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転塾を考えるときの5つのポイント

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公開: 最終更新日:2021年07月26日

「転塾」とは、塾を変えること。
理由は様々ですが、年度末が近づいてくると、この言葉が頭をよぎる親御さんも多いのではないでしょうか。
それは、この一年間の総括をしたときに、もっといい選択肢があるんじゃないかと考えるからにほかなりません。
言い換えると、今の塾に通わせていて感じている、不満や不安を解消したいということです。

今回は、転塾を考えるときに重要なポイントを5つ、とりあげてみたいと思います。

ポイント1 今感じている満足と不満は何か、すべて書き出してみる

どんな塾に通わせていても、少なからず不満や不安は出てくるものです。
どんな塾でも「完璧」ということはありえないですし、お子さんの現状の学習スタイルや性格によって合う、合わないがあるでしょう。
塾に通わせていて感じる不満や不安は、多くの場合「がんばっているのに成果が出ない」というもの。

塾で言われたとおり講座も受け、宿題もやらせているのに、成績が上がらない。
確かに、成績が上がらないのは塾のせいだけではなく、我が子がもっとがんばればいいのだと思ったりするのですが、もっと合う塾があるのでは、と考えてしまうことがあるでしょう。

そこで大切なことは、今の塾のどこが満足で、どこに不満や不安があるのか、すべて書き出してみることです。
書いてみて、意外に不満よりも満足ポイントのほうが多いということに気づくことがあるかもしれませんし、その逆かもしれません。

満足と不満を書き出したら、それに順位をつけます。
最も満足を感じていることから順に、そして不満に関しても同じことをします。
そうやって整理すると、今の塾に対して総合的にどのくらいの満足を感じているか、客観的に把握できますね。
満足度1位は+10点くらい、2位は+8点かな、そして不満第1位は-7点くらい・・・と言った具合に、感覚でよいので数値をつけ、差し引きで塾の総合満足度を数値で出すのもよいでしょう。

ポイント2 今の塾に決めたときの最大のポイントは何だったか

今の塾に通わせることを決めたとき、その最大のポイントは何だったか、よく思い出してみましょう。
たとえば難関校にたくさんの合格者を出しているからかもしれないし、面倒見が良さそうとか、ひょっとしたら家から近いということが最大のポイントだったかもしれません。

その最大のポイントは、入塾してどうだったかを考えてみてください。
難関校に多くの合格者を出しているからと選んだはいいけど、宿題が多くて授業についていくのが大変、宿題もやりっぱなしで、結局もう少し楽な塾に通わせたほうが効果が上がったかも、という場合だってあると思います。
家から近くて安心だからと選んだ4年生のときと、もう6年生になろうとする我が子のしっかり感は大きく違っているかもしれません。

そのあたりをよく考え、「求めていた結果を得られたか」「この先得られそうか」を考えるとよいでしょう。

ポイント3 子どものタイプ、志望校に合っているか

たとえばサピックスという塾は、難関校に多くの合格者を輩出している進学塾の代表格のような塾です。
当然、塾内での競争も激しく、宿題の量、授業のスピードもかなりのものです。
クラスはアルファベットのA、B、Cから始まり、最上位がαクラスと呼ばれます。
競争に揉まれながら、ときにはその競争を楽しみながらクラスを上げていくことができればいいのですが、残念ながらアルファベットクラスの下位からなかなか上がれない子もいます。

厳しい競争の中でこそ実力がつき、鍛えられるという考え方もあるかもしれませんが、志望校がいわゆる「中堅校」と呼ばれる、偏差値50~55くらいの学校の場合、もう少しゆったりした環境で受験勉強をしても合格を手にすることはできるかもしれません。
また、ゆっくり、じっくり考えたい、納得がいかないとなかなか先に進むことができないといった性格のお子さんの場合、テンポの早い授業が合わないということもあるでしょう。

お子さんのタイプと受験校の両面から考えて、合う塾を選ぶことが大切です。

ポイント4 家庭の状況にあっている塾かどうかを考える

お子さんのタイプもそうですが、家庭の状況にマッチしているかも、塾選びの大切なポイントです。
共働きで家で勉強を見てあげることが難しいのなら、授業後に自習時間があったり質問ができる、面倒見の良い塾というのは大きな魅力です。
送り迎えができるかどうかで、通わせる塾までの距離感も変わってきます。
お子さん一人で通うのなら、安全面や交通のわかりやすさなども重要なポイントです。

講習会などは日程や時間もふだんと大きく変わります。
あらかじめそのあたりも調べ、ご家庭の生活サイクル上、大きな無理がなさそうかを考えておかなければなりません。

ポイント5 ベストな選択でも、転塾はやはり子どもに負担がかかると心得る

塾というのは、外から見ているのと通わせるのでは違います。外からは見えなかったことが見え、期待と違った、こんなはずじゃなかったということもあるでしょう。
もちろん転塾を考える場合は、今感じている不満を解消できるよう、ベストな選択をしたいものですが、どんなにベストな選択でも、やはりお子さんには負担がかかるものだと考えておくことが必要です。

多くの大手進学塾のカリキュラムは、5年生まででほとんど受験勉強のすべてを終わらせ、6年生(の特に後期)は入試対策に特化するというものになっています。
しかし、それぞれの学年でどの単元をどこまで学習するかは、それぞれの塾で特徴があります。
早稲田アカデミーは四谷大塚のテキストを使用していますから、早稲アカと四谷大塚間の転塾は、カリキュラムの面ではスムーズですが、宿題の量(早稲アカは非常に多いことで有名)に大きな違いがあります。

年度の途中の転塾では、カリキュラムの違いがもっとも大きな「足かせ」になります。
塾によって習う単元の順番が違うために、A塾ですでに習っていることがB塾では習っていない、といってことが起こるのです。
ですから年度途中の転塾では、転塾先の塾のカリキュラムもよく調べて、未習の単元ができないように注意しなければなりません。

いかがでしたか?塾を変えるというのは大変なことで、ご家庭にもお子さんにも大きな負担がかかりますが、年度の変わり目はそのチャンスであるのは確かです。
情報を集め、現状を分析し、最良の選択をしたいものですね。

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