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子どもが「算数が楽しい」と感じるきっかけとは。親は方程式を教えないように注意

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公開: 最終更新日:2021年07月20日

算数が苦手だと感じていて、特に文章題に対して苦手意識を持つ子どもは少なくありません。
ここでは、子どもが「算数が楽しい」と感じるようになるのはどのようなきっかけなのか、そして算数の文章題の取り組み方についてお伝えします。

算数の文章題が苦手な2つのタイプ

「算数の文章題が苦手」という声を多く聞きます。これには2つのタイプがあり、ひとつは基本的な国語力がないタイプ、もうひとつは面倒だから考えたくないというタイプです。
算数が得意な子の多くは、国語も得意です。
算数の文章題を解くために必要な国語力は日常の家庭における会話でも培うことができます。

「国語力がないから」と諦めずに、文章を正確に読み取ろうとする意欲を持ち続けさせてあげてください。
慣れてくると「ああ、こういうことをきいているのか!」とわかるようになってきます。

文章が出てきたけで面倒だと感じてしまうタイプの方が厄介かもしれません。
普段の読書では論理的な文章や説明文に出会うことは少ないので、子ども新聞や子ども向けの科学読みものなどを、時々でいいので読むような習慣をつけておくといいでしょう。
算数の問題文への苦手意識もそれで薄れていくかもしれません。

「文章題は難しい」と親も思い込まないようにする

算数の文章題は、たしかに慣れないとわかりにくく、面倒だと感じることもあるでしょう。

「AさんとBさんがお金を持っていました。Aさんはそのとき持っていたお金の3分の1をBさんにあげました。Bさんは4分の3をA さんに渡して…」などと、整理しながら読まないと状況を把握できないような文章が何行も続き、最後には「ふたりとも同じ金額になりました。最初にAさんが持っていた金額はいくらでしょうか」というような問題もよくあります。
文章が長くなると、「最初に持っていた」と問われても「いつのことだっけ」とさっぱりわからなくなってしまうことがあるかもしれません。

こういう場合は、問題文を読んで「わかっていること」を正確に書き出し、ひとつずつ遡って考えていく必要があります。
最終的にふたりとも1,200円になっていたなら、「最後に所持金の3分の1と等しい金額のお金をもらって1,200円になったのだから、その前の段階は900円。そうすると、渡したほうの手元にあったのは○○円だったはず」などと一歩一歩確実に戻っていくのです。

この手順を「面倒だ」と感じる子どもは多く、またその過程でひとつでも読み落としてしまうと辻褄が合わなくなってしまうので、「文章題が苦手」と感じてしまうのです。
まずは、少し込み入った文章に慣れること、そのためには親も文章題に対して難しいという認識を持たないことがいちばんです。

「ひとつずつ書き出していけば、そんなに難しいことじゃない」という気持ちで文章題に取り組んでみてください。
実際、計算自体はそこまで難解なことを求められていないので、解いてみたら「なんだ、そういうことか」と腑に落ちると思います。
この「腑に落ちる瞬間の気持ちよさ」の積み重ねが、「算数って楽しい!」という気持ちを育みます。

小学校の算数は方程式で解いてはいけない

家庭学習などで子どもに算数の問題の解き方を聞かれたときに注意してほしいのが、方程式で解く方法を教えないことです。
特に数学が得意なお父さんは、つるかめ算、和差式などを連立方程式で教えようとしてしまいます。
すでに方程式を習得した大人が、xやyを使った解き方を教えてしまうのがいちばんてっとり早い、と感じるのはわかります。
でも教えられた子どもも「ふーん」とは思っても、解けた快感や納得感はまったくありません。

もし本気で方程式を教えるなら、「移項」の意味もわからせなくてはならないし、それには「マイナス」の扱いを教えなければなりません。
中学1年の1学期に学ぶ内容を教えなければ方程式は理解できないのです。
小学生はまだマイナスの概念を習っていないので、裏ワザ的に連立方程式の解き方を教えても、むしろ混乱してしまうかもしれないので気をつけましょう。

「必ず解ける」という確信を持たせる

図や表、グラフなどを使って、自分の「実感」から解法を探すのが、算数で大切なことです。
目に見えるようにして考えることがとても重要なので、式に落とし込んで計算すれば自動的に答えが出る方程式などを中途半端に教えてしまうと、子どもは試行錯誤して解法を探すことを面倒だと感じてしまいます。

線分図を書く、表にする、補助線を引くなどの方法をあれこれ試して、「わかった!」「解けた!」という喜びを感じ、「この方法を誰かに教えたい!」と思うことが算数の本当の楽しさであり、それを知った子はどんどん伸びていきます。
算数で鍛えられるのは、ゼロから何かを創造したり発見する能力ではなく、頭の引き出しにあるものを目的に合わせて取り出し、組み立てる能力です。

込み入った文章題にも必ず解法があるはずだと確信し、諦めずにチャレンジして「自分にはこの問題は絶対に解けるはず」という気持ちで解くのがいちばん楽しいのです。

こうしたチャレンジや試行錯誤の末に「解けた!」という体験を重ねていくことが、「算数が楽しい」と感じる大きな要素になります。

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