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【首都圏セミナーレポート】2019年入試分析からみる2020年の入試対策(後編)

【首都圏セミナーレポート】2019年入試分析からみる2020年の入試対策(後編)
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2019年2月21日に都内で実施された、首都圏入試分析のセミナーの内容(後編)をお届けします。
前回は、西村先生による首都圏中学受験の全体的な入試傾向と、高野先生による算数の入試分析についてお伝えしました。
後編では、辻先生による理科、小川先生による国語の入試分析をお届けします。

2019年、理科の入試問題

中学受験情報局の主任相談員、名門指導会の副代表である辻義夫先生から、理科の入試問題の2019年の傾向についてお話がありました。
「2019年の傾向としては、そんなに変わらない、例年通りといった印象でした。難関校では、12歳なりの知性と科学のアンテナが必要です。
つまり、自分の頭で考えた経験の多さや自分を取り巻く世界への関心が重要になってきます」

学校別、理科の入試問題の傾向と必要な力とは

それぞれの学校ごとの傾向と対策について、そして各家庭で大人ができることについても説明がありました。

2019年、理科の入試問題

麻布

傾向

「習ってないから無理、という考えかたでは麻布の入試問題は解けません。例年通り、自分の知識を工夫できる生徒を選んでいるような問題が出ました。物理は温度計、化学はコーヒー、生物は有性生殖と無性生殖、地学は暦法について出題されました。」

必要な力

「現象への興味と、論理的な読解力」

家庭で大人ができること

「リビングに百科事典を置くなど環境を与えてあげることや、ヤフーニュースの科学分野の記事を読むことをすすめるなど、話題の提供も効果的です。事象の自分ごと化が大切でしょう。」

開成

傾向

「解きやすいからミスができないのが特徴です。でもこの傾向もいつガラッと変わるかわからないので要注意です。難問になる可能性もあります。物理は熱の移動、化学はインクのしみ、生物はアリの性質、地学は水の移動についても問題が出されました。」

必要な力

「ていねいな読み取りと、ミスのない作業力が必要。開成の理科はぜひ満点を目指す気持ちで取り組んでほしいです。」

家庭で大人ができること

「条件整理の練習、図やグラフの処理、そして基礎知識の確認をさせてあげるといいでしょう」

筑波大筑駒

傾向

「例年通り、筑駒の理科の入試問題は物理がカギです。2019年は力学と光の進み方について出題されました。」

必要な力

「処理スピード、集中力と作業力です」

家庭で大人ができること

「思考スピードを育成してあげましょう。集中してやりきる経験によるマインドセットも大切です。基礎知識の確認も必須でしょう。」

桜蔭

傾向

「典型的な難問が出題されましたが、例年通りなので対策しやすいといえます。物理は電流、化学は砂糖水、生物は人体、地学は季節と星座についての問題が出ました。」

必要な力

「難問への対応力、そして高い応用力が必要になるでしょう」

家庭で大人ができること

「まずは良問を選択してあげてください。その解き方を説明する練習をすると効果的です。基礎知識の確認のためにも、家庭内で子どもによる(親が生徒役になっての)ミニ授業をするといいでしょう」

雙葉

傾向

「例年通り、子どもたちがこれまで見たことがないと感じる問題が出題されました。ありきたりな問題ではないので、最後まで問題をしっかり読むという意欲が必要です。物理は光、化学は気体、生物は昆虫、地学は火星・流水について出題されました」

必要な力

「初見問題への対応力、モチベーション、そして読解力と整理力が大切です」

家庭で大人ができること

「話題の提供をしてあげるといいでしょう。今年は、普通の受験生が普段の勉強で手薄にしがちな、凸レンズの作図が出ました。重箱の隅をつつくようなていねいな学習が必要です」

