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中学受験生 3年間の乗り越え方【春夏編】

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更新: 2017年05月18日 公開:
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Point1 大手進学塾 4年生の春~夏の学習カリキュラムはこうなっている

大手進学塾のカリキュラム

一般的に、大手進学塾の中学受験のカリキュラムは、小3の2月からスタートします。都内の私立中学を受験する場合、入試本番は2月1日~3日です。つまり、6年間の小学校生活のうちの半分を受験勉強に費やすことになります。

では、その3年間はどのような学習カリキュラムが組まれているのでしょか?

大手進学塾では、塾に入る前に「入塾テスト」というものがあります。入塾テストの目的は、「入塾そのものの可否の判断」と「クラス分け」です。前の章でも説明しましたが、大手進学塾では、上位のクラスで入塾しておいた方が、後々まで有利なシステムになっています。

ですから、塾での第一の目標は、「入塾テストで上位クラスを狙う」ことです。入塾テストは3年生の1月に実施されます。テスト対策は、11月頃から始めましょう。テストは国語と算数の2教科です。入塾テストのレベルは塾によって差がありますが、どの塾においても共通して言えることは、小学校のテストとはまったく異なるという点です。国語は小学校で扱うものよりもずっと長い文章が素材文として使われるので、長文に慣れておく必要があります。算数もレベルが高いので、教科書ではなく市販の参考書を使った学習をしましょう。

入塾テストは、入塾そのものの可否の判断材料になりますが、塾も利益を追求する企業ですから、よほどひどい成績を取らない限りは入塾できます。ただし、クラスは成績順に分けられますので、ここでショックを受けてしまう親御さんもいるでしょう。確かに、大手進学塾の受験カリキュラムは、上位クラスほど有利になるシステムになっていますが、この時点の成績でひどく落ち込む必要はありません。挽回の余地はまだ十分にあります。

大手進学塾の新4年生のカリキュラムは、3年生の2月から始まります。ここからは首都圏の大手四大塾のひとつである四谷大塚のカリキュラムを例に、各学年の春から夏までの学習スケジュールを紹介していきます。男女御三家に強いSAPIXはそれよりも速い進度で、受験生の間口が広い日能研はそれよりも遅い進度になりますので、参考にしてみてください(各塾では習う単元は順番に違いがあります)。

【2~3月】

国語は、まず説明文を題材に、つなぎのことば、要点となることば、指示語といった読解のポイントを学習します。知識分野では、かな遣いや送りがな、漢字の成り立ちや国語辞典の使い方など、今後の国語力の向上に関わる分野を学習します。そして、3月末から物語文の読解へと移ります。説明文と物語文を読むときに意識しておきたいことなどを学びます。

算数は、4年生の初めは「かけ算とわり算」「角の大きさと性質」「計算のきまりと順序」「植木算」を学びます。スタートから毎週次々と新しい単元を学習します。しかも、どの単元も今後の受験勉強において大切なものばかりです。でも、テキストを全部やろうとすると、量が多すぎてこなせない可能性があります。ここでは単元の基本をおさえることに重点をおきましょう。

理科は、生物分野は「いろいろな昆虫」「春のころ」、物理分野は「鏡と光の進み方」「磁石」、地学分野は「身の回りの水と空気」についての基本を学びます。「磁石」については磁力線、「水と空気」については水蒸気の状態など、目に見えないけれど存在するものを扱います。こうした抽象的なものを苦手に感じる子は多くいます。ここでつまずくと後々まで苦労することになるので、基礎概念はしっかり覚えるようにしましょう。また、図を描くことを習慣化させるといいでしょう。

社会は、「昔の道具・今の機械」では、昔と今の道具の違いを学びます。「安全を守る」では、火事や事故に遭遇したときの対処法を、「ものを売る仕事」「くらしやすい街」では、身近な暮らしについて取り上げます。

こうして見ていくと、受験勉強がスタートしたたった2カ月の間にも、たくさんの単元を学習していくことがわかります。ただ、内容的にはまだ比較的易しく、ここで大きく落ちこぼれてしまうことはありません。4年生の2~3月は、これから本格的に始まる受験勉強のウォーミングアップ期間と思っておいていいでしょう。後の章でも触れますが、四谷大塚の春期講習は、復習を中心とした内容になっています。ここでしっかり知識を定着させ、本格的な受験勉強が始まる4月に備えて、体制を整えておきましょう。

【4~6月】

次に4年生の4月~6月について説明します。

国語は、4月は物語文を扱います。登場人物の行動と気持ちの変化を読み取る学習をします。また、漢字の部首、画数、筆順、漢字辞典の使い方などを学びます。

5月は説明文です。話題をつかみ、意味段落を理解していきます。知識分野では、同音異字、同音異義語、同訓異字を学びます。

6月の説明文では、文章を全体として捉えること、段落ごとの関係に注意をしながら読み進めていきます。物語文では場面展開や人物の心情変化を読みとっていく練習をします。知識分野では、三字、四字熟語、類義語、対義語を学びます。

説明文や物語文は入試に必ず出題されます。それぞれの読み進め方を学び、読解の基礎力を付けましょう。漢字や熟語などの学習は、学校へ行く前の朝時間にやると能が活性化されて効果的です。朝時間の学習は習慣化させることをおすすめします。

算数は、4月に「少数・分数」「正方形と長方形」「大きな数とおよその数」「三角形の性質」を学習します。「少数・分数」は位取りとそれを応用させた単位の変換の仕方まで、「大きな数とおよその数」では偶数と奇数について、「三角形の性質」では外角の定理を学びます。

5月は、「大きな数とおよその数」「三角形の性質」「周期算」を学習します。数については、切り捨て・切り上げ・四捨五入や偶数と奇数について、「三角形の性質」では、内角の和や外角の定理から二等辺三角形などの特徴を、「周期算」では、くり返しのかたまりを見抜いて解く問題を学習します。

6月は、「周期算」「立方体と直方体」「等差数列」「つるかめ算」を学習します。いずれの分野も初歩的な内容であるため、問題の解き方だけを覚えてしまえばなんとなるものですが、それで済ませてしまうと、本格的な入試問題レベルの問題には対応できず、つまずくもとになります。「なぜそのような解き方をするのか」を学びながら、問題演習を取り組むようにしましょう。

理科は、前の月に続いて「春のころに見られる生き物(植物以外)」、「月の動き」「太陽の動き」で天体の基礎を学びます。「月」と「太陽」は入試でもよく出る単元です。テキストをただ読むのではなく、図を描いて説明ができるように知識を深めておきましょう。

5月は、「食物の育ち方」では発芽~成長~種ができるまで、「植物のつくりと動き」では葉・茎・根についてそれぞれの作りと働きについて学びます。「水の変化」は物質の三態(気体・液体・固体)を扱い、物質の温度変化について学びます。

6月は、「空気や水と力」「星の集まり」「星座の動き」を学びます。前半は空気や水の重さ、力を加えたときの体積の変化について、後半は星座の名前を中心に、一晩の動き方、季節ごとの変化について学習を進めます。

理科というと暗記科目と思われがちです。確かに暗記は不可欠ですが、理解を深めるには、暗記(インプット)と確認(アウトプット)のバランスが必要です。「覚えているのにテストになると点が取れない」という子は、演習を増やしていきましょう。

社会は、4月は「地図の見方」で方位や地図記号などの地図の基本を学びます。その後、地理分野に入っていき、「あたたかい地方の暮らし(沖縄)」から学んでいきます。

5月は、北海道東部(十勝平野)、高知平野、新潟県(十日町市)の地理を学びます。これらの地域は、日本の中でも特徴的な気候を持ち、入試の雨温図問題でよく登場します。

6月は、「雨の少ない地方のくらし」では瀬戸内の讃岐平野、「盆地のくらし」では扇状地の上にある甲府盆地、「低い土地のくらし」では木曽三川河口の輪中で有名な濃尾平野の地理を学びます。

4月からいよいよ日本地理の勉強が始まります。1回あたりの授業で学ぶ知識の量が一気に増えてくるので、学んだことが右から左に抜けていかないようしっかり覚えていきましょう。

