【大手塾別】4年生の夏期講習中の学習ポイント まとめ
今回の特集動画では、「4年生に特化した、中学受験の夏期講習の準備」について、中学受験情報局主任相談員の辻義夫が解説します。
こちらの動画では、サピックス・四谷大塚/早稲田アカデミー・日能研・浜学園といった大手学習塾ごとの夏期講習のカリキュラムや日程、特徴を紹介しながら、それぞれのお通うお子さんがどのような準備をすればいいかを中心に説明し、各塾の進度や講習の期間、通常授業との兼ね合い、そして保護者の送迎や弁当の準備といった負担についても触れています。
大変になるのは、5年生・6年生から…と考える方もいると思いますが、4年生にとって初めての中学受験の夏期講習は、ご家庭の想像以上にハードになります。
夏期講習を成績UPの機会にするには、お子さんが通っている塾の夏期講習がどのようなスタイルなのかを確認することが重要です。各塾によって夏期講習の進め方や内容が大きく異なるため、それを踏まえた準備が必要になります。
下記に動画の内容を要約しておりますので、こちらも合わせてご参考ください。
1. 各大手塾の4年生の夏期講習の特徴 まとめ
サピックス(グノーブルも概ね同様)
むしろ、普段の1週間分のカリキュラムが3日間で進むといった、かなりハイペースな進行になります。
夏期講習の期間は14日間ですが、お盆期間や8月後半にまとまった休みがあるため、実質的には「2日通塾して1日休み」や「3日通塾して1日休み」といったペースで授業が進みます。
通常だと一週間の学習量を1日で行うことを、連日繰り返すため、非常にハードになります。
これらの過密スケジュールの中で学ぶ新しい学習内容を習得できるかどうかは、家庭での復習だよりになるため、塾に通うだけにならないように、いつも以上に注意が必要な点にも留意してください。
四谷大塚・早稲田アカデミー
四谷大塚や四谷系テキストを使用する塾も、サピックスに負けず劣らず、非常に過密になります。
四谷大塚の夏期講習は1回200分。
7月後半から8月上旬にかけて16日間の授業と2日間のテストがあり、ほぼ毎日塾に通うことになります。
さらに、お盆期間を挟んで8月下旬には「8月特訓」という授業が8日間(1回200分)あります。
これらを合計すると、4年生であっても全26日間という非常に長い日程になります。これは5年生や6年生と同じ日数です。
お盆の5日間と8月末の1週間程度を除くと、ほぼ休みがない状態です。
普段とは異なるサイクルで、土日も休みではないため、家族で出かける時間も合いにくくなります。そのため旅行は、お盆期間か8月後半の限られた期間に計画する必要がありますね。
早稲田アカデミーも四谷大塚と似たような日程で、講習は前期・後期合わせて約18日間です。
早稲田アカデミーには合宿というオプションがありますが、必ずしも参加する必要はないとされています。数日間でできることは限られており、参加しなかったからといって学習に大きな遅れが生じることはないと考えられています。
特に4年生の場合、合宿期間(例:8月10日~13日)がお盆期間と重なる場合があり、家族旅行の計画と調整が難しいこともあります。キャンセルの可否も確認し、慎重に検討することをおすすめします。
日能研
大手4塾の中で最もカリキュラムの進度がゆっくりです。
たとえば4年生では、理科や社会は夏期講習までに学ぶ内容が限定的です(例:理科はほとんど生物、社会は日本のあらましや地図記号など)。
夏期講習の日程は非常にシンプルで、7月後半または8月後半に約1週間程度で終了します。
授業は半日で終わり(朝8時台から昼過ぎまで)、お弁当が必要になる場合があります。
夏期講習の期間が短いため、むしろ残りの膨大な夏休み期間をどう過ごすか、学習計画をどう立てるかが重要なポイントになりますね。
私は、中学受験を目指すお子さんであっても、特に4年生のうちはご家族とのお出かけやご旅行については、しっかり楽しんでいただきたいと思っています。というのも、お子さんの学習に対する興味を作るのは、やはり、こういった遊びや旅行を通した体験だからです。
その意味では、日能研は「夏休みらしい時間」をいちばん取りやすい塾だといえます。
浜学園
夏期講習と平常授業が並行して進むのが大きな特徴です。他の塾が夏期講習期間は平常授業がストップするのに対し、浜学園では夏休み中も平常授業(マスターコース)が継続します。
そのため、お昼に夏期講習、夕方に平常授業といった形で、長時間学習になる可能性があります。当然お弁当が必要となりますが、親御さんが塾への送迎や弁当のお届けなどで、複数回塾に通うことも出てきます。
また夏期講習は外部生を取り込む入り口として位置づけられており、お試しや授業料優待などのキャンペーンなどが行われることもあります。外部生がクラスに入ってくるため、講師は既存の生徒と新規の生徒のペースに配慮し、若干ゆっくり授業を進めるケースもあります。
これは、普段の授業で苦労していたお子さんにとっては復習に役立つ一方で、もっと進みたいお子さんにとっては物足りなく感じる可能性もあるので、そういった点も注意が必要です。
2. 7月〜夏期講習までにしておくべきこと
上記の特徴を踏まえたうえで、夏期講習までにやっておくべきことを予め計画・準備しましょう。
■ これまでのテストを見直す
