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志望校合格を引き寄せる中学受験の過去問対策マニュアル【完全版】

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公開: 最終更新日:2024年11月13日

中学受験の過去問をどう進めるべきか?

結論から申しますと、過去問対策が上手くできたかどうかで、中学受験の志望校合格の結果は大きく変わります。

このページでは、確実に成績を上げ、志望校の合格ラインを超えるために必要な、中学受験の過去問対策の進め方をまとめました。

目次

  1. 中学受験の過去問対策はいつから始める?
    1. 過去問を始めるのは、基本的に9月以降
    2. ただし過去問を「いつから始めるのがベストか?」は1人1人違う
    3. 中学受験では、「早すぎる」過去問対策には注意
    4. 5年生最後から始める「プチ過去問対策」とは?
  2. 中学受験の過去問対策は必須?過去問の目的を正しく知る
    1. 【過去問対策は必須。子どもには、どう説明する?
    2. 中学受験の過去問対策の目的① 志望校の出題傾向・回答スタイルに慣れる
    3. 中学受験の過去問対策の目的② 本番試験の再現を行う
    4. 中学受験の過去問対策の目的③ 志望校の求めるレベルで「弱点」を洗い出す
  3. 中学受験の過去問は何年分やる?併願校と本命校の目安
    1. 過去問をやる年度の目安
    2. 併願校・前受校の過去問は必須か?
  4. 合格可能性を最大限高める中学受験過去問の消化スケジュール
    1. 過去問に取り組む順番について
    2. 1週間の過去問対策の分量は?
  5. 確実に成績が伸びる中学受験過去問対策のルーティン・進め方
    1. 1回分の過去問対策の流れ
    2. 【過去問STEP1】テスト時間を測り、解く
    3. 【過去問STEP2】親が採点を行う
    4. 【過去問STEP4】やり直しの取捨選択を行う
    5. 【過去問STEP5】やり直しの実行
    6. 過去問1回分(全教科)を一気にやる際の注意点
  6. いつまでに何割取れればいい?中学受験の過去問の結果の受け止め方
    1. 過去問は初めのうちは、点数を気にしないのが大事
    2. 11月終盤での過去問の点数が志望校決定に重要
    3. 12月段階で、合格者平均点圏内に入るなら可能性は高い
  7. 中学受験の過去問対策おすすめ教材(無料ダウンロード含む)

1. 中学受験の過去問対策はいつから始める?

中学受験の過去問はできる限り早く始めた方がいいと考える方もいれば、「10月まで触れてはいけない」という塾もあったり、いつから始めるのがベストなのか?ネットで調べても情報が錯綜していると思います。

そこで、まずはご家庭ごとに「過去問をいつから始めるべきなのか?」を決めるために必要な情報をまとめます。

過去問を始めるのは、基本的に9月以降

過去問を始める目安としては9月以降を意識しましょう。

これには理由があります。

大手塾のカリキュラムでは、進度が緩やかな日能研も含めて、基本的には5年生の終わりまでで、入試本番に必要な基本的な知識は授業で一旦取り扱います。

6年生の2月〜夏(8月)にかけては、これまで学習した知識を固める復習の期間になります。

この塾カリキュラムの流れは、9月以降の入試本番(過去問)対策に入るまでに、過去問を解くために必要な知識を再度つけなおすということを目的にしています。

そのため基本的には、過去問を解くための最低限の知識が揃うのが、どの塾も6年生の9月頃になります。

ただし過去問を「いつから始めるのがベストか?」は1人1人違う

ただし、これは、過去問を9月に始めないと合格できないというわけではありません。

なぜなら、

  • 併願校・前受校を含め何校受けるのか?
  • 実際に過去問対策に取り組める時間がどれくらい残されているのか?

といった条件はお子さん1人1人によって違うからです。

そのため、詳しくは、「4. 合格可能性を最大限高める過去問の消化スケジュール」でも解説しますが、受験本番までに、必要な過去問対策を終えるためのスケジューリングを6年生の夏休み明けから考えることが大切です。

実際、最も遅いお子さんでは11月から過去問に取り組まれるケースもあれば、サピックスの一部クラス・校舎のように夏の終わりごろから過去問対策を推奨することもあります。

目安として、中学受験では大多数のお子さんが9月〜10月以降に過去問を始めると考えてください。

中学受験では、「早すぎる」過去問対策には注意

ごく一部には5年生の終わりごろから「過去問対策を始めるべきか?」と考えられるご家庭もありますし、6年生の1学期・夏休みの初旬から過去問に取り組まれることを考えるご家庭は少なくありません。