入塾から春期講習までは、まだ勉強のペースがつかめない子という子は多くいます。しかし、4月になると本格的な受験勉強が始まりますので、いつまでも甘いことは言っていられません。「授業前の予習」→「授業」→「授業後の復習」→「確認テスト」の学習サイクルを定着させていきながら、毎月実施される組テストの対策もしっかり取っていきましょう。そして、できるだけ早いうちに上位クラスへ入れるよう頑張りましょう。

【7~8月と夏期講習】

四谷大塚の4年生の夏期講習は、7月後半または8月後半の約1週間程度です。塾の拘束時間が少ないということは、自由に学習プランが立てられるということです。これまでの復習をしっかりしていきましょう。

授業も春から習ってきたことの復習が中心になります。国語は、説明文と物語文を扱います。説明文では話題、段落関係を捉える、物語文では場面や人物関係を読みとる、出来事に注目して人物の気持ちを捉えるといった読解の基礎を振り返ります。知識項目では、「漢字」「同音異義語」「三字・四字熟語」「類義語・対義語」など、入試問題によく出る重要な項目をおさらいします。

算数は、7~8月は「少数のかけ算・わり算」「正方形・長方形」「グラフ」を学習します。夏期講習~秋前半は、文章題(和差算)や条件整理に力を入れます。夏期講習の前半は、1学期の内容の復習も行いますが、後半からは倍数・約数といった新しい単元を習います。

内容的にはまだそれほど難しいことはやりませんが、この先の学習の基礎となる大事な部分です。特に図形分野は初期段階ですから、ここで四角形、三角形の角度と性質、面積の求め方などをしっかり理解しておきましょう。算数にはルールがつきものです。常にルールを意識した取り組みをするかしないで、その先の成績が大きく変わってきます。大量演習をしているにもかかわらず成績が伸びないのは、それを意識していないからです。

また、図形や文章題などは、「状況図」を描いて考える習慣をつけましょう。状況図とは翻訳作業のようなもので、設問の文章を前に頭を抱えるのではなく、一旦「絵」にすることでイメージをつかみます。状況図には、線分図や面積図も含まれます。また、条件整理や規則性は、書き上げる、数え上げることを億劫がらず、「書き出す」ことが大事です。頭の中で処理しようとせず、手を動かす習慣をつけましょう。

理科の夏期講習は70分授業が6回あり、内容は「昆虫の体」「昆虫の生態」「種子のつくりと発芽」「ものの体積と重さ(2回)」「物の特徴(物と温度・圧力)」です。基本的には1学期のカリキュラムの復習になります。

昆虫や種子には多くの知識が必要で、4年生では興味・関心の有無で大きく差が出ます。夏休みを利用して自然と触れ合う機会を作り、興味・関心を導いてあげられるといいですね。物の体積と重さでは、コップに水と油を注いでいるなど、ご家庭で簡単な実験をしてみるといいでしょう。密度の感覚が実感できると、表やグラフの読み取りにも抵抗が少なくなります。

4年生の夏休みは、比較的時間に余裕があります。こういうときに、自然体験や実験など実体験をさせてあげると、今後の理科学習の下支えとなります。また、理科は興味さえ持てば、どんどん成績を上げていける科目です。この時期の体験が理科好きにさせるカギを握っています。

社会は、7~8月に都道府県の位置や名称、そしてそれぞれのおおまかな特徴を学習します。都道府県の位置と名称を覚えることは、これから地理を学ぶにあたって土台となる大事な部分です。ここで知識を定着させておかないと、5年生から学ぶ「地方別地理」の情報量についていけなってしまうので、しっかり覚えましょう。夏期講習では、これまで学んできた地理分野のまとめを行います。

いかがでしょう?

受験勉強をスタートしてたった半年の間に、9歳、10歳の子ども達はこんなにたくさんの内容を学んでいるのです。しかも、これらはこの先の学習に必要な基礎となる大事な部分です。スタート地点では、なんだかよくわからないまま受験勉強がスタートしてしまったとい感じのお子さんも多いことでしょう。しかし、これからますます勉強の内容は難しくなり、量も増えていきます。それが3年間続いていくのです。

SAPIXを除いて多くの塾は、夏休みは1学期に学んだ内容の復習に充てられます。ここでしっかり知識を定着させ、苦手を作らないことが大事であることを心に留めておきましょう。

Point2 大手進学塾 5年生の春~夏の学習カリキュラムはこうなっている

次に5年生の春~夏の学習カリキュラムを見ていきましょう。ここでは、全国的に広く支持されている受験テキスト『予習シリーズ』でお馴染みの四谷大塚の授業を紹介します。

【2~3月】

国語は、説明文では単語・文・文節の働きを細かく学び、要点の見つけ方、形式段落と意味段落のまとめ方を学習します。物語文では場面や心情の変化を図式的に読みとり、客観的に読む力を養います。4年生で学んできたことをさらに深く学んでいくといった感じです。知識分野では、漢字の部首や筆順を学びます。

算数は、「倍数と約数」「平均」「多角形の性質」「割合」「円」とさまざまな単元を学んでいきます。「倍数と約数」では定義から他の単元への応用、「平均」では面積図の利用、「多角形」と「円」は面積の公式をはじめとした公式の導入、そして「割合」は歩合やパーセントの利用と他単元への応用へと進んでいきます。どの学習も4年生で学んだ基礎から応用へと変わっていきます。

ここで最も重要となる単元は、「倍数と約数」「割合」の2つです。「倍数と約数」は、この先多くの単元で利用する概念です。ここで概念の理解が不十分なままだと、算数全体に悪影響を及ぼします。また、「割合」も5年生の算数の大きな関門のひとつです。割合の関係と立式の理解が曖昧だと、それ以降の学習についていけなくなってしまう場合があります。理解ができない場合は、4年生のテキストに戻り、しっかりと基礎を学び直していかなければなりません。大事なのは「わからないまま」にしておかないことです。

理科は、「気象の観測・天気の変化」「空気や水の温度による変化」「物のあたたまり方」「星の動き」を学習します。地学分野の「気象と観測」「天気の変化」は、温度による変動が中心になるため、化学分野と相互性の高い学びになります。

気象分野を理解するには、物のあたたまり方をしっかり理解していないと、気象変化の背景が理解できず、ただ丸暗記になってしまいます。理科全般に言えることですが、4年生と5年生のカリキュラムの大きな差は、因果関係を重視した体系的な知識を養えるかどうかです。お子さんが本当に理解できたかどうか判断するのに、お子さん自身にその因果関係を説明させるのが効果的です。

社会では、「日本の水産業」で日本各地の漁業の変化や近年の輸入の増加について、「地価資源と電力」で発電所について学習します。後半は3回に渡って「日本の工業」を学んでいきます。工業については、「日本三大工業地帯」を中心に、各工業地帯の特色や問題点に触れていきます。

【4~6月】

5年生になると、説明文の内容も表現が複雑化してきます。語彙学習や辞書を引く習慣を付け、語彙で読み詰まることがないようにしていきたいものです。説明文は、接続語と指示語の知識を安定させ、常に話題を意識することで、趣旨を読み取る力がついてきます。これにより意見と具体例、原因と理由、意味段落の形が見えてきます。

物語文もより複雑な感情を読みとることが求められるようになります。発展問題では、行動と心情の不一致や矛盾した感情まで考える必要があり、理解が難しくて苦手意識を感じる子も出てきます。

5月からは論説文を学習します。著者の意見とその根拠となる事実を明確に分けて読みとる力が求められます。6月からは随筆文も学習します。随筆文は著者の経験(事実)と意見・感想を読み分けることがポイントです。

知識分野では、類義語・対義語、慣用句、ことわざ、故事成語などを扱います。

算数は、4月に「食塩水」「売買損益」「差集め算」を学習します。「食塩水」は濃度を中心に、「売買損益」は売買の際に派生する金額のやりとりについて、「差集め算」は「ひとつの差」と「全体の差」について学びます。「食塩水」は理科でも扱うので得意にしておきたい分野です。基本は食塩水の食塩・水の量を把握することです。「混合」「やりとり」という変化の中で、食塩と水を別々に図で表して整理しながら変化を追うと、わかりやすくなります。

