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中学受験 大手進学塾徹底比較2016 関西編

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更新: 2017年05月09日 公開:

関西の中学受験で塾を選ぶ際、志望校やお子さんのタイプから考えて、どの塾に通わせるのがベストなのか、慎重に検討したいものです。

そこで、中学受験情報局は、関西の中学受験の大手進学塾をピックアップして徹底比較しました。

コンテンツ

Point1 こんなに違う! 首都圏と関西圏の中学受験

関西は3科目受験が主流

加速する少子化やリーマンショック以後の経済不安から、かつてのような勢いはないものの、首都圏や関西圏ではいまだに中学受験に関心の高いご家庭が多くいます。しかし、ひとくちに"中学受験"といっても、首都圏と関西圏とではその中身が大きく違うことをご存じですか? もしそれを知らずに、例えば親御さんの転勤などの理由で、受験勉強がすでにスタートしている段階で引っ越しをしなければならない状況になったら、おそらく戸惑うことでしょう。

首都圏と関西圏の中学受験で大きく違う点は2つあります。

ひとつは標準的な受験科目数が違うこと。もうひとつは受験日が違うことです。

一般的に首都圏の中学受験は、国算理社の4科目受験が主流です。近年、少子化の影響で生徒数を確保するのに苦戦している私立中学などでは、受験生の負担を少なくするために国算の2科目にしたり、英語や理科入試など得意科目が活かせる入試にしたりしていますが、全体的に見ればまだ4科目受験が主流です。

それに対して、関西圏の中学受験は、国算理の3科目受験が主流になっています。その理由は、関西圏のトップ校である灘中の受験科目が3科目だからです。灘中は関西圏のみならず、全国でもトップレベルの学力を誇る名門校です。首都圏にも開成、麻布、武蔵などの男子御三家をはじめとする名門校が存在しますが、灘中の立ち位置は首都圏の名門校とは大きく異なります。なぜなら、首都圏では名門校がいくつもあるのに対し、関西圏では灘中と肩を並べられるような名門校が存在しないからです。つまり、灘中の学力レベルが群を抜いているということです。

※参考記事「中学受験 関西の中学校の偏差値って?

3科目入試=楽 ではない

中学受験を選択する理由は、建学の精神や校風への共感、公立中への不安視など様々ですが、実際、多くのご家庭が注目するのは、東大・京大をはじめとする難関大学への進学実績ではないでしょうか。だからこそ、中学受験自体はかつてのような勢いはないものの、難関中学校の入試は依然高倍率になっているのです。

私立中学校の経営は、生徒数が確保できて成り立つものです。生徒数を確保するには、難関大学の進学実績など結果を出さなくてはなりません。そのためには、優秀な生徒を確保する必要があります。そこで、各学校は灘中のようなトップ校をモデルに入試を考えます。

灘中の入試は国算理の3科目です。各配点は国語200点、算数200点、理科100点です。進学先に国立・私立大学の医学部が多いことからもわかるように、灘中は理数教育を重視した学校です。そのため、500満点中の300点が理数科目になります。

モデルとなるトップ校の灘中が国算理の3科目入試のため、関西圏ではそれに続く難関校をはじめ、多くの学校が3科目入試を実施しています。首都圏の受験生からしてみれば、地理・歴史・公民と広範囲から出題される社会入試がないというのは、受験勉強の負担を考えると、とてもうらやましく思えるでしょう。実際、社会は覚えるべき事柄が膨大にあり、勉強にはかなりの時間が必要です。その時間が省略できるからと、「首都圏より関西圏の中学受験の方がラク」と思ったら、大間違いです。

確かに、入試のために社会を勉強する必要はありませんが、そのぶん3科目の重みが大きくなります。特に関西圏の算数は、首都圏に比べてレベルが高く、首都圏で難関校を狙える子でも、関西圏では難しいというケースもあります。

また、首都圏の中学入試は、1校1日で入試が完了するのに対し、灘中をはじめとする関西圏の難関校では、ひとつの学校が2日に渡って入試を行います。例えば灘中なら、1日目に算国理の3科目、2日目にもう一度算国の2科目のテストが実施されるのです。首都圏の受験生からすると、「なぜ1回で終わらせないの?」と驚いてしまいますよね?

灘中の1日目入試では、算数は主に計算問題を中心とした、処理能力が問われる問題が出題されます。国語では、漢字やクロスパズル的なものなど、語彙をはかる問題が出題されます。一方、2日目入試では、算数はじっくり考える思考型の問題が、国語は記述を中心とした問題が出題されます。国算は各合計200満点のテストになります。そのため、この2科目は、首都圏の受験生よりもより多く勉強をしなければなりません。ですから、3科目入試だからラクというわけではないのです。

首都圏と関西圏、入試のもう一つの違いは

首都圏と関西圏の中学受験は、入試科目の数が違うほかに、もうひとつ大きな違いがあります。それは受験日の設定です。

ひとくちに首都圏といっても、東京・神奈川・千葉・埼玉では入試日が異なり、総合的に幅広い日程で入試が繰り広げられます。

例えば東京・神奈川に暮らす受験生の場合、入試スケジュールはこんな感じです。

東京・神奈川の中学入試は、2月1日が解禁日となっており、多くの学校が2月1日~3日の3日間で入試を実施します。その前の力試しとして、1月中旬から東京・神奈川より一足先に入試がスタートする千葉・埼玉の学校を1~2校受験しておきます。そこで、実際、距離的に通えるかどうかは別として、必ず1つ合格を手に入れておき、入試に慣れ、自信をつけたところで、2月1日・2日の本番に臨みます。

そこで第一志望に合格できれば受験は終わります。万が一、不合格が続くと、それ以降の受験校も変わってきますが、首都圏の場合は、3日以降でも上位校の2次・3次試験が設定されていることが多く、たとえ第一志望校が不合格でもまだ受験できる学校が残されています。ですから、首都圏の入試は「どの日で終わるか」という受験になります。

