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第397回 2018年度中学入試の文章題 3

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文章題の練習問題2018年06月23日18時00分

「第397回 2018年度中学入試の文章題 3」


2018年度の中学入試で出された「文章題」について見てきています。


前回は「文章題」の中から、「仕事算」をご紹介しました。


そこで今回は、「仕事算」の発展問題である「ニュートン算」についてみていこうと思います。


2018年度に有名中学で出題された「ニュートン算」は、基本レベルの問題、「つるかめ算」や「消去算」を含む融合問題、仕事全体の量が等しくないニュートン算など、今年度もいろいろな工夫がなされていました。


そのような問題の中から、1問目に見ていく問題は基本レベルの問題です。


出題校は、1学年5クラス(約220名)という規模ながら、地元の京都大学に現浪合わせて例年50名ほどが合格する京都の名門校、洛星中学校です。




2018年度 洛星中学校 入試問題 算数 より 

問題2-(1) 容積が600Lの水そうに、同じ2本のじゃ口から一定の割合で水を入れます。また、水そうの底面には穴が開いていて、一定の割合で水が外に流れ出ます。空の水そうに、じゃ口1本だけを使って水を入れると、40分で満水になり、空の水そうに、じゃ口2本だけを使って水を入れると、15分で満水になります。満水の状態でじゃ口を止めたとき、そこから何分で空になりますか。








【解答例】
ニュートン算は「邪魔されながら行う仕事算」ですから、仕事算の2つの解法「① 仕事全体=1または時間の最小公倍数 ② 単位あたりの仕事量=1」を利用することができます。



・仕事全体=時間の最小公倍数として解く場合 

本問では仕事全体が600Lとわかっていますので、最小公倍数に仮定する必要はありません。

600L÷40分=15L/分...穴から水が流れ出ながらじゃ口1本を使って水を入れたときに1分間でたまる水の量 

600L÷15分=40L/分...穴から水が流れ出ながらじゃ口2本を使って水を入れたときに1分間でたまる水の量 

40L/分-15L/分=25L/分...じゃ口1本から1分間に入る水の量 

20180612170456.jpg


上の絵から、穴から1分間に流れ出る水の量は 25L/分-15L/分=10L/分 とわかりますから、600L÷10L/分=60 が答えです。




・単位あたりの仕事量を1として解く場合 

じゃ口1本から1分間に入る水の量=1とすると、「給水量-排水量=水そうの容積」という関係を次の線分図のように表すことができます。

20180612170525.jpg


上の線分図より、1分間の排水量が 10÷25=0.4 ですから、

30-0.4×15分=24=水そうの容積600L 

600L÷24=25L=1

とわかります。

25L×0.4=10L/分...排水量 

600L÷10L/分=60 






続いて、2問目の出題校は、暁星中学校です。


暁星中学校は入学試験日が2月3日に実施されており1日、2日に入試が行われる中学校との併願受験が可能で、平成30年度には約75名の募集に対しそのおよそ3倍となる223名が受験した人気校です。




2018年度 暁星中学校 入試問題 算数 より 

問題3 ある美術館では、開館前から毎分同じ割合で人が並びます。毎日開館時間ちょうどには270人の行列ができます。入口が1ヶ所の日は開館して2時間後、4ヶ所の日は開館して20分後に行列がなくなります。次の各問いに答えなさい。ただし、どの入口も毎分同じ割合で人を通すものとします。

(1) 入口が2ヶ所の日に、行列がなくなるのは開館して何分後ですか。

(2) 最初は入口が1ヶ所でしたが、途中で2ヶ所にしたら、開館して1時間後に行列がなくなりました。入口が2ヶ所だった時間は何分間ですか。







【解答例】
(1) 
本問は前問と同様に「仕事全体=270人」とわかっていますので、これをそのまま利用します。

20180612170722.jpg


270人÷120分=2.25人...人が並びながら入口1ヶ所を使って人を通したときに1分間に減る行列の人数 

270人÷20分=13.5人...人が並びながら入口4ヶ所を使って人を通したときに1分間に減る行列の人数 

13.5人-2.25人=11.25人...入口3ヶ所を1分間に通る人数 

11.25人÷3ヶ所=3.75人...入口1ヶ所を1分間に通る人数 

3.75人-2.25人=1.5人...人が1分間に並ぶ人数 

270人÷(3.75人×2ヶ所-1.5人)=45分後 


(2) 
最初に入口を1ヶ所にしたときは行列が1分間に2.25人減り、途中で2ヶ所にした後は行列が1分間に6人減り、その結果、開館して1時間後に270人の行列がなくなったのですから、これは「つるかめ算」だとわかります。

20180612170703.jpg


(270人-2.25人×60分)÷(6人-2.25人)=36分間 




2問目は「仕事算+つるかめ算」という融合問題でした。




では、最後に仕事全体の量が等しくないニュートン算の問題をご紹介します。


出題校は、京都の最難関校である洛南高等学校附属中学校です。




2018年度 洛南高等学校附属中学校 入試問題 算数 より 

問題2-(1) 容積( ア )Lの水そうに容積の20%の水が入っています。水そうの底には穴があいており、毎分( イ )Lの水が流れ出ます。ここで、毎分16Lで水を入れると、20分で満水になります。また、毎分4Lで水を入れると、10分で空になります。








【解答例】
16L/分で給水すると20分で水そうの残り(=容積の80%)に水がたまり、4L/分で給水すると10分で水そうの容積の20%の水が減るという条件ですから、仕事全体の量が等しくなっていません。


そこで、16L/分で空の水そうに給水したときの満水までの時間、4L/分で満水の水そうに給水したとき空になるまでの時間を求め、どちらも「仕事全体=水そう全体」のように、仕事全体の量を等しくしておきます。

20分÷0.8=25分...16L/分で空の水そうに給水したときの満水までの時間 

10分÷0.2=50分...4L/分で満水の水そうに給水したとき空になるまでの時間 


このあとは、仕事全体を1または時間の最小公倍数とする解き方でも、単位あたりの仕事量を1とする解き方でもOKです。


ここでは、前者の方法を使うことにします。


仕事全体(=水そうの容積)を25分と50分の最小公倍数50に仮定します。

20180612172334.jpg


上の絵より、アL=4L×50=200L、イL=8L を求めることができます。

※空の水そうから満水まで25分、満水の水そうから空まで50分という「絵」をかいて解くこともできます。






ニュートン算は「邪魔をされながら行う仕事算」と考えることができますので、解き方は仕事算と同じです。


しかし、そのことを「計算公式」的に覚えているだけですと、今回ご紹介した3問目のような問題を正解しにくくなります。


ですから、「仕事全体=1または時間の最小公倍数」を利用するときは「絵」を、「単位あたりの仕事量=1」を利用するときは「線分図」をかくような練習を家庭学習で行い、レベルの高い問題にも対応できる準備ができるといいなと思います。

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文章題の練習問題2018年06月23日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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