5月は「柱体とすい体」「場合の数」を学習します。「柱体とすい体」は主に形の確認と体積・表面積を求めます。「場合の数」では事象同士を「足す」・「掛ける」場合、「順列」「組み合わせ」を学びます。6月は「数に関する問題」「速さ」「容器と水量」を学習します。「数に関する問題」では、素因数分解や最大公約数・最小公倍数を利用した問題を、「速さ」で3公式の確認、往復、ダイヤグラム、つるかめ算、周期算を扱います。「容器と水量」では底面積と深さ・水量の変化とグラフを学習します。

どの授業もつまずきやすい単元です。公式を覚えるのはもちろんですが、ただ覚えるだけでは知識は定着しません。「なぜこう解くのか?」までを考え、理解できるようにしましょう。

立体をイメージするのが苦手な子がいます。実際のもので視覚から理解し、展開図でも理解するようにしましょう。

理科は、4月は「月の満ち欠け」「季節の生物」「てんびんとばね」といったように、地学・生物・物理をバランスよく学習していきます。特に「月の満ち欠け」と「てんびんとばね」は入試でも頻出する重要単元ですので、ここで本質をおさえた学習をしておきたいところです。「予習シリーズ」だけではどうしても演習不足になってしまうので、市販のドリルなどを利用し、複合問題まで解けるようにしておきましょう。

5月は、「植物のつくりとはたらき」を全般的に学習します。根・茎・葉などの重要部分については、そのつくりや働きを単子葉類と双子葉類に区別して、対比させながら学びます。さらに、光合成や呼吸についてもそれぞれの実験方法に触れ、その流れに沿って学んでいきます。

6月は、「酸素と二酸化炭素」「光」「音」を学習します。「酸素と二酸化炭素」では気体の性質とその集め方を、「光」では直進、反射、屈折の性質からどんな現象が生じるかを、「音」では音の三要素と伝わり方を学びます。気体では実験をともなう知識が問われます。器具の使い方など、なぜそれを使うのか、なぜその配置でなければいけないのかまで理由も述べられるようにしておきましょう。光については、作図ができることが大切です。5年生なると習う単元が増え、覚えなくてはならないことがいっぱいありますが、暗記だけに走らず、「なぜそうなのか?」を理解しながら覚えていくことが大事です。

社会は地理分野が続きます。4月は「貿易」「交通・通信・情報化」「日本の位置・領土問題・人口問題」、5月は「日本のすがた」というタイトルで、日本の位置・面積や人口、領土問題を学んだ後、「九州地方」「中国・四国地方」「近畿地方」と各地方について学んでいきます。6月は「関東地方」「東北地方」を学びます。各地方については、自然・農林水産業・工業・交通に関する知識が扱われます。

5月から再び、地方別地理に戻りますが、授業は4年生のときに学んだ知識があることを前提に進んでいきます。各地方については、1回の授業でたくさんのことを覚えていかなければなりません。暗記は必要ですが、4年生の内容が抜けていると、十分理解ができず、結局、時間が経つと忘れてしまう、なんてことにもなりかねません。知識に自信がなければ、GWの期間を使って、しっかり復習をしましょう。

【7~8月と夏期講習】

国語の7月の予習シリーズは、細部表現の習得に重点を置いています。それまでの演習では、段落ごとの話題や要旨、あるいは場面・主題の読み取りなど、全体を大きくつかみ抽象的に捉える学習が中心でしたが、ここからは表現技法に込められた作者の意図や効果を読み取る細部の学習に入ります。表現技法の得意・不得意はイメージ力があるかないかで分かれます。イメージ力がない子には、場面を絵にして言葉と関連づけたり、その光景を親御さんが演じてみたりすると、伝わりやすくなります。小学5年生は人生経験もまだ少なく、人間関係も重層的ではないので、そうした手助けも必要です。

夏期講習は全18回あり、説明文4回、物語・小説4回、随筆4回、論説文2回、詩1回、短歌・俳句1回と、講習会判定テストが前半と後半に1回ずつあります。

算数は、7~8月は「食塩水の濃度」「場合の数」「帯グラフ・円グラフ」「平面図形」を学習します。「食塩水の濃度」では、異なる濃度の食塩水を混ぜたときに、理解できない子が出てきます。食塩水中の食塩をしっかり計算して、それを合計するのが基本的な方法ですが、小数計算が多くなるので、計算間違いをしないように注意が必要です。「場合の数」は規則性を意識して、「計算を駆使して解く」意識づけを持つことが大切です。「平面図形」では複合図形の面積を求める問題を学習しますが、円の中に二等辺三角形を探すことを意識しましょう。示されていなければ、自分で書いたり、円の中心に向かって補助線を引いたりするなど、「平面図形の問題を解く上での知識」をしっかり身に付けておきましょう。

夏期講習は、1学期で習ったことの復習が中心です。特に重視するのは、「割合」と「場合の数」です。「割合」「速さ」「図形」は受験算数の3大テーマといわれています。これらの単元は入試で絶対に出る!と腹をくくって、ぬかりなく取り組みましょう。

7月の理科は、植物の学習です。光合成や蒸散作用の実験、花のつくりについて理解を深めます。植物の仲間分けは、ノートにその特徴を書くなどし、自分なりに整理をして覚えましょう。ジャガイモの植え方は4年生でも学習しますが、繰り返し出てくるというのは、それだけ重要であるということです。つぼみのつき方、花の形、色などは入試によく出ます。花の特徴などは絵を書いて覚えるようにしましょう。

夏期講習は基本的には1学期の復習になります。特に力学・電流・音と光といった物理分野に重点を置いています。物理分野が苦手な子は多くいます。物理分野は目に見えないものを扱うため、小学生の子どもには理解が難しいものです。集団授業では解説も演習も行いますが、生徒一人ひとりの理解度に合わせて教えてくれるわけではありません。そこで、最近は実験教室などで理解を深める機会が増えています。夏休み中は、科学館や電気館などでさまざまな実験教室が実施されていますので、ぜひ参加してみましょう。ご家庭でもできる実験があれば、お子さんと一緒にやってみてください。

7月の社会は「地方別地理」の続きで、関東地方、東北地方、北海道地方を学習します。地方別地理では、地形や産業についてすべて触れていくため、覚える項目が多く、つまずきやすくなります。特に4年生のときに地理の知識を定着してこなかった子は、何が重要なのかを把握できずに、あれもこれもと覚えることだけに必死になってしまい、キャパシティを超えてしまう危険があります。

夏期講習では、地理の総復習を行います。農業や水産業、林業、工業、そして貿易まで触れ、そこから生まれた環境問題や人口問題、さらには資源やエネルギー、交通、気候など、今まで学んできた知識をまんべんなく復習していきます。その後、地方ごとに単元を分け、前半で学んだことを各地域、各都市につなげていくカリキュラムとなっています。そして、9月からは歴史分野の授業が始まります。

地理分野は5年生の夏で一旦終了します。9月からは歴史分野に入り、6年生の夏前までは公民分野を学習します。そのため、地理の学習はこの後、受験直前まで十分な時間をとることができません。ですから、今の段階でできる限り、知識を定着させておきましょう。

このように5年生の春~夏は4科目すべてにおいて学習量が増え、その内容も難しくなっていきます。

Point3 大手進学塾 6年生の春~夏の学習カリキュラムはこうなっている

最後に6年生の春~夏の学習プログラムを見ていきましょう。

【2~3月】

6年生になると、国語は「テーマ別」の読解が始まります。中学入試に頻出するテーマや用語に慣れるためです。2~3月は、生態系、環境問題、勇気と正義、自立と別れといったテーマを扱い、説明文・論説文、物語・小説、随筆をバランスよく学習します。

