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【保存版】中学受験 志望校の失敗しない選び方 -9カ条-

【保存版】中学受験 志望校の失敗しない選び方 -9カ条-
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更新: 2017年11月08日 公開:
志望校の失敗しない選び方 -9カ条-

Point1 志望校の選び方3つのポイント

中学受験を検討する際、まず決めておきたいこと

小学3年生になると、「うちの子も中学受験をさせてみようかな・・・」と考え始める家庭が増えてきます。大手進学塾の入塾テストは、3年生の1月に実施されるので、その対策を秋から始めるとすれば、中学受験を検討するにはちょうどいいタイミングです。

中学受験を検討する際、まず何から始めたらよいのか?というご質問をよくいただきます。とりあえず、塾選びなのでは?と考えるご家庭は少なからずいますが、実はその前に決めておきたい大切なことがあります。

それは、学校選びです。

確かに塾選びも大切ですが、まずはざっくりとでもいいので、目標となる学校を選んでおくといいでしょう。なぜなら、志望校によって塾選びも変わってくるからです。

学校は親が主体となって決める

とはいえ、首都圏には約300校の私立中学校と12校の国立中学校、19校の公立中高一貫校があり、この中からわが子にぴったりな学校を見つけるというのは、簡単なことではありません。けれども、これだけの数の学校があっても、最終的にあなたのお子さんが通う中学校は一校だけ。受験に挑むのはお子さんですが、中学校受験の学校選びは、ある程度は親が主体となって進めていかなければならないというのが現実です。

生まれも育ちも東京という人であれば、知っている学校もたくさんあるでしょう。しかし、親世代が小学生だった30~40年前と今とでは、事情はかなり違います。同じ学校でも別学から共学になった学校もありますし、「昔はかなり荒れていた」という学校が進学校になっている場合もあります。地方出身者の親御さんなら、「御三家って何?」という人もいるかもしれません。

では、星の数ほどある学校から、わが子にぴったりな学校を見つけるには、何を基準に選んだらよいのでしょうか? ポイントを3つ紹介しましょう。

① 子どもが実際に通える場所にあるかを確認する
② 「偏差値○以下の学校は受けない」など、なんらかの判断基準を決める
③ ①②を満たす学校の中から10校くらい候補を挙げ、入試問題の傾向が似ている学校を複数選ぶ

詳しく説明していきましょう。

①子どもが実際に通える場所にあるかを確認する

小学校を卒業すれば、誰もが通える地元の中学校。そこを選ばず、あえて中学受験をして別の学校を選ぶというのであれば、できれば"いい学校"へ入れたいと思うのが親というものです。"いい学校"には、いろいろな要素がありますが、一般的に中学受験における"いい学校"とは、偏差値が高くて、大学進学の実績のある学校を指すことが多いと思います。

けれども、いくら"いい学校"でも、毎日通学に3時間以上もかかっていては、往復するだけで疲れてしまい、学校生活を楽しむどころではありません。また、震災など予期せぬ事態が起きた場合も、自宅から近い方が親子ともに安心でしょう。通学は片道1時間以内を目安にしておくのが現実的だと思います。

東京・神奈川の受験生の場合、本番前の"お試し"に1月に実施される千葉・埼玉の学校を受験する子も多くいます。東京であれば1時間以内は可能ですが、神奈川からとなるとそうはいきません。"お試し"と完全に割り切って受験をするのであればいいのですが、万が一、第一志望、第二志望、第三志望が不合格だった場合、そこへ通う可能性もなきにしもあらずですから、"お試し"も含め受験校は十分に検討しましょう。

「志望校がまだ決まっていない」、または「そもそもどんな学校があるかも分からない」という場合は、まずは自宅から1時間以内で移動できる場所にどんな学校があるか調べてみましょう。各学校の情報を記載した中学受験ガイドには、路線図と一緒に学校の所在地が載っているので、参考にしてみてください。駅から歩いて行ける距離なのか、バスを利用するのか、バスを利用する場合、スクールバスがあるのか、路線バスを利用するのかなど、しっかり調べておきましょう。

すると、「えっ!? うちの近くにこんな学校があったの?」という新たな発見があるかもしれませんし、「案外選択肢がないのね・・・」と、一度冷静に受け止めて、受験を考え直すきかっけになるかもしれません。

②「偏差値○以下の学校は受けない」など、なんらかの判断基準を決める

"いい学校"に通うために、毎日通学に3時間以上かけるのは現実的ではありませんが、「ただ近ければよし」「地元の公立中学校でなければよし」というのも、中学受験をさせる意味はあまり見いだせません。

一般的に中学受験の準備は3年生の冬からスタートします。ということは、3年生から受験勉強を本格的に始めた場合、小学校生活の約半分を受験勉強に費やすことになるのです。それって、かなりの覚悟が必要だと思いませんか?

受験勉強には、高額な塾代がかかったり、家族のサポートが必要だったり、小さい頃から続けてきた習い事やスポーツを途中で断念しなければならなかったりと、何かしらの我慢が強いられます。そうまでして受験をさせるのであれば、「うちはこういう教育方針である」「うちの子はこういう学校で学ばせたい」など、ある程度の基準を決めておく方が賢明でしょう。

「何がなんでも御三家に入れたい」「情操教育を大切にしている学校か、宗教校に入れたい」「校風も大事だが、進学実績も考え、偏差値50以下の学校は受けない」など、初めはざっくりとしたものでいいと思います。「うちの子の頭のレベルはこんなものだろう」と決めつけず、スタート時点では大きな目標を掲げてもいいのです。中学受験では、親の価値観が問われます。夫婦でよく話し合って、何かしらの判断基準を決めておきましょう。

一番避けたいのは、お母さんは中学受験をさせたいのに、お父さんは反対している(または無関心)といったように、夫婦間で意見が分かれていること。中学受験は親の受験であると同時に、家族の受験です。家族全員が同じ方向を向いていないと、うまくはいきません。どちらかが反対しているという状態で、スタートするのは絶対にやめてください。

