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【算数力UP】文系ママだからできる算数の教え方

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公開: 最終更新日:2022年08月01日

中学受験を目指すお子さんが学習する科目の中で、やはり算数が最も気になるという親御さんは多いのではないでしょうか。

「算数が得意なお子さんが受験でも有利なのでは」
「算数ができれば同じ理数系の科目である理科も得意なのでは」

と考える方もいらっしゃいます。

逆に、「算数が苦手だと、中学受験にとても不利だ」と心配する親御さんもいるでしょう。
特に親御さんが算数が得意でない場合、「自分で教えられないから子どもも算数が苦手になったらどうしよう」と不安になるかもしれません。

そんな算数が苦手な親御さんでも確実に効果を実感できるように、今回の記事では、文系ママだから出来る、お子さんへの効果的な算数の教え方について考えてみたいと思います。

お子さんの「考える力」を伸ばす算数の勉強方法とは

結論から申し上げると、お子さんの算数の力を伸ばすのに、親御さんが算数が得意である必要はありません
小学校では1から「数」のこと、「算数」のことを教わりますし、進学塾でも学校の学習をベースとして中学受験に対応できる、算数の力がつくようなカリキュラムが用意されています。

もちろん同じように機会が用意されていても、算数が得意になるお子さんと、苦手になってしまうお子さんがいるのは事実です。
ここで算数が得意なお子さん、苦手なお子さんを比べてみると、必ずしも「親が文系だから子どもも文系」とか「親が文系だと子どもは理系科目が苦手」といったことはありません

それよりも、算数ができる、できないの差は、勉強の仕方によって広がっていきます

小学校に入ったばかりのころは、習う内容も基本的なことばかりで、極端な差はつきません。
計算も、せいぜい繰り上がりや繰り下がりのある足し算や引き算くらいまでです。

このころは、同じように計算してもやや間違いが多いか少ないか、時間がかかるかかからないかくらいの違いしかなく、お子さん自身も「算数が苦手、嫌い」と感じているケースは少ないものです。

それが4年生くらいになると、とたんに理解度に大きな差がついてきます。
4年生から中学受験の勉強を始めるお子さんも多いですが、塾の勉強となるとさらに差が顕著になります。

文章の長い問題、複雑な条件の問題が出題され始めるからです。

内容が難しくなったから差がつく、というよりは、勉強の仕方が違ったから内容が難しくなると差が目立つようになる、ということなのです。

4年生になって内容が難しくなってきても、算数が得意であり続けるお子さんは、問題を見た時に書かれていることをありありと「考える」習慣のあるお子さんです。
そして頭の中だけで想像するのが難しければ、それを図に書き表したりします。

3年生ぐらいまでは「子どもが3人いる」と問題にあれば「子ども3人の絵」を書きたくなるのですが、4年生くらいになると「◯を三つ書いて、これを3人の子どもと考える」という置き換えができるようになります。

逆に算数ができなくなるお子さんは、問題を見た時に「合わせて」「違いは」 と言った言葉だけを頼りにして答えを出そうとしていたり、「習った通りに式を立てて答えを出す」という「手順の再現」を覚えるだけで、問題の内容を具体的に自分の頭の中で考えられていないお子さんが多いのです。

ですからお子さんの「考える力」を伸ばすには、まず親御さんが次のような声かけをしてあげる必要があります。

「問題には何て書いてある?」
「何を聞かれているのかな?」
「図に書いてみるとどうなる?」
「何が分かれば答えが出るのかな?」

このような声かけで、お子さんが問題の内容を具体的に想像し、必要であればメモを取ったり図に書いたりといった作業ができるように促してあげるのです。

このような声かけは、親御さんが算数が得意でなくても可能ですし、お子さんに「手順の暗記」をさせることなく「考える」のを促すことができます。
小学校の内容でも高学年になると親御さんにとっても教えるのが難しい問題は多くなります。
中学受験の勉強であればもっと考えることが必要とされる問題が増えますので、ぜひ解き方を教えず導く声かけを覚えておいていただければと思います。