もちろん、成績上位者で、十分基礎知識が固まっているのであれば、過去問の早期対策も有効です。

ただ前述の通り、大手塾のカリキュラムは、過去問に必要な知識を6年生の夏休みまでの学習で完成させるスケジュールで授業が展開されます。

そのため、必要な知識が備わっていない9月以前に、過去問に挑戦してしまうと、「解けない」ことがわかるだけで、やり直しの効率も非常に悪くなってしまいます。

本番試験は、過去10年の過去問を暗記したくらいでは、合格点にはどうしても届きません。

過去問を始める時期については、その点を十分注意してください。

5年生最後から始める「プチ過去問対策」とは?

早期からの過去問対策は逆効果になりやすいとお話しましたが、5年生から過去問について簡単な対策を始めることはオススメしています。

この「プチ過去問対策」では、過去問を実際に解く必要はありません。

お子さんに志望校の過去問の「問題」と「解答用紙」を見せるだけは、早い段階から行っておくと大きな効果が望めます。

これにより、お子さんに、どの程度のレベルの問題が出るのか難しさを知ってもらうことはもちろん、回答用紙の大きさから、どのくらいの書き込みが求められるのか?などを知ってもらうことができます。

特に記述問題を短く書いてしまうお子さんや、途中式を省いてしまうお子さんなど、志望校合格には必須の作業を飛ばしがちなお子さんに、早い段階から合格に必要な作業を認識してもらうことが目的です。

2. 中学受験の過去問対策は必須?過去問の目的を正しく知る

なぜ、過去問対策が志望校合格に必須なのか?

「過去問をやる目的」について、親御さんが理解することはもちろんのこと、お子さんと正しく目的共有しておくことも、過去問対策で成績を上げつためには大切です。

ここでは、過去問対策がなぜ必須なのか?

過去問対策に対する誤解を解消するために、中学受験の過去問対策の目的について、改めてまとめます。

過去問対策は必須。子どもには、どう説明する?

結論から申しますと、中学受験において過去問対策は必須です。

もちろん親御さんで、「過去問は必須なのか?」を迷われる方は少ないと思いますが、「今年同じ問題が出るわけじゃないんだから、過去問なんかやる意味がないんじゃないか?」というお子さんは毎年一定数います。

「同じ問題は2度は出ないのに、なぜ過去問の対策が必須なのか?」というお子さんの疑問に対しては、「志望校のテストに慣れるために、似たようなテストをやっておくことが大事」と説明してあげてください。

中学受験の過去問対策の目的① 志望校の出題傾向・回答スタイルに慣れる

過去問の最大の目的は、志望校の出題傾向に慣れることです。

ただ、この「傾向と対策」を、過去出題された問題をすべてできるようになれば良いと考えてしまうと、過去問対策の効果は期待できません。

過去問対策は単に「どの単元から出題が多いか?」対策するということではなく、志望校が何を、どのレベルで求めているか?を把握し、お子さんに足りていない知識を対策していくことだと考えましょう。

前述の通り、中学受験の試験で、近年志望校で出題されたものと同じ問題が使われることは、まずありません。ただ、だからといって直近で出題された問題は対策しなくてよいかというと、もちろんそんなことはありませんね。

同じ単元が、テーマを変えたり、切り口を変えて出題されることはよくあるからです。

大切なことは、

  • よく取り扱われるテーマにどんなものがあるか?
  • どのような切り口で出題がされやすいのか?
  • 頻出単元はなにか?
  • 作業型か思考型か?
  • 難易度は?(合格者平均点の高さは?)
  • どのレベルの回答が求められるのか?(記述量・回答手順の書き込みの有無など)

といったことを意識しながら、当日のテストで確実に点数が取れるために、知識・作業力・回答作成力・得点力の補完をしていくことが大事です。

中学受験の過去問対策の目的② 本番試験の再現を行う

過去問の目的の1つとして、傾向の他に、本番の試験環境に慣れることがあります。

そのため、毎回でなくても、本番試験に近い環境で過去問に取り組むことも必要です。

具体的には…

  • 試験問題と同じ大きさで、問題用紙・解答用紙をプリントをする
  • 本番と同じテスト時間・休憩時間で、4教科をストレートに受講する
  • 本番と同じ時間に起きて、同じタイムスケジュールでテストを行う
  • 時計はアナログ腕時計を机に置いて確認する(本番時に推奨)