③ ①②を満たす学校の中から10校くらい候補を挙げ、入試問題の傾向が似ている学校を複数選ぶ

自宅から1時間以内の場所で、気になる学校をピックアップしてみましょう。初めはあまり絞りすぎず、10校くらい候補を挙げておくといいでしょう。気になる学校があったら、学校説明会や文化祭、オープンスクールなど、一般公開している日に足を運び、自分の目でその学校を見てみましょう。知り合いに、実際にその学校へ通っている子がいれば、学校の様子を聞いてみるのもいいでしょう。

候補を挙げたら、その学校の入試傾向を調べてみましょう。ひとくちに中学受験といっても、各学校の入試の内容はさまざまです。

例えば、御三家のひとつである麻布中学の問題は、記述の多いことで有名です。単に知識を答えるのではなく、長文を読み解き、設問に対する自分なりの考えをまとめて、文章で表現する力が求められます。

一方、大学付属校で人気の早稲田実業の入試問題では、知識を大量に身に付け、スピーディーに情報を処理する能力が求められます。

偏差値だけを見て、「第一志望は麻布、第二志望は早実」と決めるご家庭がありますが、この2つの学校の入試問題の傾向はまったく異なり、これらをすべてカバーするのは容易なことではありません。無駄に多く勉強をすることになり非効率です。

そこで、まずは第一志望の学校を決め、併願校の選択は第一志望の学校と入試問題の傾向が似ている学校を複数選ぶようにしましょう。そして、そのための勉強をします。3年生の冬の段階では、志望校はざっくりと選んで構いませんが、5年生の夏には第一志望校は決めておきたいものです。

Point2 「あの学校は昔・・・」といった親の先入観は捨てる

親世代が中学生だった20~30年前と今の難関校は違う

中学受験の難関校というと、どこの中学が頭に浮かびますか?

首都圏なら、開成中学、麻布中学、武蔵中学の男子御三家、桜蔭中学、女子学院中学、雙葉中学の女子御三家がまず挙がるでしょう。関西であれば、灘中学、東大寺学園中学、洛南中学、女子は神戸女学院中学などが挙げられます。いずれも中高一貫校で、東大・京大への進学率も非常に高い学校です。偏差値でいうならば、74~78(四谷大塚偏差値)になります。

では、65~74になると、どんな学校があるのでしょうか? 駒場東邦、渋谷幕張、渋谷渋谷、豊島岡女子、洗足学園・・・など、「あれ?初めて聞く名前だな?」「えっ?あの学校が?」といった学校がたくさん名を連ねています。

今、中学受験を考えている4年生ぐらいのお子さんのご両親は、だいたい30代半ばから40代あたりの方が多いでしょう。自分たちが中学生だった頃と言えば、今から約20~30年前のことになります。

ですから、今、「難関校」と言われる学校の名前を聞いて、「えーっ、その学校、昔は不良がいっぱいいて怖くて近づけなかったのに」「あそこは勉強ができない子がいく中学だったわよ」「スポーツには力を入れていたけど、勉強はねぇ・・・」「名前も聞いたことないわ」ということも多いと思います。

しかし今は、「えっ!?あの学校が?」という学校が、偏差値65を超える難関校になって、東大をはじめとする難関大学に多数の合格者を輩出しているのです。まずは、ご自身が中学生だった当時の難関校と、今の難関校は大きく変わっていることを知っておいてください。

中学受験人気は大都市に限られた現象

首都圏にいると、中学受験は特別な選択という意識はあまりないでしょう。地域によっては、クラスの半数以上が受験をするという学校もあります。

しかし、全国で見れば、中学受験というのは、東京や大阪などの大都市を中心とした限られたエリアで繰り広げられている現象で、それ以外の地方には「中学受験」という選択肢はほとんどありません。なぜなら、私立中学自体が少ないからです。地方に暮らす多くの小学生は、小学校を卒業したら、何の迷いもなく地元の中学校へ通い、公立高校に進学して、大学で初めて本格的な「受験」を経験することになります。

ですから、お父さん、お母さんが地方出身だった場合、またはどちらかが地方出身だった場合、大都市で話題になる「中学受験」に違和感を覚える人もいると思います。

「え? なんでわざわざ私立を受験するの?」
「公立でいいじゃない」
「難関校といわれても、知らない学校ばかり」

という人も多いはずです。

しかし、現実、首都圏をはじめとする都市部では、中学受験を選択する家庭がある一定数はいます。地域によっては、クラスの友だちの半数以上が中学受験をする学校もあります。ですから、あなたのお子さんが、ある日突然、「中学受験をしたい」と言い出す可能性は十分にあるのです。そのときに、「中学受験だなんて」とはなから認めないのではなく、そういう選択肢もあるということをまずは知っておいて欲しいと思います。

親の先入観は捨て、今の時代を知る

中学受験について知りたいと思ったら、まずは「自分たちの頃はこうだった」「自分たちの地方はこうだった」という先入観を捨てましょう。そこを家族で徹底しておかないと、例えば塾で「お子さんならA校、B校が狙える」と言われても、わけが分からないということになります。また、うっかり子どもの前で「昔はたいした学校じゃなかったんだけどね」といったことを口にするのも御法度です。これは、子どもにとって決していいことではありません。

知らない学校があることは当然のことです。昔を知っているなら、比べてしまう気持ちも分かります。でも、そこはグッと抑え、「昔と今は違うのだ」ということを認めること。そして、きちんとその学校の"今"を知るべきです。

とはいえ、「偏差値」だけに目を向けてしまうのは、おすすめしません。偏差値は志望校を決めるときの目安にはなりますが、決して偏差値だけで選ぶのではなく、学校の教育方針や校風、さらに入試傾向を把握した上で検討していきましょう。

Point3 学校説明会はいつから行くべき?

