中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

5年1月にしかできない 第一志望合格をスムーズに達成するシンプルな方法

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公開: 最終更新日:2021年08月12日

こんにちは。
中学受験情報局 主任相談員の西村則康です。

ちょうど各塾で週末に行われた、組分けテストの結果が出たころと思います。

実際に、すでにテストの結果報告とご相談も頂いています。
クラスアップをしたご家庭、現状のクラスを維持されたご家庭、残念ながらクラスが下がってしまったご家庭…

結果は様々ですが、大切なことは、「ここからどうするか」です。

1月の組分けテストの結果を受けて、これから、どのように学習を取り組んでいくのか?

この記事では、少し厳しいお話をさせていただきます。

というのも、受験をスムーズに進められるかどうかは、5年生の1月が最大のターニングポイントになるからです。

まずは1月から、現状のクラスに合わせて、「正しい」学習スケジュールを組み、計画的に学習を進めているご家庭と、そうでないご家庭にはどのような違いが出るのか。

簡単にまとめてみました。

A.1月から正しい学習計画を立てられたご家庭の場合

■ 6年生の高度な学習にも、遅れず、ついていける
■ 6年生の夏休みまでに、学習の基礎が完成する
■ 6年生夏休みは、基礎の強化・応用学習の時間に使える
■ 9月から過去問を効率よく消化でき、「テスト慣れ」ができる
■ 受験直前でも十分な睡眠時間が確保できる
■ 心身ともにストレスフリーな状態で本番に臨める

一方で、「正しくない」学習計画に沿って、6年生の学習をスタートさせてしまうと…

B.正しい学習計画が無いまま、6年生を迎えたご家庭の場合

■6年生の初めから、授業が全く理解できなくなる
■ 夏休み前に、塾から志望校の変更を勧められる
■ 夏休みは基礎のやり直しに使う
■ 過去問を始めるのが、遅れる
■ 基礎が完成していないため、過去問演習が理解できない
■ 6年生後半に、「個別指導」などを集中して使用しなくてはならない
■ 受験直前は寝る時間もなくなる
■ 心身ともに限界まで勉強することになる
■ 学習時間を限界まで増やし、疲れが出て「学習効率」が更に悪化する

こう見てみると、Bの「正しい学習計画が無いまま、6年生を迎えたご家庭」の例は極端に見えるかもしれません。

ですが、毎年中学受験をしているご家庭を数千件見ている私たちでも、「A」のようなご家庭は一握りしか知らず、多くても全体の2割程度のご家庭しか、スムーズに受験を進められる「正しい学習計画」を手にできていないことがわかります。

実に、全体の5割以上のご家庭が、受験終盤に余裕がなくなり、Bの例のように、睡眠学習を削り、お子さんの心身に負担をかける受験を経験しているのです。

これは決して大げさな話ではなく、
実際に毎年多くのご家庭からご相談をいただき、
受験直前の今現在、現6年生のご家庭からも、

「後もう少し早く始めていれば…」
「間違った勉強の仕方をしてしまっていた…」
「もっと時間に余裕があると思っていた」

といった声をお聞きしている「現実」なのです。

では、「正しい学習計画」とは何なのか?
簡単に言えば、1月の組分けテストの結果に合わせて、今後1年間受験本番までに、どのように学習を進めていくべきか、計画を立てることになります。

ただ、こう言ってしまうと、どのご家庭でも簡単に取り組めることで、上記でご説明したような、「多くのご家庭が、苦しい受験を経験するはずがない」と思いませんか?

ところが、1月から学習計画を立てる際には、大きな落とし穴があり、毎年多くのご家庭が、「間違った学習計画」を立ててしまっているのです。

中学受験業界では常識なのに、ご家庭には知らされていない、意外な「落とし穴」を紹介しながら、ご家庭で「正しい学習計画」が立てる方法について話していきたいと思います。

1.基礎学習は「6年7月」までに完成させる

多くのご家庭で、「受験勉強は受験本番まで、できる」と考えており、それを前提として学習スケジュールを組みがちです。

ですが、受験に必要な学習ができるのは6年生の7月までと考えなくてはなりません。

下記を御覧ください。

【各塾での6年生の大まかな予定】

6年生2月〜7月 6年生の学習
6年生8月 夏期講習 = これまでの総復習
6年生9月 早い塾では過去問演習が始まる
6年生10月〜1月 志望校の過去問演習(本番のテストに慣れる期間)

上記の通り、塾では9月以降は基本的に過去問演習に充てられています。
御存知の通り、過去問演習の目的は、志望校の出題傾向や、問題のクセに慣れることです。

9月までに、基礎学習が完成していないと、過去問を解いても理解ができず、問題に慣れるどころか、わからない問題を解いては、基礎からやり直すという非常に効率の悪い学習をせざるを得なくなってしまいます。

過去問の消化は、最低限の知識がある状態で行って効果が出るもので、知識が無いまま過去問を解き始めでも、お子さんの自信がなくなっていく一方で、中々問題が解けるようにはなりません。

これが、毎年塾の先生が10月頃になって、突然志望校の変更を薦めてくる理由でもあります。

厳しい言い方になりますが、遠回しに「この状態で、過去問を解いても、合格の望みが薄い」と告げられているのです。

反対に、6年生7月までに「基礎」が固まっているお子さんは、最初の頃、過去問の点数が全く取れなくても、出題傾向や、問題のクセに慣れてしまえば、どんどん得点率が上がっていくのです。

ですから、基礎学習は7月までに完成させ、8月の夏期講習の復習を基礎の強化・応用問題への対応力に当てていくことが求められるのです。

「6年生の7月までに基礎を完成させる」ことを前提に、学習計画を組めるかどうか?