一方、関西圏では、大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山の1府4県という非常に広範囲で、同一に入試がスタートします。関西圏の入試は、毎年1月中旬の土曜日が「統一入試日」として設定されているのです。そして、その日から3日の間に、ほとんどの学校の入試が終了します。

関西圏の受験生にも1月の初めに本番前のお試し受験は存在します。しかし、それはあくまでもお試しで、地方の寮がある学校になります。つまり、あまり現実的な受験ではないということです。

となると、「本番の3日間が勝負」となります。しかし、先にお伝えしたように、灘中や甲陽学院、神戸女学院といった難関校では、1校の受験を2日に渡って行うため、さらに受験校が絞られてしまうという怖さがあります。このプレッシャーは、首都圏の受験よりも大きいと思います。

学校の数が首都圏より少ない関西

全国的に見れば、関西圏は中学受験が盛んなエリアではありますが、首都圏と比べると圧倒的に学校の数が少ないというのも、首都圏・関西圏の大きな違いでしょう。首都圏であれば、東京のみならず、千葉・埼玉・神奈川にもそれぞれにトップレベルの難関校が存在します。また、偏差値から見ても上から下まで幅広くありますし、受験者層が最も多い中堅校も数も豊富です。さらに、宗教校から自由な校風の学校まで多種多彩にあり、家庭の方針でいろいろな学校を選択することができます。

一方、関西圏の中学受験は、「灘中至上主義」のようなところがあり、首都圏でいうような男女御三家は存在しませんし(一応、存在はしているようですが、無理やりといった感じです)、それほど多くの選択肢はありません。

そこで、中学受験をする多くの家庭では、低学年の早いうちから「灘中合格」を意識した受験勉強を進めていきます。

※参考記事「中学受験 失敗しない志望校の選び方

Point2 親の負担度が大きい関東塾 拘束時間が長い関西塾

群を抜く灘中のレベル

一般的に首都圏では、中学受験の勉強は小学3年生の2月から始まります。なぜなら、大手進学塾の受験カリキュラムがそこからスタートするからです。

関西圏の大手進学塾でも、中学受験のための本格的な勉強が始まるのは、この時期からになります。しかし、前で触れたように、首都圏と関西圏とでは、中学受験の内容が大きく異なります。特に関西圏は、「灘中至上主義」であるため、「灘中合格=中学受験」という考えの家庭が多くいます。

灘中は全国でも学力トップを誇る名門校です。そこに入るには、それ相応の学力を持ち合わせていなければなりません。特に算数入試は非常にレベルが高く、そのための対策をしっかりとっていなければ、とても太刀打ちできません。そこで、関西圏の大手進学塾では、低学年のうちから灘中を目指す特別コースが設定されています。

首都圏にも開成や麻布などの難関校はありますが、低学年からその学校に特化した受験対策をしているコースというものはありません。どんなに難関でも志望校別コースは6年生からの設定になっています。このあたりが首都圏と関西圏の大きな違いです。

首都圏の大手進学塾は、学習進度のスピードが違うなど多少の違いはあるものの、4年生で週2日、5年生で週3日、6年生で週4~5日といったようにおおよそ足並みを揃えています。また、1日の授業時間もそれほど長くはなく、どんなに遅くても21時には塾が終わります。

拘束時間が長い関西の塾

一方、関西圏の大手進学塾は、塾での拘束時間が長いというのが大きな特徴です。多くの塾では、通常の授業の後、居残りサポートとして、宿題や復習をやる時間を設けています。この時間は強制ではありませんが、ほとんどの子どもが残って勉強します。そのため、塾の帰りが22時を超えることが当たり前になっているのです。

また、塾側も「勉強のことは私たちにお任せください!」と豪語するところが多く、全体的に「塾に丸投げ」といった風潮があります。もちろん、すべてを「丸投げ」というわけにはいきませんが、塾側で宿題まで面倒を見てくれるので、親の負担度は軽くなります。

一方、首都圏の大手進学塾は、そこまで面倒を見てはくれません。基本的に宿題は家でやるものと割り切っているところがあります。また、関西圏の大手進学塾の多くは、保護者とのコミュニケーションを密にとる傾向があります。さまざまなサービスやサポートで、親御さんを安心させ、「塾に任せてください」というスタンスです。それに対して、首都圏の大手進学塾は、塾側から必要以上に保護者へコンタクトはしません。面談も申し込みがあれば受けますが、なければやらないというスタンスです。

どちらがいいとか悪いとかの問題ではありませんが、同じ大手進学塾でも、首都圏と関西圏ではその中身が違うということを知っておいて欲しいと思います。

次からは関西圏の大手進学塾について詳しく説明していきます。

Point3 灘中合格実績No.1の関西最強塾【浜学園】の中身とは

浜学園の授業スタイル

灘中83名、甲陽学院中81名、神戸女学院中53名、洛南高附属中113名、東大寺学園中100名、四天王寺中106名、大阪星光85名、西大和208名など(2015年度入試)、関西の名だたる難関校の合格実績No.1を誇る大手進学塾といえば、浜学園。浜学園は、関西圏で復習主義のシステムを導入・定着させた名門進学塾です。

クラスは成績別に編成され、上位からVクラス、Sクラス、Hクラスがあります。成績順にクラス分けが行われるのは、関東の人気大手進学塾サピックスも同じですが、両者には大きな違いがあります。それは、サピックスはすべてのクラスにおいて同一の復習テストを実施するのに対し、浜学園は各クラスのレベルに合わせた復習テストを行っている点です。また、クラスの再編成が2カ月に1回というスパンで行われるため、テストの内容が広範囲になり、1回のテストで成績を上げるのは極めて難しく、そういう点では、所属クラスが固定しやすい傾向にあります。