学校行事・学校説明会・入試説明会など、学校を訪問できる日は多数ある

気になる学校について知りたければ、その学校を訪れ、自分で見ることが大事です。

各学校では年間に、文化祭、音楽祭、体育祭などの学校行事があります。学校行事は、実際に学校へ通っている生徒たちの様子を見る絶好の機会です。「女子校の体育祭って盛り上がるのかしら?」と思って言ったら、「ものすごく熱くてびっくりした!」なんて声もよく聞きます。

また、受験を考えている小学生とその保護者向けに学校説明会も設定しています。学校説明会は数回行うところがほとんどですので、都合のいい日に参加してみましょう。

また、入試が近づいて来ると、6年生の受験生を対象に入試説明会を実施する学校もあります。過去の入試問題の特徴や今年出題されそうな問題傾向など、受験に役立つ情報が得られるので、「ここは絶対に受ける」という学校であれば、参加した方がいいでしょう。ただし、こうした入試説明会を実施する学校は、難関校などの人気校ではなく、生徒募集に苦戦しているところが多かったりもします。

学校説明会には2種類ある

学校説明会は大きく分けると2つのタイプのものがあります。一つは複数の学校が一堂に集まって行われる合同説明会、もう一つは各学校で行う学校説明会です。

合同説明会は春から秋にかけて、さまざまな場所で開催されています。首都圏で開催される大規模な合同説明会といえば、毎年5月に中旬に開催される「東京私立中学合同相談会~Discover私立一貫教育~」、5月末に開催される「ベネッセ進学フェア」などがあります。「東京私立中学合同相談会」には都内の全私立中学校が、「ベネッセ進学フェア」には首都圏の私立中高一貫校が180校参加します。場所はどちらも東京国際フォーラム(JRほか「有楽町」駅前)です。

その他に「キリスト教学校合同フェア」や「カトリック学校フェア」などのキリスト教の学校を集めたもの、「東京私立男子中学校フェスタ」「私立女子中学に触れる会」などの別学を対象にしたもの、沿線の学校を集めたもの、大手学習塾が主催のものなど、さまざまな合同説明会があります。合同説明会の年間スケジュールは、各中学受験専門のサイトなどで紹介されているので、こまめにチェックしておきましょう。

低学年~4年生は合同説明会でたくさんの学校を知ろう

合同説明会のメリットは、一度にたくさんの学校を知ることができる点です。そういう意味では、まだ志望校が絞られていないうちに参加するのがいいかもしれません。一般的には、小学4~5年生のときに参加する家庭が多いようですが、低学年のうちから「うちは中学受験をする」と決めているなら、早いうちから参加し、たくさんの学校を知ることはいいと思います。

しかし、当日は参加人数がとても多く、回れるブース数は限られています。会場はかなり混み合い、待ち時間もあるので、きょうだいなど小さい子どもを連れてくことはあまりおすすめしません。ある程度、志望校が絞られているという場合は、小規模な合同説明会かその学校の学校説明会に参加した方が収穫は大きいでしょう。

学校説明会は晴れた日に行こう

ある程度、志望校が絞られてきたら、今度はその学校が実施する学校説明会に参加してみましょう。学校説明会は春から秋にかけて、年間数回実施されます。日程は各学校のホームページにゴールデンウィーク前頃からアップされます。学校によって、予約が必要だったり、誰でも参加できたり、毎回同じテーマだったり、各回テーマを設けて内容を変えていたりするので、中身をよくチェックしておきましょう。

学校説明会は5年生になったら積極的に参加しましょう。まだ志望校が決まっていない場合でも構いません。むしろ、決める前段階の判断基準として行くべきものです。6年生になってからですと、ゆとりをもって見ることができなくなるので、まだ多少気楽でいられる5年生のうちに、親子でいろいろな学校を見て回りましょう。

学校説明会は、できれば晴れた日に行くといいですね。雨や曇りの日の校舎というのは、なぜか暗いイメージに感じるものです。お子さんにこの学校を気に入ってもらいたいな、と思ったら、なるべく晴れて気持ちの良い日に行きましょう。すると、お子さんの印象も良くなり、「この学校よさそうだな」と思うものです。

志望校は最終的にはお子さん本人が決めるものですが、「中学受験は親の受験」といわれるように、ある程度は親の主観が入っていいと思います。そこを気に入るかどうかはお子さん次第ですが、まずは親御さんが通わせたいと思う学校へ連れていきましょう。

学校の真の姿を見極めるチェックポイント

学校説明会は校長先生の話から始まるところが多く、続いて学校の様子が分かるスライドの上映や、生徒やOB・OGなどの話があり、最後に入試担当の先生から入試についての説明があります。校長先生の話はその学校が目指しているもの、すなわち建学の精神について語る場であるので、とても大切です。そこで共感できるか、違和感を覚えるかで志望校は変わってくるでしょう。

また、近年、「グローバル教育」や「アクティブラーニング」などの言葉が教育の現場で盛んに言われていますが、その中身もきちんと把握しておきましょう。私立中学では、今の時代、海外研修に行くことは何も珍しいことではありません。海外研修はただ行くだけではあまり効果は期待できません。そこで何をし、どんな学びができるのか、詳しく聞いてみましょう。特に特徴のないものなら、果たしてこれを「グローバル教育」というのだろうか?と疑ってみることも大事だと思います。

校長先生の話も大切ですが、実際に他の先生が校長先生の思いに沿って行動できているかどうか厳しくチェックすることも大事です。例えば、校長先生が「あいさつや礼儀を重んじる学校」と言っているのに、ほかの先生ができていなかったら、それは単に理想を述べているにすぎません。また、その学校に通う生徒の姿も学校選びの重要なポイントとなります。

文化祭や体育祭などの学校行事のときは、生徒にとっては特別な日なので、いつもとは少し違う雰囲気になるものです。その学校に通う生徒の本当の姿を見たければ、通学時間に訪れて、生徒たちの様子を観察するといいでしょう。通学途中、生徒たちはどんな会話をしているのか、こっそり聞いてみると、その学校に通う生徒の雰囲気が伝わってくるものです。

電車通学が多い中学なら、近隣駅や車内での様子も見てみることをおすすめします。世間では"お嬢様学校"と言われているのに、学校の最寄り駅から離れたら、ハメを外していたなんてことはよくある話です。

偏差値や大学進学実績、一般的に見た校風などは、大手進学塾は膨大な情報を持っていますから、そこはうまく活用しましょう。それと同時に自分の目で実際に見たこと、感じたこと、在校生の親から聞いたことなどを照らし合わせ、その学校が「わが子に合っているかどうか」をじっくり考えてみてください。

Point4 第一志望はいつまでに決めればいいの?