これが6年生1年間の受験を、スムーズに行えるかどうかの最大の分かれ目になります。

2.6年の学習だけを意識しすぎないこと

6年7月までに学習の基礎を完成させる必要があると聞くと、想像よりはるかに、学習に使える時間がタイトであると感じられると思います。

ですが、「6年生の学習をどうするか?」だけを考えていると、また別の落とし穴にハマることになります。

というのも、6年生の学習には、算数の「割合と比」「速さ」などを初めとし、5年生で学んだことがベースとなっている単元がたくさん含まれているからです。

6年生の学習が始まるまでの1月、そして春休みの期間を使って、5年生までの学習で完成できていないことを復習する時間をとることも忘れないようにしてください。

5年生までの学習を完成させることで、6年生の学習の理解がしやすくなり、授業に遅れずについていけることになりますので、復習に割く時間を節約できるようになります。

6年生のゴールデンウィークや夏休みなど、大型連休を非常に効率よく使えることができるようになる強みがでてきます。

3.暗記型学習では6年の授業には対応できない

暗記をするだけで、「仕組みや成り立ち」を理解していない学習方法では、どうしても6年生で扱う高度な授業にはついていけなくなってしまいます。

5年生まで成績が良かったのに、6年生で成績をガクッと落としてしまうというご家庭が毎年一定数以上いらっしゃるのですが、これは「暗記型学習に頼り切ってきた」ことが原因であることが大半です。

具体的な対策としては、今回の組分けテストの結果を参考に、お子さんの現状わかっていないことを突き止め、5年生の総復習をする際に、「どうしてそうなったのか?」を聞いてあげることを習慣づけていきましょう。

「上手く説明ができない」ということはお子さんが完全に理解できていないということになりますので、塾の先生に質問に行くようにするか、解説の多い問題集を買ってきて、お母さんが解説してあげると良いでしょう。

どうしてもわからないという場合や、復習することが多すぎるという場合は、個別指導や家庭教師を、この機会に検討することもオススメします。

4.お子さんと目標を共有する(習い事の取扱い)

ご家庭だけで学習計画を立てられる場合に、もう1つ大事なことが、お子さんと大まかな目標を共有することです。

お母さん・お父さんが決めた計画を、漠然と消化していくより、「今週は、速さの復習をしようね。」とったように明確な目標と、いつまでにやるのか?を共有してあげましょう。

そして期間内に目標が達成できなかった場合は怒るのではなく、「今週は、速さの復習が残っちゃったから、来週のこの時間にやろうね」と計画の変更も伝えてあげてください。

お子さんのモチベーションを保ち、自信を持たせ続けるには、一緒に目標に向かって進んでいるということを、お子さんと確認する時間も非常に大切です。

また、「習い事」をしている場合は、6年生のいつまで続けて、いつから中断するのかは今の時期から話しておくこともオススメしています。

その際も、「辞めなきゃダメでしょ!」といったように怒るのではなく、お母さん・お父さんと相談し、お子さんも含めて中断する時期を決めたという形にするのがベストです。

5.家庭教師・個別指導は「先」に使う

上記をまとめますと、6年生の1年間の受験をスムーズに進めるためには…

6年生の1年間の受験をスムーズにする3つのポイント

■ 5年生までの学習で、できていないところは4月までに復習する
■ 6年生の学習を含め、基礎は6年生8月までに完成させる予定を立てる
■ 必ず「理解型」学習の癖をつける
(もちろん「○△☓」による課題の取捨選択はマストです。)

この3点が大切になってきます。

もし、塾の先生に相談したり、ご家庭内で対応しても、上記3点を達成できそうにないという場合は、早期の段階で家庭教師・個別指導を早めの段階から導入することをオススメします。

1月〜2月の間に、お子さんに合わせた正しい学習計画を立ててもらい、計画通りに学習を進行できるまでサポートをしていただくために、家庭教師・個別指導を短期間で使用することは、受験の最終局面で個別の指導を使うより、何倍も大きな効果があります。

短期間のサポートで、学習がスムーズに進み始めて、個別の指導が要らないなと感じられたなら、受験最終まで家庭教師・個別指導を使う必要はありません。

ご予算の関係で、「受験後半に個別指導を使おう」と考えられているご家庭も少なくないと思いますが、家庭教師・個別指導は早めに利用されてこそ本領を発揮できますので、ご家庭と塾の学習だけでは、どうしても手が回らない場合は、短期での導入を検討してみてください。

ということで、お子さんの現状に合わせて、1月から戦略的に学習スケジュールを立てていくポイントについて簡単に解説してみました。

もちろん、受験後半で成績を上げる方法がないというわけでは決してないのですが、スムーズかつお子さんの心身にストレスをかけずに受験を進めていくには、1月から正しく計画立てて学習を進めていくことが大切になります。

ぜひ、この機会を逃さず、組分けテストの結果をベースにして、お子さんの学習状況を再度振り返り、6年生7月までに学習の基礎を完成させられるか確認してみてください。

この記事を書いた人
主任相談員 西村 則康 主任相談員 西村 則康
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