浜学園では、「復習テスト(55分)」→「授業(55分)」→「家庭学習」→「次の復習テスト」という独自の学習サイクルが確立されています。毎回、授業の前に復習テストが行われるのは、前回の授業で行われた内容を家庭学習(宿題)で復習し、その知識が定着したかどうかを見極めるためです。これらの蓄積を毎月1回実施される公開学力テスト(第2日曜実施)で再度確認をするのが、浜学園のスタイルとなっています。

テキストは、新しい知識を効率よく習得し、なおかつ「授業内容の部分」と「授業内容を再現し、理解を深めていく家庭学習のつながり」を密にしたオリジナル教材を使用。授業の内容は、各単元の「要点のまとめ」や「テーマの解説」で振り返ることができます。また、より理解を深めていくための演習問題も充実しています。テキストの解答も詳しく、家庭学習が取り組みやすくできるように工夫された家庭学習用ノート「浜ノート」を用意するなど、家庭学習を円滑に進めていけるように配慮されています。

家庭学習は取捨選択が必須

しかし、どんなにしっかりしたお子さんでも、家庭学習を子どもに任せっきりにするというのは難しいでしょう。浜学園は宿題の量が比較的多い塾です。クラスによって宿題量は変わってきますが、例えば一般コースのみを受講している5年生では、Vクラスでは1週間で算数20問、理科10問、国語4問、S・Hクラスでは1週間で算数10問、理科8問、国語3問程度になります。6年生になるとさらに増加し、オプション講座の「最高レベル特訓講座」を受講している場合、1週間で算数32問、国語4問が追加されます。6年生になると、宿題量は5年生の1.2~1.5倍になります。

家庭学習による復習(宿題)は100%やりきることが理想ではありますが、これだけの量をすべてこなすのは並大抵のことではありません。そこで、「取り組むべき問題」と「後回しにする問題」の取捨選択が必要になります。この取捨選択をお子さんに任せるのは無理でしょうから、親御さんが見極める必要があります。とはいえ、親御さん自身も何をどう選択していいのかわからない方も多いことでしょう。そういうときは、プロの家庭教師や中学受験に精通した個別指導塾など第三者のアドバイスをおすすめします。

たとえ、家庭内での復習が70%しかできなかったとしても、復習主義の塾のよい点は、大事な単元が繰り返しテストや模試に出題されるところです。すべてを1回で終わらせようとせず、何回かに分けて消化し、長期的な視点を持って取り組むといいでしょう。

Point4 【浜学園】復習主義のサイクルに乗り損ねないためには

大量の宿題とチェックの甘さ

授業で学習したことを家庭で復習することで、学力の向上・定着につなげている浜学園の学習スタイル。それがうまくまわっていればいいのですが、授業では膨大な量の内容を習うため、授業内ですべてを消化、家庭で演習定着というのは、現実的にはなかなか難しいものです。

そこで、塾でも「授業前後の質問受け」「居残り教科指導」「指名補習」を行うなど、学習内容の定着状況に応じた個別の対応を行っています。しかし、塾生全体の割合から見ると、これらの個別対応を有効に活用できるのは、成績上位から中堅くらいまでの5割前後で、それよりも下になると、質問する前段階までの学習が十分にできていないため、個別対応を活用できないお子さんが一定の割合で出てきます。

でも、これはお子さん自身の学習に問題があるわけではありません。浜学園の弱点と言ってもいいでしょう。浜学園は宿題を大量に出すわりには、宿題管理のチェックが甘く、ノートを提出させても形だけ見て終わりということがよくあります。

また、講師の気質として、教室の授業はそれなりに力を注ぐのですが、生徒一人ひとりの学習状況を把握し、個々の補強をアドバイスしようという姿勢は、残念ながら持ち合わせていません。そのため、暗記分野を苦手にする子が他塾よりも多く、中堅から下のクラスの子は学習プランを持たないまま時間だけが過ぎ、置き去りにされてしまうことが実際に起きています。

復習主義のサイクルに乗り損ねてしまうと、お子さん本人に必要な学習が行われないまま、カリキュラムだけがどんどん進んでいくことになります。その結果、ただ宿題をこなすことだけに追われ、今の所属クラスからクラスアップがまったくできないという状況になってしまいます。

系列の個別指導塾「個別エントリーHAMAX」

浜学園は、「一般コース」を主体に、成績順位によって受講できるかどうかが決まる「特訓コース」があります。特訓コースには「最高レベル特訓」や「灘中合格特訓」などがあります。灘中学をはじめとする最難関校とよばれる学校の入試では、ハイレベルな知識と処理能力が求められます。こうした力は「一般コース」では触れておらず、そのための対策をしていかなければなりません。

それがこれらの特訓コースです。つまり、最難関校受験を目指すのであれば、このコースを受講していなければ、合格は極めて難しいということを意味します。そのためには何としても成績を上げていかなければなりません。しかし、集団授業では、生徒一人ひとりをフォローしていくには限界があります。

そこで、復習型の塾の多くがそうであるように、浜学園も学習が上手に進んでいない子の受け皿として、系列の個別指導塾「個別エントリーHAMAX」を設置しています。HAMAXは単科での受講も可能で、次の4つのコースがあります。

  • ①「中学受験・内部進学指導コース」
    国私立中学受験を志望する、浜学園塾外生のためのコース。他府県に住んでいたり、習い事との両立が難しかったりするなど、浜学園に通えないけれど、浜学園で使っている教材には興味のある人向け。志望レベルがそれほど高くなく、基礎学力は地元の塾で固めつつ、応用問題を強化したい人に向いているコースです。
  • ②「最難関中学受験指導コース」
    最難関中学受験のための科目別対策コース。難易度の高い問題に取り組むコースなので、基本的には浜学園に通っているお子さんでないと効果が出にくいと思われます。また、最難関校の受験指導については、講師の質が重要になってきますので、それを見極める必要があります。
  • ③「基礎学力アップコース」
    中学受験ではなく、高校受験で勝負させたいと考えている子向けのコース。
  • ④「奈良女子大附属中対策講座」
    奈良女子大附属中等教育学校の外部受験を志望する子に向けた講座。

さて、どうでしょう?
このコース設定を見て、今のお子さんの成績を上げられそうですか?