難関校を目指すなら志望校別特訓は不可欠

では、第一志望校はいつまでに決めればよいのでしょうか?

難関校を目指す上で、「志望校別特訓」は重要です。首都圏の大手進学塾では、この特訓を6年生の9月からスタートします。「志望校別特訓」は、希望をすれば誰でも受講できるものではありません。これに参加するには、1学期の終わりか8月に行われる資格試験に合格する必要があります。

そのためには、遅くても6年生の7月までには第一志望校を決めておく必要があります。そして、何がなんでもこの「志望校別特訓」の受講資格を獲得できるよう頑張って欲しいと思います。なぜなら、この「志望校別特訓」こそが、各塾がしのぎを削って研究をしている目玉だからです。

とはいえ、この「志望校別特訓」で希望の学校のコースに入れたからといって、絶対に志望校へ合格できるというわけではありません。しかし、例年その塾から合格している人数の2~3倍が志望校別特訓のコース定員とほぼ同数で、多くの難関校の受験倍率も2~3倍と考えると、志望校別コースに入る資格を得たということは、例年の受験者レベルには達しているということ意味し、希望を持つことができます。

逆に、その資格を得られなかった場合、残念ながらその時点では例年の受験者レベルに達していないということで、その状態から5カ月間で合格を勝ち取るというのは、正直厳しいでしょう。

難関校を目指すなら、「志望校別特訓」は不可欠です。極端な話、大手進学塾に通う意味は、この志望校別特訓にあると思ってもいいでしょう。ですから、難関校を目指す人は、まずこの志望校別特訓の受講資格を勝ち取るために、早めに志望校選び、早めの対策を取ることが得策といえます。

志望校は早く決めすぎない方がいい

一方で、早く決めすぎるのはあまりおすすめしません。

受験生の中には、「自分はこの学校に通いたい」と早い段階から決めている子もいます。自分の目標がはっきりしているのは、モチベーションを保つ上では良いことですが、あまり早い段階から志望校を絞り込んでしまうと、受験が近くなった段階でそのレベルまで達成してないと、変更を余儀なくされ、子どもの気持ちに挫折感を残してしまうことにもなりかねません。

目標を掲げずただ「とにかく中学受験をする」というのはよくありませんが、早い段階から「うちの子はここを受験する!」と断言せず、「だいたいこのあたりかな」と目星だけは付けておき、その上で、「今週は○○を覚える」「次の組分けテストではクラスをひとつ上げる」など、短期的な小さな目標を設定するといいでしょう。そして、この小さな目標を一つひとつクリアしていくことで、大きな目標を達成できるまで伸ばしていけばいいのです。

第一志望校は6年生の夏までに決める

難関校までは目指していないという場合も、6年生の8月までには志望校を決めておきたいものです。受験本番までのスケジュールを逆算して考えたとき、11月末までには併願校を含めたすべての過去問を解き、12月は仕上げの段階に入るというのがベストだからです。それには9月の段階で一度、第一志望校の過去問を解き、どんな問題傾向なのかを把握しておきましょう。その中で苦手な単元があれば、11月までに克服を目指しましょう。それが理想のスケジュールです。

Point5 失敗しない併願校選び

併願校を決めるのは、6年生の9~12月

6年生の9月に入ると、各塾では毎月1回、志望校の合否を判定する合否判定テストが実施されます。合否判定テストは9~12月に合計4回実施され、その結果をもとに第一志望校を受験するかどうか、併願校をどこにするかなどを決めていくことになります。

併願校の過去問に取り組むタイミングは、10月からというのが理想です。それを考えると、併願校は9月~10月には決めておきたいものです。

併願校というと、万が一のときの"おさえの学校"と思っている方は多いと思います。"滑り止め"なんて言い方もしますよね。

だからといって、いい加減な気持ちで決めてはいけません。なぜなら、中学受験で第一志望校に行ける子は、全体の約3分の1で、残りの多くはそれ以外の学校へ入学することになるからです。

ですから、併願校を選ぶときは、「もしかすると、うちの子がこの学校に通うかもしれない」ということを念頭に置き、学校説明会や文化祭など最低でも2回は訪れるようにしましょう。そして、その学校がわが子に合っているかどうかをよく見極めることです。

受験校は偏差値プラスマイナス10の範囲から選ぶ

よく併願校を偏差値だけで決める家庭がありますが、それは絶対におすすめしません。校風もよく知らずに受験をし、入ってから「こんなはずじゃなかった・・・」とギャップに苦しまないように、納得のいく併願校選びをしましょう。

とはいえ、最後はどうしても「偏差値」を基準に判断せざるを得ないのも事実です。わずか12歳の子どもが挑む中学受験は、どんな子でも当日のメンタルの予測がつかず、"絶対に合格"という保証はありません。一方で、ダメもとで受けた挑戦校に合格してしまうという"奇跡の合格"もあります。

ですから、受験校は現状の偏差値のプラスマイナス10の範囲で検討することをおすすめします。現状の偏差値が60ならば、チャレンジ校が偏差値70、おさえ校が偏差値50というイメージです。

首都圏の場合、この偏差値の幅の中では、6、7校まで受験が可能でしょう。しかし、それだけの数の学校を受験するのは、体力的にも精神的にもしんどいので、実際は3、4校を受験することになると思います。

本番前の千葉・埼玉の"おためし受験"にはリスクもある

東京・神奈川の受験生は、2月1日~3日に本番を迎えます。その前に、千葉と埼玉では1月中に入試が実施されるため、大手進学塾では、本番前のウォーミングアップとして、このエリアの学校も受験するように勧めてきます。その意図は、次の2つのどちらかが考えられます。

一つは、東京・神奈川の志望校合格はかなり難しく、もしかすると全落ちの危険性もある。これまで3年間頑張ってきたのだから、一校でも合格をさせてあげたい、といった「全落ち防止策」です。もう一つは、緊張しやすいタイプの子に、第一志望を受ける前に、本番並みの緊張感を体感させ、試験に慣れさせるというのが狙いです。

