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小学校に期待していいこと、期待してはいけないこと

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公開: 最終更新日:2021年07月13日

中学受験のための勉強をしていると、学校の宿題と塾の宿題のどちらを優先させたらいいのか、迷ってしまうこともあると思います。
そんなときに立ち返るため、今回の記事では小学校の役割や、小学校に期待できることとそうでないことについて考えてみました。

小学校は「勉強する場所を与えてくれる」もの

小学校は指導要領に沿って、教科書に載っていることが最低限わかるように、勉強する場所を与えてくれます。
また、生活リズムを一定にさせてくれ、体を動かす機会も与えてくれる場所でもあります。

近年、公教育はゆとり教育からの揺り戻しもあり、「学力をつける」という方向で指導要領が変わりました。
その影響で、都市部の公立小学校などでは学習量を増やすために、宿題が多く出たり、授業時間数が増えたりしています。
勉強を教えてくれるというよりは、勉強する場所を与えてくれるものだと認識するといいのかもしれませんね。

小学校に期待していいこと

中学受験を目指す子どもたちにとっては、学校の宿題にあまり時間がかかると、塾の学習にしわ寄せがきてしまいます。
ちゃんと学力が向上するような宿題ならいいのですが、「同じ漢字を100回書く」「新聞記事を丸写しする」など、受験生にとっては負担が大きな宿題が出されることもあるようです。

でも、小学校にはいろいろな子どもたちがいること、いろいろな先生がいることで、得られることもたくさんあります。
授業時間や休み時間、給食や係活動、先生から、友だちから、集団生活のルールを学ぶことができます。
集団での生活を楽しむ方法を教えてもらうことは期待できると思います。

また、音楽や図工、家庭科や体育などがあるのも学校教育のよさですね。
家庭科で目玉焼きを作る、運動場の白線引きを手伝う、このような経験は、実は中学受験の勉強に役に立つ経験でもあります。

中学受験のための勉強には期待してはいけない

小学校にも勉強の教え方に、それこそ血のにじむような努力をされている先生もたくさんいるのも事実です。
しかし、小学校での学習は中学受験をする子どもにとっては基礎でしかありません。
塾に通わずに、小学校の勉強だけで中学受験をすることは不可能と言ってもいいでしょう。

私立中学校受験に限定して言えば、文部科学省の学習指導要領に基づいた勉強だけでは、技能や知識の上達という点で、絶対的に不足します。
「学校の成績がいいから、受験もなんとかなるだろう」と考える方はさすがに最近は少ないですが、ときどき、「5年生になってはじめて子どもを塾に通わせてみたら、あまりの進度に驚いてしまった。もっと早く塾に入れたらよかった」という声をきくこともあります。

最近志望者が増えている公立の中高一貫校の入試でも、学校の勉強だけでは対応できないので、遅くとも5年生には塾通いを始めないと苦しいのが現実です。

学校での経験は貴重な学び

学校生活の中には、すばらしい経験ができるチャンスもたくさんあります。
たとえば今でも小学校1年生の多くは、アサガオを種から育てて、観察します。
子どもが自分の体験として、植木鉢に種を植え、水をやり、添え木を立てて…とやっていくうちに、植物の育ち方が自然にわかるようになるでしょう。

昔は自然がたくさんあり、裏の畑などで植物の育ち方を学んだ子どもがたくさんいましたが、今はちがいます。
都会に住んで高層マンションに住んでいたりすると、植物が種から育っていく様子を見たことがない子もいるので、そういう子どもにとっては貴重な経験になります。

夏休みの自由研究も、子どもが自分自身で考えてやるのなら、さまざまな効果を期待することができます。
小学校はたしかに学習面では基礎を教えてもらうだけなので中学受験には物足りないとも言えますが、生活知識を得られることや、さまざまな体験を通してたくさんのことを学ぶことができる貴重な場所でもあるのです。

学校と受験勉強のバランスが大事

中学受験のための勉強をしていると、塾で忙しく、限られた時間を有効に使うためにも学校の勉強があとまわしになってしまうこともあるかもしれません。
でも、学校は子どもの社会性を育み、生活知識を豊かにしてくれます。
学校でしか学べないこともあるということを再確認し、うまく受験勉強とバランスを取ることができたらいいですね。

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