集団塾が併設する個別指導塾というと、授業の苦手・弱点をフォローしてくれるところと多くの親御さんは思うようです。しかし、上記のコースを見てお分かりのように、集団塾が併設する個別指導塾は、親御さんが求めているものと大きくかけ離れている場合があります。

そもそも本来の復習主義サイクルであれば、集団授業で授業を受け、家庭で復習を行うことが基本です。それがどうしてもうまくいかない場合に、個別指導塾を検討するのではないでしょうか? そうした場合、個別指導塾に期待することは、「集団授業ではよく分からなかった問題を分かるようにしてほしい」「つまずいている単元について、必要なら前の学年の内容にまで立ち戻って、理解を固めた上で、目の前のカリキュラムについていけるレベルまで伸ばしてほしい」など、単に問題の解き方を教えるのではなく、本人の理解を促し、つまずきを立て直す指導をする必要があります。

ところが、上記のように「個別」とうたっていますが、コース名が付いているところに、集団塾が併設する個別指導教室の限界が表れています。個別指導教室といいながら、結局は母体である集団塾の考えのもとで作られた教室だからです。個別指導というからには、生徒一人ひとりの問題に対応できなくては、利用する価値はありません。「つまずきの根本的な解消」という目的がなされてこそ、個別指導塾の価値があります。

ですから、学習サイクルをうまく築き直したいという考えで、個別指導塾を利用する場合は、それをきちんとやってくれる塾なのか中身をしっかり確認してから受講するようにしましょう。同系列の塾の方が良いとは決して言い切れません。むしろ、第三者的な視点から指導できる個別指導塾の方がうまくいく場合があります。

Point5 【浜学園】どうする? 多彩なオプション講座選択

多彩な特訓講座 受講は慎重に検討を

学年が上がるにつれて学習量が増え、ハードなカリキュラムなっていくのは、どこの大手進学塾でも同じですが、中でも大量の学習を求められるのが浜学園です。その要因に、豊富なオプション講座の存在があります。

浜学園のカリキュラムの中心になるのは、平日に授業を実施している「一般コース」です。一般コースでは、「中学受験に必要な学力」の習得が目標となっており、いわゆる基礎的な学習にあたります。中堅より下のレベルの学校を目指すのであれば、一般コースだけで十分な対策が取れます。しかし、それ以上の学校を目指すのであれば、一般コースとは別に設定されているオプション講座を受講するのが、この塾の流れです。しかし、このオプション講座の数がとても多く、どれを選択してよいのかわからないと言う親御さんの声をよく聞きます。

「最高レベル特訓」「選択社会」「コース別各種特訓」「トップレベル講座」「SL講座」・・・。どれもコース名を見ると、大事そうな講座に思ってしまいますよね? でも、これらをすべて受講することは現実的ではありません。受講する講座が多ければ多いほど、宿題の量も増え、家庭学習が回らなくなってしまうからです。

では、何を基準に選べばよいのでしょうか? 塾に相談をしてみたところで、たくさんの講座を勧められるだけでしょう。なぜなら、塾は収益で成り立つ企業だからです。

オプション講座の選択に関しては、本当に信頼できるお子さんのことをよく知る講師に相談をするか、中学受験に強い個別指導塾やプロ家庭教師に判断を委ねるといいでしょう。学年が上がっていくうちに、「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」と焦ってしまう親御さんもいますが、浜学園の強みを最大限に活かすには、「復習テスト」→「授業」→「家庭学習」→「復習テスト」の学習サイクルを無理なく回していくことが重要です。あれもこれもと複数の講座を受け、宿題に追われるだけという状態になってしまうのであれば、オプション講座は必要最低限にしておきましょう。

受験に合格することは第一目標ですが、浜学園という塾での最終目標はズバリ、志望校別特訓で希望するコースに余裕を持って入ることができるかどうかです。そのためには、成績をより上位でバランスよく安定させることが大事です。必要以上に学習量を増やして、勉強が回らなくならないように、オプション講座の選択は慎重に検討しましょう。

Point6 関東発祥の【日能研】関西では何が違うの?

日能研関西 関東との違いは「灘特進」

日能研といえば、日本最大の中学受験専門塾です。日能研は神奈川県横浜市で誕生した塾ですが、現在は、日能研(本部)、日能研関東、日能研東海、日能研関西、日能研九州の5社に分かれ、グループ企業の総称としてその名前を使っています。グループ会社のため、使うテキストも授業の進め方も基本的には同じ学習カリキュラムになっています。詳しくは別コラム「日能研 関東編」をご参考にしてください。

関東の日能研と関西の日能研では、ひとつだけ大きく違う点があります。それは、関西では、通常の「本科コース」とは別に「灘特進コース」という特訓コースが用意されている点です。志望校別特訓というのは、6年生になるとどこの大手進学塾にもありますが、この日能研関西の「灘特進コース」は、小学2年生からあるというのも大きな特徴です。

特進コースは、2・3年生は「灘特進Jr.」、4年生からは「灘特進コース」と名前を変えます。2・3年生の「灘特進Jr.」では、後伸びするための大切な基礎学力をしっかりと身に付け、4年生からの「灘特進コース」では、さらに基礎を固めた上で、灘中入試につながる難問の対策を行っていきます。

