中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

宿題へのやる気を引き出す!先輩ママの「モチベーション向上」術と正しい親の関わり方

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公開: 最終更新日:2026年05月25日

こんにちは。
中学受験情報局 主任相談員の西村則康です。

「毎日、宿題をやりなさいと言わないと机に向かわない」
「宿題を始めても、ちょっと問題が難しいとすぐに匙を投げて諦めてしまう」
「どうすれば子どもが自分から進んで勉強するようになるのでしょうか」

日々、保護者の皆様から寄せられるご相談の中でも、特に多くのお母様やお父様を悩ませているのが、こうした「子どもの学習姿勢」に関する問題です。塾から出される膨大な量の宿題を前にして、なんとか終わらせようと親は必死に声をかけているのに、肝心の子ども本人のやる気が見えない……。そんなすれ違いが続くと、親子ともに疲弊してしまい、「このままで受験を乗り切れるのだろうか」と大きな不安を抱えてしまいますよね。

しかし、どうかご自身やご家庭を責めないでください。「子どもが自分から宿題をやらない」という悩みは、決してあなたのご家庭だけのものではありません。多くの中学受験生のご家庭が、同じようにこの壁にぶつかり、試行錯誤を繰り返しているのです。

この記事では、当情報局で実施したアンケートに寄せられた「先輩ママたちのリアルなモチベーション向上術」をご紹介します。その上で、お子さんのやる気を自然と引き出し、「自立思考」へとつなげるための「中学受験情報局としての適切な考え方」や、宿題をただの作業で終わらせないための「親の関わり方」について、専門家としての視点から詳しく解説していきます。

この記事の執筆者

西村則康近影

西村則康 名門指導会創設者

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

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アンケート結果発表!保護者が実践する「モチベーション向上の工夫」

「どうすれば子どものモチベーションを上げられるのか」という問いに対して、すでに受験勉強に取り組んでいる先輩ママたちは、ご家庭でどのような工夫をしているのでしょうか。

当情報局で実施したアンケートの「モチベーション向上の工夫」に関する自由記述を分析したところ、保護者の皆様のアプローチは大きく分けていくつかのカテゴリに分類できることがわかりました。

第1位:ご褒美・お楽しみの用意(35.3%)

「好きなことができる時間」や「おやつ」といった明確なメリットを用意する工夫です。

「家庭内通貨の導入:カリキュラムの進捗や日々の行いによって付加され、その通貨で欲しいものが買える。」

「宿題が早く終われば、自由時間が増え、いつもはテレビをみる時間はないがこのときは録画していた番組をみても良い、または好きなスイーツを食べられるなどご褒美を用意した。」

独自のポイント制度や通貨制度を導入することで、頑張りが目に見える形で蓄積されていくシステムは、子どもの達成感を大きく刺激します。

同率第2位:褒める・ポジティブな声かけ(24.7%)

次いで多かったのは、親の働きかけ方(コミュニケーション)に関する工夫です。

「結果よりも頑張ったプロセスを褒めるようにしています。」

「ここ覚えたら、何点プラスになるかも!など、具体的な言葉がけをすることが多い。」

同率第2位:環境整備・親の伴走(24.7%)

同じく、子どもが物理的・心理的に取り組みやすくなるよう親がサポートする工夫も多く見られました。

「塾のプリントから1日分の課題を見繕って付箋をつけておきます。…自分で解けるものを8割程度にしています。」

「50分+10分(休憩)を2セットなど、タイマーを使う。できた箇所にお気に入りのスタンプを押す。」

「宿題をやりなさい」とただ頭ごなしに命令するのではなく、多くのご家庭が、あの手この手で「子どもが自分からやりたくなる仕組み」や「取り組みやすくなる環境」を試行錯誤しながら作り上げていることが、このデータからもよく分かりますね。

中学受験情報局が解説!それぞれの「工夫」を自立につなげる適切な考え方

アンケートで寄せられた先輩ママたちの工夫は、どれも素晴らしいアイデアばかりです。しかし、これらの工夫を単なる「一時しのぎ」に終わらせず、最終的に子どもが「勉強をやらされている」という意識から解放され、自主的に勉強に向き合えるようにするためには、親御さんの「考え方」の軸が重要になります。

ここでは、それぞれのモチベーション向上術に対する、中学受験情報局としての適切な考え方やアドバイスをお伝えします。

ご褒美・声かけには「減点法」ではなく「加点法」の視点を

ご褒美やお楽しみを用意すること(アンケート第1位)は、やる気を引き出す最初の「起爆剤」として非常に有効です。しかし、モノや自由時間といったご褒美だけに頼りすぎると、ご褒美がないと動けない状態になってしまうリスクもあります。