といったように、ある程度本番環境を意識して、過去問を解くことも大事です。

これは、4教科の試験がどれだけ体力を使うのか?など、あらかじめ慣れておくことで、お子さんが中学受験の試験本番で全力を出しやすくなるからです。

中学受験の過去問対策の目的③ 志望校の求めるレベルで「弱点」を洗い出す

最も大切なのに忘れられがちなことが、過去問対策をすることの目的は、志望校合格にお子さんが足りていないことを正しく把握し、可能な限り対策するという「やり直し」の視点です。

中学受験の試験が迫ってくるにつれて、多くのご家庭が、どうしても「合格者最低点を超えることができたか?」過去問の点数が気になってしまい、志望校に合格できそうかどうか?という基準で過去問を消化しては、次の過去問に進むという流れになりがちです。

中学受験の過去問対策で成績を上げるには、どうしても「やり直し」が肝心です。

もちろん「やり直し」は取り組まれていると思うのですが、「間違った問題を全部やり直す」という単純な話ではありません。

  • 何が、なぜできなかったのか?
  • 正答できたけど難しいと感じたことは何だったか?

これらを正しく把握し、対策が可能な問題から順に可能な限り対策していくことで、過去問対策で志望校合格の可能性を高められるようになります。

3. 中学受験の過去問は何年分やる?

中学受験の過去問で多い質問に、何年分取り組めばよいのか?併願校の過去問対策も必要か?といったように、過去問対策の量に関するご相談があります。

過去問をやる年度の目安

下記は理想的な過去問対策の目安です。

過去問の量の目安

本命校 直近5年分
併願校 直近2〜3年分
前受校 直近1年分

併願校・前受校の過去問は必須か?

結論から言うと併願校・前受校(練習受験)も、過去問対策は必要です。

これには大きく2つの理由があります。

理由① 本命校の過去問対策の前段になる

基本的に中学受験では、第一志望校の出題傾向に似た形式で問題を出す中学校を併願校(第二志望・次善校)として選択します。

同じく、第三志望(いわゆる滑り止め校)も、可能な限り出題傾向が似た学校から選択するのが基本です。

御存知の通り、中学受験では志望校ごとに出題傾向が大きく変わります。

大きく分けて、

  • 与えられた条件を考え、整理して正答にたどり着く「思考型」
  • 膨大・雑多な作業から法則を見つけ出す「作業型」

といった試験の形式にわけられ、成績上位者であっても、志望校に合わせた対策をしておかないと合格は難しいです。

その他に、受験者のレベルに対して、問題が比較的優しいか、難しいかということでも傾向が分かれてきます。合格者平均点が高い試験では、ミスが許される幅が少なくなり、確実に正答できる正確性が求められるなど、一口に中学受験といっても、学校ごとの出題傾向は大きく異なります。

実際に最難関校に合格できたお子さんが、偏差値で言えば少し下の学校で出題傾向が違う学校の試験に落ちてしまうというケースもあります。

それほど「出題傾向」に合わせた過去問対策が必要になるのです。

そのため、自ずと併願校・前受校も、本命校と出題傾向の似た試験を行う学校を選択するので、併願校・前受校の過去問対策が、本命校の過去問対策の練習になります。

こちらについて詳しくは、次項の「4. 合格可能性を最大限高める中学受験過去問の消化スケジュール」でもお話します。

理由② 併願校こそ、確実に合格を押さえたい

もう1つの理由は単純に、併願校・前受校こそ合格を確実に達成したいからです。

中学受験では、安全に合格できる併願校の存在は必須です。

ただ併願校の問題であっても、決して難易度が低いというわけではなく、試験対策をしていないままに受験してしまうと、まず合格できないのが中学受験の実情です。

併願校・前受校の過去問に時間を使うくらいなら、本命の第一志望校の過去問に時間を使いたいと考えられるかもしれませんが、志望校合格に大切なのは、併願校の過去問も消化できるスケジューリングです。

4. 合格可能性を最大限高める中学受験過去問の消化スケジュール

中学受験の過去問は9月以降に始めるのが基本になります。

これは前述の通り、塾のカリキュラム上、6年の夏休み終わりで、過去問に挑戦するだけの最低限の知識が完成している状態になるからです。

そのため過去問対策に使える時間は、中学受験の本番試験まで4ヶ月程度しかありません。

塾や学校に通いながら、ご家庭で過去問対策をすることになりますので、実際に使える時間は、そう多くはありません。

そのため、夏休みが終わった段階で、第一志望校・併願校・前受校をあわせて、「各学校、何年分の対策が可能か?」をあらかじめスケジュールに落とし込んで、過去問対策をすることをオススメします。

