中学受験成功への第一歩!子どもの学力とやる気を同時に伸ばす「低学年から実践すべき3つの習慣」

こんにちは。
中学受験情報局主任相談員の西村則康です。
先日2025年08月29日に「DIAMOND 教育LABO」にて、「子どもの基礎学力を押し上げる「親の接し方」とは?低学年だからこそ学ばせたい、机に向かう勉強よりも大事なもの」というテーマにて取材を受けた記事を掲載されました。
内容としては、
- 中学受験を決める前に、低学年の今だからこそ大切なこととは?
- お子さんの特性に合わせたタイプ別学習法で効果を倍増させる。
- 基礎学力定着のカギは親子で〇〇することだった。
- 学校のカラーテストで満点を目指すと何が起きる?
といった内容をお話しています。低学年のみならず、中学受験の本番である4年〜6年生であっても、必ず把握して置かなければいけないことをお話していますので、ぜひ御覧ください。
また、DIAMOND 教育LABOにて、「親子で極める家庭学習」という特集をこれから配信していきますので、ご期待ください。
今回はこの記事に合わせて、低学年から取り組むべき学習について徹底して触れています。
お子さんの学力や学習意欲を育む上で、「家庭における学習環境」はとても重要です。
特に、小学校低学年の時期にどのような学習習慣を築き、親がどのように関わるかによって、その後の学びへの姿勢や、自走できる力の土台の育ち方が大きく変わってきます。
今回は、低学年から始める家庭学習の習慣の作り方、何を学習するべきか、そしてそれを習慣づけさせていくための親御さんの関わり方について、お伝えしたいと思います。
目次
なぜ「親子の対話」が学力の原動力となるのか
お子さんの学習意欲や学力の土台を築く上で、とても大切なのが「親子の温かい会話」です。
これは、ただのコミュニケーションという意味だけじゃなく、深い意味があります。
勉強のやる気スイッチを入れたり、ぐんぐん学力を伸ばすための、一番強力なエンジンになってくれるんです。
1. 温かい会話が育む「安心感」と「自己肯定感」
お子さんが自分から「勉強しよう!」と思ってくれるようになる、その最初のきっかけは、実は毎日の温かい会話の中にあるんです。
学校から帰ってきたら、「今日は学校でどんなことがあったのかな?」なんて、色々と話しかけて、優しく耳を傾けることから始めてみましょう。
大切なのは、お子さんが「しっかりと聞いてくれていると実感する」ことです。
このような会話を重ねていくことで、「今日はどんなことを勉強したの?」「宿題はどんなのがでたの?」という会話へとつながっていき、自然と学習をする習慣へと結びつけていくことができていきます。
しかし、けして焦らず「お子さんの話を聞く」「お子さんの話に合わせて質問をしてあげる」ということを大切にしてくださいね
毎日の会話が「学びの土台」になる。
また、こんな風に日常的に会話を続けると、お子さんの語彙力は自然と豊かになっていきます。
たとえば、お子さんが言ったことを、親御さんが別の言い回しで「こんな風にも言えるんだよ」と教えてあげるだけで、子どもは新しい言葉に出会い、その意味を自然に覚えていきます。
これは、単語をただ暗記するのとは大違いで、子どもが持っている言葉の力をぐんぐん伸ばす「会話の足場づくり」になることで、高学年になり、国語で難しい文章に出会ったときにも対応できる、すごく強い土台になってくれるんです。
「できる!」という自信につながる魔法の言葉
そして、親御さんと仲良しでいられることは、お子さんの「自分はできる!」という自信にも直結します。
「パパやママは自分のことを信じてくれている」と感じられると、お子さんは安心して新しいことにもどんどんチャレンジできるようになります。これが、やる気の原動力になるんですね。
実は、色々な研究でも、親の経済状況よりも、「家でどんな風に子どもと関わっているか」や「どれくらい一緒に学んでいるか」が、お子さんの学力アップにすごく大切だということがわかっています。
お子さんのやる気スイッチは、特別なことではなく、毎日の温かい会話の中に隠されています。ぜひ、今日から意識して、たくさんお話してみてくださいね。
2. 学力もやる気もぐんぐん伸びる!今日からできる「親子で考える」対話術