改訂後の「予習シリーズ」は、各文章の本文が300~1000字ほど増えています。一つひとつの選択肢も長くなり、これまで以上に細かく分析する力が求められます。発展では記述が増え、なかには100字を超える問題もあるので、記述問題の「組み立て」をしっかり身に付けておかなければなりません。

算数は、「文章題」「規則性」「平面図形」「条件整理・場合の数」「立体図形」を学習します。既存の単元の応用ですが、毎授業違う内容を扱うため、気が抜けません。学習がはかどっている子にとっては、理解が深められてよいのですが、うまくいっていない子にとっては、既習のいろいろな単元を確認しなければならず、負担に感じることでしょう。しかし、ここは一単元ずつしっかり理解していきたいところです。

理科は、『予習シリーズ』のテキストが改訂されたことにより、以前と中身が大きく変わっています。5年後半からの流れを受け、今まで夏休み前に学習していた「滑車・輪軸」が2月に移動し、2月にかけて「力学総合」として力学の各単元の復習を行います。ここで復習の機会を逃してしまうと、夏休みの直前まで「力学」を扱わないので、そのまま苦手分野として残ってしまう恐れがあります。「力学」は考え方解き方がある程度決まっています。まず基本的な考え方に則って解く必要があります。その上で、複合問題に取り組んでいきましょう。

社会は2月からいよいよ公民の学習に入ります。3月中旬まで「日本国憲法」「国会」「内閣と裁判所」「国際連合」といった単元を学びます。その後、総合回をはさみ、地理の「産業」の総復習が行われます。

公民を学ぶにあたっては、普段から実際の日本社会やニュースに触れている大人のフォローが有効です。TVで国会中継などをやっていたら、「これはこういうことだよ」「こういうことについて話し合っているんだよ」といった感じで、教えてあげるといいでしょう。身近なものに感じさせることが、興味・関心につながります。

【4~6月】

春期講習後の4~6月は、随筆文、説明文・論説文、物語、詩・短歌・俳句など、入試問題を意識した学習を行います。各文にはそれぞれに"読み方"というものがあり、例えば随筆文読む際のポイントとして、意見の段落と経験の段落を分けて読むなどが挙げられます。入試ではこの文章は「説明文・論説文」なのか「随筆文」なのかを瞬時に判断して読み進めていくことが求められます。それぞれの特徴をしっかりつかんでおきましょう。

算数は、4月に「数の性質」「速さ」を学習します。「速さ」ではダイヤグラムも含めた旅人算と比について、それぞれ学習します。学習のポイントは、問題文に書かれていることを図・表・グラフなどで正確に表現すること。今の時点では図を描かなくても式だけで解けるかもしれませんが、入試レベルになるとより複雑になり、作図なしでは解けなくなります。今のうちから図を描く習慣をつけておきましょう。

5月は、「文章題」「規則性」「平面図形」を学習します。「文章題」では相当算、倍数算、年齢算、売買損益、濃度など、「規則性」では等差、階差数列、周期、数表、「平面図形」では折り返しの問題、図形の回転、点の移動、反射などを扱います。一度の授業でいろいろな分野を扱うので、それぞれの分野の適切な処理方法(線分図・表・式)を理解していないとつまずきやすい時期です。

6月は、「変化とグラフ」では仕事算や水量グラフなど、「立体図形」では体積、表面積、立体の切断など、「数」では分数、小数の性質や素因数分解を使って解く問題などを学習します。6月の学習で一番つまずきやすい単元は「立体図形」です。原因は立体のイメージがわかないことにあります。代表的な切断は丸暗記でも構いません。ただし、必ず切断の線の引き方の正しい手順も覚えて練習しましょう。

理科は、春期講習で学習した「力学」や「電気」に続き、4月は有機物や金属の燃焼計算と熱量計算を含む「熱と燃焼」の単元に取り組みます。その後は、回路計算・磁界・電熱線の発電を含む「電気」全般について学習します。「熱と燃焼」では、炭素や水素を含む有機物と無機物である金属の燃焼計算をまとめて取り組むため、5年生のときに化学反応計算でつまずいた子は、ここでもつまずいてしまう可能性大です。化学変化の計算が出てくる単元では、計算の方法だけではなく、化学変化の理屈を理解することが大切です。

5月上旬、総合回で「植物」「熱・電気」の振り返りを行った後は、「動物総合」の単元で、セキツイ・無セキツイ動物の特徴とヒトのからだについて学習します。その後は、入試頻出である「水溶液と気体」の基本的性質を総復習し、最後に「気象」と「地層・岩石」などの地学単元を学習します。すべてにおいて知識量の多い単元なので、知識に自信がない子は要注意です。5年生のテキストを読み返し、基本知識を確認してから授業にのぞみましょう。

6月は、「光と音」を学習した後、総合回を挟んで、「生物のつながり」について学びます。その後、てこ・ばね・浮力・滑車と輪軸など「力学と運動」の総まとめを行います。

4~6月はさまざまな単元を行き来し、総復習の段階へと入ります。毎回、授業で習う単元が異なるため、子ども達にとっては負担の大きい期間です。5年生までの知識が曖昧のままだと、つまずく可能性が大きいので、苦手な単元は必ず振り返りをしましょう。

社会は、4月は「政治と外交史」で旧石器から平安時代を振り返り、「くらしと政治」で国会・内閣・裁判所の復習や新たに地方自治を学びます。

5月はGW開けから「結びつく日本と世界~世界の国々と貿易」「政治と外交史~鎌倉時代から安土・桃山時代」「くらしの政治~社会保障と財政」、6月は「政治と外交史~江戸時代から明治維新」「国土の環境~自然とともに」「政治と外交史~明治時代から昭和時代」を学習します。

4~6月は、これまでやってきた内容の復習単元ですが、地理・歴史・公民分野ともに覚え直す量が膨大です。単なる知識の復習ではなく、「政治史」などのまとめの視点に立った流れや関連性をつかむことが、各単元で求められます。ただ丸暗記していこうとすると、量の多さにくじけてしまうことでしょう。逆にここで「知識を整理する」学習方法を学ぶことができれば、夏以降の過去問演習に活かすことができます。

【7~8月と夏期講習】

国語は、夏期講習が始まる前に言語要素は一通り完了し、あとはひたすら問題演習が続きます。読解は入試頻出テーマが続きます。「世間」の概念は日本人を扱った論説では必ず出てくる内容です。また、「葛藤」を理解することは、入試の物語理解では避けては通れない内容となります。

7~8月の算数は、「図形全般」を学習します。図形上の点の動きに伴って変化する面積とそのグラフの読み取り、立体図形では立方体、直方体の切断、図形に関する場合の数では条件を満たす図形の数え方など、いろいろな要素が複合的に絡んでくるので、図形が苦手な子には大変な単元です。図形に対する苦手意識はこのタイミングで払拭できるよう、ぜひとも頑張りたいところです。

四谷系の塾では、夏期講習中は、夏期専門の教材を使います。先に基本を学習し、その後はレベルごとに単元の内容を分けて指導する形をとります。演習中心の授業なるので、わからないことを質問するタイミングが思うようにとれないかもしれません。しかし、ここは答えへのこだわりを捨て、先生がどのように解くのかだけ集中して聞きましょう。大事なのは答えではなく「解き方」です。

7~8月の理科は、物理分野の最終回である「滑車と輪軸」を学習し、その後は、夏期講習まで復習が続きます。

『予習シリーズ』の6年上が終わり、もはや新出単元はありません。夏期講習では、物理・化学・生物・地学分野を総復習していきます。授業は問題演習が中心になります。ここでどれだけ集中して取り組めるかによって、秋以降の成績が大きく変わっていきます。

社会は、7月に「循環型社会と世界遺産」「地球からのSOS」「現代の日本と世界」を学習します。6月に学んだ世界の国々に関する知識をベースに、主に環境問題と現代の日本が抱える経済問題に触れていきます。

夏期講習では、地理・歴史・公民の復習をします。夏以降はひたすら知識事項を反復する作業になります。言葉で覚えることだけに集中してしまうと、それが社会という科目全体の中でどこに位置する言葉なのかわからなくなります。こうして覚えていくと、総合的な入試問題で答えられなくなってしまう危険性があるので、言葉だけでなく、その背景など関連することを含め覚えていくようにしましょう。

さて、ここまで各学年の春~夏までの学習カリキュラムを紹介してきました。ここからは、毎日の家庭学習の進め方と、春期講習・夏期講習の授業の受け方、またその時期のつまずきと克服法について解説していきます。

また、秋~冬にかけての学習カリキュラムについては、次の章で紹介していきます。

Point4 実はこれが一番大事! 塾がある日の家庭学習の進め方

さて、これまで大手進学塾の春~夏学習カリキュラムを紹介してきました。

大手進学塾に入塾すると、4年生で週2~3日、5年生で週3日、6年生になると週4~5日、塾へ通うことになります。しかし、「塾に行けば家で勉強をしなくていい」ということはもちろんなく、塾がある日もない日も家庭学習は必要です。つまり、「中学受験をする」と決めたら、「勉強は毎日しなければならない」のです。

では、毎日の家庭学習はどのように進めていけばよいのでしょうか?