下記に中学受験の過去問対策のスケジューリングに必要な情報をまとめていきます。

過去問に取り組む順番について

中学受験の過去問は、「どの学校のものを、どの年度のものから取り組むべき?」という疑問については、「難易度の低いものから、順に取り組んでいく」のが基本です。

そのため学校の順番としては、「前受校 → 併願校 → 本命校」の順番に取り組み、年度としては、古い問題から新しい問題の順番に取り組んでいきます。

過去問の量の目安

本命校 5年分
併願校 2〜3年分
前受校 1年分

上記の過去問対策の量の目安として上げたものを

前受校 (1年分)→ 併願校(2〜3年分)(複数の場合は偏差値で順番を決める)→ 本命校(5年分)

といった流れでこなしていくことになります。

なぜ「古いほうが簡単なのか?」というと、問題が年々難しくなっているというわけではなく、年度が古い問題は、塾側が既に研究済みで、カリキュラム演習に取り込まれている可能性が高いため、古い過去問ほど、「既にどこかで触れている問題」が含まれている率が高いからです。

上記の順番で過去問対策のスケジュールを立てることで、徐々に難しい問題にシフトしていけるため効率が良くなります。

※ 一部例外に関して

関東の慶応普通部・中等部など、偏差値・受験者レベルの高さに対して、試験問題が易しく、高得点を取ることが前提になっている傾向がある一部の学校は上記の限りではありません。

1週間の過去問対策の分量は?

9月中旬から過去問対策を始めるとした場合、受験本番までは多くて約18週間程度となります。

受験最終盤には、1度やった過去問に再挑戦する時間も必要なため、余裕を持って、毎週最低1年分、できれば2年分を消化するのが理想です。

  • 平日に、教科別に何日かに分けて1年分
  • 土日に、時間を確保して4教科連続で挑戦

毎回連続で4教科解くのは現実的ではないため、この2つのスケジュールの使い分けが必要になります。

このペースで行けば十分過去問対策は終わると思いますが、12月、遅くても1月には、過去にやった過去問に再度挑戦する「2回目」の期間が必要です。

関東では4教科、関西でも3教科と受験科目が多い上に、間違った問題、難しかった問題の周辺知識の復習が必要になるため、1年分でもかなりの学習量になります。

併願校の数によって、必要な対策数が変わりますが、併願校が多い場合は、併願校の過去問を2年分にして調整するなど、6年生9月の段階で、中学受験本番試験までの過去問対策の時間を確保していきましょう。

このようにお話すると、やはり早めからの過去問対策を考えてしまう方もいると思いますが、6年9月段階で基礎知識がしっかり固まっている状態から始めることが過去問対策には必須です。その点には十分注意しましょう。

【本番試験1〜2ヶ月前】2度目の過去問に挑戦

遅くとも本番試験1ヶ月前には、過去問をもう1度解き直していく時間を取ります。

過去問対策が上手く行っていれば1回目に点数が取れなかった問題も、この段階では点数が取れるようになっているはずです。

これが最終チェックの工程になります。

1度やったことで抜けていることや、前はできたのに解けない問題があったら、都度対応していきましょう。

その際に「こんなこともできなくなってるなら受からないよ!」は厳禁です。

この段階では、「本番までに抜けているところがまた見つかって良かった。これで本番はまた点数が上がるね。」と声をかけていくことが大事です。

ただ、2回目の問題でも成績が伸びない場合は、勉強が足りていないのではなく、やはり志望校は求めるテストに対する回答力・作業力が足りていないと言わざるを得ません。

その際は、志望校の変更も含めて検討が必要になります。

この2回目の過去問までを含めて、一度スケジューリングを心がけてください。

5. 確実に成績が伸びる中学受験過去問対策のルーティン・進め方

中学受験の過去問対策で成績を伸ばすには、どのようなことに気をつければいいのか?についてまとめていきます。

1回分の過去問対策の流れ

中学受験の過去問対策1回の大まかな流れとしては下記の通りです。

テスト時間を測り、解く→ 解答で答え合わせ → 振り返り → やり直しの取捨選択 → やりなおし

一見当たり前のように見える流れですが、この精度をどれだけ上げられるかが過去問対策で成績を上げる鍵となります。

具体的に見ていきましょう。

【過去問STEP1】テスト時間を測り、解く

お家での模擬試験といっても、テスト時間をきっちり測って、時間を意識しながら解くことが大事です。

この際、赤本のまま解かせるのではなく、必ず問題用紙・解答用紙を印刷してあげてください。

片手で本を開いたまま集中することは難しいこともありますが、なるべく本番環境を再現して解けるようにしておきたいです。

これは精神的な問題ではなく、実際に使える余白がどれくらいあるか?解答用紙のスペースを見て、どのくらいの量を書き込む必要があるのか?などがわかるようになるからです。