毎日のちょっとした会話や勉強時間の中で、お子さんの「なんで?」「どうして?」を上手に引き出してあげること。これは、お子さんの学力とやる気、両方を伸ばすために、とっても大切なことなんです。(参考:子どもの意欲と好奇心を伸ばす「なぜ?」「どうして?」とのつき合い方)
考える力を育てる「魔法の問いかけ」
お子さんが何か疑問に思っているとき、すぐに答えを教えたくなるかもしれません。でも、ぐっとこらえて「どうしてだと思う?」と質問し返してみましょう。これが、お子さんの考える力を育てる最高のチャンスになります。
「いつ?」「どこで?」「誰と?」「何を?」といった「5W1H」を意識して話しかけるだけで、子どもは自分の考えを頭の中で整理して、論理的に話す練習ができます。
また、うまくいかなかったことがあっても、「どうしてこうなったんだろうね?」と一緒に考えて、解決策を探すプロセスを体験させてあげてください。
たくさんの失敗と挑戦(トライアンドエラー)を繰り返すことで、ただ知識を覚えるだけではない、「問題を乗り越える力」が身についていきます。
「やらされる」から「やりたい!」へ
親との質の高い会話は、ただ知識を教えるだけではありません。
子どもは「考えるって楽しいな!」「自分の考えをしっかり聞いてもらえる!」という安心感を感じることができます。
こうして、「やらされている勉強」から卒業し、「自分でどんどん学びたい!」という意欲的な探求者へと変わっていくんです。c
ぜひ、お子さんとの会話で、「魔法の問いかけ」を試してみてくださいね。
焦らずじっくり!低学年から始めるおうち学習の「何を」「いつ」やるか
中学受験を考えている場合、低学年からの準備はとっても大切ですが、焦りは禁物です。じっくりと、でも着実に進めていくことが成功の鍵になります。
小学校低学年までは「読み・書き・計算」を徹底マスター!
昔から言われる「読み・書き・そろばん」。これは今でも学ぶことの基本です。特に、小学校3年生までに「読み・書き・計算」の基礎をしっかり固めることは、その後の勉強の土台づくりに欠かせません。この時期の学びは、お子さんの脳の成長にも大きな影響を与えてくれます。
1. 「読む力」はすべての基本
読む力は、すべての勉強につながる超重要な力です。ここがしっかりしていないと、国語だけでなく、他の教科にも影響が出てしまいます。
低学年のうちは、まずは声に出して読む「音読」から始めて、少しずつ目で追う「黙読」に慣れさせてあげましょう。この時、速く読ませようと焦ると、斜め読みの癖がついてしまいがちなので、一つひとつの言葉を丁寧に拾って読むように促してあげてください。
音読は、文章の意味を正確に理解するだけでなく、算数の文章問題に隠されたヒントに気づくきっかけにもなります。
音読が得意ではない場合は、大人と交互に読むようにしましょう。それでも難しい場合は、読み聞かせからはじめると、文章への抵抗感が下がり、読み方のイメージができることで、音読ができていくようになります。
もし、お子さんが長い文章を読むのが苦手そうなら、それはもしかしたら語彙力不足が原因かもしれません。日常の会話で、お子さんが言ったことを親御さんが「こういう言葉でも言えるんだよ」と教えてあげるだけで、言葉の世界はぐっと広がります。
2. 「書く力」は脳を鍛えるトレーニング
まず、鉛筆を正しく持つ練習から始めましょう。そして、丁寧に字を書く練習も大切です。
学校の宿題だけでは練習量が足りないことが多いので、自主的に教科書を書き写したり、漢字ドリルをやったりするのがおすすめです。教科書の書き写しに慣れてくると、少し先の言葉を頭に一時的に覚えておけるようになり、これは「ワーキングメモリ」という脳の力を鍛えるのにとても効果的です。
3. 「計算力」は早めに身につける
先取り学習はあまりおすすめしませんが、計算だけは例外です。学校のペースより少しだけ進んで、1学年先くらいの計算ができるようにしておくと安心です。
特に、高学年になっても指で計算してしまう子もいるので、低学年のうちに「4と6」「2と8」のように、足すと10になる「数のユニット」感覚を身につけさせてあげましょう。これが、高学年になってからの速く正確な計算につながります。
家庭学習の習慣は「いつやるか」が大切
お子さんの勉強の環境を考える上で、「いつ、何をなぜやるのか」をしっかり決めることが成功の秘訣です。
朝学習はいいこといっぱい!
