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奇跡のレシピ

中学受験2014年06月19日19時45分
こんにちは、辻です。

今回は、ひとりの天才児についてです。

これまで何人か、印象に残る天才児を担当したことがあります。その中でも最も印象に残っている1人、Yくん。彼はいわゆる「勉強向き」のお子さんでした。外で走り回って遊ぶタイプではなく、どちらかと言うと家で本を読んだり図鑑を見たり、好きなことに没頭することを好むお子さんでした。

私のところに来たのは2年生の途中。塾には通っていたのですが、お母さんのご要望で、私と彼は授業で塾のことは扱わず、彼が家でやったことで、不思議に思ったこと、質問してみたいことをいろいろ持ってくる、という特殊なものでした。

あるときは「先生、どうして光の速さががわかるの?」であり、またあるときは「先生、どうしてお刺身の色は赤いのと白いのがあるの?」といった具合です。1つの謎が解けたら次の謎、またその次・・・。いくらでも謎は転がっています。

小学2年生に、光の速さを測定する方法を分かり易く説明するのは、容易なことではありません。なかなか理解できないこともあります。しかし彼が続けたのは、とことん考え抜くこと。それでも「なんとなくわかった」くらいのときもありました。

3年生になるとジュニア算数オリンピックの問題に夢中になり、毎週一緒に解き合いました。彼が家で取り組み、わからなかった問題を金曜の夜までにFAXで送ってくれ、土曜の朝一番の授業で一緒に解くのです。お互い、その時間を大いに楽しみました。

4年生、そして5年生になると、オリンピックもジュニアではなくなり、加えて灘中を始めとした最難関中学校の過去問、インターネットで毎日1回更新される算数専門サイトの問題など、むさぼるように問題を解きました。

ときには問題を解き終えたあとで、その問題の素晴らしさに2人で感動し、語り合ったりもしました。こうやって問題を「味わう」くらいまでになると、その時点でどんな学校でも合格してしまうくらいの力がついています。

6年生になると、それまで「別に合格できれば順位はどうだっていい」だった入試結果へのこだわりのなさは「1位で合格する」に変わっていました。もうそれくらいしか手近な目標がなくなっていたということもあります。

そしていよいよ入試、そして合格発表。ほんの少し不安があるとすれば、算数の問題が易しかったこと。「差がつかないかも・・・」と彼は心配していました。その学校の合格発表は、番号が張り出され、最高得点も貼りだされるのです。受験生たちは自分の成績を知らされますから、1位だったらそうだとわかるのです。2日間の入試、500点満点で競う、たった一度の競争。

結果、貼りだされた最高得点は、彼の得点より数点だけ上でした。1位だったのは、彼とは別の塾で1位常連のお子さん。彼も知っている名前でした。会ったことがなくても、最難関校の模試の最上位者は名前を知り合っているものです。有名な進学塾の最難関校の模試には、いろいろな塾から受験生が集まるからです。

彼は名前しか知らないその受験生を讃えていました。「やっぱり彼か。」が彼がはじめに発したひと言。妙にサバサバした、これまで何度もテストの後に見せた、「終わったテストの結果には興味が無い」という態度でした。

その子と問題を解きまくった数年間は、強烈に私の記憶に焼き付いています。

才能や素質、努力や没頭、タイミングや運、そして人との出会い、いろいろなものが揃って初めて、奇跡は起こるのだということを、強く感じた受験でした。全てが揃うことは稀で、そして長い人生においてすべてが揃い続けることはさらに稀です。

でも、他が全部揃っているのに、努力や没頭が無いためにすべてが台無しになることがないように、頑張り続ける人を応援する人でいようと、彼との数年で強く思うようになったのです。
中学受験2014年06月19日19時45分

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主任相談員の辻義夫
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である辻義夫が家庭学習で悩んでいる方にすぐに実践できる効果的な学習方法をお教えします。