まずは「理想の1週間の過ごし方」を見ていきましょう。

受験勉強をするに当たっての理想的な1週間とは、1週間を終えたときに、その前の週よりも知識が増え、理解が深まっている状態になっていることです。そんなの当たり前でしょう? と思った親御さん、いえいえ、その当たり前のことが、実は難しいのです。なぜなら、今の中学受験の勉強は、親御さんたちが思っている以上にハードだからです。

受験勉強には、理想的な"学びのサイクル"というものがあります。まず、「1週間の目標計画を立てて授業に臨み、それを家で振り返って、演習で理解を深め、テストで結果を出す」というサイクルです。

意識して実行したいのは、以下のような学習サイクルです。
①目的→ ②準備→ ③授業→ ④復習→ ⑤演習→ ⑥確認→ ⑦テスト→⑧直し→ ①目的・・・

詳しく説明していきましょう。

中学受験の勉強は、約3年間かけて進めていきます。みなさんはそれを長いと感じますか? 短いと感じますか?

中学受験の勉強は、小学生の子どもにしてみれば、とても長いものです。なぜなら、小学校に通う6年間のうちの半分を受験勉強に費やさなければならないからです。とはいえ、本番はまだ先の話と無計画に勉強をしていては、3年なんてあっという間に過ぎてしまうことでしょう。

中学受験の勉強が始まり、塾へ行く生活が日常化すると、通っているだけで満足してしまいがちです。けれども、それでは知識は定着しません。塾の授業を受けるときは、その前に「今日はこの解き方をしっかり聞いてこよう」「今日はこの単元を完璧に覚えるぞ」など目標を立て、気持ちを高めることが大切です。そのためには、「今日の授業では何を習うのか」、事前にカリキュラムを把握しておく必要があります。

塾からの宿題(復習)も多く、しっかり予習をしておくのは大変でしょう。実際、そこまでする必要もありません。その日に習う単元のページをパラパラとめくるだけでいいのです。一度ページを見ているのといないのでは、授業の理解度も違ってきます。

とはいえ、塾の授業を100%理解できる子というのはごくわずか。授業の内容は50%くらい理解できればいい方です。ただし、それをそのままにしておかないこと。授業の内容は、その日のうちに必ず振り返りましょう。習ったことをそのままにせず、その日のうちにいったん頭の中に残すことが大事なのです。

けれども、塾がある日は帰りが遅く、子どもも疲れています。まだ夕飯も食べていなし、お風呂にも入っていない・・・。どの家庭でもそんな状況だと思います。

そういうときは、夕飯の時間に、親子の会話の中で授業の話をさせるだけでも効果があります。習った単元そのものの話でなくても、授業で面白かった話や先生やクラスメートの様子を話すだけで、「あ、あのとき先生はあんなことを言っていたな。あんな図を書いていたな」と思い出すことがあるからです。

塾から帰ってから、机に向かって勉強をするのがつらいときは、テキストやノートを音読させるだけでも効果があります。要するに、授業の後の「復習」とは、「その日習ったことをそのままにしておかない」ということです。

塾がある日の家庭学習は、まず「授業で習ったことを振り返る」。そして時間があれば「宿題をやる」。この2つを心がければよいでしょう。特に4~5年生のうちは、この振り返りをしっかり行いましょう。親子でテキストやノートを見ながら、振り返るといいですね。

6年生になったら、まずお子さんに授業を振り返らせてみて、授業の内容が理解できているようなら、親御さんがランダムに問題を出してあげましょう。そのとき、ただ正解を答えさせるのではなく、「なぜそうなのかをお母さんに教えてくれる?」という聞き方で質問し、説明をさせると、理解の定着度が分かります。「分かる」の判断基準は、人にきちんと説明ができるかどうかです。物分かりのいい大人に説明するというよりは、自分よりも少し年が下の子に説明をさせる感じで、わかりやすい言葉で具体的に説明させるようにすると、より効果的です。

Point5 塾がない日は"メリハリ学習"を意識して

中学受験の勉強は、基本「毎日やるもの」です。では、塾がない日の学習は何をすればよいのでしょうか?

大手進学塾では、4年生で週2~3日、5年生で週3日、6年生になると週4~5日、塾へ通うことになります。塾がある日は帰りも遅く、お子さんも疲れていることでしょう。でも、その日の授業の「振り返り」だけは怠ってはいけません。

塾のない日は、比較的時間があるので、家庭学習がしっかりできるチャンスです。とはいえ、遊びたい盛りの小学生。塾のない日くらい伸び伸びと過ごさせてあげたいですよね。また、4年生のうちはまだ習い事を続けているお子さんも多いでしょう。それはそれで、忙しいですね。

塾がない日の家庭学習で大切なのはメリハリです。学校から帰ってから寝るまでの時間、ずっと遊びっぱなしというのはいけませんが、ダラダラと勉強をしていても意味がありません。ですから、受験勉強に集中する"ゴールデンタイム"をあらかじめ決めておきましょう。

"ゴールデンタイム"とは、お子さんの体力と気力が十分に残っていて、勉強に集中できる時間帯を指します。「努力しなければ解くことができない問題」や「じっくり考えるべき問題」、または「猛烈なスピードで暗記に取り組む」など、その子にとってしんどい勉強をやるのに適した時間です。6年生なら、この時間を1時間確保できればいいでしょう。秋以降は、その時間を使って本命校対策として、過去問の中の苦手な問題に取り組ませましょう。

そこで集中して勉強ができれば、あとの時間は暗記ものなどをゆるく勉強したり、既に理解している問題を短時間で解く練習をしたりするなど、"消化型の勉強"に充てていいでしょう。消化型の勉強とは、その子にとってあまり負担のない学習を指します。

勉強の効果は、時間の長さだけでは図れないと言いますが、納得のいく受験をするなら、塾がない日の平日の学習時間は、6年生なら1日4時間、5年生なら2~3時間、4年生なら2時間が目安です。

では、週末の過ごし方は?