朝の時間は、短い時間から始めやすいので、習慣にしやすいです。漢字練習や計算など、集中力が短時間でもできることから始めましょう。もし集中できそうなら、「考える問題」にも少しずつ挑戦してみると、充実した朝の学習時間になります。
1日の終わりは「復習タイム」
塾に通っていてもいなくても、寝る前にその日習ったことを復習する習慣をつけましょう。「習いっぱなし」で終わってしまうと、せっかく学んだことが忘れられてしまいます親御さんに「今日は何を習ったの?」と説明するだけでも、復習になります。ぜひ、親子で「1日の終わりのおしゃべりタイム」を設けてみてください。
削ってはいけない「睡眠時間」
中学受験をするとしても、睡眠時間を削るのはやめましょう。十分な睡眠は、日中の学習効率を上げ、覚えたことをしっかり定着させるために欠かせません。無理な学習計画は逆効果になることも。
まずは十分な睡眠時間を確保してから、残りの時間でどう勉強するか計画を立てるのがベストです。
早期教育・先取り学習の「落とし穴」
大手塾では低学年向けの講座もありますが、この時期はまだ塾に通う必要はないと私は考えています。それよりも、家庭で基礎をしっかり固め、勉強する習慣を身につけることを優先しましょう。
早くから塾に入れて安心したい気持ちもわかりますが、低学年から競争にさらされると、お子さんが「勉強嫌い」になってしまうリスクがあります。
「先取り学習」も注意が必要です。
親が安心したい、満足したいという理由で、ただ先に進むだけの学習は、99%の子どもにはおすすめできません。なぜなら、ただこなすだけのいい加減な勉強が癖になってしまうと、後で直すのがとても難しくなるからです。
大切なのは、単に知識を詰め込むことではなく、将来必要になる「自分で考える力」や「問題を解決する力」を育むことです。親子のコミュニケーションを通じて、それらの力を育ててあげてくださいね。
「結果」より「プロセス」!親の関わり方でやる気を引き出す
お子さんの「やる気」や「勉強する習慣」を育むには、親の関わり方がとっても大切です。その鍵は、上手に褒めてあげること、そして**「結果」ではなく「頑張った過程」を大切にすること**にあります。
「結果」より「頑張り」を褒めよう!
人は褒められると、脳が「もっとこの行動をしたい!」と感じて、やる気がアップします。このサイクル(報酬系と言われます。ご興味がある方は調べてみてくださいね。)を意図的に作ってあげることが、お子さんのやる気を引き出す秘訣です。
でも、何を褒めるかが大事!
