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子どもに中学受験の国語によく出てくる「時代背景」を理解させるには

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公開: 最終更新日:2021年07月12日

中学受験の国語の問題文を読むときには、その時代背景を知ることで、得点に差がつくことがあります。
ここでは、子どもがさまざまな時代背景を理解するためにはどのような方法があるのかについて考えてみたいと思います。

さまざまな時代背景を理解することが必要

文部科学省の「次期学習指導要領」の改訂により、中学受験についてはますます「思考力」「問題解決力」などが求められるようになりました。
少し前までは難関校だけの傾向だったものですが、今後、中堅校以下にまで確実に広がるでしょう。
国語については、小学校から高校までのいずれにおいても、「論理力」を重視する傾向があります。

そんな中、現代の子どもにとってどうしても、国語の問題文で出てくる「戦前の話」や「大正時代の若い女性」「高度成長期の変わりゆく社会」などの時代背景を理解することは難しいです。
その状況や人の心情を子どもの体験から想像することはほぼ不可能といってもいいでしょう。
しかし、中学受験の国語ではこれらの時代の出題がとても多いのも事実です。

「社会科」で時代背景を知る

小学校の学習は「国語」「算数」「理科」「社会」とわかれていますが、実はそれぞれの教科は深く関わっていて、切っても切れない関係です。
国語力がないと算数や理科、社会の理解は深まりません。
その逆も然りで、社会や理科をちゃんと学んでいないと国語の文章が理解できないともいえます。

その一例が、「社会と国語」です。
社会科は暗記科目と思われがちですが、実はそうではありません。
もちろん、社会の試験で得点するのに暗記は役に立ちますが、本来の社会ではそれぞれの時代ごとに人がどう生きてきたか、現代との相違点や共通点はなにか、地域の文化的特色や経済的な特徴には地形や歴史がどのように影響しているかなどを考える科目です。

ひとことでいうと「人間社会への理解を深める」ということかもしれません。
そうした理解が国語にも求められています。
大正時代の民主主義、戦前の家長制度、旧制中学の師弟関係など、実体験からは想像もできないようなことを、社会科の知識を活かして解く力が必要なのです。
これは、学校の社会の授業だけでは不十分かもしれません。

多様な時代背景を知るために家庭でできること

映画やアニメ、マンガなどを通して子どもにさまざまな時代背景、社会について触れさせてあげてください。
いろいろな時代の生活実感を追体験できるようなものを親子で楽しむことが、受験で強い力になります。

読書の場合は、「エジソン」「キュリー夫人」「ヘレンケラー」、日本人なら「野口英世」「坂本龍馬」「松下幸之助」など、いわゆる偉人伝もおすすめです。
こうした本には時代背景がきちんと描かれているものが多く、どういう時代に、どんな場所で生まれ、どういう状況で育ったのかが端的に理解できます。主人公がそれぞれの時代でどういうことで苦労して、何を求めて生きようとしたのか、何が辛くて何が喜びだったのかを知ることで、具体的に時代背景を想像できるでしょう。

このときに、映画でも本でも「いつの時代の話なのか」をしっかり意識させておくことが大切です。
ただ単に「昔の話」ではなく、「昭和初期の話」「幕末の話」「今から50年前の話」「おじいちゃんが生まれたころの話」など、ちゃんと確認させておくことを忘れないでください。

幅広い世代の人と接する

もし祖父母が知っている時代の話であれば、直接話を聞かせてもらうのもいいですね。
学校の先生でも近所の人でもかまいません。
もちろん、両親でもいいでしょう。
テキストや過去問などに出てきた素材文について、意見を交換し合ったり感想を語り合うだけでもかまいません。

子どもにとって、さまざまな時代背景を知り、それを生きるそれぞれの人から直接話を聞くことは、まず、時代背景の多様性を意識するきっかけになるでしょう。
時代によって異なる価値観、同じ価値観、それぞれを知り「時代によって社会状況や人の価値観も変化する」ということが頭に入っているだけで、文章を読むときの視点も大きく変わると思います。

国語の問題文に出てくるさまざまな時代背景をより具体的に理解することは、「最難関校の国語の問題」を解くための力に必ずつながります。
ぜひ普段から、多くの本や映画などに触れ、幅広い世代の人と接する機会を持ち、その世代ならではの話を楽しんで聞くような体験をさせてあげましょう。
これは国語の勉強に役立つだけでなく、子どものこれからの人生において何ものにも代えがたい財産になるのは言うまでもありません。

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