いずれにしろ、東京・神奈川の受験生にとって、千葉・埼玉の入試は、本番前の"おためし受験"に値するため、実力よりもやや低めの安全校を受験します。そこで、確実に合格を手に入れ、調子が乗ったところで本番を迎えるというのが理想の受験です。

しかし、現実はそう甘くなく、絶対に受かると思っていた千葉・埼玉入試で不合格になり、気持ちが不安定になったまま本番を迎え、第一志望校が不合格になり、そのまま気持ちを引きずって、本来受かるはずの第二志望校、第三志望校も結果が出せず、全落ちになってしまうケースも少なからずあります。

また、"おためし受験"と割り切って千葉・埼玉の学校を受験したのに、第一志望から第三、第四志望まですべて不合格。今さら地元の公立中学へ通わせるのも子どもがかわいそうと、往復3時間以上かけて、千葉や埼玉の学校に通うことになる子もいます。

千葉・埼玉の"おためし受験"は、こうしたことも踏まえてよく検討した上で受験をするか否かを決めましょう。

併願校は入試問題の傾向が同じ学校を選ぶ

併願校を決める第一のポイントは、その学校がお子さんに合っているかどうかを見極めることです。併願校として気になる学校がいくつか挙がったら、その学校の入試問題を見てみましょう。ひとくちに中学受験といっても、各校の入試問題の中身はさまざまです。選択問題が多い学校、記述問題が多い学校、スピードを求める学校など、その中身が変われば対策も違ってきます。

中学受験の入試範囲は膨大です。今の中学受験は、ひと昔前よりは一人あたりの受験校数は減っていますが、それでも平均4校は受験します。もし、その4校の入試問題の傾向が、選択問題であったり、記述問題であったりと傾向がまったく違っていたら、それぞれの対策を取らなければならず、勉強量をさらに増やすことになります。

また、入試問題の傾向が違うということは、頭の使い方も違ってくるので、その切り替えも大変です。ただでさえ、今の中学受験は小学生にとって負担の大きいので、それはおすすめしません。

併願校を選ぶときは、第一志望の入試問題と傾向が同じ学校を選ぶようにしましょう。

このときに気を付けて欲しいのが、「入試傾向が同じなら校風も同じである」と勘違いしないことです。併願校の選び方として望ましいのは、まずその学校へ行ってみて、「この学校に通いたい」と思うかを確認すること。そして、第一志望校と入試問題の傾向が似ていること。この順番を間違えないようにしましょう。

Point6 併願校は入試日程によって変わってくる

1月入試の千葉・埼玉・関西、2月入試の東京・神奈川

ひとくちに中学受験といっても、入試の時期は地域によって異なります。首都圏では千葉と埼玉は1月から始まり、関西はほぼすべてが1月中に終了します。東京・神奈川は2月1日~5日に集中するため、その前の"お試し受験"として、1月に入試が行われる千葉・埼玉の学校を受験し、2月に入ってから本命を受けるというケースが主流になっています。

各校の入試日程は、毎年ほとんど同じです。特に1回目の入試は、よほどのことがない限り変わりません。ただし、2回目や3回目の試験や、午後の入試日程は変わることがあります。各校では夏休み前にはその年度の入試日程を発表しますので、確認しておきましょう。

問題傾向が似ていて、しかも校風も気に入っている学校がある。まさに、併願校にうってつけの学校です。にもかかわらず、その受験日が第一志望校と重なってしまっている! そんな場合は、その学校の2~3回目の試験日程を調べてみてください。男女御三家のような超難関校の入試は一発勝負ですが、それ以外の学校は、試験を複数回行っています。ただし、試験ごとの募集人数に大きな差がある場合は、それが難易度に直接かかってきます。例えば、男子御三家の一つである開成中学を第一志望校にする多くの子は、第二志望校に2月3日の海城の第2回目の試験を受けます。そのため、海城中学を第一校志望校にする子にとって、2月3日の入試は、2月1日の第1回目の入試よりも合格を勝ち取るのが難しくなってしまうのです。

ダブル入試は体力・集中力に自信がなければやめておく

近年、多くの私立中学では、1日に2回、午前入試と午後入試を設定しています。そのため、受験生は、午前中に一つの学校を受けて、午後に別の学校を受けることが可能となりました。受験校を増やせば、そのぶん合格の可能性は広がります。

しかし、気をつけなければならない点もあります。午前と午後に一つずつ試験を入れた場合、午前中に4教科の試験を受けて、移動後、午後にまた別の学校で4教科の試験を受けることになります。4教科の試験を1日に2回こなすというのは、想像以上に大変なことです。集中力を維持するのは容易いことではないでしょう。

「うちの子は集中力が続くかしら?」と不安に感じたら、複数の塾の公開テストを午前・午後と連続して受け、午後に受けた試験も問題用紙を見てみてください。そこに子どもが残した計算の数字や書き写した答案の文字が、普段より乱雑になっているようでしたら、午後入試は避けた方が賢明でしょう。

また、前日の試験に疲れて、翌日の試験で本来の学力が発揮できないということがあります。体力があり、気分転換が上手にできる子であれば心配ありませんが、そうでない子は、第一志望校の受験が翌日に控えている場合は、前日の複数受験は控えておきましょう。

「サンデーショック」の年は女子校の入試日に要注意!

