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夏休みに備える③ ~成績のあがる学習サイクル作り①~

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賢い塾の使い方 2011年06月09日01時36分
早いもので、夏休みまであと40日ほどとなりました。
私立小学校にお通いのお子さんでしたら、短縮授業が始まるため、
7月の第2週にもなればすっかり夏休み気分ということがあるかもしれません。

月並みな言い方ですが、
「受験の天王山」とも言われるこの期間を最大限に生かしていくため、
親としては準備をしっかり整えておきたいものです。

さて先週は、「夏休みに備える」と題して、
無理ムダのないスケジューリングを行うために、
実際の手持ち時間がどれぐらいあるのかを考えていきました。


今週は「成績の上がる学習サイクル作り」について考えていきたいと思います。

ところで皆さんは、「学習の進め方(学習サイクル)」というとどのようなことをお考えになるでしょうか?

SS-1で学習カウンセリングを行っていますと、面白いことに気づきます。

そもそも学習カウンセリングにいらっしゃる方々は、
勉強でどこか上手くいっていない部分をお持ちなわけです。
お子さんそれぞれに個性があり、ご家庭の得意なこと苦手なこともそれぞれですから、
当然カウンセリングの方向は一人一人異なっています。

ところが、カウンセリングを行う前のご相談内容は、
ほとんどの場合が「テスト」と「家庭学習」に関することなのです。「家庭で取り組めるのはその2点に集約されるのだから、相談が集中するのは当たり前のことなんじゃない?」
と思われるかもしれません。

しかし実際には、カウンセリングを通じてお子さんの状況を分析していくと、成績を上げるためにはテストと家庭学習を考えるだけでは不十分なケースがとても多いのです。

では何が必要なのかといいますと、それは「塾の授業そのものの検討」なのです。


さて、皆さんのお子さんは、塾の授業を活用できているでしょうか?
授業で説明された基本概念をどれぐらい理解して帰ってきていますか?
授業で扱った問題について何を理解して、何を身につけて帰ってきていますか?

塾に行く目的の一つは、授業で新しいことを学び、今までできなかったことをできるようになってくることです。
でも、お子さんは授業をそのような場として生かせているでしょうか?


また、そもそも塾の授業がどんなスタイルなのか、お母さんお父さんはご存知ですか?

授業のスピードはどの程度なのでしょう?
先生はどんな順番で授業を進めているのでしょうか?
問題演習を行う場合も、先生が少し解説をしてから後は子供たちが解くのでしょうか?
それとも「はい、始め」とだけ先生が合図して子どもたちが自分で解くのをじーっと見ているだけでしょうか?
解かせるスタイルの演習授業だとして、何分ぐらい経った時点で解説が始まるのでしょうか?
ほとんどの子が解けるまで待つのでしょうか?
ごく一部の子が解けたら大多数の子がまだでも解説が始まってしまうのでしょうか?
解説はスピード重視、問題消化量を増やすこと重視で、先生が一方的に進めていくのでしょうか?
それとも、子供たちに適宜答えさせながら、クラスの中での理解が深まることを重視するスタイルの解説でしょうか?


お子さんがどのような授業をどのように受けているのかが把握できなければ、効果的な家庭学習の実現も難しくなってしまいます。


たとえば希学園のように、最高レベル演習などのオプション講座が豊富にある塾では、講座によって授業の受け方を変えていくことも必要です。
目的が講座ごとに異なるからです。


さて、いかがでしょうか。
お子さんの塾の授業について、皆さんはどの程度ご存知ですか?


困ったことに、大手塾も中小塾でもほとんどの塾では保護者に授業の見学を許可していません。
ですからお子さんの学習をフォローしてあげたくても、塾の状況がよく見えないという方が大半だと思います。
授業のことはお子さんに聞くしかありません。

しかし、保護者の方がお子さんの塾での様子を把握すべき状態にある場合、たいていはお子さん自身が塾での様子を的確に報告することができないものです。
授業に集中していないから報告できないのではなく、授業をどのように受ければいいのかが分かっていないから報告できないのですね。


そうすると、どうすればいいのか?

「お子さんから授業の様子を上手く聞いてあげる技術」を、親の側が持てばいいのです。


ここで、私やSS-1の講師たちがよく用いるテクニックをご紹介したいと思います。
私たちが「再現ドラマ方式」と呼んでいる方法です。

テレビの再現ドラマのように、授業の様子がありありと目に浮かぶぐらい具体的に細かく聞いていくのです。


授業のことを聞くのに、つい「今日は何を習ったの?」と聞いてしまいませんか?

4年生ぐらいなら「え~っとね、~~でしょ、で先生が~~って言って、そしたら○○くんが~~って答えたんだけど・・・」と、
一生懸命あれこれと説明してくれたことでしょう。
それがいつの間にか、「今日?図形ぇ~」でおしまい。ということになってくるのが、まぁ普通です。
健康的に反抗期を迎えているのは喜ばしい(笑)
見守る方はたまったもんじゃありませんが、「今日は何を習ったの?」と大きな聞き方をされてしまうと、お子さんも答えようがなくてつっけんどんになるのですね。


私たちなら、こんな聞き方をします。
「勉強を上手く手伝いたいから、授業のことをちょっと教えてもらっていい?」
「授業が始まる前はみんなどうしてるの?座って待つの?チャイムが鳴ってから慌てて座る感じ?」
「先生は教室に入ってきて最初に何て言うの?」
「授業が始まって、最初は何をするの?先生が説明を始めるの?」
「問題を解く時は、だいたい何分ぐらいもらえるの?先生はその間何をしているの?」


教室内には、先生、お子さん、クラスメイトがいます。
お子さんの目には、教室の前にかかっている黒板・ホワイトボードが見え、時計が見え、周りのクラスメイトの動きが見えています。
先生の声、クラスメイトの声、チャイムの音などが聞こえてきます。


お子さんに授業のことを聞くときは、視覚だけでなく聴覚の要素にも意識をはらって、具体的に時間の流れ順に聞いていくのです。
自分のイメージの中に授業の様子が浮かんでくるようにして。


このように再現ドラマ方式で問いかけていくと、お子さん自身も授業を思いだしやすいため、詳しく答えてくれるものです。


授業の様子が詳しく分かれば、帰宅して最初に何をどのように復習するのが合理的な学習なのかも分かってきます。
宿題についても、どのような進め方が望ましいか判断がつくでしょう。


成績を上げるには、学習サイクルを整えることが大切。
そのためには塾の授業を生かすことが大切。
そして授業を把握するには、再現ドラマ方式での聞き取りがポイント、ということを覚えておいてください。
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賢い塾の使い方 2011年06月09日01時36分
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