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中学受験に向けて今からできること。幼児期や低学年の学習方法は?

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公開: 最終更新日:2024年02月21日

中学受験をすることが早めに決まっている場合、幼児期や低学年のうちに学習したほうがよいことはあるのでしょうか?

幼児期にやったほうがいいこと、やってはいけないこと。
小学校に上がったら何を意識して勉強させればいいのか。

ここでは、中学受験を見据えた低学年からの学習のポイントを解説します。

幼児期にやっておいたほうがいいこと やってはいけないこと

「ちょっとした我慢」をさせる

高学年になると、「うちの子はなかなか勉強をはじめない」というお悩みがとても多くなります。
気持ちがなかなか勉強に向かわない。子どもだったらある意味当たり前のことではありますが、それでも自分を律して勉強に向かえる子と、そうでない子がいるのは事実です。

なかなか勉強をはじめることができないお子さんは、自分のやりたいことや遊びから勉強に気持ちを切り変えることが苦手です。
これは、基本的に我慢をするということをあまり経験してこなかったお子さんに多い特徴。

将来、勉強する子に育ってほしいと思うなら、5歳あたりから、「ちょっとした我慢」を経験させるとよいでしょう。
我慢といっても大したことではなく、ちょっとしたことで構いません。
たとえば、お友達におもちゃを譲るとか、家事や仕事で忙しいときに子どもに話しかけられたら「あとで聞くから、ちょっとだけ待ってて」と待ってもらうとか。その程度のことでいいのです。

このとき、子どもがちゃんと我慢してくれたら、褒めることを忘れないようにしましょう。ちょっと我慢すると褒めてもらえる、ということを経験すると、「ちょっと我慢する」という行動が定着していきます。
この「ちょっとした我慢をする力」は、中学受験の勉強が始まってから、遊びたい気持ちをこらえて勉強に向かう際の大きな助けになります。

早期英才教育を受けさせてはいけない

フラッシュカード、速読、右脳教育などといった早期英才教育プログラムがたくさんあります。
しかし、このような英才教育を幼い子に受けさせるのは危険です。
英才教育は、合う子と合わない子がいます。
英才教育に合う子は、それこそ目を見張るような結果を出しますので、それを見た方が「我が子にも」と思う気持ちは分かります。
しかし、英才教育に合う子というのは、5%ほどしかいないのです。

ほとんどの子は、英才教育に向いていません。
子どもの成長に近道はありません。
焦らず見守りながら、成長段階に合わせてステップバイステップで遊びや学びを伝えていきましょう。

幼少期は勉強よりも「体験学習」を

中学受験の勉強が始まるまでは、とにかくたくさん遊ばせてください。
低学年までの子に必要なのは、さまざまな体験です。
友達と遊ぶこと、スポーツ、ハイキング、海水浴、キャンプなど、勉強よりも体で楽しむ経験が重要です。
この時期に、見て、触って、体験したことが、「考える力」の基礎を育みます。

たとえば、折り紙や積み木でよく遊んだ子は、図形の理解に優れています。
自然の中で虫や植物に親しんだ子は、生物の分野が得意になります。
電車に乗って旅行をたくさんしてきた子は、駅名や地名、特産品などに詳しく、地理の感覚が身についています。

体験がその後の学力につながると聞くと「あれもやらせなきゃ」「これも」と焦ってしまうかもしれませんが、特別なことをする必要はありません。
お子さんが何かに夢中になったら、なるべく大人の都合で中断させずに、思う存分やらせてあげる。その程度で大丈夫です。
低学年までは知識で詰め込むのではなく、体験させる。これが、のちのち大きく学力を伸ばす秘訣です。

小学校低学年までは「読み・書き・計算」

昔から「読み・書き・そろばん」と言われますが、現在でも学びの基本は変わりません。
やはり、基礎学力をつけるために重要なのは、「読む」「書く」「計算する」という3つの力です。
小学校低学年のうちに、この「読み・書き・計算」をしっかり身につけましょう。

「読み」

読む力は、全ての基本です。ここが疎かになっていると、国語はもちろんのこと、全ての教科に影響します。
正しく読めなければ、テキストを理解できないし、問題を解くこともできないからです。

低学年のうちは、音読から入り、徐々に黙読ができるように練習しましょう。
ここを急ぐと、スピードはあるのに理解の雑な斜め読みになってしまいがち。
一つ一つの言葉を丁寧に拾って読んでいくような読み方を促してください。

「書き」

まずは、鉛筆を正しく持つことが大切です。また、字を丁寧に書く練習も欠かせません。
書くことに関しては、学校任せにしていると、練習量が足りません。
学校の宿題以外に、自主的な書き取りが必要です。教科書を書き写したり、漢字ドリルをやったりするとよいでしょう。
教科書の書き写しに慣れると、少し先の言葉を意識しながら書き取れるようになっていきます。
これは、自分の頭の中に内容を一時的に保管する能力「ワーキングメモリ」を鍛えるよいトレーニングになります。

「計算」

低学年のうちからあまり先取り学習をする必要はありませんが、計算については例外です。学校の学習ペースで1学年先くらいの計算力が身につくようにしておきましょう。
高学年になっても、足し算で指折り計算している子をたまに見かけます。そうならないよう、低学年のうちに基本となる「数のユニット」の感覚をつかみ、確かな計算力を身につけましょう。

「数のユニット」とは、「4と6」「2と8」のように、足すと10になる数字の組み合わせのこと。
数のユニットの感覚がしっかりしていれば、計算が早く正確になります。

3年生からは入塾準備を

中学受験塾は4年生からというところがほとんどですが、塾の1年間は、4月ではなく2月から始まります。
つまり、3年生の2月から中学受験に向けたカリキュラムがスタートするということです。

2月の開校に間に合うように、1月の入塾テストを受けることをおすすめします。
入塾テストの対策は、2~3カ月前くらいから始めましょう。つまり、3年生の10月か11月あたりから勉強をすることになります。
入塾テストは算数と国語の2教科です。国語は、とにかく長い文章に慣れておくことが大切です。
学校のテストでは見たこともないような長文が出ますので、しっかり対策しておきましょう。

算数については、問題数が多く、難易度も高くなります。学校の勉強だけではまかなえないので、参考書や問題集で準備しておく必要があります。

また、入塾テストの予行演習として、低学年向けの公開テストを受けてみるのもよいでしょう。
テストの雰囲気に慣れることができますし、時間の感覚もつかめます。

以上、この記事では中学受験を見据えた低学年からの準備についてお伝えしました。
周到にしかし焦りすぎずに準備していきたいですね。

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