併願校の選定は、その年の入試日程を見ながら検討することになります。例年大きく変わることはありませんが、ひとつだけ気をつけたい年があります。それは、「サンデーショックに」に該当する年です。サンデーショックとは、例年2月1日に入試を実施しているプロテスタント校が、礼拝日に当たる日曜日の入試を避けるために、入試日を別の日に移行するもので、ほぼ6年に1度やってきます。

サンデーショックで最も影響が出るのは、女子御三家の一つである女子学院の入試日が、例年の2月1日から2月2日に移行すること。それに伴い、通常は叶わない桜蔭と女子学院の併願が可能になり、上位校を狙う女子にとっては、"チャンスの年"と言われます。

しかし、一方で、女子学院の入試が2日に実施されることで、中堅校の併願に大きな混乱を招きます。

「サンデーショック」に該当した2015年度入試を参考に説明しましょう。

女子トップ校と言われる桜蔭の受験者数は、2014年は501人だったのに対し、2015年は629人。サンデーショックにより入試日を変えた女子学院の受験者数は、2014年は714人だったのに対し、2015年は873人といずれも受験者数を増やしています。これは、サンデーショックを"チャンスの年"と捉えた人の表れで、強気の受験と言っていいでしょう。

ただし、両者は共に女子トップを争う難関校です。万が一に備えて人気が集中したのが、2月3日に実施された豊島岡女子学園の第2回目の入試です。2014年の受験者数は562人だったのに対し、2015年は657人と増え、応募倍率は24・7になりました。

一方、例年であれば2月2日に受験数が多い同校の第1回目の入試が、2015年はかなり数を減らしました。これは、サンデーショックにより入試日を2月2日に移行した女子学院の影響とみられます。

「桜蔭と女子学院を併願する自信がない」という学力層に人気が集中したのが、2月1日の鴎友学園女子とカリタス女子、2月3日の東洋英和女学院です。また、本来、女子学院を志望していたけれど、桜蔭レベルの子が相手では厳しいと判断し、受験校を再検討して増えたのがフェリス女学院です。このように、女子学院の入試が2日に移行したことによって、女子上位校の受験者数に大きな変化が出てくるのです。

サンデーショックはほぼ6年に1度やって来ます。しかし、2015年の次のサンデーショックは2021年。これはうるう年に当たるからです。さすがに今から気にするのは早いと思いますが、これから受験を考えているご家庭は、こういう年があるということは知っておくといいでしょう。いずれにしろ、毎年、入試日程日はきちんと確認をしましょう。各校のその年度の入試日程は、夏休み前には学校のホームページで発表していますので、親がきちんと自分の目で確かめておくことが大切です。

Point7 私立中学と公立中高一貫校の併願はできるのか?

私立中学と公立中高一貫校の併願が増加傾向に

中学受験といえば、これまでは「私立中学へ受験すること」を意味することが多かったと思います。しかし、2005年に東京都に初の公立中高一貫校が開校し、その翌年から5年の間に11校の公立中高一貫校が誕生すると、「公教育で私立並みの手厚い指導が受けられる」というお得感から、公立中高一貫校が注目されるようになりました。

その人気は今も衰えることなく、2015年度入試の受験倍率は6~8倍。私立の最難関校、男子御三家の開成・麻布・武蔵でさえ、受験倍率は3倍以下ですから、公立中高一貫校の受検がいかに狭き門であることがわかります。そのため、これまでは私立中学受験をする家庭は、なにがなんでも私立へ、公立中高一貫校を受検する家庭は、「とりあえず受検してみて、受かればラッキー!」といった風潮がありました。

ところが、この1~2年、公立中高一貫校の第一期生、二期生の進学実績が出始め、東大合格者なども出てくると、私立の難関校を第一志望にする子が、第二志望、第三志望の併願校として、公立中高一貫校を受検するようになってきたのです。

私立難関校を第一志望にしている子なら少しの対策でOK!

とはいえ、公立中高一貫校の入学者選別は、"受験"ではなく"受検"と書くように、学力テストではなく、小学校の成績や活動の記録を反映させた「報告書」と「適性検査」と呼ばれる筆記テストで選別が行われます。「適性検査」は、私立中学受験のような教科別の学力テストではなく、教科の枠を超えた総合力が求められます。そのため、私立中学受験と公立中高一貫校の受検は対策がまったく違うと言われてきました。

それなのに、なぜ併願が可能なのかというと、2つの理由が挙げられます。一つは、私立の難関校の入試と公立中高一貫校の適性検査は、実は傾向が似ているからです。もう一つは、公立中高一貫校を第一志望とする子の"おためし受験"の受け皿として、生徒確保に苦戦している中堅校以下の学校が入試問題の傾向を変えてきているからです。

公立中高一貫校の『適性検査』は、教科横断型と言われひとつの教科をテストするものではありません。また、ただ知識を問うだけの選択問題や抜き出し問題はほとんどなく、文章やグラフ、資料などを読み取り、そこから何が分かるかを考え、自分の言葉で表現する力が求められます。そのため、解答の多くが記述式です。

しかし、こうした問題形式は、実は私立の難関校の入試ではすでにやっていることで特別なことではないのです。むしろ、知識の量でいえば、私立難関校を第一志望にしている子の方が圧倒的に上で、論理的思考力や記述力も鍛えられているため、公立中高一貫校対策は、6年生の10月からでも十分間に合います。過去問5年分をやっておけば、問題ないでしょう。

私立難関校であれば、どこでも公立中高一貫校を併願できるわけではない

ただし、ひとつだけ注意して欲しいことがあります。私立難関校を第一志望にしている子は、公立中高一貫校の『適性検査』で求められる論理的思考力や記述力は付いているのですが、『自分の考えを主張する』ということは、塾では学んでいません。

公立中高一貫校に合格できる子は、小学校ではリーダー的存在の子が多く、知識があって、かつ自分の意見を言える子です。『適性検査』の記述問題では、『抜き出し』とそれを『組み合わせること』に加えて、『あなたの意見を書きなさい』という問題が多く出されます。日頃から自分の意見を主張できる子には向いていますが、意見を言うことに慣れていない子は、そこで不合格になってしまう可能性があります。つまり、知識だけでは合格できないのです。

でも、その点をクリアできれば、私立難関校と公立中高一貫校の併願は可能です。ただし、難関校ならどこでも併願が可能というわけではありません。例えば、開成・麻布・武蔵の男子御三家、駒場東邦、渋谷幕張、渋谷渋谷、海城、栄光、桜蔭などの難関校であれば、十分に合格可能です。なぜなら、これらの学校の入試問題は記述式が中心だからです。

一方、同じ難関校でも女子学院、豊島岡女子、巣鴨、成城、世田谷、本郷などを第一志望にしている子は、公立中高一貫校を併願しないほうがいいでしょう。なぜなら、これらの学校は知識重視のため、公立中高一貫校の『適性検査』とはまったく入試傾向が違うからです。つまり、私立難関校であれば、どこでも併願できるわけではないのです。

中堅校以下の適性型試験は生徒確保が狙い

では、公立中高一貫校を第一志望にしている子は、どこを併願するのでしょうか?