駒場東邦

傾向

「大問1がカギとなりました。物理は磁石の性質、化学は中和、生物はカイコガ、地学は天気(台風)についての問題が出ました」

必要な力

「処理スピードと難問対応力」

家庭で大人ができること

「細かな知識の確認をしましょう。前年の理科的な事柄のトピックを確認するのも効果的です。それらについて、良質な問いを立てるよう意識してあげられるとなおいいですね」

女子学院

傾向

「難問対策も必要になってきました。物理は力学、化学はリサイクル(物質)、生物はメダカ、地学は天気(大気の状態)についての問題でした。」

必要な力

「処理力と集中力、そして読解力と計算力です」

家庭で大人ができること

「理科的な話題の提供、マインドセット、思考スピードの養成を心がけてあげてください」

理科の先生の選び方

辻先生によると、「自分たちの住んでいる世界への興味をもつ、手助けしてくるような理科の先生を選ぶことが大切です」とのこと。一見授業と関係ない話題を提供してくれ、そこから話をふくらませて話題を生徒ひとりひとりの「自分ごと」にしてくれるような先生を選ぶことができたらいいですね。

2019年、国語の入試問題

2019年、国語の入試問題

中学受験情報局の主任相談員、名門指導会の副代表である小川大介先生からは、このようなお話がありました。
「今年の入試は、難関校や名門校は「さすが」という問題を出してきました。各学校がどういう意図を持って、入試問題を作っているかを考えるべきですね。また、子どもの自主性を引き出せるような育て方も大事です」

また、国語のポイントとして小川先生は「現代社会への関心」をあげます。
「論理力は、算数で鍛えられます。パターン演習ではない算数の勉強をしていたら、それが国語の対策にもなっていくのです。理科や社会の学びによって現代社会への関心を持つことも重要ですね」

さらに、大人の問題意識や家庭での親子の会話も大切だと言います。近年、他者への理解や共感力が求められるようになり、男子校の国語の入試問題に主人公が女性の物語文が出ることもあるようです。「今は、塾の指導だけでは難しい」のかもしれません。

学校別、国語の入試傾向と指導者を選ぶポイント

2019年の国語の入試傾向について、小川先生より説明がありました。

筑波大駒場

「今年は詩の比重が大きくなりました。言葉を大事に扱い、言葉の背景理解と論理的な構築力が求められました。また、限られた言葉で文章を構成する力も重要ですので、言葉をどう使うかといった問いかけや、思考の観察ができる指導者を選んであげましょう。
物語文では共感力や発信力が大事です。自分なりに書いてみようという意識があるといいですね。論説文は、現代社会への興味や理解、課題発見力が求められますので、指導者にも社会や理科への関心、思考力が必要です」

桜蔭

「強烈だった、と言えます。さすが桜蔭、完成度が高い入試問題でした。論説文は、深く読解しないと解けないような問題で、問題提起から結論を把握したうえで、言葉の定義を意識して読むことが求められました。物語文は戦争という難しいテーマで、1行35文字、270行以上ある長い文章でした。全体把握が必要なので、読解力と記憶力が求められます。
指導者には自らが試験問題を作れるくらいの能力はもちろんのこと、理科や社会科の素養も必要です」

駒場東邦

「近年傾向が変化していましたが、それが定着したという印象です。大人の視座、他者への共感力が重要でしょう。指導者は、男女御三家の研究をしっかりやる先生を選んでください」

女子学院

「自分自身の価値観に基づいて、自分の力で切り開くような自立した女子、自分なりの判断基準を持っている子に来て欲しいという女子学院らしい問題でした。処理力、解答力への自信が必要です。親子の会話では、子どもを自立した人間として話すことを心がけてください」

先生選びのポイント

「それぞれの家庭の目標や教育方針に沿って、子どもにとってどのような勉強がいいのかをきちんと考える先生を選びましょう。2019年の国語の入試問題では、論理力、共感力、そして社会への関心が求められました。
対策として有効なのは、理科と社会の勉強法を見直すこと。暗記ではなく、子どもに説明させる機会を持つといいですね。時事への関心も重要です」とのことでした。

2019年の出題傾向をふまえ、2010年以降の入試に向かって何をすべきか、具体的に考えていくヒントになる分析セミナーでした。

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