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高学年の理系力のベースとなる読解力と理系力の育て方

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公開: 最終更新日:2023年05月02日

お子さんを理系が得意な子に育てたい、とお考えの方は多いのではないかと思います。

ここではそんな方たちのために、お子さんの理系の力を伸ばす ヒント、 また注意しておいていただきたいことなどについてお話ししたいと思います。

小さい頃は算数に長けていると思っていたのに、高学年になって算数につまづく事があります。

低学年のうちは 計算力があれば乗り切れてしまう問題が多く、 極端な場合、ろくに問題を読んでいなくても正解が出せてしまうということが起こります。
高学年になると計算力だけでなく、問題文に書かれてあることを読み取り整理する力が大きくものを言うようになるのです。

算数においても、 読解力が重要だということです。

このように 問題の質が大きく変化した時に対応できるように、どのような準備をしておけばいいかを考えていきましょう。

音読は 要点整理の第一歩

私が若い頃、大手進学塾で子どもたちを教えていた時のことです。

授業の前後や休み時間には、質問のある子どもたちが講師の前に並びます。

「 先生、この問題がわからないので教えて!」

という お子さんに、私たちはまず「じゃあ、問題を声に出して読んでごらん」と声をかけます( あるいは「先生が今から問題を声に出して読むか、らよく聞いていてね」といい、問題を音読してその子に聞かせます)。

すると

『あ、わかった!◯◯ということだったんだ!』

と一人で納得して戻っていく子が多くいます。

自分で問題を黙読していた時には、問題に示された条件のうち必要なものを何か読み落としていたことに気づくのです。

このように音読する、または音読を聞くことで、黙読していた時には見えなかった情報がわかることが意外に多いのです。

こういった経験から私は、子どもたちに「ひそひそ音読」を奨めるようになりました。

「ひそひそ音読」 というのは、まるで音読するようにコソコソとつぶやくイメージの黙読、という意味で私が名付けたものです。

はじめは音読でいいのですが、テストの時に音読するわけにはいきませんね。
だからだんだん声を小さくして、「まるでひそひそとつぶやくようなイメージ」で(頭の中で自分の声が響いているイメージで) 黙読するということをおすすめしているのです。

お子さんたちがこの「ひそひそ音読」を習得すると、問題の読み飛ばしや 読み間違いが激減します。

計算は得意なのに、文章題の読み取りや報整理が苦手というお子さんは、まずこの「ひそひそ音読」を試してみていただければと思います。

親御さんの声かけで「理系的な読み方」を促す

「計算は得意だけど文章問題が苦手」というお子さんの多くは、文章が伝えたい事を読み取れていなかったり、道筋を立てて解釈していく事ができていないのです。
状況や条件を把握し、問われた物事を理解しなければなりません。

そのとき必要になるのが「理系的な読み方」です。

「なぜそうなるのか」
「 だったら次はどうなりそうか」
を常に考えながら問題文を読む習慣を、つけていきましょう。

まずは、お子さんが答えをだした時「どうしてそのように考えたの?」「結局何をめなくちゃいけないんだっけ?」とお母さんがお子さんに質問することから始めてもいいでしょう。

お子さん自身が問題と向き合い「なぜこうなったのか」「次にどうしたら答えを導き出せるのか」問いかけたり疑問を持つよう、まずは親御さんが導いてあげてください。

やがてお子さんが1人で問題を考えている時にも、同じように「自問自答」ができるようになります。

お子さんが先生、親御さんが生徒の「ミニ授業」 を意識して理解力のアップを

またお子さんが先生になり、 親御さん扮する生徒に「なぜそのように解くのか」を理解できるように教える「ミニ授業」もオススメです。
人が分かるように説明して伝えるには、先生であるお子さんが深く理解しておくことが必須になります。

この時親御さんは「出来のいい生徒」ではなく「ちょっと出来の悪い生徒」を演じてあげることが ポイントになります。

例えば親御さんが 理系科目がそんなに得意でないのならば、そんな親御さんをすっきり 納得させられる説明ができれば素晴らしいですね。

親が教科の内容を詳細に教えることはできなくても、このようにお子さんが自力で考える「場面」を上手に作ってあげることで、 お子さんの理系脳を大きく育てていくことができます。

ぜひ家族で絆を深めながら、お子さんの理系力アップを目指していただければと思います。

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