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空回りしていませんか?父親が上手に中学受験に関わるコツ

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公開: 最終更新日:2022年04月08日

近年、子どもの中学受験に関わる父親が増えてきたように感じます。
もちろん、父親の育児参加という意味でもとてもいい傾向だと思いますが、子どもの中学受験に熱心になるあまり、空回りするお父さんを見かけることも少なくありません。
そこで今回の記事では、お父さんが中学受験に上手に関わるためのコツについて考えてみたいと思います。

「子どものやる気を削ぐお父さん」になっていませんか?

この記事を読んでいただいているのがお父さんだと仮定して話を進めます。
もしお母さんの場合は、お父さんのことを想像しながら読み進めていただけたらと思います。

まずは、「子どものやる気を削ぐお父さん度」についてチェックします。
あてはまるもの、そう思うものはどれくらいあるでしょうか。

1.子どもと話をしていると「なぜこんなことがわからないのか」とイラッとすることが多い

2.子どもの成績が伸びないのは、妻に原因があるのではないかと思っている

3.もし子どもが行きたがっても偏差値50以下の私立中学には行かせたくない

4.子どもの学習計画をエクセルで管理するといいと考えている(すでに管理している)

5.算数を得意にさせるために、先取りして数学を教えることが有効だ

6.理科や社会は覚えるだけなので、とにかく暗記力が勝負

7.子どもの学習は自主性に任せるべきだ

8.仕事では面倒見がよく、できの悪い部下や後輩には徹底的に指導する

9.自分が過去に実践した勉強法を子どもに伝授している

Yesの数が多いお父さんは要注意。
もしかしたら、自分でも無意識のうちに子どものやる気や学習意欲を削いでいるかもしれません。

中学受験における「お父さん」の空回り

私は、中学受験の専門家として長年たくさんの子どもとそのご家庭に接してきました。
その中で最近、子どもの中学受験に積極的に関わるお父さんが増えてきたことを実感しています。

20 年前は家庭教師としてご家庭を訪れても、お父さんにお会いすることはほとんどありませんでした。
しかし、ここ5年ほどでしょうか。少しずつ、お父さんが中学受験に関わる姿が見られるようになってきたのです。
コロナ禍でリモートワークになったのも影響しているのか、この傾向はますます加速していると思います。

子どもやご家庭にとって、お父さんが中学受験や子どもの教育に興味関心を持つのはとてもいいことだと思います。
でも、気になっているのは、お父さんが中学受験に関わると熱心であればあるほど空回りするケースが少なくないからです。

もちろん、うまく受験サポートをしているお父さんもいます。
でも、多くのお父さんが、結果的に子どものやる気を削いでしまったり、家庭内がよくない雰囲気になるきっかけを作ってしまう傾向があるようです。

私自身も子を持つ父親でしたので、同じ仲間であるお父さんを応援したい気持ちがあります。
子どもや家族のためを思って中学受験サポートをしたのに、それが空回りしてギクシャクする原因を作ってしまうのは悲しいですよね。

中学受験には中学受験ならではのやり方がある

お父さんが空回りしてしまう原因として、時に、中学受験を少し間違って捉えていることがあります。

お父さんにとって、いちばん記憶に新しい「受験」は大学受験です。自分自身で合格を勝ち取った経験があればなおさらでしょう。
その時の勉強法を子どもに伝授することで中学受験に成功できるのではないか、と考えるお父さんは多いです。

しかし、中学受験には中学受験ならではの進め方があります。
それを知らずに、お父さんの自己流、自分の成功体験に基づいた受験サポートをしてしまうと、子どもの成績が伸び悩むだけでなく、学習意欲そのものをなくしてしまうことがあります。

中学受験の特殊性

それでは、具体的に中学受験の特徴について説明します。

私立中学の建学精神や教育方針の多様性

中学受験の特徴は、学校の教育方針と実際の試験問題を見ると顕著です。

ひとつ例を挙げます。東京都渋谷区にある渋谷教育学園渋谷中(渋渋)は、教育の3つの柱として「自調自考に力を伸ばす」「国際人としての資質を養う」「高い倫理性を育てる」を掲げています。