10年前、東京都に公立中高一貫校が続々と誕生した頃は、公立中高一貫校の受検は対策が難しく、並外れた高倍率のため、「落ちても当然、受かればラッキー!」といった記念受検のようなところがありました。実際、多くの子が公立中高一貫校受検1本のみで、私立中学は併願しない傾向にありました。

けれども今は、公立中高一貫校受検を専門とする塾やコースもでき、公立中高一貫校受検のための対策がしやすくなりました。また、近年、中堅以下の私立中学で公立中高一貫校の適性検査を意識した適性型試験を実施する学校が増え、2月3日の本番前の"お試し受験"として、私立中学を併願する子が増えています。

公立中高一貫校は、学校によって若干の差はあるものの四谷大塚の偏差値でいうと60前後に値します。そのため、"お試し受験"をする私立中学は偏差値でいうと50以下の学校が対象になります。問題傾向が似ている私立中学の入試を本番前に体験しておくことはよいことだと思いますが、なかには、「適性型試験を実施」と謳っておきながら、果たしてこれは適性型といえるのだろうか?というような学校もあります。

近年、少子化が進み、多くの私立中学は生徒確保に苦戦しています。その対策として、多くの公立中高一貫校受検者の"お試し受験"の受け皿を担っている学校もあります。しかし、公立中高一貫校の受検者は、本番前のお試しとして私立中学を併願しますが、本命の公立中高一貫校が不合格だった場合、その私立中学へは行かないという選択をするケースがほとんどです。

公立中高一貫校を第一志望にする子は、「受かればラッキー! ダメなら高校受験でリベンジ」と思っている子が多くいます。これは私立中学を第一志望にする子にはあまりみないケースです。私立中学を第一志望にしている家庭は、たとえ第一志望がダメでも、第二志望、第三志望の私立中学へと進学させます。ここが第一志望を私立中学にする子と公立中高一貫校にする子の大きな違いでしょう。

近年、公立中高一貫校の進学実績は好調で、私立中学受験を望みつつも、公立中高一貫校も気になるという家庭が増えています。先にお伝えしたように両者を併願することは可能ですが、どちらを第一志望にするかによって、受験勉強の進め方は大きく変わってきます。私立難関校で記述式の問題を出す学校であれば、少しの対策で公立中高一貫校の受検対策ができますが、公立中高一貫校を第一志望にするのなら、中堅以下の私立中学を併願するという選択になります。このように目指す学校のレベルが大きく違ってくることを知っておきましょう。

Point8 男子御三家のおすすめ併願パターン

合格可能圏80%以上と80%未満では併願校も変わってくる

併願校選びのポイントは、次の4つが挙げられます。

①校風などがわが子に合っている
②第一志望校と入試問題の傾向が似ている
③受験日時に無理がない
④実際に通える距離にある

これらを十分に検討することで、"よい受験"を実現することができます。

では、首都圏の最難関校と言われる男女御三家を第一志望とした場合、どのような併願パターンが理想的か? 私たちのおすすめ併願パターンをご紹介します。

まずは、男子御三家と言われる開成中学、麻布中学、武蔵中学から見ていきましょう。

併願校を選ぶ際には、自分の実力が今どのあたりにいるかを確認することが大切です。例えば、志望校合否判定模試で合格可能圏80%以上の場合と、80%未満の場合とでは、選ぶ学校も違ってきます。簡単に言えば、合格可能圏80%を取っていれば、ほぼ合格は可能で強気な受験ができます。逆に80%未満の場合は、合否の予測がつきにくく、安全策を取っておく必要があります。

そこで、ここでは合格可能圏80%以上の場合と、80%未満の場合とに分けて紹介します。

【開成第一志望の場合のおすすめ併願パターン】

〈合格可能圏80%以上の場合〉
1/20 市川 →1/22 渋谷幕張 →2/1 開成 →2/2 渋谷渋谷② または聖光 または栄光→2/3 筑波大駒場 →2/5 攻玉社(特別)

〈合格可能圏80%未満の場合〉
1/10 栄東(A) →1/20 市川 →1/21 東邦大東邦(前) → 2/1 開成 →2/2 本郷② または広尾学園(医進) →2/3 海城② または浅野 → 2/4 市川② または城北③ 2/5 本郷③

処理能力が高い子ほど、「途中式を書く」ことを意識する

開成を狙う子は、素直でまじめなタイプの子が多く、あまり冒険を好みません。ですから、無理なく確実に合格が取れる併願パターンがおすすめです。

ですが、合否判定テストで合格可能圏80%以上を取っている子なら、強気の受験をしてもいいと思います。1/20の市川で確実に合格を手に入れたら、1/22の渋谷幕張は問題文を厳密に読む練習として、入試のウォーミングアップに。2/1で本番を迎え、万が一のセーフティネットとして2/2に渋谷渋谷、そして2/3に首都圏中学受験最高ランクの筑波大駒場に挑戦してみましょう。そこまでで、どこかしらの合格は出ていると思いますが、最後のおさえとして2/5の攻玉社(特別)の願書だけは用意しておきましょう。

ただし、ここで一つ気をつけておきたいことがあります。開成を狙う合格可能圏80%以上の子というのは、学力的には相当レベルの高い子です。開成の入試問題は処理能力の高さが求められますが、なかにはかなり複雑な問題でも、式を書かずに解けてしまう子がいます。入試では答えが合っているかどうかはとても重要ですが、「なぜその答えが出たのか」、相手に伝える答案を意識することも大切です。

開成合格可能圏80%以上の子の併願校として、渋谷幕張、渋谷渋谷を挙げていますか、これらの学校は回答のみならず、途中式も得点に大きくつながります。そのため、どんな問題でも「途中式を書く」ことを意識して、解くようにしましょう。

