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徹底分析!いまどきの中学受験の問題ってどうなの?

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公開: 最終更新日:2021年07月21日

中学受験で出る問題って、学校の勉強が完璧にできていれば解けるのでしょうか?あるいはまったく解けないのでしょうか?
ここでは、「いまどき」の中学受験の問題について、詳しく見ていきたいと思います。

もくじ

1.いまどきの中学受験の問題ってどうなの?

1−1 学校の勉強だけでは合格できないの?

一都三県だけで4万人近くが挑戦する「中学受験」。その合格に向けて多くの子どもが中学受験専門の進学塾に通います。
では、小学校の勉強だけで中学受験の問題は解くことができないのでしょうか。

結論からお伝えすると、一部の私立小学校を除き、小学校の勉強だけでは中学受験の問題で合格点を取ることは、限りなく不可能に近いでしょう。
「小学校のテストがすべて満点という子でも、中学入試の問題では20点、30点しか取れない」などとよく言われますが、大げさではなく事実そんなものです。

それくらい、中学受験の問題は小学校の勉強とかけ離れています。

また、中学受験用のテキストや参考書、問題集なども多く市販されていますが、ある程度のレベルの学校になると独学で合格するのは難しく、ほとんどのお子さんが中学受験に対応した進学塾に通い、受験に挑戦します。

1−2 中学受験の問題はどれくらい難しいの?

「中学受験の問題は小学校の問題とは全く違う」と述べましたが、ではいったいどれくらい違うのでしょうか。

たとえば算数の場合、小学校では6年生で速さを学びます。
時速・分速・秒速の意味、そして速さの三公式を学習します。
速さの三公式とは、

  • 速さ×時間=距離
  • 距離÷速さ=時間
  • 距離÷時間=速さ

の3つのことで、速さ、時間、距離を自分で計算できるようになります。
そのうえで、一定の速さで進めば進んだ時間と距離が比例することから、正比例の関係も学習するのです。

一方、中学受験の算数では、早いと4年生の段階で速さの基本を学習(サピックスでは4年12月、四谷大塚では4年1月)し、以後5年生、6年生にかけて「旅人算」「通過算」「流水算」「時計算」といった特殊算に加え、速さと比、速さと図形など他の分野と関連した問題を学習していきます。

また解法面でも、線分図解法、面積図解法、ダイヤグラム(進行グラフ)など様々なものを習うのです。
これらの解法の多くは、小学校ではまったくやらないか、もしくは軽く触れられるだけで「習得」のレベルまで行かないものがほとんどです。

つまり、専用の勉強をせずに中学受験に臨むということは、武器を持たずに戦場に出るようなもので、とても勝ち残ることはできないと言っていいのです。

2.学校によって問題傾向はどう違う?

2−1 スピード勝負の学校とその問題例

中学受験で「スピード勝負」の代表格として語られることが多いのが、女子御三家の1つ、女子学院です。
問題難度自体は難関校としてはそう高くないのですが、特徴的なのはその問題数。たとえば算数は制限時間40分で小問数が多いときは30問程度あります。
1問あたり1~2分で処理していく必要があり、中には解き方を残す問題もありますから、テキパキと処理していくことを要求されます。

2017年度は解き方を残す問題として速さの問題が出題されていましたので、紹介します。

大問2 列車Aの長さは238m、速さは時速126㎞です。列車Bの長さは160mです。
(1) 列車Aが列車Bを追いこしていいるとき、列車Aの座席に座っているJさんが、列車Bの最後尾に並んでから列車Bの先頭の横に並ぶまでに、12秒かかりました。
このとき、列車Bの速さは時速何㎞か求めなさい。
求め方:

答え 時速     ㎞

(2) 列車Aと、(1)と同じ速さで走る列車Bがすれ違っているときに、列車Bの座席に座っているGさんが、列車Aの先頭の横に並んでから列車Aの最後尾に並ぶまでには、何秒かかるか求めなさい。

答え        秒

難関校向けの算数の勉強をしてきた子どもにとっては、そう難問というわけではありません(それでも学校の速さの勉強しかしていない子にはなかなか難しいことがわかります)。
しかしこのレベルの問題を20問~30問、40分の間に正確に解き続けるのは難しいものです。

2−2 じっくり解かせる学校とその問題例

スピード勝負の学校に対して、そう問題数は多くないですが、じっくり考えさせる問題を中心に出題し、解き方まですべて答えさせるタイプの学校もあります。

日本の最難関、関西の灘中学校の入試は2日間にわたるのですが、1日目の算数はスピード勝負、処理力を時間内にどれくらい発揮できるかを見る問題、2日目は解き方をすべて残してじっくり取り組む算数で、2日間にわたって実施され、算数の「総合力」を見る問題になっています。

2日目の算数は大問5問で制限時間60分。
大問1問あたり10分以上の時間が与えられていて、暗記だけでは解けない「なぜそうなるのか」をしっかり学んできたかを問われます。

2017年の入試問題、灘中の2日目、大問5の冒頭部分をご紹介します。

大問5

1,2,3,4と書かれた4枚のカードが横一列に並んでいます。この列に、次の A,B,Cのうちのいずれか1つだけを行うことを 1回の操作として、この操作を繰り返し行います。
A:左端にあるカードを、左から2番目にあるカードと左から3番目にあるカードの間に移動させる。
B:左端にあるカードを、左から3番目にあるカードと左から4番目にあるカードの間に移動させる。
C:左端にあるカードを、右端に移動させる。
1,2,3,4の順にカードを並べた状態から、この操作を始めます。

例えば、BACの順に操作を行うとカードの並びは
1,2,3,4 →2,3,1,4→3,2,1,4→2,1,4,3
と変化します。

(1)この操作を3回繰り返し行うことにします。
(ア)ACBの順に操作を行った後のカードの並びは , , , です。

明らかに、何かを知っているからできるというタイプの問題ではなく手を動かし、試行錯誤する中で法則を見つけていくという問題です。
このような問題に対応するためには、普段から「なぜそうなるのか」「今何を求めているのか」「何か法則のようなものは発見できないか」といったことを考えながら学習する習慣をつけておかなければなりませんね。

 

ここまで、中学受験の問題の難しさ、特殊さについて考えてきましたが、いかがでしたでしょうか。
中学受験の勉強は小学校のものと大きく違うということはもちろん、学校によって出題傾向も大きく違うということを念頭に、志望校合格に向けて着実に準備していきたいですね。

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