4~5年生のうちは、日曜日は丸一日休めるようにすることが理想です。家でのんびり好きな漫画を読んだり、ぐっすり寝て1週間の疲れを取ったり、外で思いっきり遊んでリフレッシュしたりするなど、1週間に区切りをつけて、「よし今週も頑張るぞ!」と前向きに行動できるようなコンディションにしておきたいですね。

日曜日を"休息日"として確保するためには、平日の過ごし方がポイントとなります。理想のサイクルは、月曜~水曜を1ターム、木曜~土曜を1タームというように、月曜~土曜を3日ずつに分けます。そして、水曜に前半の振り返りを、土曜にその週全体の振り返りをします。

6年生になったら、日曜日を使って弱点補強や志望校対策に取り組みましょう。学年が上がるごとにテストも増えてくるので、日曜日にテスト直しをすることもあるでしょう。9月からは日曜特訓が始まるので、それまでに日曜の過ごし方を考え、有意義に過ごせるようにしましょう。

Point6 塾のクラスを上げるなら6年の春までに

春休みは各学年のスタート時期です。5年生を終了し、いよいよ受験生となる新6年生は、ここから一気に気持ちが入るのでは?と期待する親御さんがいるかと思いますが、実際はそうでない子の方が多かったりします。

塾では5年生の2月から6年生のカリキュラムが始まっていますが、学校の春休みは宿題がなく、学年が変わってクラス替えもあるので、どこか開放的な気分になりがちです。塾通いも長くなると、受験勉強が始まった頃のような緊張感は薄れ、とりあえず塾の春期講習さえ受けていればいいかくらいに思ってしまう子もいます。でも、それでは成績は絶対に伸びません。

新6年生の春期講習では、どの大手進学塾でも5年生で学ぶ内容の総復習を行います。しかし、その中身は塾によって大きく異なります。

例えばSAPIXなら、5年生の総復習といっても、同じことを繰り返し学習するわけではありません。これまで学習してきたことを「基礎」とし、より発展的な問題に取り組みます。つまり、基礎はもうできているという前提で進んでいくのです。また、入試に向けた問題にも取り組むため、復習という位置付けより、先に進む内容になっています。

同じテキストを使っている四谷大塚と早稲田アカデミーは、SAPIXほど進度は速くありませんが、5年生の総復習をするとともに、4月以降に学ぶ内容を先取りでして学習していきます。どちらの塾でも、5年生のうちに、受験に出題される範囲のすべてを終えているので、春休みは4月から始まる"応用問題への入口"という位置づけです。ですから、習った範囲をもう一度振り返る復習とは異なります。

一方、日能研は4・5年生で習った範囲の復習しかやりません。授業ではその中の重要単元を中心に勉強をしますが、これはすべての子にとって必要なものではありません。忙しい受験生にとって、既に分かっていることもう一度振り返る時間はありません。苦手分野を補強するなど、やるべきことは他にもあるはずです。得意な単元は受けないなど、各家庭でカスタマイズをしてもいいでしょう。

春休みは期間が短く、受験本番までまだ時間もあるので、夏休みや冬休みほど重要ではないと思っているご家庭がほとんどです。しかし、春休み明けには、各塾で志望校判定模試が実施されます。この模試の結果によって、おおよその志望校が定まってきます。大事な時期であることを肝に銘じておきましょう。

春休み中は、既に習った内容を復習することも大事ですが、一番の目標は「4月の模試で高得点を取る」ことです。

春休みが終わって6年生になると、小学校では最高学年になり、次第に自分が受験生であることを自覚するようになります。すると、みんなが頑張り始め、少々の努力では逆転が難しくなってきます。だからこそ、その前の春休みの間に、今後どういう学習をしていくのか見通しを立てておくことが大事になります。4月以降のカリキュラムを頭に入れ、テキストに一通り目を通し、「いつ」「何を」「どのように」学習していけばよいのか検討していきましょう。また、最高学年である6年生は、学校のさまざまな行事で時間を取られてしまいます。「いつ」「何があるのか」をしっかり把握しておき、そのための対策も考えておきましょう。

塾でクラスを上げたいのなら、新6年生の春が最後のチャンスです。4月以降はみんなも必死になって勉強をするので、順位を上げることが難しくなります。こうしたことを意識し、その対策が取れるかどうかで、その後の受験が変わってくるといってもいいでしょう。受験に大逆転はそう多くはありません。決して楽天的に考えず、しっかり計画を立てて進めていきましょう。

Point7 4年生の春休みは受験勉強スタートのウォーミングアップ期間

大手進学塾では、3年生の2月から新4年生のカリキュラムが始まります。その約1カ月後にやって来る春休みは、それまでに学習した内容をおさらいする期間に充てられます。塾の新学期がスタートしたとはいえ、中学受験をするか否かで迷っている家庭は案外多いもの。塾も新入塾生をさらに集めたいときなので、4月からの入塾組が同時スタートできるように、復習中心の内容となります。

だったら、受けなくてもいいのでは?
塾によっては、そうとも言えます。

例えば、日能研の春期講習では、算数は「四則計算」、理科は「昆虫」、社会は「地図」など比較的簡単な単元をおさらいします。既に理解できている子にとっては物足りない内容なので、必ずしも受ける必要はありません。

四谷大塚と早稲田アカデミーでも復習が中心となります。でも、4月以降に学習することに少し触れるので、できれば受講した方がいいでしょう。

一方、SAPIXは2月からの平常授業でならったことは一切復習せず、そのまま先へと進んでいきます。つまり、復習は家庭学習に任せ、全塾生が2月にスタートを切ることを前提に進んでいくのです。例えば、算数では「数の性質」「平面図形」「数列」など、今後の学習で重要になってくる単元の入口を学習していきます。春期講習でさらりと触れておき、その後の平常授業で本格的に学んでいくというわけです。ですから、春期講習の受講は必須となります。

このように、中学受験の勉強が始まってからわずか1カ月半の間で、各塾の進め方の違いが見えてきます。

では、中学受験の勉強が始まった子ども達は、どんな様子なのでしょうか?

塾に入ったばかりの3年生の2月は、塾のペースに慣れるまでの期間だと思っていいでしょう。これまで親と一緒にしか乗ったことがなかった電車に一人で乗ったり、塾から帰ってきて、遅い夕飯を食べたりと、これまでとは違う生活に、多くのお子さんは慣れず、疲れているはずです。実際、全体の約6割程度のお子さんが、3月に入ってもまだペースが定まっていないものです。

しかし、4月になると塾での本格的な学習がスタートします。ここで好スタートを切れるかどうかは、実は春休みの過ごし方にかかっているのです。それまでに習ったものの中に苦手な分野があれば、春休み中にしっかり学習し、苦手を克服しましょう。春期講習の目的は「苦手をそのままにしておかない」ことです。ここで苦手を克服できれば、4月から自信を持ってスタートを切ることができます。

一方で注意して欲しいのが、"勉強のやらせ過ぎ"です。春休み中は学校の宿題はなく、塾の宿題もそれほど多くは出されません。そこでありがちなのが、「もっと勉強しなくていいのかしら?」「もっと勉強させておかないと」と、家庭でとりあえず市販のドリルなどをあれこれやらせてしまうケースです。数多くやればよいと手当たり次第、市販のドリルをやらせても、塾の勉強とはつながることはあまりありません。むしろ、ただ闇雲にやらせると、勉強嫌いになってしまう恐れがあります。

受験勉強は3年間という長期戦です。スタートの段階から"勉強はつらいもの"と思わせてしまったら、途中で投げ出してしまいたくなるでしょう。この時期は、家庭学習のやり方を間違えないことが大事です。

中学受験生としての生活ペースを整え、苦手分野を克服する。4年生の春休みは、これから本格的に始まる受験勉強が好スタートに切れるようにするためのウォーミングアップ期間なのです。

Point8 5年生の春休みは4月に好スタートを切るための準備を

塾通いも1年が過ぎた、新5年生の春休み。各塾の春期講習は、こんな内容になっています。

復習が中心だった4年生の春期講習と異なり、5年生の春期講習は、これまでに習った単元の復習をしつつも、先へ進んでいく傾向にあります。

SAPIXでは、4年生後半に学んだ内容をさらりと復習しつつ、どんどん先へ進んでいきます。例えば、算数なら「平面・立体図形」「数に関する問題」など、4年生で習った単元の応用へと入っていきます。

四谷大塚と早稲田アカデミーでは、4年生で学んだ内容のおさらいと4月以降の先取り学習をします。例えば、算数は「食塩水」や「売買損益」「立体図形」など、夏以降から始まる重要単元の学習が始まります。これらはつまずきやすい単元なので、春休み中に理解を深めておきたいところです。

日能研は復習に徹します。4年生の後半頃から成績が伸び悩んでいる子は、ここでもう一度仕切り直すチャンスです。前の章でも説明をしましたが、5年生になると学習量が急激に増えます。また、学習する内容も「暗記型」から「思考型」へと変わっていきます。4月以降、5年生の学習カリキュラムが本格的に始まると、立て直しは極めて難しくなるので、春休み中に苦手分野をしっかり克服しましょう。そして、4月から気持ちを新たに頑張っていけば、成績を伸ばすことができます。

