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わかることとできることの違い

かしこい塾の使い方2011年07月16日17時59分
まもなく夏期講習会が始まります。

夏期講習会に限らず、「塾の学習が消化できていないように感じます」というご相談で私のところに来るお父さん、お母さんは多いです。

よくその名前を聞くような進学塾なら、テキストやテスト、中学校情報なども豊富にあるでしょうし、そうしたデータを活用できるところが魅力の一つになっていると思います。

またそうした「有名進学塾」なら、講師の研修システムなどもしっかりしているでしょう。名前の通った塾ですから、優秀な人材が集まりやすいということもあると思います。

事実、そうやってお父さん、お母さんに連れられてきたお子さんに「塾の授業はわかりやすい?先生は楽しい人かな?」と聞くと、

「うん、よくわかるよ。授業も楽しい。」

と答えるお子さんが多いです。よくわかるし、授業も楽しいんだけど、成績は上がらない。定着していない。

そういうお子さんが、とても多いのも事実です。
何が間違っているんでしょうか?

すべてがそうだとは思いませんが、塾の使い方を間違っている例が非常に多いと、私は思います。

勉強というのは、いや、もっと言うと物事を深く理解するというのは、

(1)習ったことがどのような仕組みになっているのかを知る
(2)わかっていることと、求めるべきことが何かを知る
(3)わからないことを求めるために、どのような作業をしたらよいかを知る
(4)その作業を自力で滞りなく完遂することができるようにする
(5)以降いつでも、(1)~(4)の作業を繰り返すことができる

だと思います。上記のようなご相談に来られるお子さんのほとんどが、(1)~(3)くらいまでは意識して行えているのですが、(4)や(5)の作業はうまく行えていません。
正確に言うと、する余裕がないんですね。次週までに宿題ノートを仕上げて、何とか塾に提出する。これが普段の学習の中心になってしまっていて、量も多いです。じっくりと「なぜそうなっているのか」を思い出したり悩んだりする時間が不足しているんです。

極端な例では、
「つるかめ算は、かけて、引いて、割るんだよね。」
というような調子です。

本質の理解とは少し離れたところで「作業」のみが行われているので、少しひねった問題、たとえば次のような問題で、まったく間違いに気付くことなく解き進めてしまったりします。

【例題】1個荷物を運ぶと30円もらえる仕事があります。ただし、運ぶ時に壊してしまうと、運び賃の30円がもらえないだけでなく、1個につき20円の弁償をしなければなりません。
いまある人が、この荷物を100個運んで2500円のお金をもらいました。
さて、このひとが壊した荷物は何個ですか?

正しい考え方は、

まず荷物100個をすべて壊さずに運んだと仮定する

30円 × 100個 = 3000円の運び賃がもらえる

実際にもらったのは2500円

500円もらいすぎ(返す必要がある)

1個荷物を壊すとどうなる?

30円の運び賃を返して、さらに20円の弁償をする必要がある 30 + 20 = 50円の出費

500円 ÷ 50円 = 10個壊した


となるのですが、最悪の場合これが、

<かけて>30円 × 100個 = 3000円
<引いて>3000円 - 2500円 = 500円  30円 - 20円 = 10円
<割る>500円 ÷ 10円 = 50個壊した

となってしまうのです。

検算をすれば、下の解法は間違っていることがわかるのですが、そもそも検算をする余裕がないからこのような「え~っと、まぁこれでいいか。次の問題にいってみよ~。」といったところに落ち込んでしまっているのです。


このような状態で、たとえ成績(模試の偏差値)を維持できているとしても、その上に「○○レベル講座」などのオプションをつけるのは危険です。
理由は、このような状態になっているお子さんに今必要なものは「インプット」ではなく「アウトプット」だからです。上の正しい解法の「ことば」の部分をしっかり自分で再現する作業が必要なんですね。ですからSS-1での授業でも、私は「ガイド役」に回って、お子さんにどんどん発言、整理してもらって解いてもらうのがこのような状況にあるお子さんの授業になります。

新しい知識に接して、それがどのような仕組みになっていて、どうすれば解けるかまでを知ることはできている。そして今必要なのは、それを1回1回の演習で思い出しながら、確実に自分でできるように練習することです。未完成の状態の上に新たな知識を上乗せすることではありませんね。

その視点で夏の過ごし方を考えてみると、講座選びの優先順位が見えてきませんか?
かしこい塾の使い方2011年07月16日17時59分
主任相談員の辻義夫
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である辻義夫が家庭学習で悩んでいる方にすぐに実践できる効果的な学習方法をお教えします。
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