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中学受験 勉強時間は長すぎませんか?

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公開: 最終更新日:2021年07月26日

「家庭でどのくらいの時間勉強すべきですか?」というご質問が寄せられることがあります。実際問題、お通いの塾によって家庭学習の時間は大きく違ってきますが、1つ言えることは、成績が良い、偏差値が高いお子さんが長時間勉強しているわけではない、ということです。

「できる子は長時間勉強している」という幻想

保護者の皆様から質問されることが多いものとして「(我が子より)成績の良い子供たちはどれだけ勉強しているのか」という質問があります。

つまり親から見れば我が子はすごく頑張って勉強しているが、どうしても上位の子たちに及ばない。ならば上位の子たちは「睡眠時間を削って勉強している」のではないかという思い込みです。

当然答えはノーです。中学受験は長丁場の戦いになりますので、睡眠時間を削るといった無理を強いれば、お子さんの健康面・精神面にまず間違いなくマイナスの影響が出ます。

頑張りすぎは、なぜ成績を下げてしまうのか

サピックス、日能研、浜学園、希学園といった大手進学塾で中位クラスあたりで伸び悩む子たちの中には「家庭学習を頑張り過ぎている」(≒睡眠時間を削って勉強している)子たちが一定数います。

そして悲しいことにこういった子たちの多くは5、6年生あたりで、ずるずると成績を落としていくパターンに陥ります。こういった光景は学習塾の先生たちが毎年たくさん見ているものです。

このタイプの親御さんやお子さんは、不安から自分より成績上位の子たちが「(自分よりもっと)長時間勉強しているに違いない」と思い、自ら勉強や生活のリズムを崩して成績を下げていくというスパイラルに落ち込んでいってしまっているのです。

睡眠時間を削って練習するスポーツ選手はいません。そんなことをすればむしろコンディションを落として練習効果が下がり、非効率になることを知っているからです。一流の選手ほど練習量を緻密にコントロールし、身体と心のコンディションを高い次元で維持しながら、効率的に訓練を行なっています。

長時間ダラダラと勉強する習慣をつけると他にも弊害がでてきます。それは中学受験で最も重要な「集中力」が身につき辛くなることです。そして長期間そういった勉強を繰り返すと、むしろどんどん「集中力」がなくなっていきます。

短時間で効率よく勉強することで「集中力」を高める

中学受験の試験時間はどの教科の試験も30分から60分程度です。算数を例にとってみると、大問1つあたり5分から10分程度の配分になるものがほとんどです。本番の試験がそういったものであるならば、日々の訓練もそういった時間で繰り返されるべきではないでしょうか。

長時間ダラダラと勉強させていると、本来5分から10分で解かなければならない問題であるにもかかわらず、解法が分からない箇所で思考を停止し、ボーッとしてしまうという悪い癖がつきます。そういった子の多くがテストで時間配分を失敗します。

そして時間配分の苦手な子は、焦りから簡単な問題でのケアレスミスも増えてきます。その結果テストの点が非常に不安定になり、最終的には成績が下がります。

学校や塾の授業が、1コマ30分から90分程度なのは、一般的な小学生の集中できる時間がその程度だからです。肉体的にも精神的にも幼い子供であることを考慮すれば、家庭でもダラダラと長時間勉強させず、中学受験の試験と同様に30分から60分程度に区切って、集中して学習を繰り返させる方が、はるかに学習効果が高いのです。

この練習に、塾の宿題を使うのです。範囲と時間を決めて、短めの時間で集中して問題を解き切る。わからなければ、一定の時間で切り上げ、解説を読んで理解できるか確認する。こういうサイクルをテンポよくこなせると、勉強時間に無駄がなくなり、いたずらに長時間勉強しているということがなくなっていきます。

 

中学受験の時期が近づいていくればくるほど不安は増し、親は長時間の勉強を課し、子供は考えることを止めて、暗記型の学習に流れやすい傾向にあります。誰でも受験が迫れば不安になるものですが、今回の内容を参考に、ぜひそうならないよう気をつけて、計画的に中学受験にのぞんでくださいね。

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