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中学受験 苦手な「電流」を得意にする方法 その1

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公開: 最終更新日:2021年07月20日

多くのお子さんが苦手とする理科の単元の1つに「電流」があります。
テストでもある程度は正解できるんだけど、なんだか今ひとつ納得感がないというか、完全には理解できていないという「モヤモヤ感」のようなものがあるお子さんも多いようです。

ここでは、うまく電流を理解してそんな苦手意識をなくしてしまう方法を考えてみましょう。

導線は「水の入ったホース」!?

私がお子さんに電流の単元を指導するとき、まず「電流・電圧・電気抵抗」のイメージをつかんでもらいようにしています。

「まずはじめに、電気は電池から出てくるのではないと考えてくださいね。」

こう伝えると、お子さんたちは非常に驚きます。

「導線というホースに、すでに水は入っているんだけど、動いてないんだ。豆電球って名前の水車を回そうとしたら、水の『流れ』が必要でしょ?その『流れ』を起こすポンプが電池なんだよ。」

こんなことを言いながら、下のような図を書くと、子どもたちの中に導線の中を流れる自由電子(もちろん小学生にはこう伝えませんが)のイメージができあがります。

「電圧」=「電池パワー」

電圧は「電池パワー」です。電圧が強ければ強いほど流れる電流は大きくなります。
ここで、普段よく使う単3、単4などの電池パワーが1.5V、家庭用コンセントが100Vといった話をしてあげると、日常使う電気のパワーがいかに大きいかをイメージできますね。

電池パワーは、乾電池を直列でつなぐと大きくなります。

の電池パワーが1なら、

の電池パワーは2ということになります。

乾電池を直列つなぎで2個、3個と増やしていくと、電池パワーが2倍、3倍となり、回路に流れる電流も2倍、3倍となっていきます。

一方、電池パワーは乾電池を直列でつなぐと大きくなるので、並列つなぎで電池を増やしても、流れる電流は大きくなりません。

の電池パワーは1であり、

の電池パワーは2だということです。

ここでお子さんたちに持たせてあげたいのは、

「流れる電流の大きさを考えるときには、とにかく乾電池の直列個数に注目すればよい」

という感覚です。

「無駄な●●はやめろ〜!」

電気抵抗の話をするときには、私はいつも「『抵抗』ってことば、普段どんなときに使う?」と子どもたちに質問します。

なかなかふだん「抵抗」という言葉を子どもが使うシチュエーションはないと思うのですが、「犯人が人質をとって立てこもってたら『無駄な抵抗はやめろ〜!』って言うよね?拡声器使って。」みたいな話をすると「うん、うん」と乗ってきます。

あらためて「じゃ、抵抗って言葉の意味は?」と問いかけると、だんだん言葉になってきます。

「邪魔するとか、歯向かうとか、そんな感じ?」

そうそう、そんな感じです。
その感覚を持つことが大事なんです。

豆電球は、電気抵抗です。
そもそも電気が流れにくいところに「電池パワー」を使って電流を流すので、熱や光が発生するんですね。

電流が流れにくいのが豆電球なのですから、これを直列につなぐと「流れにくい道のりが長くなる」つまり電気抵抗が大きくなって、電流が流れにくくなります。

ということですね。
豆電球を2個、3個と直列つなぎで増やしていくと、電気抵抗は2倍、3倍となり、回路に流れる電流の大きさは1/2倍、1/3倍となります。

さて、ここまでをまとめましょう。

回路に流れる電流は、乾電池の直列個数に比例し、乾電池の直列個数が2倍、3倍になると、回路に流れる電流は2倍、3倍になります。
また、
回路に流れる電流は豆電球の直列個数に反比例し、豆電球の直列個数が2倍、3倍になると、回路に流れる電流の大きさは1/2倍、1/3倍となります。

つまり、乾電池1個、豆電球1個の回路に流れる電流を①と考えた場合、

いろいろな回路に流れる電流の大きさは、

で表すことができます。たとえば

といった具合です。

これで単純な回路に流れる電流の大きさはすべて出すことができます。
やや複雑な回路の考え方は、次回のコラムでお届けします。
まずは上記の

を使っていろいろな回路の問題を考えてみてください。

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