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理系頭とは?

家庭学習2011年08月02日20時07分
夏真っ盛りですね。

塾で忙しいとはいっても、お子さんたちは真っ黒になっているようです。学校のプールや臨海学校など、夏ならではのイベントを楽しんでいますね。

さて、夏休みが始まって10日余り、そろそろお子さんたちも「夏の生活」に馴染んできたのではないでしょうか。

中学受験をするお子さんのお父さん、お母さんなら、当然この長期の休暇中に行う学習の効果に期待すると思うのですが、ただ何となく夏期講習を受けて、いつも通りの宿題のしかたをしていては、その期待は実現されることなく終わってしまう可能性が高いです。たとえば算数を苦手としているお子さんにとって、その苦手を克服するには、苦手である(あるいはご本人がそう思っている)原因を突き止め、それを解消する具体的な方法を実施しなければなりません。

理数系の科目が苦手なお子さんが苦手な原因は様々ですが、このブログで何度か触れてきたように、多くのお子さんに共通する例として、書かない、あるいは書けない、ということがあります。よく「式を書きなさい」と言われますが、毎回の宿題演習において本当にきちんと式を書いているけど算数ができない、というお子さんは意外に多くいます。もちろん式を書いて演習することはまったく間違いではなく、それ自体は推奨すべきことなのですが、それだけでは算数の苦手は解消されない、ということだと思います。

理系科目の問題を解く上で、まずはじめに大切なことは「整理する」ということです。武道でいうと「構え」にあたるような部分です。いくら練習しても、基本的な「構え」がなっていなくては、効果は上がりにくいものです。問題に示されていることは何なのか、そして何を求めようとしているのか、それを自分が見やすいように整理するのです。自分が見やすければそれでよいのですが、効果の高い整理のしかたの類型というのは存在します。

たとえば、
「太朗君の年令は13才、お父さんの年令は31才です。お父さんの年令が太朗君の年令の3倍だったのは、今から」何年前ですか。」

といった問題だったら、整理のしかたの例として

がありますね。これは知識です。塾でかつてそう習ったとか、問題集の解説に載っていたとか。
それから、この問題で難しいのはどこだ?と考えるわけです。

太朗君とお父さんの年令は、年とともに変化する。
→「~倍」の関係は常に一定ではない。
→じゃあ、一定なのは何だ?
→2人の年の差は一定!
→なら、線分図を2本書いて比べたら?

となります。初めてこの問題に遭遇した際に、上の5行をまったく自力のみでやってのけるお子さんもいますが、多くのお子さんにとって、これも知識です。塾の先生と一緒に解きながら、この思考経路を経験し、「!」と思い、よし、覚えておこう、となるわけですね。進学塾の先生は、できるだけお子さんの記憶にこの思考経路が残るよう工夫をします。初めて新しい問題を教える「導入」と呼ばれる授業において、できるだけお子さんに発言させたり、質問したりしながら進めていきます。そしてこの問題のポイントを「差一定」とノートに書かせるわけです。そして、線分図を書いて解説する・・・。その後初めて「式を書く」という作業になっていきます。

・・・上に記したのは、ごく真っ当な授業のスタイルです。とても親切な先生の授業とも言えるのではないでしょうか。でも、ここでもう「落とし穴」に入り始めるお子さんたちが出てきます。

年令算→差一定の場合→線分図

という図式が定着した瞬間から、整理と先の5行の思考経路をたどる作業をしなくなるお子さんが出てきます。確かにこの問題と全く同じパターンの問題を解くなら、それで間に合うでしょう。でも、

「レポート用紙が180枚、計算用紙が280枚あります。これをどちらも1日に13枚ずつ使っていきます。計算用紙の残り枚数が、レポート用紙の残り枚数の3倍になるのは、何日たったときですか。」

という問題が、先ほどの年令の問題とまったく同じ考え方で解けるというところに思い至るには、やはり整理と「この問題で一定なのはなんだ?」という作業が必要です。この作業を丁寧に行うお子さんは、「年令算とか倍数算とかそういう分け方じゃなくて、『差一定』タイプの問題は、同じような対応のしかたで上手くいくんだな、ということがわかってきます。そうやって積み重ねた経験値そのものが「応用力」と呼ばれるものの正体ではないかと思うのです。

この一連の思考過程を習慣化することで、「気付きのある学習」ができるようになってきます。同じ問題を解いていても、単に作業手順どおりに「流している」お子さんとくらべて、脳は驚くほど活発に活動しているはずです。

ぜひこのような学習をお子さんにしてもらうべく、
「じゃあ、整理してみようか。」
「この問題の難しいところはどこかな?」
「どうなったら楽にできるんだろう?」

といった問いかけをしてあげてくださいね。
家庭学習2011年08月02日20時07分
主任相談員の辻義夫
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である辻義夫が家庭学習で悩んでいる方にすぐに実践できる効果的な学習方法をお教えします。
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