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中学受験算数 計算力と図形の感覚をつけるポイントとは

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公開: 最終更新日:2021年07月20日

算数の力のベースになるのは、計算力です。
早く正確に計算をするためにも、小学生のうちに計算は漢字と同じく毎日取り組んでおくことが大切です。
また4年生になると図形の難しい問題が出てきますが、図形はどのくらいイメージとしてとらえられるかで差が出ます。
今回は、計算ミスを減らしてより正確な計算力をつける、また図形のイメージ感覚をつけるポイントを紹介します。

補数を使って計算力を上げる

早さと正確さが必要な計算では、「補数」が身についていると繰り上がりや繰り下がりの計算が出てきたときにも、迷うことなく正確に答えが出せるようになります。
小学生の算数では「10」を構成する補数が基礎になります。「1と9」「2と8」「3と7」「4と4」「5と5」はそれぞれ補数の関係です。

これがわかっていれば、例えば
14+8という問題の場合、
4に補数の6を足して繰り上がり10の位は20、8から補数の6を引いて2が1の位に残るという計算になり、答えは22となります。
計算を文字にするとややこしく見えますが、補数の感覚があればこの過程がスムーズにいきます。補数を使うことによって計算ミスが減るのです。

補数を遊びで取り入れる

補数を感覚的にとらえるには、補数に慣れることが必要です。
小学3年生くらいまでに補数の感覚がついていることが理想ですが、まだつかめていないという場合にも簡単にトレーニングする方法があります。
ただ数字を並べて補数を覚えようとしてもなかなか大変なので、親子で遊びながら補数を鍛えましょう。

手作りでトランプくらいの大きさの0から10の数字を書いたフラッシュカードを作り、ゲームをするような感覚で挑戦します。
まずは親が1枚数字カードを選び、その補数になる数字カードを子どもが選びます。
親がカードを選ぶ瞬間に子どもの手が動くくらいになるのが理想です。
最初は10までの補数から始め、慣れてきたら15、20、そして100と増やしていきましょう。

図形のイメージ力を育てる

図形が苦手だという子どもは多いです。だいたい4年生くらいを境に苦手意識を持つ子とそうでない子の差が出てきます。
例えば鈍角三角形の鈍角の部分を頂点にして配置している場合、底辺の位置はすぐにわかりますが、くるりと底辺の位置を変えたとたんに頂点底辺の位置やがわからなくなってしまうのです。
幼少期にパズルやブロックで遊んでいた経験が多い子ほど、空間認知力に長けています。

しかし、4年生になってからでも十分に空間認知力やイメージ力を育てることはできます。
例えば、野菜を使ってイメージ力を育てることもできます。
まずは親がサイコロ状の大根やにんじんなどを5個ほど用意します。そのサイコロ状の野菜を子どもに好きなように切らせましょう。
最初は遊び半分で適当にやっているかもしれませんが、そのうちここに切れ目を入れるとどうなるだろう、と工夫をするようになります。

もし子どもがそのような工夫をしない場合には、親から「ここから切れ目を入れてみたら?」「そこから二等辺三角形をつくってみて」「ひし形を作ってみよう」などと声かけしてみましょう。
そこで切った形と残った形の関係性が見えてくるでしょう。

このような実際にものを使いながらのイメージトレーニングは非常に効果があります。
ぜひ、毎日の台所で取り入れてみましょう。

ゲームを使ってイメージ力を育てる

平面的な図形、立体的な図形に対してのイメージ力を育てるにはさまざまなゲームやパズルを使うといいでしょう。
もうすでに4年生であれば、オセロは楽しみながらイメージ力が身につきます。
またタングラムパズルは平面的な図形や幾何学図形を習得するのに向いています。
立体感覚では立体四目並べがいいでしょう。
どれも親子でコミュニケーションを取りながら遊べ、イメージ力を鍛えることができるものです。

このときに子どもをやる気にさせるのは、いっしょに遊び、勝負する親の熱量です。
親が本気で挑んで、勝ったり負けたりするのを大いに喜んだり悔しんだりしてください。
そうすれば子どもは本気で喜び、悔しがります。

オセロに勝つための秘策は、対角線状に斜めにそろえるように並べていくことです。
最初、子どもはこの秘策を知らないため、たいていの場合は大人に負けるでしょう。
しかし悔しがって「もういちどやろう」と挑戦をくり返し、その秘策に気づけば親に勝つことができます。
感覚がつかめた、ということです。
親は子どもが勝ったときにはほめて、喜ばせてあげてください。

計算や図形への理解は言葉にするとむずかしく聞こえますが、補数やイメージ力などの感覚を鍛えることで計算はより早く正確に、そして図形は立体や平面の感覚がつかめるようになります。
算数に必要なイメージ力や感覚は実際に手に触れられるものを使って鍛えると確認しながらできるので、理解が早まります。
ぜひ家で子どもとコミュニケーションを取りながら、フラッシュカードやサイコロ状の野菜、ゲームなどを使って、計算力の向上と図形への理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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