まず、マンスリーテストや公開テストなど、これまでに受けたテストを見返して、お子さんの苦手な部分や手薄な部分、逆に得意な部分を明確にします。
■ 夏期講習で何をやるか把握し、それに合わせて準備する
夏期講習で取り扱う単元を確認し、事前に予習しておくか、夏期講習でしっかり復習するかといった目論見を立てましょう。
例えばサピックスのように、夏期講習が復習内容ではなくどんどん進んでいく塾の場合、これまで手薄であった単元は、夏までにご家庭で解決しておくことが望ましいですね。
逆に日能研のように夏期講習が復習内容で、カリキュラムが進まない塾であれば、夏期講習の授業で理解を深めようというスタイルも成り立ちます。
四谷大塚と早稲田アカデミーは、夏期講習が復習内容と新出単元の折衷型になります。あらまじめ、どの単元がこれまでの復習で、どれが新しく習う内容なのかを確認しておくようにしましょう。
■ 夏期講習でカバーできない部分を補う計画を立てる
塾のカリキュラムや進度によっては、夏期講習だけでは学習量が不足する部分が出てくる可能性があります。特に日能研のように進度がゆっくりで夏期講習期間が短い塾の場合、残りの膨大な時間をどのように学習に充てるかを計画することが重要ですね。
■ オプションの講習や合宿について検討する
早稲田アカデミーなどの合宿は、必ずしも参加しなくても良いとされています。お子さんが行きたがるケースもありますが、数日間でできることは限られており、参加しなかったからといって大きな遅れを取ることはないと思います。
特にお盆期間中に合宿がある場合(例: 東京都在住のお子さんで8月10日~13日)、家族旅行との兼ね合いも考慮し、お子さんの希望やキャンセルの可否なども確認して慎重に判断するのがいいでしょう。
■ 遊びの計画も立てる
4年生の夏休みは6年生とは異なり、まだ遊びの時間を十分に取ることができます。
旅行や家族で出かける時間も大切にし、学習と遊びのバランスが取れた夏休みになるよう計画を立てることが勧められています。
これらの準備を、まだ夏休みまで1ヶ月程度あるこの時期(6月中旬~7月下旬)に、じっくりと計画的に進めることで、夏休みを充実した者にしていきましょう!
3. どの塾であっても、夏期講習の成否を分けるのは、やはり家庭での学習の質
夏期講習は日能研を除いて、学習量が膨大で、ハードなスケジュールになることは必至です。
過密スケジュールでドンドン別のことを学習することに加えて、塾の先生も限られた時間でやり切るために、解説がどうしても簡素になったり、演習のスピードが早すぎるといったことになってきます。
そのため、まずは下記のことに留意しましょう。
■ 復習型の塾では解説が、特に「簡素」になりがち
四谷大塚・早稲田アカデミー、日能研などのように、過去の内容を復習できる機会のため、「これまでの遅れを夏で取り返せる」と思われると思います。
ただ、限られた時間で過去内容を一気に復習するため短時間で一気に説明されることに加え、「もうある程度わかっている」という前提で、授業の解説が進みます。
そのため、最初にじっくり説明を聞いてもわからなかった単元は、もう1度聞いたけど、さっぱりわからないまま…といった事態になりがちです。
そのため、苦手な単元で今夏に対策したいことがある場合は、ぜひ授業前に改めて学習しておくことをおすすめします。予め予習しておくと、先生の簡素な解説でも理解がしやすくなります。
■ 先行型の塾は、「理解」に落とし込むのは家庭学習任せ
サピックス・グノーブルのように夏期講習中も新しいことをドンドン学んでいく塾は、連日新しいことに取り組むため、ただ授業を受けているだけでは、先に学んだことがドンドン頭から抜けてしまいます。
そのため、家庭での授業内容の確実に振り返りが、夏に学習した内容を定着させれるかに大きく関わってきます。
授業から帰ってきた後に、何をしたか思い出す習慣は通常授業時と変わらず必須ですが、遊びの時間を確保して上げることも大切で、塾から帰ってから勉強できる時間も限られているため、「どこで、どの程度、なんの振り返りをするのか?」時間のコントロールが重要になってきます。
授業内容の振り返りの習慣ができていない場合は、ぜひ夏休みが始まるまでの間の通常授業を利用して、振り返りのルーティンをある程度作っていきましょう。
4. 問題をどれだけ解いたか?ではなく、「今日どれだけ理解できるようになったか?」を重視する
どの塾であっても、夏期講習中に取り扱う学習量は膨大になり、ただ授業を受けて宿題をするだけでは、どうしても頭に定着せず、どんどん忘れていってしまいます。
そのため、いつも以上に、家庭学習での「理解」を深める学習習慣が重要です。
ただ、問題を解くだけでなく、お子さんが「仕組みを理解できているか?」「解答に伴う必要な作業を正しくできているか?」を重視してください。
(2025年最新版_志望校合格を確実にする中学受験ハンドブックより)
に学習のペースが密になってくればくるほど、お子さん自身が「解答を早く書いて、勉強を終わらせること」が目的になってきます。
これは5年生以降顕著になってくるのですが、夏休みに限っては4年生でも起こりやすい現象です。「考え、理解する」ことより「丸暗記して、その場を乗り切る」学習にならないように、いつも以上に注意してください。
成績を上げるために、どのような学習方法が求められるのか?
詳細については、下記の無料ハンドブックも合わせてご参考ください。