また本番試験では、教室の席によっては時計が見えづらいなどの事故も起こるため、アナログ腕時計を持参することを推奨されます。家でも机の上に腕時計を置いて挑戦するとよいでしょう。

(アナログ時計なのは、残り時間が視覚でわかりやすいからです。)

【過去問STEP2】親が採点を行う

過去問を解き終わったら、採点を行います。

採点はお母さん・お父さんが行ってください。

※ 注意

できる限り解答はお子さんの手の届かないところで管理してください。毎年終盤になると解答を見て過去問を解いてしまう子が一部出てきます。正しい学力が測れず、志望校選択の判断を誤ることはもちろん、やり直しの効果が全くなくなってしまうので、解答の取り扱いは注意が必要です。

採点については、◯・✗で判断できるものは、お家で採点を。

記述問題などを初め、解答が合っているのか?判断が難しいものがあれば、塾の先生や個別指導の先生に任せましょう。その際返答を先送りにするのではなく、お願いした場で答えをもらえうようにしてください。

テスト実施から時間が空いてしまうと、やり直しの効果が薄れるため注意しましょう。

過去問の成績(点数)を気にするのは11月以降で構いません。

(詳細は次項:6. いつまでに何割取れればいい?中学受験の過去問の結果の受け止め方)

はじめのうちは、お子さんの自信が無くならないようにしてあげることが大事です。

正しくやり直しを続けていれば、成績は必ず上がってくることを伝えて上げ、やり直しに対するモチベーションを高めてあげてください。

【過去問STEP3】親子で結果を振り返る

間違った問題をピックアップして全て闇雲にやり直す…というのは、手が回りきりません。

大切なことは、

  • 間違った問題は何か?
  • 正答できた問題も含めて難しかったことは何か?

を振り返ることで、これが中学受験の過去問対策で成績を上げる最大のポイントです。

ここに成績を上げるための全てが詰まっているといっても過言ではありません。

正誤だけでは判断できない、「難しいと思ったところ」や「あとちょっとで解けたところ」に注目していきましょう。

また、時間が足りなかった場合は、「捨て問」を意識する練習や、テストを解く際の戦略をお子さんと改めて共有する必要があります。

【過去問STEP3】親子で結果を振り返る

振り返りが終わったら、どの問題をやり直すかを決めていきます。

過去問は、これまでの問題より難度が高いため、全部をやりきれないほどの量がやり直しとして上がってくるはずです。

これは多くのお子さんが、そうなので安心してください。

大切なことは全部をやり直すのではなく、1回の過去問から確実に正答できるものを最大限増やすということです。

この意識を持って、「ちょっと頑張れば解けそうな問題」から順に対策をしていきましょう。

そもそもの試験で、全受験者の大半が得点できない「捨て問」として扱われる問題を深追いするより、確実に解いて点数に変えられる問題に集中する方が成績は伸びます。常にこのことを意識してください。

【過去問STEP5】やり直しの実行

取捨選択した問題を順にやり直して行きます。

できるなら、テストを行ったその日に振り返りを行い、残った問題も1週間のうちには対策を行うようにしてください。

振り返りの内容としては、わからなかったことをテキストに戻って読み直し、周辺知識も含めて再確認するようにしてください。問題を何問か解くこともオススメしますが、過剰に同じ問題を何度も解き続けることのないよう気をつけましょう。

1問に大量にかけられる時間は、過去問対策の段階では残っていません。

何度もやらないとわからない問題より、数問やり直せばできる問題を優先してください。

対策を行ったあとも、お父さん・お母さんで「要対策」の問題で対策をしたことがわかるよう、まとめておくとよいでしょう。受験最終盤の確認時に非常に役立ちます。

上記を繰り返すことで、過去問対策をしながら、お子さんの知識で抜けていることをドンドン補完していくことができます。

過去問1回分(全教科)を一気にやる際の注意点

本番環境を意識して、過去問を全教科一気にやる日については、全教科が終わってから採点を行い、可能であれば、「振り返り」までを行ってください。

全部のやり直しをすることは1日では難しいこともあるため、その場合は1週間以内にやり直すスケジュールを立てていきましょう。

やり直しの幅を1週間に限っているのは、なるべく記憶が新しいうちに対策を行いたいこともありますが、次の1週間でまたやり直し課題が増えるため、翌週に持ち越すと対策が難しくなるからでもあります。

