中学受験 成功の鍵は「スケジュール管理力」!プロが教える 合否を分ける「スケジュール管理法」

こんにちは。
中学受験情報局の西村則康です。
私はこれまで、数多くの中学受験の現場を見てきましたが、その成功の鍵は、お子様自身の能力以上に、親御さんの「スケジュール管理力」にかかっていると言っても過言ではありません。
「たくさん勉強しているのに成績が上がらない」という学習相談が急増!そのからくりを知って塾の成績アップにつなげる!」という記事をDIAMOND教育LABO様の「親子で極める家庭学習」特集の中で書いております。
その記事の中で、「具体的なスケジュールの立て方」もお伝えしています。
では、なぜスケジュール管理が中学受験において最重要なのか、また、どういうポイントに気をつけるべきかについて、今一度ご理解いただくために、本記事を書いておりますので、合わせてお読みいただければと思います。
目次
1.スケジュール管理の絶対的な必要性
中学受験で求められる学習量は膨大です。闇雲に教材やカリキュラムをこなそうとしても、かえって勉強の効率を下げてしまう危険性があります。お子さんが効率よく、目標に向かって迷わず進むためには、親御さんが学習計画に関与し、何を優先的に取り組ませるか決めてあげることが必要不可欠です。中高生であれば自分で効率を判断できますが、小学生にはまだそれは難しいからです。
多くのご家庭では、お子さんの性格や学力を考慮して、お母さんが学習計画を作成しているのではないでしょうか。スケジュールを作る本来の目的は、お子さんのしつけのためではなく、中学受験の学習において成績を上げることです。
そして、最も大切なのは、計画通りに取り組むことそのものではありません。より良い学習計画にしていくためには、その都度、お子さんの学習状況を洞察し、お子さんといっしょにやり方を見直していくことが重要であり、実情に合わせてどんどんスケジュールを更新していく必要があります。
2. 週間スケジュール作成の鉄則:「3つの固定化」
受験勉強が本格化するにあたり、学期の始めには必ず「週間スケジュール」を作成することを強くお勧めします。毎日きっちり作る必要はありませんが、生活リズムを安定させ、効率よく勉強を進めるためのベースとなります。
週間スケジュールを作成する際、まず優先的に考慮し、固定化すべき3つの要素があります。この3点を習慣化し、スケジュールに先に記入することで、計画が立てやすくなり、生活リズムが崩れるのを防ぐことができます。
具体的なスケジュール例は、ご紹介したDIAMOND教育LABO様の記事(「たくさん勉強しているのに成績が上がらない」という学習相談が急増!そのからくりを知って塾の成績アップにつなげる!」)でご確認いただけます。
鉄則①:十分な睡眠時間の確保
小学生の場合、学年が上がるにつれて勉強がハードになりますが、何があっても睡眠時間は十分に確保しなければなりません。子どもによって個人差はありますが、小学生には8~10時間の睡眠時間が必要です。最近、子どもの睡眠不足は深刻な問題となっていますので、9時間を切らないように注意しましょう。夜遅くまで眠い目をこすって学習しても、体調を崩しやすくなるだけでなく、昼間の学習効率も上がらず、良い結果には繋がりません。
鉄則②:学習タイミングの習慣化
机に向かって学習する時間を習慣づけることは、規則正しい生活リズムを身につける上で大きな利点となります。特に、朝の学習は私も推奨しています。
ただし、朝学習に関しては、お子さんの学習意欲を失わない程度に手をつけるということを意識するようにしてください。「必ずやりなさい」と「やっていないとだめ」という押し付けてしまうことで、大きなストレス、親子喧嘩の元につながる可能性もあります。
朝学習は、毎朝10分〜15分で十分です。
朝の学習のポイントは、やるべき内容を事前に決めておくことです。難問に挑戦するよりも、算数の計算や国語の漢字練習など、自分でできることに取り組みましょう。朝、決まった時間に起きて机に向かうことが当たり前になれば、早寝早起きの健康的な生活リズムを作ることができます。短時間で集中して学習するため、効果も高い。
鉄則③:学校の宿題はできるだけ塾の前に終わらせる
学校の宿題は、必ず前夜のうちに済ませておくことが前提です。理想的には帰宅後すぐに取り組むことですが、習い事などがある場合は、塾の授業が始まる前に終わらせることを優先しましょう。
これら3点をスケジュールに固定したら、残った時間で何ができるかを考えるのが、週間スケジュール作成の基本です。
3. 計画は「大まかに」、そして「柔軟に」
多くの親御さんから、「苦労して作った計画なのに、3日も続かない」「子どもが拒否反応を示す」といったお悩みをよく聞きます。これは、計画を一生懸命に作り込みすぎることに原因があるかもしれません。
計画を作り込みすぎないことの重要性
親が力を入れて細かくスケジュールを作り込むと、「この通りにしてほしい」という感情が強くなり、それがお子さんへの「押しつけ」になってしまい、モチベーションを下げてしまうリスクがあります。また、時間をかけて綿密に作ったスケジュールも、現実的にできるかどうかは別の話です。
計画を作るコツは、「大まかであること」です。何時から何時までこの勉強をする、ときっちり決める必要はありません。「夕食後にまずこれをやる」くらいの決め方で十分です。
柔軟な姿勢で「1週間で完成」を目指す