そこで欠かせないのが、アンケート第2位にもあった「褒める・ポジティブな声かけ」を高いレベルで実践することです。このとき、親御さんにはぜひ「減点法」ではなく「加点法」という考え方をしていただきたいと思っています。

減点法とは、100点満点が先にあり、間違える度にそこから点数を引いていく考え方です。

親が子どもの勉強を見ていると、つい「これくらいできて当たり前」と思ってしまい、ちょっとした間違いをしたときに「どうしてこんなこともできないの?」「なんでこんなミスをしたの」と声をかけてしまいがちです。しかし、これは子どもにとって大きな重荷になり、「こんなにがんばっているのに」という不満を生み、モチベーションを奪ってしまいます。

一方の「加点法」は、最初から100点があるわけでなく、ゼロから良い結果やそのプロセスを積み上げていく考え方です。 できていた箇所があったら「よし、ここはよくできたね」と評価し、最後の詰めでミスをしてしまっても「もうちょっとだったね、でもほとんど正解だから」とプラス思考で声をかけます。結果だけでなく「途中まで頑張って考えたプロセス」を加点発想で褒めることで、子どもは達成感や自信を持ち、モチベーションを高く維持することができるのです。

暗記やパターン学習の繰り返しばかりでは、子どもは「やらされている」と感じてしまいます。常に加点法で接し、お子さんに絶対的な信頼感を持つことが、自立思考を育むカギとなります。

環境整備の一環として「リビング学習」を正しく活用する

アンケート同率第2位の「環境整備・親の伴走」として、タイマーを使ったり、プリントを仕分けたりといった工夫が挙がっていましたが、それに加えて私がぜひおすすめしたい環境整備が「リビング学習」です。

「勉強は子ども部屋の学習机で、静かな環境で集中してやるべきだ」と考えがちですが、一人きりの部屋はかえって勉強がはかどりにくいものです。生活音などがある程度聞こえるリビングの方が、子どもは落ち着いて取り組むことができます(ただしテレビなどはNGです)。

環境整備としてリビング学習をおすすめするのには、3つの明確なメリット(理由)があります。

■横につきっきりにならなくても、子どもの勉強の進み具合を知ることができる。

■「頑張っているね」といったねぎらいの言葉をその場でかけることができる。

■子どもが勉強で困っていること(手が止まっている、ため息をついている等)にいち早く気付くことができる。

ただし、リビングで勉強させる際に絶対に守っていただきたいルールがあります。それは、決して親が横に張り付いて「監視」をしてはいけないということです。

「あ、今の計算間違ってるよ」「ほら、ぼーっとしない!」と、目の前で間違いを指摘し続ける(減点法で接する)環境では、子どもは窮屈になりやる気を失います。リビング学習の目的は監視ではなく、「自分の頑張りをお母さん(お父さん)が見てくれている」という安心感を与えることです。この適度な距離感と「見守り」の姿勢こそが、自発的なやる気を引き出す最高の環境整備になるのです。

「こなすだけ」にならないための親の関わり方

答え合わせは「教えてもらう」スタンスで

加点法の声かけや見守りの環境整備によってお子さんが机に向かうようになったら、最後に気をつけていただきたいのが、宿題の「答え合わせ」の時の親の関わり方です。

宿題をただ「終わらせること」が目的になってしまうと、子どもは「解き方を覚えて当てはめるだけ」の作業に陥りがちです。これでは、いくら時間をかけてプリントの空欄を埋めても本当の理解にはつながらず、テストで点数を取ることはできません。

この「こなすだけ」の宿題を防ぐために、答え合わせの際は、ただマルバツをつけて終わるのではなく、お子さんに「どうしてそうなるのか」を説明させてください。

たとえば算数の問題で答えが合っていたとしても、「塾ではどうやって考えたの?」「どうしてその解き方になるのかしら? お母さんにも教えて」と、親御さんが「生徒役」になって疑問を投げかけてみましょう。

ただし、このときに「どうしてこんな問題も解けないの!?」という「詰問」になってはいけません。親が怒ったような口調で聞いてしまうと子どもは萎縮してしまいます。あくまでもニュートラルで穏やかな雰囲気で、教えてもらうスタンスで質問することを心がけてください。