「灘特進Jr.」「灘特進コース」を受講するには、特別選抜テストで受講資格を得る必要があります。成績上位者のみが受講資格を得られるコースのため、本科コースのワンランク上のコースという位置付けと捉え、灘中を志望しているお子さん以外も受講を希望する子が多くいます。しかし、「灘特進コース」とその名が示すように、このコースが設置された目的は、灘中合格者を増やすということ以外はありません。ライバルの浜学園や希学園と競っていくには、灘中の算数や理科の問題に太刀打ちする力を付けなくてはいけません。つまり、日能研の本科コースのカリキュラムでは物足りないという判断から生まれたコースなのです。

灘特進が日能研本来と違う点

こうした経緯から生まれた「灘特進コース」の指導方法は、基礎から徐々に学力を伸ばしていく日能研本来の学習スタイルとは異なるところが多々あります。

例えば、本科コースよりもはるかに大量の宿題が出されます。灘中を第一志望と考えているのであれば、その実力をつけていくことは可能ですが、実際は宿題に追われるだけのお子さんがたくさんいます。成績上位者が受講できるコースというブランドに惹かれ、安易に受講を考えてはいけません。

一方で、本科の弱点である理科、社会の演習量不足という問題は、「灘特進コース」のカリキュラムについていけるお子さんであれば、クリアできます。つまり、良いところも、悪いところもあるということです。

資格があっても「灘特進」を受講しないという選択も

こうした事情を踏まえて、「灘特進コース」の選択を検討しましょう。成績上位者の中には、「灘特進コース」の資格を得ていても、志望校やお子さんの学習スタイル、復習にかかる時間などを考慮して、本科コースでの受講を選択する家庭もめずらしくありません。4年生の段階では、特進コースに進み、学習の負担が大きくなりすぎたら、本科コースへ素早く移ると決めている家庭もあります。

お子さんの力を最大限に伸ばすには、どのコースに所属してどの学習を中心におけばいいのか、ご家庭でしっかり考え、コース選択をしましょう。ご家庭で判断が難しければ、第三者立場から中学受験に強い個別指導塾やプロの家庭教師にアドバイスしてもらうといいでしょう。

Point7 面倒見のよさがウリのスーパーエリート塾【希学園】

合格数ではなく「合格率」を誇る希学園

希学園は、「多数精鋭のスーパーエリート塾」を旗印に、1992年に関西の大手進学塾・浜学園のトップクラスの講師たちが中心に立ち上げた塾です。浜学園が分裂した際、多くのトップクラスの講師たちが希学園に移ったため、指導力の高いハイレベルな講義が受けられると当初は大いに注目されていましたが、途中で看板講師離脱したり、東京進出などに力を入れたりした影響から、2004以降は浜学園に灘中合格者数日本一を奪われ、以前のような勢いは失いつつあります。

とはいえ、2015年入試の進学実績は、灘中45名、甲陽学院中24名、神戸女学院中21名、洛南高附属中56名、東大寺学園中34名、四天王寺中45名、西大和71名と、生徒数(受験生)●人に対しての合格率は高く、関西を代表する進学塾であることは変わりありません。

心強いチューター制だが現実は・・・

希学園では、ハイレベルな講義を維持するために、専任講師の比率が高く、非常勤講師(アルバイト)においても、厳しくチェックを行っています。採用後もカメラによる授業チェックや生徒のアンケートなどを行い、講師の質を保つ努力をしています。

教科ごとの専任講師による質の高い授業とクラス担任制度に加え、6年生は「チューター制」による手厚い指導が受けられるというのが、この塾の大きな特徴です。

チューター制は、生徒一人ひとりに専任講師が担当配置され、電話や交換ノート、個別相談などができるシステムです。通常のクラス授業は30~40名の大人数で行われるため、個々の対応は難しいけれど、この制度により生徒一人ひとりと向き合うことができます。特に面倒見のよいチューターがついた場合、家庭学習から塾の学習状況までかなりしっかり見てくれるため、保護者にとってもお子さんにとっても心強い支えになります。

しかし、現実はそううまくはいかず、時間的に余裕のない講師が大半で、塾の理想通りにはいっていません。

拘束時間が長いのが希学園の特徴

一般的に関西の塾は関東の塾よりも拘束時間が長く、「塾が丸抱えします」というタイプが主流です。その中でも、希学園は拘束時間が最も長く、授業終了後の「居残り自習」が約1時間あります。帰り時間は22時と遅く、塾弁は必須となります。

「居残り自習」は、その日の担当講師が自習室に残り、その日の宿題を中心とした学習ができるようになっています。授業で習ったことをすぐに復習できる居残り自習室の利用は、知識の定着を図るには理想のシステムで、うまく利用できれば、自宅での学習時間は少なくなるというよさがあります。そのためほとんどの子が参加します。

しかし、この「居残り自習」も良し悪しで、成績優秀な子たちは、この時間内に宿題を終了し、さらに家庭学習の時間で定着や発展的な学習へと進んでいくのに対し、自習時間内ではほとんど宿題が終えられず、定着も図れず、長時間机についているだけの子も多くいます。「塾にいるだけ」だと、家庭学習の時間が確保できず、却ってマイナスになってしまいます。面倒見がいいという印象で、お子さんを塾に丸投げしてしまうと、こうした状況に陥ってしまうかもしれないということを、親御さんにはぜひ知っておいてほしいと思います。そうならないためには、できる限り、担当チューターなどとの意思疎通を図かるようにしましょう。

Point8 【希学園】の膨大な学習量 すべてやらなきゃダメ?