逆に、これまでに習ったことが十分理解できている成績上位の子は、春期講習を受講する必要はありません。家庭学習のペースを落とさず、4月以降どういう勉強をしていくか学習スケジュールをしっかり立てて、少し先取りをしておきましょう。

日能研の春期講習を受けるかどうか迷ったら、まずは塾へ相談してみてください。ただ「受講した方がよいでしょうか?」と聞くと、塾側も利益を追求する企業ですから、おそらく「受けた方がいいでしょう」という答えが返ってきます。それでは、相談になりませんね。

そういう場合は、さらに「参加した場合、どのような効果が出ますか?」「何月のテストにその効果が出るのでしょうか?」など、もう一歩突っ込んだ質問をしてみましょう。その答えが一般論であったり、あまり効果がなさそうと感じたりしたなら、あえて受講する必要はないと思います。

春休みは、新学年の本格的な学習が始まる4月に、好発進できるようにするための準備期間です。5年生はこれからどんどん学習量が増えてきます。扱う問題も難しくなります。ここまで順調に来られた子も、つまずいている子も、ここで一度仕切り直し、新たな気持ちで4月を迎える。それを意識した学習ができるかどうかで、今後の成績が変わってきます。

Point9 受験の天王山 6年生の夏休み

中学受験本番まで約7カ月となる夏休み。夏休みは学校がないぶん、まとまった勉強時間が確保でき、この夏の成果が入試の成功につながると言われています。まさに、"受験の天王山"!

実際、6年生の夏休みは、普段の3~4倍は勉強することになります。各塾では、全生徒必修の夏期講習に加え、オプション講座にもかかわらず、ほぼ強制的に受講を勧められる特別講習もあり、お盆休みを除いてほぼ毎日、塾に通うことになります。塾で過ごす時間も、朝から夜までと長く、ほぼ一日と思っておいた方がいいでしょう。

しかし、勉強はそれで終わりというわけではありません。その日の授業で習ったことを定着させるために、塾から大量の宿題が出され、それを家でこなしていかなければなりません。また、秋以降の本格的な志望校対策が始まる前に、苦手単元の克服もしておかなければなりません。夏休みは約40日間あります。でも、やることだって山積みなのです。

ところが、これほどまで勉強をしても、最後までやり切り成果を出せる子は、全体の約2割というのが現実です。

それはなぜでしょう?

原因は学習の進め方にあります。

夏休みは塾の夏期講習や特別講習があるため、塾による拘束時間が長くなります。その上、授業で習ったことを復習するための宿題が大量に出されます。夏休みに入ると、毎日が講習による時間の拘束と宿題に追われ、苦手克服やテスト対策などのそれ以外の勉強ができなくなってしまうのです。しかし、夏休み後の9月には、志望校合否判定テストなど、後期に始まる志望校別特訓の受講資格を決める大事なテストがあります。志望校合否判定テストの範囲は広く、苦手をそのままにしていると、思うような得点が取れません。

ですから、6・7月の2カ月間を夏休みに向けて体制を整える期間として活用し、できるだけ苦手分野の克服をしておきましょう。

それには、まず計画を立てることです。6年生の夏の計画は、6月に行いましょう。6月に入ると、塾から夏休み中の学習の関する詳しいカリキュラムを発表します。塾によっては、4月の時点で明らかにしているところもあります。「夏休みなんてまだ先のこと」と見過ごさないように気を付けましょう。

カリキュラムが発表されたら、夏休み中にどんな学習をするのか、親子で把握しておきます。前にも述べましたが、夏休みは塾の講習と宿題で手一杯の状態になります。苦手分野の勉強はその前にやっておくことをおすすめします。

そこで、6月頃からこの夏に向けた学習計画を立て、7月から少しずつ準備を進めていきましょう。"受験の天王山"である夏休みを乗り越えるには、その約2カ月前から助走をつけておくことが大事なのです。

夏休みの計画は、次の4つのタームに分けて考えるといいでしょう。

  • ①スタートから7/31まで
  • ②8/1からお盆まで
  • ③お盆期間
  • ④お盆から新学期まで

夏期講習が始まると、塾の勉強に追われることになるので、学校の宿題は塾の夏期講習開始前日までに終わらせておくことが理想です。例えば、読書感想文の宿題は、入試に出そうな作家の本を読み、自由研究はこれまで受験勉強で学習したことのある内容をまとめるなどすれば、負担を軽減できるだけでなく、受験勉強にも活きてきます。

夏期講習中は、家庭で復習をしっかり行い、その日のうちに覚える努力をしましょう。

お盆中は塾も休みになりますが、「受験を控えた6年生の夏は旅行に行けない」と思っておいた方がいいでしょう。よほど余裕のある子なら構いませんが、6・7月中に終わらなかった苦手分野を、この期間を使って克服する方が賢明です。ただし、半日でもいいので、思いっきり遊べる日を作ってあげて欲しいと思います。短い時間でも、「遊び切った!」という満足感を与えた方が、よい気分転換となり、その後の学習には効果的だからです。

お盆から新学期までは、塾の勉強と復習をしっかりやりながら、9月に実施される志望校合否判定テストの対策も進めていきましょう。

とはいえ、いくら計画的に進めようと思っていても、いざ夏休みがスタートすると、思うようにいかなくなってくることもあるでしょう。そんなときはムリにやらせるのではなく、上の4つのタームごとに「できたこと」「できなかったこと」を振り返り、次のタームで立て直すようにしましょう。前のタームでできなかったことは、とりあえず後回しにして、目の前のタームに集中して構いません。一番やってはいけないのは、ただ闇雲に勉強をさせてしまうことです。

6年生の夏休みは、とにかく体力勝負です。この夏の頑張りが秋以降の成績につながっていきますので、とにかく体を崩さないように体調管理には十分気を付けましょう。

Point10 実は中学受験で一番の要は5年生の夏休み

前のページで、"中学受験の天王山"は6年生の夏休みと書きました。本番約7カ月前の6年生の夏休みは、確かに大事な時期です。でも、それはほとんどの受験生が意識していること。だから、みんな頑張ります。

でも、中学受験の勉強に取り組む3年間を全体で見たとき、実は中学受験で一番大事なのは、5年生の夏休みなのです。

5年生の夏期講習は、塾によってその中身が変わってきます。

日能研をはじめとする多くの受験塾では、これまで学習してきた内容の復習を中心に進めていきます。ですから、5年生の夏休みは苦手だった単元を克服する絶好のチャンスです。この先、塾での学習量はますます増えていきます。家庭学習はその復習だけでいっぱいいっぱいになります。ここでしっかり定着させて、秋以降の学習へとつなげていければ、理想の夏休みとなります。

一方、SAPIXの夏期講習は、若干の単元復習はあるものの、カリキュラムは先へと進んでいきます。前の学年で習った単元をもう一度習うスパイラル式のカリキュラムとはいえ、実際は同じ単元でも、二度学習するのではなく、次に習うときはよりレベルの高いものを学習していきます。そのため、他塾でいう復習とは大きく内容が違ってきます。

例えば、SAPIXの5年生の夏期講習の算数では、「規則性」「数の場合」「比と割合」など、中学受験の算数で最も重要な単元を学習します。特に「規則性」は、5年生の夏の段階できちんと理解できなければ、6年生ではとても太刀打ちできません。つまり、ここでしっかり定着させておかなければ、学力が二極化してしまい、その先で挽回するのは極めて難しくなります。

そういう点において、SAPIXでは、この夏に学習する「5年生の算数を乗り切れるかが肝」となります。対策としては、授業で習ったことは、その日のうちにしっかり復習し、「わからない状態のまま」にしないことです。しかし、夏休みは他の教科の課題も多く、やり切れない場合も出てきます。そんなときは、講習のないお盆の期間を利用し、しっかり学習をして、理解しておくこと。これらの重要単元は、6年生になってから学習していく発展問題に備えて、何が何でもこの夏に定着させておきましょう。