「テストで100点取ってすごいね!」と結果だけを褒めていると、点数が取れなかったときに、お子さんは失敗を隠そうとしてしまうかもしれません。
そうではなく、「この問題、諦めずに頑張って考えてたね!」のように、努力した過程や行動そのものを褒めてあげましょう。そうすることで、結果がどうであれ、粘り強く挑戦し続ける心が育っていきます。
お子さんのタイプ別!「考える力」を伸ばすヒント
少し難しい問題にぶつかったとき、お子さんは3つのタイプに分かれることが多いです。
① 粘り強く考えるタイプ
このタイプのお子さんは、親御さんに温かく見守られて育ち、「結果より過程が大事だよ」と教えられています。たとえ今は成績がイマイチでも、これから確実にグンと伸びていくでしょう。
② 途中で諦めてしまい、解答や解説を待つタイプ
このタイプのお子さんは、まだ自分で考える習慣が身についていないのかもしれません。親御さんが、お子さんより先に答えを教えてしまいがちで、「結果」を重視する気持ちが伝わっている可能性があります。
③ すぐに「とりあえず」で済ませるタイプ
このタイプのお子さんは、一時的にテストのテクニックで乗り切れることもありますが、本当に考える力が必要になったときに壁にぶつかってしまいます。家庭の雰囲気に余裕がない場合もあるので、「とりあえず」の癖を直していくサポートが必要です。
お子さんが諦めずに挑戦する力を育むには、やはり日々の家庭での関わり方が大切。「結果」だけにとらわれず、「頑張ったプロセス」を大切にする姿勢をみせてあげましょう。
心を傷つけない「叱り方」の極意
もし叱る場面があっても、その方法は子どものやる気や自信に大きく影響します。「怒鳴ってしまったら負け」という気持ちで、次のポイントを意識してみてください。
短く、今のことだけを叱る
叱る時間は1分以内にしましょう。そして、昔のことを持ち出さず、「今、起きたこと」だけに焦点を当てて話します。あれもこれもと一度に叱るのではなく、一つに絞ることで、お子さんは何を直せばいいのかはっきりわかります。
人格ではなく行動を叱る
「なんであなたは〇〇なの?」と、お子さん自身を否定するのではなく、「〇〇という行動は良くないよ」と具体的に伝えます。たとえば、「あなたはダメだ」ではなく、「△△すればもっと良くなるよ」とポジティブな言葉に変換してあげましょう。
励ましの言葉を添える
ただ叱るだけでなく、「次は頑張ろうね」と一言添えるだけで、お子さんは「次は頑張ろう!」と思えるようになります。
子どもは「パパやママの笑顔が見たい」「叱られたくない」という気持ちが大きなモチベーションになっています。でも、本当に大切なのは、子どもが自分から「もっと知りたい!」「もっとやりたい!」と思えるように、親御さんが上手にサポートしてあげることです。
ぜひ、「どうすればお子さんのやる気を引き出せるかな?」という視点で関わってみてくださいね。
中学受験の成功は「自立した学び」というゴールへ
中学受験は、志望校合格という結果はもちろん重要ですが、お子さんが人生における重要な力を身につけるための最高の教育機会となり得ます。
この「航海」を通じて、子どもたちは粘り強く努力する過程を経て、精神的に大きく成長し、学習方法、思考力、発想力など、これからの教育環境の中で自立して行く術を身につけていきます。
合格という結果は、あくまでも通過点であり、真のゴールは、お子さんが受験を通して「自ら考え行動できる人間」へと成長することです。
親御さんがお子さんの学習の進行状況を把握し、必要に応じてサポートを検討することも重要ですが、それ以上に、お子さん自身を信じ、プロセスを重視する姿勢が何よりも大切です。
「結果ではなく、プロセスを重視する家庭で育った子どもは、現時点の成績が伸び悩んでいても、確実に伸びていく」
これは、多くの専門家や、受験を乗り越えた先輩が口を揃えて言っています。
親の「見守り」と「信じる」姿勢が、子どもを強くするのです。
これまでお伝えしてきた、「親子での会話」や「結果ではなくプロセスを大切にする関わり方」は、お子さんが「考えるって楽しい!」「わかった!」「自信がついた!」と感じ、そして、中学受験を通して「昨日の自分に今日は勝つ!」という、自立への道を歩み始めるための羅針盤となってくれるはずです。
お子さんの未来の学びを支えるために、ぜひ今日から、できることから一つずつ試してみてくださいね。
「2025年度版 中学受験ハンドブック」では、単元毎についての学習についても丁寧に触れています。ぜひご活用いただき、よりお子さんにとってよい中学受験にしていただければと思います。