6. いつまでに何割取れればいい?中学受験の過去問の結果の受け止め方

初めて中学受験の過去問に挑戦すると、合格者最低点どころか、30%ほどしか正答できないというお子さんも珍しくありません。

そうなってしまうと、どうしてもお子さんも、親御さんも不安になってしまうと思います。

ここでは、過去問の結果の受け止め方についてまとめていきます。

過去問は初めのうちは、点数を気にしないのが大事

中学受験の過去問対策を始めた段階では、多くのお子さんが合格点に届きません。

これは最終的に合格するお子さんも同じです。

昨年の最後まで勉強した6年生の結果が合格者平均点・合格者最低点です。

そう考えると9月・10月段階で、この点数を超えることが、どれだけ難しいか?がわかります。

実際のところ、初めのうちは併願校の過去問であっても合格点が取れないお子さんも多いです。

なので、点数を気にして落ち込むのではなく、そこから対策をして成績を上げていくことが大事だということをお子さんに伝えてあげましょう。

11月終盤での過去問の点数が志望校決定に重要

6年生の11月の終盤になると、いよいよ本命校の最終決定をする時期になります。

その際に、過去問の結果を見て、志望校を変更するかの判断が必要になるため、過去問の点数が非常に重要な指針となってきます。

目安として、11月段階で、合格確率20%以上の枠から抜け出せておらず、過去問で1度も合格者最低点からマイナス10点圏内に入っていないなら、志望校の変更を検討すべきです。

ただ、これは必ずしも「第一志望校を変える」という選択ではありません。

お子さんが絶対に挑戦したい第一志望は残して、第二志望の併願校を手堅くするという選択肢もあります。

9月からの過去問を利用した知識の補完を、正しく続けていれば成績は上がってきます。

それで12月までに、合格最低点圏内にかかってくるかどうかが大きな目安となります。

12月段階で、合格者平均点圏内に入るなら可能性は高い

最終的に12月段階で過去問に挑戦して、合格者平均点に近い点数が取れるようになっているお子さんは、合格確率が高いと言えるでしょう。

また合格者最低点を何度か越えられているというお子さんも、第一志望に挑戦するだけの力がついてきていると言えます。

繰り返しになりますが、志望校合格を実現するために過去問対策として大事なことは、毎回の結果に一喜一憂するのではなく、合格ラインを超えるために、毎回の勉強でどれだけ知識をつけることができたかを意識することです。

過去問の点数は志望校の決定においては大事ですが、お子さんのやる気を維持して成績UPを狙う観点では、ある程度気にしないことを常に意識しましょう。

7. 中学受験の過去問対策おすすめ教材(無料ダウンロード含む)

中学受験の過去問対策のおすすめ教材を紹介します。

四谷大塚 中学入試過去問データベース

https://www.yotsuyaotsuka.com/chugaku_kakomon/

四谷大塚が提供している過去問のデータベースです。

学校別過去問題集や赤本と違い、ダウンロードが可能で、実際の試験の採寸で印刷することができます。

学校別過去問題集や赤本を使いながらも、問題・解答用紙のダウンロード・印刷は、過去問データベースを使用すると、当日の試験の再現ができますので、おすすめです。

声の教育社 学校別問題集(関東 中学受験)

https://www.koenokyoikusha.co.jp/books/book_search?search_b_class=A&search_category=中学受験&search_word_c=過去問

声の教育社から出ている学校別過去問題集は定番の過去問対策本です。

過去問対策の本は他にも多数出ておりますが、解答と解説の精度が高く、関東圏の中学受験の過去問対策として1番選ばれている教材です。

英俊社 赤本(関西 中学受験)

https://book.eisyun.jp/products/backnumber/junior-search/1/

関西の受験では定番の「赤本」シリーズです。

こちらも中学受験の過去問題集で最も選ばれている本です。声の教育社と同じで解説の丁寧さがおすすめの理由となります

まとめ

ということで、ここまで中学受験の過去問対策に必要な情報をまとめてきました。

結論としては、問題傾向に慣れることも大事ですが、その中でお子さんに不足している知識・力をどれだけ補完できるか?が志望校合格の分かれ目となってきます。

ぜひ、この記事を参考に中学受験の過去問対策の戦略を立ててみてください。

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