【保存版】中学受験における「失敗しない家庭教師の選び方」プロが教える見極めの極意とは
中学受験を目指す家庭において、大手進学塾(SAPIX、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミーなど)に通いながら、成績の伸び悩みやクラス落ちに直面することは珍しくありません。「塾の授業についていけない」「宿題が終わらない」「親が教えられなくなってきた」……そんな壁にぶつかったとき、選択肢として浮かぶのが「家庭教師」の存在です。
しかし、インターネットで検索すれば無数の業者がヒットし、「プロ家庭教師」「絶対合格」といった魅力的な言葉が並びます。一体、我が子に合う先生はどう選べばいいのでしょうか?
今回は、長年多くの中学受験生とそのご家庭を指導してきた私、西村則康が、「本当に成績を上げる家庭教師の選び方」について、業界の裏事情も交えながら徹底的に解説します。これは単なる選び方のマニュアルではありません。お子さんの有限な時間を守り、合格へ導くための親御さんのための「決断の指針」です。
この記事の執筆者

西村則康 名門指導会創設者
40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。
目次
1. 「プロ家庭教師」の甘い罠と本当の定義
まず、皆さんに厳しい現実をお伝えしなければなりません。それは、「プロ家庭教師なら必ず成績が上がるわけではない」ということです。
多くのご家庭は、「学生アルバイトではなく、プロにお願いすれば安心だ」と考えます。しかし、業界で言う「プロ」の定義は非常に曖昧です。単に「家庭教師という職業で生計を立てている社会人」というだけで「プロ」と名乗っているケースが少なくありません。
私が考える「本物のプロ講師」とは、以下の条件を満たす人物です。
- 大手進学塾のカリキュラムを熟知していること:SAPIXや日能研など、お子さんが通っている塾のテキストや進度、テストの傾向を把握しており、その塾の特長を最大限に生かした学習計画を立てられること。
- 「診断力」があること:単に解法を教えるだけでなく、お子さんが「なぜ間違えたのか」「どの段階でつまずいているのか」を見抜き、その子の性格や癖に合わせて指導法を変えられること。
- 親御さんに説明できること:授業の内容や子供の状況について、論理的に親御さんに説明できるコミュニケーション能力があること。
単に「解法をたくさん知っている」だけでは不十分です。お子さん一人ひとりに合わせて最適化(カスタマイズ)できる技術こそが、プロの条件なのです。
2. 失敗しない家庭教師選び・鉄則の「6か条」
では、数ある家庭教師派遣センターの中から、信頼できる業者や先生をどう見分ければよいのでしょうか。私が推奨する「見分け方・6か条」をご紹介します。
その1:所属講師が「中学受験のプロ」であること
前述の通り、中学受験は特殊な世界です。高校受験や大学受験のノウハウは通用しません。各塾の内情や最新の入試トレンドを共有し、研究している集団であるかを確認してください。
その2:体験授業が必ず受けられること
「入会してから講師を決めます」という業者は論外です。契約前に必ず講師の紹介があり、その講師での体験授業が受けられる業者を選びましょう。相性は非常に重要です。
その3:保護者が授業を見られること(最重要)
ここが最大のポイントです。「授業を親御さんに見せたがらない講師」は避けてください。 密室での指導は、講師がサボったり、子供と無駄話をしたりする温床になります。「子供が緊張するから」ともっともらしい理由をつける講師もいますが、自信のあるプロ講師なら、親御さんの同席を歓迎こそすれ、拒むことはありません。
その4:体験授業と実際の担当講師が「同じ」であること
「体験授業はトップレベルの先生が行い、契約後は別の先生が来る」という手口を使う業者も存在します。体験授業で相性を確認した意味がなくなってしまいますので、必ず確認してください。
その5:講師の交代が迅速にできること
どんなに優秀な講師でも、人間同士ですから相性の問題は発生します。その際、遠慮なく、スピーディーに講師交代ができるシステムがあるかを確認しましょう。