小6は膨大なテキスト量

希学園の授業は、オリジナルテキスト「ベーシック」を使用しています。「このテキストを使用すれば他の教材はいらない」と塾側も豪語するほど、テキストには自信を見せています。しかし一方で、綺麗な体裁のテキストで見栄えはいいけれど、講師の癖が色濃く出た解説・問題選定となっているために、自学自習教材としては使いづらいという意見もあります。例えば算数のベーシックには、授業をまじめに聞いていても、宿題の中に手も足も出ないような問題が含まれています。

理科ベーシックは、ポイントを簡潔にまとめた内容となっており、難関校の中学入試に臨むには、やや情報量が不足しているという意見もあります。そのため、塾生の多くはベーシックに準拠したサブノートや「ズバピタ」などの教材を利用して、情報の補完を行っています。

6年生になり、志望校別のクラス編成になると、ごく一部のトップクラス中のトップの生徒以外は、解ききることが不可能に思えるほどの問題が掲載されたテキストが配布されます。特に希学園が力を入れている「N(灘コース)」では、直前期になると次から次へと難問ばかりを集めたホチキス留めのテキストが配られ、お子さんの部屋には積み上げることができないくらいの分量のテキストであふれかえることになります。

成績急降下の原因は「暗記学習」

問題数が多すぎるために学習の上滑りを起こしてしまい、6年生の5月頃から成績が急降下する子が続出するのも希学園の特徴です。大量演習とくり返し学習を求められ、毎週の課題をこなす余裕のない子が理解よりも暗記に走ってしまうためです。

希学園は6年生になるとますます塾での滞在時間が長くなります。そのため、お子さんの学習状況を親御さんが正確に把握することができません。お子さんが学習の上滑りを起こしていることに気づかないまま、ただテストの悪い結果を見て、本人の学習不足をなじってしまう親御さんがいます。でも、あの量をすべてやり切れる子などほとんどいないということを親御さんには知っておいてほしいと思います。

ですから親御さんは、塾での長期滞在時間=勉強(復習)という理想の図式が成り立つのは、トップクラスの子どもたちだけであるという認識が必要です。毎月報告される成績表では、塾の拘束時間と成績の関連を十分に見極め、うまくいっていないようなら何らかの対策を取っていかなければなりません。

親が宿題の取捨選択を

また、親御さんは塾から配布される宿題の問題数の多さをしっかりと認識した上で、すべてを完璧にやらせるのではなく、必要な問題を必要な時期に必要な分量で適性に演習させることが大切です。そのためには、チューターと密にコミュニケーションを取り、お子さんの今の成績状況や塾での学習状況を把握することと、塾の言いなりになるのではなく、対等に情報共有ができる体制や関係を作ることが大事です。

とはいえ、希学園では頼りにしていた講師がたびたび退職をしてしまうという事態が起こっています。詳しい内部事情はここでは触れませんが、2007年度に看板講師が受験直前期に離脱、独立。その後、2013年春にも希学園の中軸として支えてきた看板講師が離脱しています。こうした内部事情による混乱は、比較的小さな塾であるがゆえの大きなリスクのひとつとして認識しておかなければなりません。特定の講師に頼り過ぎて、振り回されることのないよう、ときには第三者のアドバイスを取り入れることも大事です。

Point9 賛否両論【希学園】の細分化された志望校特訓

「ベーシック」についていけない子には負担が大きい

希学園では6年生になると、志望校別特訓が原則として第1・第3日曜日に実施されます。関西では国算理の3科目、首都圏では国算理社の4科目の講義に加え、実力テストもしくは確認テストが行われます。

「ベーシック」テキストを使った通常授業の「授業」→「宿題プリント」→「復習テスト」→「公開テスト」のサイクルに追加して受講することになるので、「ベーシック」の内容をきちんと理解できていないお子さんにとっては、非常に負荷のかかる講座になります。

志望校別特訓は、受験対象校を難易度によって、コース分けされています。コースは次の通りです。

関西
*灘コース *東大寺学園コース *洛南高附属(女子)コース *甲陽学院コース *大阪星光学院・西大和学園コース *洛星・洛南高附属(男子)コース *六甲コース *神戸女学院コース *四天王寺コース *清風南海コース *須磨学園コース *関西学院コース *関大系列・大阪桐蔭・金蘭千里コース *同志社系列・立命館系列コース *高槻コース清風・明星コース *神戸海星女学院・甲南女子・親和コース *帝塚山コース *難関中コース
首都圏
*開成コース *駒場東邦コース *麻布・武蔵コース *桜蔭コース *女子学院コース *早稲田・慶應コース *難関中コース ※早稲田・慶應・難関中コース

どうでしょう? 関東・関西にある大手進学塾の中で、これほど志望校が細かく分かれた対策コースをやっている塾は他にありません。

志望校別特訓は、過去の入試問題や重要予想問題をふんだんに載せたオリジナルテキスト「志望校別ベーシック」を使って、出題傾向に沿った演習問題を徹底的に行います。そういう点で、志望校がはっきり決まっている子にとってはとても有意義な講座です。

しかし、上記のコースをご覧になって気づいた方もいると思いますが、上位校には単独のコースが設定されているものの、中堅校においては十把一からげのコース構成になっています。特に複数校が集まるコースでは、コース内での偏差値の高い学校に傾向が偏った構成になっており、効率のよい入試対策学習を進めることが難しくなります。

こうしたコースの細分化は、一見手厚いサポートのように感じますが、その中身は十分に検討する必要があります。

また、これは塾側の内部事情による問題でもありますが、コースを細分化したことで、講師一人ひとりにかかる負担が大きくなったため、時間的・精神的な余裕を失った講師が増えているようです。質問をしてもきちんと対応してくれなかったり、面談でお子さんの実情に合わない判で押したような回答しか返ってこなかったりなど、本来の「手厚い指導」とは逆方向に進んでいるのではないかという声も、保護者の間であがっているようです。

