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2016年度中学入試 灘中

中学入試の算数問題2016年01月23日18時00分

第270回 「平成28年度 私立中学入試 灘中」


あと1週間もすれば、首都圏で中学入試がスタートしますが、
関西圏の中学入試はほぼ終了しました。


そこで今回は、2016年度 関西圏の中学入試より、灘中の算数をご紹介します。


2016年度の灘中 算数の出題分野と問題の難度(私見)は以下の通りでした。
20160121190618.jpg

出題傾向としては、数論と図形がそのほとんどを占めており、
よく練られた問題が多く、受験生にはかなり厳しかったようです。


学校が公表している入試データによれば、
算数Ⅰ(100点)は、受験者平均42.7点 合格者平均54.8点と
昨年に続いてのロースコアとなりました。


算数Ⅱ(100点)は、受験者平均50.8点 合格者平均61.2点で、
算数全体(200点)では受験者平均93.5点、合格者平均115.9点と
過去5年間で最も低く、久しぶりに満点もでないという結果でした。


それでは早速、灘中の平成28年度入試から3問、ご紹介します。


1つ目は新6年生でも持っている知識と解法で正解することが可能な問題です。
ぜひチャレンジしてみて下さい。


平成28年度 灘中学校 入学試験問題 算数(第1日) より

大問4 A君とB君が円形のジョギングコースを同じ向きに走りました。A君とB君は地点Pを同時にスタートし、その9分後に、A君はちょうど6周、B君はちょうど4周して同時に地点Pを通過しました。この間、A君は毎分200mの速さで走りました。B君は、初めの30秒間は毎分200mの速さで走りました。その後、B君は、A君に追いつかれるごとに、追いつかれてから30秒間だけは毎分200mの速さで走りましたが、それ以外の時間は一定の速さで走りました。その一定の速さは、最も速くて毎分□m、 最も遅くて毎分□mです。








どこから手をつければよいのでしょう?

条件を整理して何がわかるかを見やすくしてみましょう。


A...9分で6周、毎分200m
B...9分で4周、毎分200mで30秒→変速→Aに追いつかれると毎分200mで30秒→変速→...


A君についてわかっていることから、
200m/分×9分÷6周=300m...コース1周の長さ が求められます。


また、B君について、200m/分×0.5分=100mより、
コースの1/3周はA君と並んで走ることもわかります。

20160121190823.jpg

と、ここまでくると次の2つのことに気づけます。


① AはBより2周多い=AはBに2回追いつく
② 2回目に追いついた場所がどこかによって、B君の速さに範囲が生まれそう...


この2点からBについて次のことがわかります。

20160121190847.jpg


(左図) (300m×4-100m×2)÷(9分-0.5分×2)=125m/分 ... 最も早い場合
(右図) (300m×4-100m×3)÷(9分-0.5分×3)=120m/分 ... 最も遅い場合








わかっていることを整理するクセがついていれば、限られた時間の中でも正解できる問題で、
日頃の取り組み方が問われる良問だと思います。


新6年生で、
「正解できなかったけれども解説を見てわかった」というケースであれば、
「問題の条件を整理して解く」クセをつけ、
2017年度の入試で力を100%発揮できるようにしていきましょう。





次にご紹介する問題は、新6年生にはやや高度な問題ですが、
図形の学習方法のヒントが隠されています。





20160121191011.jpg大問8 右の図のような正六角形ABCDEFがあり、点P、Q、Rは、それぞれ辺AB、BC、DEの真ん中の点です。2本の直線PR、QFは点Sで交わっています。このとき、三角形QRSの面積は、正六角形ABCDEFの面積の□倍です。











正六角形の問題は、①均等分割、②平行、③延長 の3つに大きく分類できます。
20160121191103.jpg

「均等分割」...似た図形が問題図にある場合
「平行」...正六角形の辺と平行な関係がある場合
「延長」...は平行な関係がない場合
のように、
解き方の「見当」をある程度つけることができます。