その6:明確な契約書があること
料金体系、解約時の規定、交通費などが明記された契約書を発行する業者は最低条件です。特に高額な教材販売(ローン契約)とセットになっているような業者は、クーリングオフの対象になることもありますが、最初から避けるのが賢明です。
何度もお伝えしますが、「解法がわかるだけではいけません。なぜ、その子がその単元を理解できていないかを見極めるアプローチができること」がとても重要です。
そして、それを見極める方法を身につけておくことはとても重要です。
3. 親だからできる「体験授業」での厳しめチェック
業者を選んで体験授業に来てもらった際、親御さんはどこを見て判断すべきでしょうか。「子供が楽しそうだったから」という理由だけで決めてはいけません。親御さんは「審査員」として、厳しめの視点で以下のポイントをチェックしてください。
リビングで授業を行い、親も耳を傾ける
授業は子供部屋ではなく、リビングやダイニングなど、親御さんの目と耳が届く場所で行ってもらいましょう。そして、講師の説明を聞いて、「親である自分も理解できたか」「なるほど、と納得できたか」を判断基準にしてください。親が聞いてもわかりにくい説明は、子供にとってもわかりにくいものです。
「問題用紙」への着眼点を見る
私がご家庭に伺う際、最初に見るのはテストの「答案用紙(結果)」ではなく、「問題用紙(過程)」です。 計算の跡、図への書き込み、線の引き方……そこには子供の思考のプロセスや、心の乱れ(字が急に乱雑になるなど)が表れています。 体験授業に来た先生が、子供の問題用紙を見て「ここ、途中で計算やめちゃったね、どうして?」とプロセスに言及できる先生なら信頼できます。単に×がついている箇所を見て解説を始めるだけの先生は、診断力が不足しています。
具体的な質問を投げてみる
「SAPIXの〇〇という単元で苦戦しているのですが、どうすればいいですか?」「うちの子は記述問題で手が止まるのですが、原因は何だと思われますか?」と具体的に質問してください。 これに対し、「とにかく量をこなしましょう」といった精神論ではなく、「この単元の前提となる5年生の××が定着していない可能性があります」などと、論理的な仮説を返してくれる講師を選びましょう。
この際に、お子さんは何で躓いていたのかを質問してみるのもおすすめです。そこで、ただ「理解できていなかった」という内容ではなく、「この単元に対する理解ができていなくて、今のこちらの単元に影響が出ているので、このように対処しましょう」といった具体的な解答を得られる先生は信頼がおけます。
4. 学生アルバイト vs プロ講師 ~安さのリスクを知る~
経済的な負担を考えると、学生の家庭教師(アルバイト)も選択肢に入ります。学生講師にも、年齢が近く子供が懐きやすい、料金が手頃といったメリットはあります。しかし、中学受験においては重大なリスクがあることを知っておくべきです。
「子供の入試」と「学生の試験」が被る
最大のリスクは、「一番見てほしい直前期に、先生が来られなくなる」ことです。中学入試の1月・2月は、大学生にとっても後期の期末試験シーズンです。また、地方出身の学生なら年末年始に帰省してしまうこともあります。 「先生が忙しいから授業がない」という事態は、受験生にとって致命的です。
よくあるケースですが、中学受験では6年生の1月に多くの授業を入れるご家庭がほとんどです。この大切なタイミングで授業を取れなくなると、それだけ理解の穴が埋まっていない状態、志望校と併願校の対応が漏れる状態というのが発生する可能性が高まります。
「経験と責任感の差
学生講師の多くは、自身の経験に基づいて教えます。「僕はこうやって解いた」という方法は優秀ですが、それが目の前のお子さんに合うとは限りません。また、成績が上がらなくても「アルバイトだから」という意識がどこかにある場合、責任を取ってはくれません。 一方、プロ講師はそれが「仕事」であり「生活」です。結果が出なければ契約を切られるという緊張感の中で指導しています。この覚悟の差は、指導の質に直結します。
5. 「塾の教材」を使う先生を選ぶべき理由