お子さんが一瞬で問題の意味がわかるようになるには

お子さんが親御さんのところに算数の教科書を持ってきて「この問題がわからない、教えて」ということがあるかもしれません。

このような時、どう対応されているでしょうか。

おすすめなのは、まずお子さんに問題を音読させる、あるいは親御さんが読んで聞かせてあげることです。

意外にも、音読させたり読み聞かせたりするだけで、教えるまでもなく「あ、 そういうことだったのか」と理解し、納得するお子さんは多いのです。

お子さんが問題を読んでいる時、しっかり読んでいるように見えても、実はあまり内容を想像することなく字面だけを追っていたり、そもそも問題を全部読んでいないというケースもあります。

そこで「問題をしっかり読みなさい」とアドバイスしても、お子さんとしては「しっかり」というのがどういうことなのか、今ひとつピンときません。

そう感じたら、親御さんが具体的に「声を出して読んでみてごらん」といったアドバイスをしてあげましょう

文系ママなら音読が国語の読解で重要なのを知っている方も多いと思いますが、実は算数の文章問題でも効果を発揮します。
黙って字面を追っている時に比べて、読んでいる自分の音声が耳からも入ってきますから、情報の読み落としや読み間違いを防いでくれるのです。

ぜひお子さんに、文章題を音読してみるアドバイスをしてあげてください。

「分からない」という問題があったら、まずは「声に出して読んでみてごらん」とアドバイスして音読させ、続いて「この問題では何が聞かれているのかな」「図に書いてみるとどうなる?」「何が分かれば答えが出ると思う?」という声かけで、お子さんの思考を導いてあげましょう。

一見複雑な問題を、簡単にしてしまう方法とは

中学受験に限らず、算数の問題では「一見複雑な問題だが、少し視点を変えると簡単に解ける」という問題が多く存在します。

例えば速さの問題で、下記のようなものがあるとします。

「太郎くんは、いつもは家から学校まで歩いて20分かかって投稿します。今日は途中の公園の前まで歩いた時に忘れ物に気づき、家まで歩いて戻って、再び学校まで歩いて行ったため、30分かかってしまいました。ただし太郎君の速さは常に分速60mであるものとします。家から公園までは何mありますか。」

いつもは家から学校まで分速60mで20分歩いて到着しますから、

家から学校までの道のりは

60 × 20 = 1200m

であることがわかります。

今日は公園の前で引き返しますから、やや条件が複雑です。

そこでお子さんには

「図に書いてみるとどうなる?」と声かけしてみましょう。

いつもと今日の太郎くんの進んだ様子を比べると、

となっていることがわかります。

図を見ると、再度家を出発する前に公園まで往復したことが、いつもより余分だったため、時間も10分間余分にかかったとわかりますね。

つまり公園までの往復距離は

60 × 10 = 600m

ですから家から公園までの距離はその半分の

600 ÷ 2 = 300m

ということになりますね。

このように図に書き表すことで「結局何を求めればいいのか」 が見えてくるのです。

是非お子さんに「図に書いてみるとどうなる?」と声かけしてあげましょう。

おかあさんが教える必要はなく、お子さんを答えに導くための声かけを

上記のように、お母さんは問題そのものを解くことができなくても、適切な声かけをすることで、お子さんの考える力を伸ばしていくことは可能です。

まずはお子さんに、問題を音読し、読みながら内容を想像したり、図に書き表したりすることを、声掛けによってを促しましょう。

そして、

「この問題では何が聞かれているの?」
「何が分かれば答えが出そうな気がする?」

といった声かけで、お子さんの思考をさらに導いてあげてください。

問題の解き方、作業手順を「丸覚え」するのではなく、問題の内容を考えて状況を想像し、必要であれば図に書き表すという習慣がつけば、お子さんは算数でつまずくことはありません。

高学年のお子さんでも修正は可能ですが、できればぜひ低学年のうちから上記の声かけを習慣にし、お子さんの思考力を伸ばしてあげてくださいね。

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