この方法でいくと、
この問題は「QRとCDが平行」を利用することになります。


「平行」が見やすくなるように、図形を回転させると、
20160121191134.jpg

どうやら解けそうな図が見つかりましたので、辺の比と面積の比を求めていきましょう。

20160121191152.jpg







「平行の利用」と見当がついた後で、図を少し回転させて見やすくすることがポイントです。


問題を解くときに使い慣れた向きに図形を書くと、
「○○がわかる」「☆☆がある」ということに気づきやすくなります。


家庭学習で図形問題を解くときに、
図に書き込んで解いているようでしたら、
自分で図をノートなどに書き、
このような難しい問題を解くときに、
いくつもの図を「正確に」「速く」書けるようにしていくとよいと思います。




「速さ」、「図形」ときましたので、最後は「数と計算(数論)」の問題をご紹介します。


新6年生にとってはこれも難しい問題ですが、
「数論」の問題を解くときにどのような知識が必要で、
どのように組み合わせるのかの参考にしてみてください。




平成28年度 灘中学校 入学試験問題 算数(第2日) より


大問4 9桁の整数123456789をAとします。また、Aの各桁の数から2個を選び、それらを入れ替えてできる9桁の整数を考えます。このような9桁の整数は全部で36個あり、これらを小さいものから順に①、②、...、○36とします。例えば、①=123456798、②=123456879、③=123456987、⑨=123486759、○36=923456781です。以下では,①,②,...,○36からAを引いて得られる36個の整数①-A、②-A、...、○36-Aを考えます。例えば、①-A=123456798-123456789=9、②-A=90、○36-A=799999992です。

(1) 36個の整数①-A、②-A、...、○36-Aのうち、1000で割り切れるものは何個ありますか。

(2) 36個の整数①-A、②-A、...、○36-Aのうち、37で割り切れるものは何個ありますか。

(3) これら36個の整数をすべてかけて得られる整数(①-A)×(②-A)×‥・×(○36-A)は3で最大何回割り切れますか。例えば、810は3で最大4回割り切れます。









(1)(2)は「○○で割り切れる」とありますから、「倍数」の問題とわかります。


20160121191352.jpg(1) 1000で割り切れるのですから、下3桁が「789」だとわかります。
つまり、上6桁の中で2個を選び、それらを入れ替えてできる整数を求めれば良いので、6C215個とわかります。



(2) 2けたの整数の十の位の数と一の位の数を入れ換えた数の差は9の倍数になり、
3けたの整数の百の位の数と一の位の数を入れ換えた数の差は99の倍数になります。

20160121191440.jpg


このことを利用した問題は、灘中ではよく出題されています。


これに、37の倍数に、37×3×9=999 があることを利用します。


入れ換える2つの数の間に数が2つあれば、入れ換えた数の差は999の倍数になります。

20160121191544.jpg


2数の差が999の倍数になれば37で割り切れますし、
999999の倍数になっても、999999=999×1000+999ですから、
やはり37で割り切れますので、次のようになります。

20160121191615.jpg


6+3=9個




(3) 「例えば、810は3で最大4回割り切れます」は、
810を素因数分解すると、810=(3×3×3×3)×(2×5) のようになり、
「×3」が4個あるためとわかります。


(2)で用いたように、
入れ換える2つの数の間に数がなければ2数の差は9の倍数になりますから、
素因数分解すると「×3」が2個含まれています。


そのような数は下のように全部で8通りありますから、「×3」が2個×8=16個あることになります。

20160121191713.jpg

同じようにして、入れ換える2つの数の間に数を1つずつ増やしながら調べますが、
123459786-123456789=(9-6)×999のように、
入れ換える2つの数の間が2個と5個の場合は、
入れ換える位の数自体の差も3になりますから、
「×3」の個数がさらに1個増えることに気をつけます。

20160121191817.jpg

表より「×3」が90個あるとわかりますので、3で最大90回割り切れることになります。







2016年度の灘中の入試問題は、明らかに「手強い」と分かる問題もありましたが、
一見すると「ふつう」に見える問題にも「落とし穴」が潜んでおり、
「正解したと思ったのに...」という問題もありました。


新6年生にとってこれらの問題は、
問題を選択する力や問題を解く精度を向上させることにも活用できると思います。


他校の入試問題も含め、目的をもって過去問に取り組めるといいですね。

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中学入試の算数問題2016年01月23日18時00分

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主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。