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子どもが論説文の読解をスムーズにできるようになる、親の声かけ実践例

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公開: 最終更新日:2023年03月16日

国語の長文読解、特に論説文の読解を苦手としているお子さんは多いですね。

ここでは、実際にお子さんが問題を解いているとき、親御さんがどのような声かけをすれば、お子さんがスムーズに読解のポイントを身につけていけるかを考えてみます。

まず全体像をつかむためにすること

文章をひと通り読んでもらったら、まずは全体像をつかむことからスタートです。

声かけの一例としては「まず文章全体をおおまかに確認してみようね。何について書かれた文章だったの?」といった感じです。

結論は一つでも、その結論に至る文章の過程では、いろいろな言葉が出てくるのがふつうです。
その中の一部、または一つしか出てこないような場合は「他には何かないかな?」といった声かけをして、どんどん話題を引き出してあげましょう。

このとき「詰問口調」にならないように注意してくださいね。

そしてこの時、お子さんの目に注目してください。
言葉を探すために、文章の上をあちこち動いていると思います。
全体をバランスよく、パッパッと目が移っていくようなら、とてもよい読み方ができていると言えるでしょう。

目の動きが縦の上下を繰り返しているようだと、一行ずつもう一度読み直している可能性があり、要注意です。
一行ずつを細かく読んでいく感覚では、文章全体を大きくとらえることができません。
「あまり詳しく読もうとしないで、言葉を見ていく感じで探してごらん」といった声かけをしてあげてください。

大事なことはどこに書かれているのか

まずはじめの問いかけ「何について書かれた文章だった?」に、文章全体の最後の段落に書かれた内容だけを答えるお子さんがいます。
しかもそれが本来の「文章の結論」に関する内容だといいのですが、そうでない場合は注意が必要ですね。

文章の最後に出てきているので、無条件に大切な言葉だと考えているのかもしれません。

このような場合は「最初の段落と最後の段落の2つだけを、もう一度読んでみよう」と声をかけてあげてください。

論説文においては、文章の前の方(多くは第一段落)で「話題」が示され、最後の段落で「結論」が示されることがほとんどだからです。
つまり、第一段落と最終段落に共通して述べられている内容が、文章全体のテーマであると考えられるからですね。

長めの文章で全体をつかむことが難しい場合などに重宝する法則です。
上手く使ってお子さんにも教えてあげてくださいね。

論説文の読解の基本ルールを理解する

論説文に限らないのですが、問題を解くときに大切なのは「設問に対する本文の範囲を特定する」ということです。

たとえば次のような設問があるとしましょう。

『「人間らしい心の動き」とありますが、ここでいう「人間らしい心」とはどういうものですか。筆者が最も重視している具体的なものを二つ、本文中からぬき出して答えなさい。』

さて、この設問を前にして、お子さんにどのような声かけをすればよいでしょうか?

次に取るべき行動は「この設問に答えるために、本文のどこからどこまでの範囲に注目すればいいか」を考えて特定することです。

ですから親御さんは、まず「何が聞かれている問題なの?」と声をかけてあげましょう。
するとお子さんから「人間らしい心の働きの具体例を2つ」といった返答があると思います。

そこですかさず「だったら、文章のどのあたりを読めばいいのかな?」と聞いてみましょう。
これに芳しい答えが返ってこなかったら「じゃあ、どんな言葉が出てくるところを読めばいいと思う?」と聞いてあげてください。

具体的な「言葉」を考えさせることで、お子さんからは「人間らしい」「最も大切」といった意味の言葉が帰ってくると思います。
そのような言葉が述べられている段落の範囲を特定することで、ずいぶん問題に取り組みやすくなるものです。

論説文というと「難しい」という先入観を持っているお子さんも多いのですが、このように読解の「セオリー」は存在します。

ぜひお子さんに声かけしつつ、親子で取り組んでみてくださいね。

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