小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

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小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術
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公立中を選ぶなら、その先をしっかりイメージすることが大事

こんにちは! 小川大介です。

首都圏の受験生は、
入試本番まであと10日。

と同時に、
中学受験を考える3年生にとっては、
新4年生からの本格的な受験勉強が
スタートする時期でもあります。

一方で、検討した結果
「うちは中学受験をしない」
という選択をしたご家庭もあるでしょう。

まだ迷っている最中だという方も
たくさんいらっしゃることでしょうね。

中学受験を「するか」「しないか」は、
家庭の価値観によるものですから、
夫婦、親子でしっかり話し合い、
選択した結果はいずれもが正解です。

なぜなら、中学受験は
「わが子をこんな人に育てたい」と親が願う
“子育てビジョン”の手段にすぎないからです。

ただ、中学受験を選択されない親御さんの中には、
「うちは公立でいいかな」
という言い方をされる方が少なくありません。

そこには「中学受験は大変そうだし、
うちはそこまで頑張らせるつもりはない」
という考えがあるように感じます。

でも、私は「その考えはどうかな?」
と逆に不安を感じています。
というのは、実は公立中学へ進学するほうが、
その先々までしっかり選択をしていく必要があるからです。

確かに、中学受験は子どもが幼いぶん、
親がサポートをしなければならない大変さはあります。

今の中学受験の中身はとても高度で、
普通の小学生の自然な成長を待っていては、
思うような結果は出せないでしょう。

そこで、塾やまわりの大人が
無理に引っ張っていかなければいけない
ということは否定できません。

でも、中高一貫校へ進学すれば、
その後はある程度余裕を持って
先のことを考えることができます。

ところが、公立中学へ進学する場合は、
小学生のうちはのびのびと過ごせるかもしれませんが、
中学に入ったら高校受験の準備をしていかなければなりません。

高校受験は内申点が重視されます。
入試の資料としては
中3の成績が使われるのが一般的ですが、
内申点をつける先生の心象は、
中学入学時からの積み重ねで作られていきます。
そのため、中学のスタート時点から
期末考査への意識が必要です。

特に首都圏の高校受験で
日比谷高校や西高校、国立高校といった
公立トップ校を目指すのであれば、
入試で高得点を取るのはもちろんのこと、
内申点は主要5科目だけでなく、
音楽や体育などを含めた9教科すべてがオール5で、
生徒会や部活で活躍をしてきたような子が
こぞって受験をするため、
非常にハードルが高くなります。

ところが、
そのレベルはちょっと厳しいかも・・・となったときに、
次に狙える公立高校の選択肢が以外とないということを
ご存知でない親御さんは少なくありません。

かつてはその次のランクに、
小石川高校や三鷹高校などの学校がありましたが、
これらの学校は十数年前に公立中高一貫校に生まれ変わり、
高校から入学できなくなってしまったからです。

また、今は高校募集もしている
白鷗や両国などの5校の公立中高一貫校も今後、
高校募集を廃止することが決まっています。

その次のランクの公立高校になると、
トップ校との差が大きく開いてしまい、
大学進学の実績も変わってきます。

それならば、高校受験で私立上位校を狙おうと思っても、
中学受験ではあれほどたくさんあった私立校が、
高校受験になると一気に減ってしまい、
思ったほどの選択肢がないのです。

かつて多くの私立では高校募集を行っていましたが、
中学受験組と高校受験組のカリキュラムを
2通り作らなければいけなかったり、
大学受験に向けて2つの足並みを揃えるのが
難しかったりといった理由から、
近年は高校からの募集を停止する学校が増えています。

2021年には本郷、2022年には豊島岡女子も
高校からの募集を停止することが決まっています。

公立トップ校は極めてハードルが高く、
その下のレベルの学校になると、
公立校も私立校も受験校の選択肢が思ったよりも少ない。

この状況がなぜか世間ではあまり知られていないことに、
私は懸念を覚えています。

「そんなことは十分に知っている。
それでもうちは中学受験ではなく、高校受験を選ぶ」
というのならいいのですが、
何も知らずに中学に進んでから、
「あれ?こんなはずじゃなかった・・・」
ということだけは避けていただきたいのです。

そして、もう一つ大事なことは、
中学に入ってからのお子さんの生活を知っておくことです。

例えば、塾に通う時期。

以前なら中3から通えばよかったものが、
今は中1から通うのが一般的です。

上位校を狙うなら、
中学受験組ほどのハードさはないものの、
小5から塾通いをする子もいます。

そうやって早い段階から高校受験の準備をし、
希望通りの高校に進学できたとしても、
その3年後には大学受験が待ち構えています。

中高一貫校に通う子なら、
中3の段階で高校過程の内容に入り、
高2の終わりには高校過程で必要な学習範囲を終わらせ、
高3では1年間大学受験のための勉強をすることができますが、
公立高校組は高3の夏まで部活や学校行事をやりながら、
大学受験の勉強を進めていかなければなりません。

しかし、多くの場合、
学校の授業だけでは受験対策は不十分なので、
予備校に通うことになります。

予備校もいつから通い始めるのがよいか、
考える必要があります。

つまり、公立中学に進学すると、
その先に準備すべきこと、
選択すべきことが思った以上にたくさんあるのです。

誤解しないでいただきたいのですが、
私は中学受験のプロだからといって、
なにがなんでも中学受験を勧めているわけではありません。

中学受験をするメリットはいろいろありますが、
それを選ぶのは各家庭の価値観であり、
そこに正解も不正解もありません。

「うちはうち、よそはよそ」と
わが家軸をしっかり持って決めたのであれば、
どちらを選んでもいいと思います。

ただ、中学受験の大変さや
マイナスのイメージだけを持って、
「うちは公立でいいわ」と
中学受験を回避するだけの思考は危険です。

私から見ると、
公立中学へ進学することは、
むしろ覚悟が必要な選択に映ります。

昔と違って、今の高校受験は
先を見据えた計画と選択が必要だということを
ぜひ知っていただき、
それなら「わが家はどうするか?」と
夫婦で、家族でしっかり話し合っていただきたいと思います。

中学受験を選ぶにせよ、
高校受験を選ぶにせよ、
大事なのは”わが家の子育てビジョン”を持つことです。

お子さんの進路選択で迷ったら、
ぜひこちらの本を参考にしてください。

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中学受験 2020年01月21日12時00分
主任相談員の小川大介
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である小川大介が中学受験に関するご家庭でのお悩み解決を中心に様々な情報をお届けします。
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