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中学受験 地理は暗記でなんとかなる?「丸暗記」に頼らない勉強法と親ができることとは

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公開: 最終更新日:2021年07月19日

中学受験の社会科、特に地理の問題に四苦八苦するお子さんは、けっこう多いものです。
「暗記全般が苦手だから地理も・・・」と弱気になったり、苦手意識を持つ場合も多いようですね。
今回は、「中学受験 地理は暗記でなんとかなる?『丸暗記』に頼らない勉強法と親ができることとは」というテーマで詳しくみていきましょう。

「地理=暗記」なのか?

ほとんどのお子さん、親御さんは「地理=暗記」というイメージを持っているのではないでしょううか。
もちろん覚えることはたくさんありますが、ひたすら一問一答的に語句だけを詰め込んで暗記しても(しないよりはずっといいのですが)、忘れやすかったり、なかなかテストで役に立つ(点が取れる)状態にはなりません。

地形やそれぞれの地域の気候、自然や農業、工業など、様々なことが問われる地理という分野。
暗記が苦手というお子さんにとっては、逃げたくなっても仕方がない程の項目があります。
「地理の勉強には自分は向かない」と思ってしまう子がいるのも、無理が無いといえなくもありません。

暗記が苦手なお子さんは地理の学習には向かない?

では「暗記学習が苦手」というお子さんは、地理の成績を上げにくいのかというと、そうでもありません。
暗記はもちろん大切なのですが、逆に暗記学習だけで地理に取り組むと、必ずつまずきます。
それは上記のように、一問一答的に語句を覚えていても、実力テストなどに出題される「大問」で点が取れるようにはならないからです。

大切なのは、地域の地形の特性や気候などから特産品や産業などを学習していくこと。
また、”なぜなんだろう”と思い、調べること。
納得することが大切なのです。
例えば、「なぜ山梨県の特産物はなぜぶどうなどの果物なんだろう?」と疑問を持ちます。
調べると、気候や環境が関係することがわかり、繋がりで覚えていくことができます。

塾の公開テストや判定テスト、そして入試問題で問われるのは、そのような「つながり」を理解しているかどうかです。
語句を覚えているかどうかだけではなく、その語句の背景にあるストーリー、他の事柄との関連を理解しているかが問われるわけです。

これは地理だけでなく、歴史や理科の暗記にも通じることです。

いろいろな知識を融合させて

山梨県には甲府盆地があります。
この甲府盆地では、「扇状地」という地形を利用して、果物の栽培が盛んです。
ももとぶどうの生産は日本一なんですね。

ではなぜ「扇状地」「果物」なのか。
それは、山梨県は海に面しない「内陸県」であり、まわりを山に囲まれているから、その山地から川が盆地に流れ込み、そこに扇形の地形、扇状地ができるからです。
扇状地は水はけがいいため、果物の栽培に適しているわけです。

ここまでは、甲府盆地に関して社会科でよく説明されることです。
でもお子さんの中には「なんで扇状地は水はけがいいの?」「水はけがいいと稲作に向かないってのはわかるけど、どうして果物なの?」と思う子もいるでしょう。
(こういう疑問を抱くお子さんのほうが、一般的に勉強の成果が実りやすいものです)

日本の山は傾斜がきつく、川も山地では流れが急な場合が多いので、大きめの石などがどんどん下流に向かって流されていきます。
その川が盆地に注ぐと、急に地形が平らになるので流れが遅くなり、川は大きく広がって扇のような形の地形ができます。
バケツの水を、平らな地面にぶちまけた様子を想像するといいですね。

流されてきた大きな石などが沈み、隙間が大きく水はけのよい地形となります。これが扇状地です。
そして果物は水田で育てる稲などとくらべて根腐れがしやすく、水はけのよい土地が生育に向いているのです。
これは理科的な知識ですね。

このように、社会だけでなく理科の知識も合わせることで「丸覚え」ではなく「忘れにくく思い出しやすい」知識をつけることができます。

地理の学習で親ができること

語句を答えるだけの一問一答問題であれば、丸暗記だけでなんとか乗り越えることができます。
しかし近年は社会や理科でも、知識のつながりや因果関係を理解しているかを問う問題が増えています。
先に述べた、”なぜなんだろう”と考え、調べて身につけたお子さんには解ける問題ですが、丸暗記だけで乗り切ろうとするお子さんには、非常に難しいものです。

また「暗記だからテスト前、ギリギリに覚えればいい」「社会は直前の詰め込みでなんとかなる」という学習はもう通用しなくなっているのです。

このような社会(や理科の暗記分野)の勉強に関して、親ができることは何でしょうか。

それは、語句だけを丸暗記しても点にはつながらないことを教えてあげたり、つながりや因果関係から記憶すればいいといったことを伝えてあげることです。

お父さん、お母さんが理科が得意なら、上記のような理科の知識を伝えてあげることも有効です。
親御さんが理科が得意でなくても「ところで、扇状地って理科ではどういうふうに習った?」と質問してあげることで、お子さんの知識を「点」から「線」「面」にしていくサポートはできそうです。

また、たとえば旅行に行くなら「遊び」と「勉強」メニューを両方盛り込んだ行程にするなど、親の「プロデュース力」を発揮するのもいい考えです。
目的地をあえて冬の新潟県にして「ドカ雪」を体験するなど、体験メニューを工夫してみるのも親ができることですね。

今、地理などいわゆる「暗記分野」(この呼び名自体が誤解を招いている面があると感じますが)と呼ばれる学習に苦手意識のあるお子さんも、旅行に行って様々な地域の特徴を自分の目で見たり、”なぜだろう”と調べることに取り組むと、その魅力に気づけるかもしれませんね。

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