中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

子育てにも中学受験にも必要な「グレーゾーン」とは

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公開: 最終更新日:2021年07月19日

中学受験を考えている親御さんに向けて、心がけていただきたい大切なことがあります。
それは、「白黒どちらかしかない」という考え方だけなく、常に「グレーゾーン」を用意してもらいたいということです。
今回は、この「グレーゾーン」について考えてみました。

「あたふた学習」になっていませんか?

私のところに送られてくる親御さんからのメールの相談でもっとも多いのは「合格するためにはどうしたらいいか」「ミスが多くて、塾のテストで点数が取れない」というものです。
では、その子がどういう状況にあるかをきいてみると、多くの場合が「あたふた学習」になってしまっています。
塾の大量の宿題プリントをこなすだけで精一杯、また授業で習った内容を詰め込めるだけ詰め込もうと、あたふたしてしまうことです。

この「あたふた学習」の問題点は、決めつけと早とちり。
テストの問題をじっくり読むのではなく、問題用紙を見てすぐに「あ、この問題は塾で習ったあの問題に似ているな」と決めつけてすぐに解き始めてしまうようなことです。
そしてその早とちりがミスの原因になってしまいます。
それだけでなく、テストの結果も目の前の点数しか見ていないので、自信を失って、学校の成績も下がってきてしまい、手の施しようがなくなってしまうのです。

あたふた学習になっていたとしても、大手進学塾は合格のためのノウハウを教えてくれるので、ある程度の中学校に合格はできるかもしれません。
でもその先、中学校、高校と進んでいくなかで、中学受験のとき以上の「あたふた」が待っています。

「グレーゾーン」の存在を意識してみる

中学受験を考え始めると、志望校に合格することが最大で唯一の価値であり、子どもの人生をそこからしか描けない、と思い込んでしまう親御さんがいます。
でも、私は、AかBかという二者択一ではなく、AでもBでもない「グレーゾーン」があることを親子ともども意識するといいと思います。

難関中学に合格するか。
その先、難関大学に合格するか。
それだけを判断基準にすると、子どもは窮屈な精神状況に置かれてしまいます。
成績がいいか悪いか、受験で合格か不合格か、ということだけでなく、グレーゾーンもあることを認識し、それ以外の選択肢もあることを常に頭に入れておきましょう。
もちろん、難関中学を当面の目標に設定するのはいいと思います。
でもそれは数ある選択肢のひとつ、と考えるようにしてください。

学ぶこととどう向き合うか、が重要

学歴やテストの点数だけで、人生が決まるわけではないと、ほとんどの方は理解していると思います。
でも、わが子の受験となると、冷静な見方ができず、偏差値の高い中高一貫校に入りさえすれば、それが子どものしあわせにつながると考える方も多いようです。

もちろん、難関中学出身者を否定するわけではないですし、実際にそこから日本や世界で活躍する逸材もたくさん生まれています。
でも、子どもの幸せの価値観や、幸せを手に入れるルートは、決してひとつではありません。

受験勉強においていちばん大切なことは、山のような課題に追われて合格することではなく、合格に向けて勉強の方法や工夫の仕方を学んだり、新しい知識を得るよろこびを感じることです。
もちろんその結果として合格できればいいのですが、その過程で学習の本質に目を向けられたら、その経験は必ず子どもの今後の人生にも役立ちます。

すべてに白黒つけるのではなく、グレーゾーンを許容できる心の余裕をいつでも持っておきたいですね。

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