もともと万人受けする塾ではありませんが、ますますお子さんやご家庭との相性次第という傾向が強まりそうです。

Point10 保護者との接点が多い【馬渕教室】

合格者数を伸ばしてきている馬渕教室

馬渕教室は、元々高校受験指導で実績を残してきた塾ですが、枚方を中心とした京阪神地域においては、中学受験の指導でも定評のある塾です。成功の秘訣は、他塾で活躍していた講師を採用し、最難関指導のスキルとプログラムを構築したことにあります。

近年は、灘中や東大寺学園中などの合格実績を増やしており、2015年度入試では灘中35名、甲陽学院中20名、洛南高附属中33名、東大寺学園中102名、四天王寺中80名、西大和中141名、大阪星光64名など、順調に合格実績を伸ばしています。

充実したテキスト類 5年生で学習スタイルの変更を

馬渕教室の学習カリキュラムは、テキストの充実が挙げられます。授業用、家庭学習用、ドリル教材、チェックシート付きの理社の暗記用教材など、目的に合わせてオリジナル教材が多数用意されています。細かく分冊しているのは、頻繁に改訂ができるようにするためです。

授業は、授業用教材の例題で新単元の解説をします。テキストには詳しい解説が載っていないので、授業でしっかり聞かなければなりません。次に生徒たち自らが「定着問題」を解いて、習ったばかりのことを実際にやってみます。クラスによって授業中に扱う「定着問題」のレベルは異なります。

クラスは年に6回実施される「馬渕公開模試」の結果で、成績分けされますが、浜学園、希学園、日能研のように、テストの結果によって席順まで決まってしまうということはありません。競争心を煽るといった形式の授業ではなく、生徒に「考えさせる」形式の授業を行います。特に3~4年生では、カリキュラムをどんどん進めることよりも、一つの問題をじっくり考えていきます。

ところが、5年生になると、どこの塾もそうですが学習量が大幅に増え、問題を多く解く学習へと変わっていきます。3~4年生のときに「考えさせる」スタイルで学習してきた子が、高学年で量をこなす学習に変わると、宿題消化に時間がかかってしまうという問題が起きます。そうならないためには、少し前の段階から少しずつ学習量を増やしていくとよいでしょう。この切りかえをうまくできるかどうかで、それ以降の成績が変わってきます。

宿題とテストのシステム

宿題は、例えば4年生の算数なら、「定着問題」「演習問題」「復習問題」「応用問題」からそれぞれ5~6問出題されます。国語は「読解テキスト」から2問程度。理科はメインテキストから6問程度出されます。5年生になると、各科目で「総合問題集」というテキストが配布され、各科目の宿題が増加します。

「5年Ⅰ」は入試の基本レベル、「5年Ⅱ」は標準レベル、「6年Ⅰ」は有名・難関中学レベル、「6年Ⅱ」は最難関中学レベルで、それぞれ各回10問ずつ全100回分の問題が用意されています。目標時間を意識しながら繰り返し学習することで、自然に入試問題対策ができる構成になっています。

毎回、授業のはじめには、前回習ったことの「復習テスト」または「確認テスト」があります。「復習テスト」は前回の学習の定着度、理解度をチェックするためのものです。「復習テスト」は全クラス共通で実施されます。「確認テスト」は数ヶ月前の単元にまでさかのぼってチェックするテストです。出題される形式が毎回ほぼ同じなので、その単元に絞った学習をすることで対策は可能です。

「復習テスト」や「確認テスト」の出来が悪いと居残り補習があり、必要な理解度に達するまで指導をします。「わかるまで帰さない」というのが、馬渕教室の指導方針です。

通常授業は、4・5年生で週3日。5年生では算数90分×2 国語90分×2、理科90分、社会90分となっていて、授業は17時10分からスタートします。本科授業の後にオプション講座の「N特訓」「HIレベル特訓」「定着レベル演習」の設定があり、これらを受講すると、授業の終了時間は21時30分となり、塾弁は必須です。多くの生徒は18時40分~19時の20分休憩で食事をとります。

6年生は志望校別特訓も

6年生になると、前期に「志望タイプ別特訓」、後期に「志望校別特訓」という日曜日の特別講座があります。受講コースは、公開模試の成績によって決められます。また、6年生の成績上位者には、灘中専門の「Nクラス」があります。「Nクラス」の生徒は、通常の本科授業の代わりに「Nクラス」の授業を受けることになります。

塾の拘束時間が長いのは、関西の大手進学塾ではどこもそうですが、馬渕教室も同様です。馬渕教室の特徴のひとつとして、保護者との接点が多いことが挙げられます。保護者会は年に3回、個別面談も最低でも年に3回実施することになっています。各家庭と連絡を多くとる塾なので、親は子どもの学習状況を把握しやすいというメリットがあります。また、家庭で求められるものも、日々の宿題管理と塾から指示される内容を実行すればよいので、親にとっては負担度が少ない塾です。

さらに、塾主催の学校説明会、入試分析会、馬渕教室の卒業生の講演会など、保護者向けの講座やイベントなども充実しています。

面倒見のいい塾ではありますが、ひとつだけ気をつけなければいけない点があります。春、夏、冬の長期講習についてです。多くの大手進学塾では、こうした講習で主に復習をメインに行いますが、馬渕教室では講習中もカリキュラムが進んでいくのです。ですから、一度苦手な単元ができると、それを克服するための時間を作ることが難しくなります。

そのため、公開模試や到達テストで苦手単元が出題されると失点し、クラスアップができないというケースが多くなります。そうならないためには、日々の授業と家庭学習でしっかりと定着させ、苦手単元を作らないことです。苦手克服は、夏休みにまとめてやればいい、という計画ができない塾であることを知っておきましょう。

