっかくの「思考力の養成」問題ですから、十分に使い切るようにしましょう。


もう1問、見てみます。


20151002190529.jpg大問2 右図の道を通って、A子が、B子、C子、D子の家を1回ずつまわって自分の家に戻ってくるとき、何通りのまわり方がありますか。








前問では
「整理する(見やすくなるように書き直す)」
をご紹介いたしましたので、
本問では
「特徴を見つける」
ことで得られる解き方を見てみます。

この問題文をよく見ると「1回ずつまわって~まわり方」とありますから、
「訪問の順序」を求める問題だとわかります。

さらに図をよく見ると、どの家からでも他の3人の家に行くことができます。

行くことのできない家がないのですから、
A子→(B子、C子、D子)→A子 のうちの
(B子、C子、D子)の訪問順序=順列を計算するだけでOKです。

3!=3×2×1=6(通り)



この問題も「図をなぞる解き方」や答えに○と×をつけるだけでは、
「この問題は順列なんだ」
「たった1行の計算で解けるわ」
という経験を積むことができません。



志望校診断サピックスオープンのBタイプ(思考力・記述力樹脂)のような問題を、
テストのときに正解できるようになるためには、
「試してみる、特徴を見つける、整理する、順序よく調べる」
という力を養うことが必要です。

サピックスの場合、それは「思考力アップ」「思考力の養成」の問題を十分に使い切ることで可能になりますし、
浜学園の場合は「最高レベル特訓」がその役割を果たします。

いずれの場合も、
自己流の解き方に満足することや○と×をつけるだけでは思考力が育ちにくいですから、
お子さんの周りにいる方々が気を配ってあげられるといいですね。

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算数の成績アップ勉強法2015年10月10日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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