計画通りにいかないことは「当たり前」と捉える柔軟な気持ちが必要です。例えば、「算数の宿題 8時~8時30分」と細かく書き込んでも、その通りにはいかないでしょう。思い通りにならず親がイライラしてしまうくらいなら、「月曜日にやること=漢字のことわざ・算数の宿題」くらいの大まかなリストにしておいたほうが、気持ち的に楽になります。
当日できなかった「積み残し」は、翌日のリストに加えるか、土日に回すかなどにして、1週間で完成させることを目標にしましょう。また、学校行事などで子どもが疲れている時期は、状況に応じてスケジュールを変更できるように、最初から詰め込みすぎずに余白を作っておくことも大切です。
4. 主体性を育む「西村式学習プランニング」
第一章でもお話しましたが、「子どもといっしょにスケジュールを決める」ことはとても大切です。そして、大人が完璧な学習スケジュールを作って子どもに守らせる、という考え方は、本質から外れていると私は考えています。
学習計画は子ども自身が作るべきもの
本来、学習スケジュールはお子さん自身が作るべきものです。しかし、子どもだけで計画を立てるのは難しいため、親御さんがサポート役として関わることが必要になります。お母さんが一人で立てるのではなく、お子さんのペースを観察しながら一緒に作り上げることをお勧めします。
私がかねてより提案している「西村式学習プランニング」は、お子さんが主体となって学習量やペースを把握し、計画のベースを作る方法です。ベース作りに約3週間をかけます。
【西村式学習プランニングの進め方】
1. 1週目(現状把握): 当日勉強した内容を、お子さんにメモに残させます。箇条書きで構わないので、必ず寝る前に書かせましょう。
2. 2週目(実行計画と確認): 勉強前に、その日に学習しようと思うものを書き出します。勉強が終わった後、実行できたものに蛍光ペンなどでマークし、できなかったものは翌日に回します。
3. 3週目(計画の調整): 2週間分のメモを見て、「学習しようと思ったこと」と「実行できたこと」を見比べ、参考にしながら3週目の予定を立てます。
この方法の主体はお子さんですが、お母さんのサポートは必須です。隣でしっかりサポートしながら、学習量やペースを見極めてあげてください。必要に応じて、学習量などの調節をその都度行っていくと良いでしょう。
5. 合否を分ける「長期スケジュール」の逆算思考
日々の週間スケジュール管理も大切ですが、親御さんが最も重要視していただきたいのは、「3年間の受験スケジュール」の把握です。
中学受験は、小学4年生から6年生までの3年間を受験勉強に費やすのが一般的です。大手進学塾では、通常授業に加え、長期休暇中の講習、各種試験、高学年になると志望校別対策や日曜特訓など、膨大なカリキュラムが設定されています。
しかし、多くのご家庭では、こうしたカリキュラムの内容をきちんと把握せず、ただ受講させているように見受けられます。これは非常にもったいないことです。なぜなら、これらのカリキュラムの一つひとつは、目的を持って取り組めば必ず良い結果につながるからです。
ゴールから逆算する戦略
受験勉強が始まると、目の前のやるべきことに精一杯になり、先のことまで考えられなくなってしまいがちです。しかし、中学受験のゴールは「志望校に合格すること」です。そのためには、3年後のゴールから今を逆算してスケジュールを立てることがポイントになります。
親御さんは、確定している日程(講習、試験、志望校対策コースなど)をあらかじめ把握しておき、そこから逆算して対策を立てる戦略を練る必要があります。例えば、志望校が絞り込めた時期なら、塾の志望校対策コースがいつ始まるかを確認し、そこに入るための準備をいつから始めるべきかをスケジュールに組み込む、といった戦略です。
常に一歩先を見据える親の役割
早期から全体を見通しておけば、「習いごとはこの時期までに整理しておいた方がいいな」「実は5年生の夏休みが重要なんだな」「秋は学校行事と重なるから、少しペースダウンした方がよさそうだな」といったことが分かり、無理なく学習を進めることができます。
4年生で塾に入ったら、5年生、6年生のカリキュラムも一緒にもらい、4年生からどう変わるのか、難関校を目指すなら何を受講すべきか、そのためにはどんな対策が必要なのかを考え、「3年間」という大きなスパンで計画を立てるようにしましょう。この長期的なスケジュール管理こそが、親の力量にかかっており、最も重要なのです。
3年間どのように計画を立てていくかの参考に「中学受験ハンドブック」を作成しております。まだ、ご覧いただけていない方はぜひ御覧ください。
まとめ
親は常に一歩先を見据えて分析し、スケジュールを立ててあげる必要があります。
• どの時期に、どの勉強が必要なのか
• 何を重点的に勉強するべきなのか
• いつのテストでどのくらい成績を上げるべきなのか
常に「逆算」して目標を設定し、そこから「今やるべきこと」を導き出す。この戦略的な視点こそが、中学受験の合否を分ける親の力なのです。
中学受験は、ただ努力すれば報われるというものではありません。限られた時間をいかに効率よく使い、目標に向かって進むかを設計するスケジュール管理こそが、親御さんに課せられた最も重要な使命です。
計画を味方につけ、柔軟に対応しながら、お子様と共に志望校合格を目指していきましょう。親御さんの戦略とサポートが、お子様の成功を導く力となることを確信しています。
「2025年度版 中学受験ハンドブック」では、逆算する戦略についても丁寧に触れています。ぜひご活用いただき、よりお子さんにとってよい中学受験にしていただければと思います。