Point11 徹底した反復演習による基礎定着を目指す【能開センター】

「南大阪の塾」からターゲット校を広げる能開センター

能開センターは、古くは南大阪や和歌山方面の受験指導に力を注ぎ、このエリアにある学校にターゲットを絞ることで、独自性を打ち出すことに成功した塾です。近年では、ターゲット校を大阪星光、東大寺学園に広げ、一定数の合格数の確保に成功。希学園から優秀な講師を引き抜き、ここ数年は灘中合格実績の構築を戦略として進めています。

能開センターの大きな特徴は、徹底した反復演習による基礎定着です。授業はオリジナルテキストを使って行われます。進め方としては、授業の中で導入解説、類題演習、ポイント解説、実践演習の順で行われます。

カリキュラムの進度は、他塾に比べると比較的緩やかなので、反復することで理解が深まりやすいお子さんには向いている塾です。一方、能開センターでは、指導歴の長いベテラン講師が多く、その講師が教える授業によって雰囲気が変化しやすい傾向があります。講師によって、「静かな授業」になったり、「にぎやかな授業」になったりと、良くも悪くも講師の影響力が強く出る塾です。

通常授業は、5年生で週4日。算数210分、国語210分、理科105分、社会75分という授業時間が設定されています。さらに、算数と国語には「必須特訓講座」があります。

「塾任せ」の家庭が多い

能開センターでは、授業で習ったことは、9時間以内に復習するのが効果的であると推奨しています。そこで、授業後に「フォローアップタイム」という復習時間を設け、できるだけその時間内に「確認テスト」の解き直しや授業の復習を終わらせるように指導しています。授業を担当した講師がそのまま1時間教室にとどまり、質問に対応してくれます。

塾での拘束時間は長くなりますが、基本「塾任せ」という姿勢の親が多く見られます。ただし、宿題の量はかなり多いので、宿題管理は親がしていく必要があります。宿題の量は、例えば4年生の算数なら、1週間に100問近く課せられます。宿題はテキストの中から、学力レベルに応じた問題が出されます。塾では、宿題は24時間以内にやるように指導しています。つまり、授業のあった翌日には、宿題を終えてしまうという考えです。

繰り返し復習の成果をテストでチェック

翌週の授業のはじめに「確認テスト」を行います。その間に講師は宿題のチェックを行うため、宿題は基本全部やってこなくてはいけません。「確認テスト」の後は、解説と解き直しを行い、もう一度復習をします。

さらに、翌週の土曜日の特訓授業で、同じ単元を学習します。通常授業と土曜日の特訓授業が、2週間ずらしのカリキュラムになっているのです。土曜日の特訓授業を受けることにより、2週間後に再度復習ができるというわけです。こうして、繰り返し復習をすることで、知識を定着させていきます。この特別授業はオプション講座ですが、塾生のほとんどが受講しています。

そして、2カ月に1回のペース(偶数月)で、「到達度テスト」「定着度測定テスト」という実力テストが実施されます。出題の内容レベルは、授業内容をベースとした基本から応用までで、現時点での実力がどのレベルまで到達しているかを確認します。

奇数月には、「中学受験公開模試」があります。こちらは範囲指定のないテストですが、重要単元については必ず出題されます。算数では計算問題、国語では漢字や語句が多く出題され、基礎の定着がどのくらい図られているか確認するテスト内容になっています。そのため、能開センターのテキストに記載されている内容は隅から隅まで見ておく必要がありますが、逆に「見たことがない」と感じる問題は出題しない方針になっているため、他塾の公開模試よりもテスト対策が取りやすくなっています。この学習サイクルを繰り返すことで、知識を定着させていきます。

保護者との密なコミュニケーション

クラスは、公開模試の成績と実力テストの成績によって、2カ月に1回のペースで行われます。生徒の成績や学習状況は「クラス担任」が行います。クラス担任は、実際に教科を教えている講師のうちの一人が担当します。能開センターでは、実力テストや公開模試をはじめ、「日曜実戦」というオプション講座内で行うテストや、毎回の授業で実施する「確認テスト」での全生徒の問題別正答結果を、すべてデータベースに保管しています。

クラス担任は、これらのデータをもとに、生徒の苦手傾向を把握し、生徒一人ひとりに対しての勉強の進め方をアドバイスしていきます。保護者とも密にコミュニケーションをとる方針で、個別面談は最低でも年3回行っています。

また、独自の取り組みとして、「能開ダイアリー」というシステム手帳を生徒に持たせます。目標を達成するには、自分の意志で自分の計画を立てることが大切です。能開ダイアリーは、宿題を書きとめる手帳としても活躍しますが、「計画の立て方」を学ぶことにも活かせます。毎日の学習計画を立て、やるべきことのリストを作り、できたものを一つずつ消していくことで、やったことが「見える化」できるだけでなく、達成感を味わうこともできます。

そのほかにも「自分だけの参考書を作る」ことを目的としたオリジナルノート「パワーアップノート」を取り入れたり、生徒のモチベーションアップにつながる「ノート表彰」を実施したりするなど、さまざまな取り組みを行っています。

能開センターのマイナス点

こうした良さがある一方で、マイナス点もあります。前にも少し書きましたが、能開センターは良くも悪くも講師の影響力が強く出る塾です。例えば、算数などは塾で指定された解法が「是」であり、それ以外の解法はすべて否定される傾向にあります。そのため、塾で指定された解法が子どもにとって理解しにくいものであった場合、苦手パターンが量産される可能性があります。

また、反復演習は知識を定着させるには有効ですが、「暗記型学習」になりやすい傾向にあります。そのため、基礎問題はスラスラ解けるのに、難関校の入試問題で出されるような「考える問題」になると、手も足も出せなくなる生徒が多くいます。そうならないためには、「なぜこのようにして解くのか」「なぜこの方法でうまくいったのか」など、きちんと説明できるまで理解を深めておく必要があります。

この記事を書いた人
主任相談員 西村 則康主任相談員 西村 則康
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