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算数の基礎固め 低学年のうちに楽しく算数を学ぶことの大切さとは

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公開: 最終更新日:2023年11月05日

高学年になって算数でつまずく子のほとんどが、低学年の算数をしっかり理解していなかったり、早い段階で苦手意識を持っているようです。
そうならないために大人ができること、算数を勉強するうえで注意する点についてお伝えします。

低学年から中学年の時期も重要

中学受験にする・しないにかかわらず、1〜4年生の算数はとても大切です。
学校の教科書の内容をしっかり理解したうえで、宿題以外の問題集に取り組み、また毎日10分でいいので計算練習をする習慣が身についていることが理想です。

超難問と言われる中学受験の算数の問題も、すべての土台は小学校低学年や中学年の算数です。
この土台に小学校高学年の算数が積み上がり、これは中学、高校の数学につながっていきます。

早期英才教育や先取り学習の塾、低学年からの中学受験対策塾に通わせることで、むしろ算数が嫌いになったり、苦手意識を持ってしまうこともあります。
低学年のうちは特に、「算数って楽しい」と感じられるように、あまり無理せず子どもの興味に沿って勉強を進めていくように気をつけてください。

知ることの喜び、算数の楽しさをどれだけ伝えられるか

1年生の算数の教科書を見てみると、カラフルで本当に楽しそうに見えます。
お道具箱の中にもきれいなおはじきやカラーバー、カードなども入っていますね。
ひとつひとつに名前を書く苦労もお母さんにはあると思いますが、子どもにとっては、ひとつひとつ自分の名前が入っているのも、うれしいのかもしれません。
このときに「これから、いろんな楽しいことを学んでいくんだろうなあ」と漠然としたイメージを持つでしょう。
この予感がずっと続くのが、算数の学習にとって理想です。

たし算やひき算を知って答えがちゃんと合う喜びを知ったり、九九を覚えて友達どうしで披露したり競争し合ったり、少数や分数について理解して難しい問題を解く気持ち良さを感じたことを積み重ねていくことができたら、算数の勉強は子どもにとって楽しいものになるでしょう。
「わかった!」「できた!」と同時に「もっと難しい問題にもチャレンジしたい」「もっとたくさんいろいろな問題を解いてみたい」という気持ちになることが、算数本来のおもしろさとも言えます。

算数が苦手になってしまう前に

でも、実際にはどれだけの子どもがその本当の楽しさを知っているのでしょうか。
わくわくしてふたを開けていたお道具箱も少しずつ中身が乱雑になり、おはじきは半分くらいが行方不明になっていないでしょうか。
学年が上がるにつれ、いつのまにか「計算問題はめんどくさい」「文章題は苦手」などという声が多くなってしまいます。

お母さんの中にも「実は算数が苦手」と感じている方は少なくないようです。
「私も子どもの頃は算数が嫌いだったから、子どもが嫌いでもしょうがない」「最近の算数は昔よりずっと難しいみたいだからお手上げ」「算数の宿題は私が見てもさっぱりわからない」と逃げ腰になっていないでしょうか。

算数が苦手なために勉強そのものが好きでなくなってしまわないためにも、ぜひ、子どもに算数の楽しさを伝えてあげてください。
問題ができた、納得ができた、数字がきっちり合ったときなどの快感は、ほかの教科には変えがたいものです。
算数が苦手になる前に、その嬉しさや楽しさを子どもに味わってもらいましょう。

「繰り上がり」や「分数」をしっかり理解する

算数が苦手になってしまう根本的な原因のひとつとして、「深く納得できないまま、次に進んでしまう」というものがあります。
特に小学校低学年の算数は、難しい問題を解く必要はないので、ちゃんと子どもが納得してから次に進むことが大切です。

たとえば「繰り上がりのあるたし算」なら、「繰り上がり」とは一体何のことなのか、十の位とはどういうことなのか、しっかりわかっていないと、ただの隣り合っている数字として思えなくなってしまいます。
これは算数という勉強の仕組みを理解することにもつながるので、低学年のうちにしっかりわかるように時間を割いてください。

学校の授業では、この「繰り上がり」「繰り下がり」に比較的時間を割いて説明します。
しばらく、宿題に「繰り上がり」「繰り下がり」の計算問題が続く時期もあると思います。
このときに少しでも子どもがつまずいていたり、理解していないと感じたら、家庭でしっかりフォローしてあげてください。

「分数」も同じで、そもそも「分数」とは何なのか、どのような数を表しているのかを先にしっかり理解したうえで計算問題に進むことが大切です。
同じように「少数」という概念をわかっていないと「かけ算の答えはふつうなら大きくなるのに、なぜ少数のかけ算は数が小さくなってしまうのか」という疑問がふつふつと沸き上がってきます。
そのもやもやを抱えたままどんどん先に進んでしまうと、「わからないことがわからない」という状態に陥ってしまうこともあります。
最初は深く理解してなくても答えを出せるかもしれませんが、難易度が上がるとそれもできなっていくので、基礎をしっかり固めることが重要です。

高学年でしわ寄せが出てきてしまう

基礎がしっかり理解できていないと、そのしわ寄せは高学年になってからやってきます。
繰り上がりや繰り下がりの概念がわかっていなくても、最初のうちは指折り数えたら答えが出ますが、高学年になるとそうはいきません。
分数も少数の計算問題も、高学年に至るまで何度も繰り返し、少しずつ難易度を上げながら出てきます。

しかも、計算問題だけでなく文章題や図形問題も登場するので、これを基礎がわかっていない子どもに説明しても、なかなか納得することはできません。
さらに複雑な問題になると、「問題の意味がわからない」ということも出てくるでしょう。

そうならないためにも、小学校低学年から中学年の算数はとても重要です。
「楽しい」というイメージを保ちつつ、しっかり基礎を固めておいてください。

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