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中学受験 算数 ~大手進学塾の特徴と対策~

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公開: 最終更新日:2021年07月21日

みなさんは大手進学塾の算数カリキュラムには3つのタイプがあることをご存知でしょうか?

5年生で

  • 「問題を解く方針を立てる力」に重点をおく塾、
  • 「解法知識」を積極的に教える塾、
  • その中間の塾

の3つです。

塾の教材やカリキュラムは、この3タイプの塾で少しずつ違いがあります。

ここでは、大手進学塾の特徴、大手進学塾のカリキュラムと入試問題との関係についてふれていきます。

お子さんにも3つのタイプがある

次のような問題を例に考えてみましょう。

【問題】
太郎くんと次郎くんが一定の早さで、休むことなくAB間を1往復します。
二人は同時にAを出発し、太郎君はBに着いてすぐに引きかえし、Aにもどる途中で次郎くんと出会い、その後8分でAに着きました。
2人が出会った時間は出発してから14分後だったといいます。
次郎くんは太郎くんと出会ってから何分後にBに着きますか。

この問題を「(問題を)解く方針を立てる力」、「解法知識」の2面から見ていきます。

お子さんには3つのタイプがあると思われます。

1番目は、この問題文からすぐに、AB間の距離を1として解く、または太郎くんと次郎くんの早さの比が7:4として解こうとするお子さんです。このタイプを「ア」とします。

2番目は、次のように、問題文を読んで線分図やダイヤグラムを書こうとするお子さんです。このタイプは「イ」です。

最後は、次のように、問題文から式を解こうとするお子さんです。
(太郎くん+次郎くん)×14分=往復 や 太郎くん×(14分+8分)=1往復 のような式です。
このタイプを「ウ」としましょう。

これらのお子さんの3つのタイプは、次のように分類できます。

    • 問題を解く方針を立てる力も解法知識も習得できている「ア」タイプのお子さん
    • 問題を解く方針を立てる力がよく習得できている「イ」タイプのお子さん
    • 解法知識がよく習得できている「ウ」タイプのお子さん

の3タイプというわけです。

受験算数の問題を解く場合には、「解く方針を立てる力」と「解くための知識」の両方が必要です。

ですから、「イ」タイプのお子さんは解法知識を強化、「ウ」タイプのお子さんは解き方の方針を立てる力を強化して、「ア」タイプを目指すことになります。

先ほどの問題を例にして、お子さんがこれから必要としていることがらを具体的に見ていきましょう。

「イ」タイプのお子さんは、「速さの問題を解くときは、線分図やダイヤグラムをかく」という方針が立てられるお子さんです。
その続きとして、「○○に着目すると☆☆がわかる」という解法の知識があれば、矢印のように「ア」にたどり着いて正解を得ます。
もし、解分図やダイヤグラムでとまっていれば、それは「解法知識」を鍛える必要があることが分かります。

また、タイプ「ウ」のお子さんは、「早さの問題を解くときは、速さ×時間=距離という式に表す」という方針を持っているお子さんです。
その後、「消去算から等量関係を導き出し、比や①にあたる数字を求める」という解き方の方針がかたまっていれば、やはり矢印のように「ア」にたどり着いて正解を得ます。

もし、式を書いただけで困っているようでしたら、それは「解法の方針」を意識できるような練習が必要だと分かります。

お子さんがどちらのタイプになりやすいかは、実はお通いの塾の算数の指導についての考え方にもよります。

塾別 算数への取り組み方

SAPIXに代表されるタイプの塾は下の図のように、「問題に対する取り組み方や『がんばり』方を5年生から6年生の前半で問題の演習を通して指導し、それを土台にして、6年後半に知識を教えていく」という塾です。

このように塾に通われているお子さんの場合、5年生の段階で「問題に対する取り組み方や『がんばり』方」が仕上がっているようであれば、どんどん問題演習を進めて知識を増やせると、算数がどんどん得意になることができそうです。

一方、浜学園や希学園に代表されるタイプの塾は、6年生になる前から「通常の算数(塾によって、平常•ベーシックなどの呼び名があります)の授業以外に、「特訓算数(浜学園の最高レベル特訓、希学園の最高レベル演習など)」という講座を並行して受講し高度な知識まで学ぶことで、問題に対する解き方も俯瞰できるように指導していく塾といえます。

このような塾に通われているお子さんの場合、塾から与えられたカリキュラムをこなしきることで、算数のできるお子さんになっていきます。

日能研や四谷大塚系に代表される塾は、問題に対する取り組み方も解法知識も並行して指導している、いわば中間的な塾です。

このような塾に通われているお子さんの場合、SAPIXに代表される塾と同様に、5年生段階で「問題に対する取り組み方や『がんばり』方」が仕上がっているよいうであれば、問題演習の比重を高めて知識を増していくと、算数の得点もアップします。

このように、お子さんのタイプ、塾によって算数の授業への取り組み方はさまざまです。
お子さんがお通いの塾に合わせ、今一度算数の勉強のしかたを見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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