家庭教師をつける際、絶対に守っていただきたいのが「今通っている塾の教材を使って指導してもらう」ことです。
オリジナル教材販売への警戒
一部の業者は、「塾のテキストはわかりにくいから」と称して、高額なオリジナル教材やプリントを販売しようとします。しかし、これは絶対に避けるべきです。 なぜなら、中学受験生はすでに塾の宿題で手一杯だからです。そこに新たな教材を加えても、消化不良を起こすだけです。
「塾の成績」を上げることが第一歩
家庭教師を頼む目的の多くは、「塾でのクラスを上げたい」「志望校別コースに入りたい」ということのはずです。ならば、塾のカリキュラムに沿って、塾のテキストでわからなかった部分を補強するのが最短ルートです。 「塾の教材を使って教えられる」ということは、その講師が塾のレベルや意図を理解している証明でもあります。逆に、自前の教材を使いたがる講師は、塾の教材を教える技量がないか、教材販売が目的である可能性が高いと考えましょう。
6. Wスクール(塾+家庭教師)の成功戦略
大手塾と家庭教師を併用する「Wスクール」を成功させるためには、親御さんのマネジメントが不可欠です。単に「わからない問題を教えてもらう」だけの場にしないでください。
「質問教室」代わりにするのはもったいない
「塾でわからなかった問題を解説してもらう」だけなら、塾の質問教室で事足ります。家庭教師の価値は、「なぜわからなかったのか」の原因究明と「正しい勉強法の指導」にあります。
- ノートの取り方が悪いのではないか?
- 宿題をやっつけ仕事でやっていないか?
- 「わかったつもり」で終わっていないか?
プロの家庭教師には、こうした「学習の姿勢」や「解き方の癖」を矯正してもらいましょう。例えば、「解説を聞いて終わり」ではなく、その場で類題を解かせて定着を確認してもらうなど、1対1だからこそできる指導をリクエストしてください。
期間限定での利用も賢い選択
「6年生の最後までずっと家庭教師を雇い続けるのは経済的に厳しい」という方もいるでしょう。その場合、「期間限定」での利用をおすすめします。 例えば、「5年生の夏休みだけ」「6年生の最後の半年だけ」「苦手な『速さ』の単元だけ」といったスポット利用です。 特に6年生の秋以降、志望校の過去問対策(赤本)が始まると、親御さんでは採点や記述の添削が難しくなります。この時期だけプロの手を借りるというのは、非常に費用対効果の高い投資です。
そして、期間限定でも実施したい!と思うのであれば、早めでの実施をするとより効果的です。なぜなら、中学受験のカリキュラムの多くが前にならった単元をベースに次の単元を積み上げていくスパイラル方式だからです。
つまり、前の単元を理解できていない場合、次にその単元を利用する単元が現れた時、解けない状態が積み上がっていくということです。
後に回すほどにわからないものが増えていくため、その穴を埋めるためにより多くの時間家庭教師に来てもらう必要性が出てしまい、お子さんの負担も増えてしまうことになります。
7. 決して忘れてはいけない「タイムリミット」
最後に、親御さんに強くお伝えしたいことがあります。それは、「子供の時間は有限である」ということです。
「もう少し様子を見てみよう」「そのうちやる気が出るかもしれない」……そう思って決断を先送りにしている間に、入試までのカウントダウンは進んでいきます。 もし、家庭教師をつけても3ヶ月、半年と成績が上がらない、あるいは講師との相性に疑問を感じるなら、すぐに交代を申し出るか、業者を変える決断をしてください。「良い人だから断りづらい」という遠慮は、お子さんのためになりません。
また、業者を選ぶ際も、「マッチングに時間がかかっています」と言ってなかなか講師を紹介してくれない業者は要注意です。対応の早さは、企業の姿勢そのものです。
中学受験は、親子の二人三脚、あるいは家庭教師を含めた三人四脚のプロジェクトです。 「プロ家庭教師」というツールを賢く使いこなし、お子さんが自信を持って学習に取り組める環境を整えてあげてください。厳しい言い方になりますが、業者や講師を選ぶのは親の責任です。お子さんの努力を無駄にしないためにも、宣伝文句に惑わされず、ご自身の目で「本物」を見極めていただければと思います。