西村則康からのアドバイス:無理にやらず、子どもの気持ちから

中学受験情報局にご相談いただくことの多くに「私(親御さん)の言う事を全く聞かないようになってしまって、もうどうしようもありません。」というものがとても多いのですが、オンラインやリアルの場でのご相談でお話を聞かせていただくと、やはり、「なんでこんなことになっちゃうの?」「どうしてこうしないの?」という、ニュアンス(そういう言い方ではないにしろ、語調や表情でお子さんがそのように受け取ってしまっているものも含みます。)になってしまっているというのが多くの原因となっていました。

「生徒役」になって聞いてみようと思っても、親御さんからの勉強に関するアプローチは全て「怒ってるのでは?」「細かい事をつついてくるのでは?」と、親御さんの気を伺ってしまうお子さんも多くいます。ここは家庭教師の立場からしても同じなのですが、「何かを伝えようとする」ということの前に、「聞いてもらえる状況に持っていく」ことがとても大切です。

加点方式でのアプローチや、褒めることから入って安心感を与えることが、第一歩と考えていただき、そこから勉強に集中できる状況を作って、話を聞いていくようにしましょう。

自分で「腑に落ちる」瞬間を作る

子どもは、自分が解いた問題のプロセスを親に向かって一生懸命に説明しようとします。実は、この「自分の言葉で説明する」というアウトプットの作業こそが、学習効果を爆発的に高める秘訣なのです。

子どもは説明している最中に、頭の中で知識が整理されていきます。そして、「なるほど!」「あ、そうなんだ!」と、自分自身でハッと気づき、深く納得(腑に落ちる)瞬間が訪れることがあります。

授業で先生から一方的に説明を聞いただけでは、その場では分かったつもりになってもすぐに忘れてしまいます。しかし、自分で説明しながら腑に落ちたことは、強烈な体験として記憶に刻まれ、なかなか忘れることはありません。これこそが、単なる作業ではない「生きた学習」なのです。

もちろん、すべての問題でこれをやると時間がいくらあっても足りませんから、できるだけ子どもの理解があやふやな問題や、重要な問題に絞って質問してあげるとよいでしょう。

勉強につながるのは机の前だけじゃない!日常を「生きた学習」の場に

自分で「腑に落ちる」瞬間を作るためのアプローチは、なにも机に向かって宿題のプリントを開いている時だけとは限りません。むしろ、勉強につながるチャンスは日常の至る所に転がっています。

たとえば、スーパーでの買い物中や、キッチンで料理を手伝っている時、あるいは家族でテレビを見ている時などに、「あ、そういえばこれって、こないだ塾の理科で習ったところと同じじゃない?」と声をかけてみてください。

「この野菜の切り口、理科の植物のつくりでやった道管の場所だね」
「スーパーの割引シールの計算、算数の割合(%)と同じ計算ができるね」
「テレビでやっているこの地域の特産品、社会で覚えたばかりだね」

このように、机の上で覚えただけの「文字の知識」を、目の前の「リアルな体験」とつなげてあげるのです。すると子どもは、「塾で習っていることって、こういうふうに生活の中で使えるんだ!」と驚き、より深く「腑に落ちる」ようになります。

日常の会話の中で話を広げてあげることは、机の上の勉強以上に「生きた学習」の環境を作ることにつながります。親御さんが少しだけアンテナを張り、お子さんの学びと日常を結びつける架け橋になってあげてください。

料理の中で学習と紐づけて行くことについては、主任相談員の辻義夫先生が監修した「キッチンで頭がよくなる! 理系脳が育つレシピ」をぜひご参考にしてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、先輩ママたちの具体的なモチベーション向上術と、それを自立へとつなげるための「加点法」の考え方、見守る環境としてのリビング学習、そして宿題を「生きた学習」に変える親の関わり方についてお話ししてきました。

宿題は、「ただこなすこと」が目的ではなく、「宿題を通して理解を深め、学力、そして成績を上げていくこと」が本来の目的です。宿題の量の多さに圧倒され、こなすことが目的になってしまわないよう注意が必要です。

子どもが勉強から逃げ出したくなるのは、決して怠け者だからではありません。ご褒美でやる気のきっかけを作り、リビングという安心できる環境で見守り、「加点法」の温かい声かけでプロセスを認めてあげること。答え合わせの時には「教えて」と対話を引き出し、さらには日常の中で知識と体験を結びつけてあげること。そうした親御さんの適切なサポートによって、お子さんは「あ、そういうことか! 分かった!」という達成感を何度も味わうことができるようになります。

その小さな喜びの積み重ねが、やがて「勉強って、実は面白いかも!」という大きなモチベーションへと変わっていくはずです。お子さんが自信を持って前向きに机に向かえるよう、ぜひ今日から、ご家庭での関わり方を少しだけ変えてみてくださいね。心から応援しています!

この記事を書いた人
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