もし入学する段階でその教育方針に共感しないご家庭やそれらの素質がない子どもを選んでしまうと、学校側にとってもその子にとってもあまりいいことはありません。
そこで学校としては入試でその素質を見極めたいという思惑があります。

実際に渋渋の入試問題を見ていただくとわかりますが、くじけそうになるくらい長い文章を読ませ、そこからヒントを得て自らの手を動かして書き出しながら答えを導かせる問題には、学校側が「自調自考できる子ども」を欲していることが理解できます。

小学校の勉強と中学受験の勉強のちがい

また、中学受験の入試問題は、近年ますます小学校の勉強だけでは太刀打ちできないほど難易度が高くなっている傾向があります。

同じ受験でも、高校受験や大学受験は目指す学校のレベルにもよりますが、ある程度学校での勉強と受験勉強が合致していて、内容がかけ離れていることは比較的ありません。
学校でコツコツ学習を積み重ね、塾に通わずに合格を勝ち取る子もいます。

一方、中学受験は小学校での勉強だけでは合格できないので、どうしても中学受験専門の塾に通うことが必要になってきます。
小学4年生(カリキュラムが始まるのは3年生の2 月)から入試本番までの3年間、じっくりと準備をするのです。

これは、中学受験の入試問題の出題範囲が、小学校で学習する内容を基礎としてはいますが、そこからかなりかけ離れた内容やレベルまで組み立てる力が要求されているからです。

中学受験の基本的な試験内容

中学受験の入試は、国語・算数・理科・社会の4教科が基本ですが、関西では社会がない3科目入試の学校もあります。
この中でも算数は特に難易度が高く、難関校といわれる学校ほどその内容が難しくなっています。

中堅校でも算数は小学校の教科書の発展問題を完全に超えたレベルの問題が出題されるので、小学校で勉強する算数の発想とは異なる「中学受験の算数」学習が必須です。

ある実験で、東大理Ⅰに合格した学生に開成中学校の算数の入試問題を解かせてみたところ、中学受験を経験していない学生は30点台しか取れなかったという話があるほどです。

どの学校でも「柔軟な頭の使い方ができる子」が望まれている

なぜそれほど算数の難易度が高いのか、それはどの学校も「柔軟な頭の使い方ができる子」が欲しいからです。

これは、数学の「もともとある形に当てはめていく思考」とは逆と言っていいものです。算数が数学に優っていると言いたいのではなく、思考法が異なるということです。

中学受験の算数は、実は私たちが生きていくうえで必要な思考法なのです。
「今、わかっていることから、次に何がわかるか」「その答えを出すためには、そのひとつ手前で何ができているべきか」ということを考えながら解く、という特徴があるのです。

これは実は、多くの企業の就職試験に採用されているSPIテストの「基礎能力検査」の非言語分野の問題の多くに役立ちます。
中学受験の算数を経験している人が数秒で解けてしまう問題がたくさんあることに対し、数学的な手法で解こうとするとなかなか答えを出すことができません。

このように、中学受験の算数の入試問題は、頭を柔軟に使うことが要求される問題が多く、それは学校側の「柔軟な頭の子が欲しい」という思いの表れなのです。

まずは「今の」中学受験を知ることから

以上のような、中学受験の特殊性や近年の学校や入試の多様性について理解することは、お父さんが中学受験に関わるためには必要です。
学校側が入試で子どものどのような能力を見極めようとしているかを知っておくことが、中学受験の勉強を効率的に進めるための前提となります。

お父さんは、自分の経験や過去の受験に強くこだわらず、現在の中学受験を知った上で関わることが大切です。
ぜひ子どもが挑戦しようとしている学校の入試問題を解いてみてください。

きっと、昔とはちがう「今の」中学受験を感じることができるでしょう。

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