5年生は、受験本番まであと1年以上もあります。しかし、中学受験で難関校を狙うのであれば、6年生で実施される志望校別講座を、上位クラスで受講できなければ、合格を手に入れることは極めて難しくなります。そして、その受験資格を取るためには、5年生の秋以降の成績に大きく左右されます。そのため、秋からの学習を順調に進めていくには、5年生の夏が勝負となってくるのです。

同じことは、他の大手進学塾でも言えます。

例えば、日能研はSAPIXと比べて学力的には間口の広い塾ですが、中堅校以上の学校を狙うのであれば、少しでもここでクラスアップを目指していかなければなりません。

実は、日能研ではこのクラス分けが運命の分かれ道にもなるのです。というのは、日能研は上位クラスと下位クラスによって、テストで出題される問題が異なるからです。それに伴い、授業で扱われる問題も違ってきます。上位クラスに入れば、授業では共通問題にプラスして発展問題も学習できますが、下位クラスに入ってしまうと、基本問題の確認と復習ばかりで、それ以上の学習はしません。つまり、難関校受験に必要な学習をやらせてもらえないということです。

難関校を目指すなら、5年生の夏の段階で偏差値50~55がボーダーラインとなるでしょう。そこで、どちらのクラスに入れるかによって、秋以降の目標が大きく変わってきてしまいます。受験本番まであと1年以上もあるのに、5年生の夏の成績である程度の志望校が決められてしまうということです。

対策としては、とにかくこの夏に成績を上げることです。それには、6年生の夏休み対策同様に、夏休みに入る前の6月の段階からこの夏の学習スケジュールを立て、夏休み前に苦手な単元を克服しておくこと。そして、講習が始まったら、その日に習ったことはその日のうちに復習し、「わからない状態」にしておかないことです。

日能研は、中学受験に必要な単元をすべて学習し終わるのが、他塾と比べて1~2カ月と遅く、6年生の秋以降がしんどくなる塾です。総合的な学習が必要なこの時期に、理科や社会など暗記が必要なものを学習し直している時間はありません。こうした塾のカリキュラムを事前に把握しておき、6年生の大事な時期に"詰め込み学習"に陥らないようにするためには、5年生の夏にしっかり学習をしておきましょう。そして、難関校を目指すなら、秋以降には絶対に上位クラスに入れるようにテスト対策をしていきましょう。

Point11 塾との相性を見極める4年生の夏

3年生の2月からスタートした受験勉強も半年が経つと、多くの子は塾通いに慣れてきます。しかし、この時点でもまだ「本人が受験をしたがらない」「勉強にまったく身が入らない」というのであれば、ここでもう一度、中学受験をするかしないかを考えた方がいいかもしれません。

「中学受験をする」という選択は、小学校生活の約半分を受験勉強に費やすことを意味します。4年生のうちは、まだ塾に通う日は週2日と少なく、放課後に友達と遊ぶこともできます。しかし、5年生になれば週3日、6年生になると週4~5日とほぼ毎日塾に通うことになります。それは、小学生にとっては大きな負担です。ですから、半年経ったこの時点でまだ中学受験をするかしないか迷っているのであれば、「しない」と選択するのもアリだと思います。なぜなら、4年生の夏以降になると、「中学受験をやめる」という選択がしにくくなってくるからです。

また、4年生の夏は、塾との相性を見直すにもいい機会です。第2章・3章でも説明したように、ひとくちに大手進学塾といっても、その中身はさまざまです。「とりあえず有名だから」「難関校の合格実績が№1だから」「周りの友達がみんな行っているから」という理由だけで塾を選んでしまったとしたら、その塾がお子さんに本当に合っているかどうか、今一度振り返ってみる必要があります。「競争しながら伸びていける子」「コツコツ頑張るタイプの子」など、子どもの性格によって塾との相性も違ってくるからです。

それが顕著に表れる塾といえば、早稲田アカデミーでしょう。第2章でも紹介しましたが、早稲田アカデミーは繰り返し学習することで知識を定着させていく、反復学習スタイルの塾です。こういうタイプの塾は、コツコツと頑張る子には向いている塾ですが、大人の目がないとさぼるタイプの子には向きません。

また、講師の指導は"熱血"で、宿題の量は他塾に比べ非常に多いので、気力と体力のある子に向いている塾です。

早稲田アカデミーの特徴を表すものとして、夏の合宿があります。首都圏の大手進学塾の中で、夏合宿を行っている唯一の塾です。4年生の合宿は3泊4日で勉強と自然体験が目的です。自然体験は川で魚つかみをするなど、10歳の子どもが楽しく過ごせるように工夫されていますが、それ以外はほとんど勉強で、3日間は夜10時まで授業やテストがあります。

しかし、勉強はたくさんの量をやれば成績が伸びるわけではありません。勉強をするしかない環境に置かれることで、ある意味、気持ちが吹っ切れて集中できる子は、この合宿で大きく伸びる可能性はあります。しかし、遊びとのバランスを上手にとりながら、自分のペースで受験勉強をしてきた子の中には、メリハリがないぶん、かえって集中力が低下し、成績を落としてしまう子もいます。

また、ハチマキをしながら気合いを入れて勉強をする早稲田アカデミーならではの塾の雰囲気に圧倒されてしまうような闘争心のない子、メンタル面が弱い子、親がそばにいないとダメな子にとっては、この合宿はマイナスにしかなりません。

4年生の合宿に参加して合わないなと思ったら、転塾を考えた方がいいかもしれません。夏合宿は、学年が上がるにつれハードになります。6年生の夏合宿はそれこそ勉強漬けです。また、早稲田アカデミーは入試直前期になると、毎日入試問題を解かせるため、気力・体力に自信がない子は、正直厳しい塾でしょう。

中学受験の勉強は長期戦です。一度、始めてしまうと、なかなか後に引けなくなります。特に子どもの力はまだ未知数ですから、「今はまだ目標に届いていないけれど、これから伸びていくかもしれない」と、親は期待してしまいがちです。もちろん、この3年で学力がグングン伸びていく子もいます。でも、それはお子さんの今の学力や性格などを親が冷静に見て、お子さんが「ここなら頑張れそう!」と気持ちが乗ってくる塾を選べたときの話。難関校の合格実績がよい塾へ入れたからといって、お子さんの成績が伸びると保証されたわけではありません。

考えてみてください。例えば、あなたが靴を買うとき、家のクローゼットにどんな服があるかを思い返して、それに合ったものを買いませんか? カジュアルな服しか持っていないのに、ヒールは選びませんよね? また、その日の夕飯の献立を考えるときも、まず冷蔵庫の中身を見てから買い物へ行くはずです。それなのに、なぜか塾選びに関しては、わが子の学力や性格を見ずに、ブランド名だけで塾を選んでしまう親御さんが多い。その結果、お子さんの性格と塾の方針にミスマッチが生じ、失敗してしまうケースが出てくるのです。

のんびりタイプに早稲田アカデミーは合いません。早稲田アカデミーは体力的にも、気力的にもハードな塾です。

地元の公立中に行くのはちょっと不安・・・。近くに伸び伸びと過ごせる中堅校があるから、そこに入れたい。であれば、何も勉強がハードなSAPIXに入れる必要はありません。

「みんなが行っているから」「有名だから」ではなく、「お子さんにとってどこの塾なら一番気持ちよく勉強ができるか」をよく考え、これから長い付き合いとなる塾を選びましょう。

半年間通ってみて、「あれ? ちょっと違うな」と違和感を覚えたら、転塾するなら今です。

転塾を検討する際は、必ず本人を転塾先の塾に連れて行き、本人の感想を聞いてみましょう。そして、親は候補となる塾のカリキュラムを調べ、やっていない単元があればあらかじめ子どもに学習をさせておくなど、新しい塾でスムーズに学習に入れるようフォローしておくことも大事です。

『中学受験生 3年間の乗り越え方【秋冬編】』はこちら。

この記事を書いた人
主任相談員 小川 大介主任相談員 小川 大介
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