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中学受験に向く親と向かない親 子どもが伸びる親の上手な関わり方は

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公開: 最終更新日:2023年11月05日

中学受験は精神的に成熟している子が有利だと言われていますが、本当にそうなのでしょうか。
実は、中学受験に向かない子はいません。それよりも親の方に向き不向きがあるとも言えます。

ここでは、中学受験に向く親と向かない親について考えてみます。

中学受験に必要なのは「良好な親子関係」

遊びたい盛りの小学生にとって、中学受験は時につらく感じることがあります。
塾で長時間の授業を受け、家でも宿題や予習復習に追われる毎日。
自分を律する心が不可欠なので、そういう意味では成熟している子の方が中学受験に有利なのかもしれません。

そして、中学受験に良好な親子関係は必須です。
親が適切なサポートをすれば、どんな子でも成績が伸びます。
言い換えると中学受験を成功させるのもつらい経験にするのも親次第なのです。

伸びる子の特徴

長年の中学受験の指導の中で、「この子は伸びそうだな」と感じることがあります。そういう子には共通点があります。

  • ・言葉がしっかりしている
  • ・こちらの質問をしっかり聞き、少し時間がかかっても自分の言葉で答える
  • ・お母さんがニコニコしながら子どもの言葉を待っている

これらは低学年、中学年、年齢関係なく共通しています。
特にハキハキと話せるタイプではなくてもこういう子はぐんぐん伸びます。

伸び悩む子の特徴

逆に、伸び悩みそうだと感じる子にも共通点があります。
それは、こちらから質問して子どもがもじもじしている間に、お母さんが待ちきれずに答えてしまうような子です。

中学受験では、語彙力があるかどうかは合否に大きく影響します。
言葉を知らないと文章の読解ができず、また自分の考えを表現することもできません。

子どもが成長する過程で言葉をどう吸収していくのか、それは親が大きく影響しています。
親がどのような言葉を使っているか、たくさんの言葉を使っているか、そして、子どもが発する言葉を待って大事にしているかどうかはとても重要なポイントなのです。

共働き家庭の中学受験

最近は共働きのご家庭も多くなってきました。
中学受験でも、昔はお母さんが専業主婦で子どもの受験をサポートする場合が多かったのですが、共働きではそういうわけにもいきません。

では共働き家庭で中学受験をする場合、どうしたらいいのでしょうか。
それは、小さな頃から子どもが自分のことは自分でやる習慣をつけさせることです。
すべてを自分でやらせるということではなく、年齢や成長段階に合わせて、家の中で子どもの役割を持たせることが大切です。

自分のことは自分でやる〜初級編

ちょっとしたことでかまいません。
毎朝、玄関の靴を揃える。新聞を取ってくる。
まずは、決められた役割をちゃんとやることを教えます。
できたら「ありがとう。助かるよ」と褒めてあげましょう。

小学生になってある程度身の回りのことができるようになったら「自分で計画を立てる」練習を始めましょう。
ただ「今日は何をするの?」と聞いてあげるだけでかまいません。
子どもが自分でその日にやることを考えて決めることを、毎日繰り返すようにしてください。

自分のことは自分でやる〜中級編

それができるようになったら「すごいね。自分で決めたことを自分でできるね」とさらに褒めてあげてください。
子どもは「自分に行動を自分で決めていい。それをお母さんお父さんが認めて褒めてくれる」と感じるようになります。

大人もそうですが、計画を立ててもさまざまな理由でうまく計画通りに物事が進まないことがあります。
でも、そこで諦めるのではなく辛抱強く続けることでやり抜く強い心、段取り力も身につきます。

自分のことは自分でやる〜上級編

ある程度、計画を立ててそれを実行できるようになったら、いよいよ子どもが自分で学習スケジュールを立ててみましょう。
最初からできる子はいないので、親のサポートは必須です。

自分で立てた計画をできるところまでやってみる、がんばろうとする姿勢が身についたら、あとは親が計画通りにできているかを確認してあげるだけです。
もしできていなくても「どうしてできないの!」と責めるのではなく、どこでつまずいてしまったのかを確認して、どうしたらそれを解決できるのかについて一緒に考えましょう。

「今日はちょっと欲張っちゃったのかな。でもがんばろうと思ったのがえらいね」など、子どものがんばりを認めつつ、うまく軌道修正してあげましょう。

このように、早いうちから子どもに自分のことは自分でやる習慣づけをしておくと、中学受験だけでなくさまざまな場面で役に立ちます。
無理に焦って自立を促すのではなく、子どもの成長段階に合わせ、失敗してもとにかく子どものがんばりを認めてあげることが大切です。

お父さんにありがちなNG行動

先ほど、子どもへの質問に先回りして答えてしまうお母さんの話をしましたが、一方で、特にお父さんに多いNG行動があります。
それは、小学生の子どもの能力を無視した学習スケジュールを立てて管理しようとしたり、自分の過去の成功体験を押し付けることです。

目の前の子どもの行動や適性を見ようとせず「自分はこうだった」「こうすればうまくいく」と理想論を語っても、子どもはついてこられません。
まずは目の前の子どもがどう感じているのか、なにを考えているのかに目を向け、その子の状況に合ったやり方を模索する必要があります。

中学受験を成功に導く子どもとの関わり方

中学受験は、親の子どもとの関わり方で結果が大きく変わります。
先回りするお母さん、目の前の子どもを見ようとしないお父さんに共通しているのは、子どもとの関わり方があまり上手ではないことです。

それでは、中学受験を成功させるために、どう子どもと関わればいいのでしょうか。
それはまず目の前の子どもをよく見つめることです。
子どもをよく観察し、子どもの気持ちになって考えましょう。

いちばんわかりやすい方法が「自分が小学生のとき、こんな状況だったらどう思うだろう」と想像してみることです。
どんなことを考えて、どんな言葉を親からかけてもらったらうれしいのかを考えてみるのです。
そうすれば、自然と子どもにかける言葉や行動が変わってくると思います。

頭ごなしに言われても心には響かず、逆に「嫌だな」という印象だけが残ります。
同じことを伝えるときでも、伝え方、表情や言葉選びを変えるだけで、子どもの反応は大きく変わります。

子どもが「気持ちよく勉強できる環境」をつくる

わずか10〜12歳の子が、遊びや楽しいことを我慢して勉強をするには、身近に励ましてくれる存在が必要です。
それなのに「もっと勉強しなさい」と叱咤したり「こんな成績では合格できないよ」と子どもの自尊心を傷つけてしまうとうまくいきません。

「今日も勉強をサボって」「またテストで悪い点を取って」などの言葉はぐっと飲み込みましょう。
それを伝えても子どもが嫌な気持ちになるだけです。
言い方を変えて、「今日は疲れているのにえらいね」「結果には出なかったけどがんばっている姿はずっと見ていたよ」「次があるから大丈夫、ずっと応援しているからね」など、子どもが前向きなれるような明るい声かけをしてあげましょう。

子どもが安心して「今日もがんばろう」「明日からまたがんばろう」と思える環境をつくってあげることで、勉強や中学受験という目標が、大好きなお母さんお父さんに認められ、見守られながら未来に向かって進む明るいイメージになります。

毎日気持ちよく勉強できる環境があれば、子どもは本来の力を発揮し、自分で中学受験を乗り越えようとする気持ちを育むことができます。
そういう環境をつくってあげられる親が中学受験に向いている親と言えるのではないでしょうか。

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