「途中式を書く」習慣がある子というのは、たとえすぐに答えが導けないような難問が出ても、手を動かすことにより、いくつかの仮説を立てることができ、それが発見へとつながります。つまり、「途中式を書く」というのは、問題を解く助けをしているのです。

合格可能圏80%未満の子は、1月から徐々に気持ちをアップしていけるようなもって行き方がよいでしょう。1/10の栄東で入試のウォーミングアップをし、1/20の市川と1/21の東邦大東邦で落ち着いて問題を解く練習をします。1月受験で2勝1敗であれば好スタートを切れたことになります。気持ちがアップしたところで2/1に本番を迎え、万が一のセーフティネットとして2/2に本郷か広尾(医進)、2/3は再度気持ちを高めて海城か浅野といった第二志望校に挑みます。2/4以降は万が一の準備だけはしておきましょう。

【麻布第一志望の場合のおすすめ併願パターン】

〈合格可能圏80%以上の場合〉
1/20 市川 または1/21 東邦大東邦(前) →1/22 渋谷幕張 →2/1 麻布 →2/2 栄光 2/3 筑波大学駒場 または浅野 →2/5 攻玉社(特別)

〈合格可能圏80%未満の場合〉
1/18 栄東(東大選抜Ⅱ) → 1/22 渋谷幕張 →2/1 麻布 → 2/2 栄光 または本郷② →2/3 小石川・桜修館・両国高付・九段の公立中高一貫校 または浅野 または海城② →2/4 芝② または城北③ または世田谷③ →2/5 本郷③ または攻玉社(特別)

麻布合格者には、渋谷幕張が不合格だった子が多数いる

自由な校風に憧れる麻布志望の子は、優等生タイプの開成志望の子と違って、楽観的で失敗に対する免疫もあります。集中するときはものすごい力を発揮しますが、気持ちが乗らないときはテストの点も不安定になりがちです。そんなタイプの子には、少し負荷を与え、気持ちを引き締めさせたほうが効果的です。

1/18の栄東(東大選抜Ⅱ)や1/20の市川で面倒な問題でも焦らない練習をさせ、1/22の渋谷幕張で問題を厳密に読み、長い文を書く練習をさせます。実は麻生合格者には、渋谷幕張が不合格だった子がかなりいます。前受験で失敗を経験して、初めて本気になる子が少なからずいるのです。

2/2は合格可能圏80%以上の子は栄光、80%未満の子は本郷あたりがベストでしょう。塾ではあまりすすめませんが、2/3に公立の中高一貫校を受検する手もあります。麻布志望者であれば、公立中高一貫校の対策としても有効な長文読解や記述問題の練習を充分にやっていますから、少しの対策で大丈夫でしょう。合格可能圏80%以上の子は、筑波大駒場に挑戦してみましょう。それはちょっと危険という子は、浅野を受験し、確実に合格を手に入れておきます。2/4以降は万が一のときの"おさえ校"です。自由を好む麻布志望の子には、校則や学習指導などあまり厳しくない学校を選んだほうがよいでしょう。

【武蔵第一志望の場合のおすすめ併願パターン】

〈合格可能圏80%以上の場合〉
1/20 市川 →1/21 東邦大東邦(前) →2/1 武蔵 →2/2 渋谷渋谷② 2/3 小石川・桜修館・両国高付・九段の公立中高一貫校 →2/4 城北③

〈合格可能圏80%未満の場合〉
1/10 栄東(A) → 1/20 市川 →1/21 東邦大東邦(前) →2/1 武蔵 →2/2 城北② →2/3 武蔵高付・桜修館・両国高付・大泉高付・九段・三鷹の公立中高一貫校 →2/4 城北③ または世田谷③ →2/5 攻玉社(特別) または本郷③

武蔵を狙う子は、御三家には憧れているけれど、学力は開成や麻布を狙うには、ちょっと心配な子が多いようです。でも、そこを目指してまじめにたくさん勉強をしてきた子達です。

武蔵第一志望者は、小石川は狙わない方がいい

合格可能圏80%以上の子は、1/10の栄東を受ける必要はありませんが、1/20の市川、1/21の東邦大東邦は、それぞれ出題形式は異なりますが、問題のレベルに慣れるために受験します。合格可能圏80%未満の子は、1月の"お試し受験"で3校のうち2つは合格を勝ち取りたいところです。武蔵の入試対策をしてきた子であれば、2/3の公立中高一貫校も合格できる可能性は十分にあります。

ただし、武蔵合格圏80%以上の子が、麻布を狙う子と違うのは、小石川はややレベルが高く危険ということ。そこでここでは受験校リストから外しています。2/4以降は、万が一のときでも、大学受験で雪辱戦ができる城北、世田谷、攻玉社(特別)、本郷を選ぶ子が多いでしょう。

Point9 女子御三家のおすすめ併願パターン

次に女子御三家と言われる桜蔭、女子学院、雙葉のおすすめ併願パターンを紹介します。

【桜蔭第一志望の場合のおすすめ併願パターン】

〈合格可能圏80%以上の場合〉
1/21 東邦大東邦(前) →1/22 渋谷幕張 →2/1 桜蔭 →2/2 豊島岡女子 →2/3 豊島岡女子② →2/4 浦和明の星 ② または吉祥女子③

〈合格可能圏80%未満の場合〉
1/21 東邦大東邦(前) →1/22 渋谷幕張 →2/1 桜蔭 →2/2 豊島岡女子 →2/3 鴎友② →2/4 浦和明の星② または吉祥女子③

桜蔭志望の子は「理系に強い女子校」を併願校に選ぶ

桜蔭志望の子の中には、将来、医者を目指す子が多くいます。そのため、大学も理系への進学率が高いというのが特徴です。女子の最難関校といわれる学校ですが、1/22の渋谷幕張は侮れず、桜蔭は合格したのに渋谷幕張は不合格だったという子も多くいます。なぜなら、渋谷幕張の理科・社会の入試問題の内容や形式が、他校と大きく異なり、とても難しいからです。ですから、1/22の渋谷幕張は合否を気にせずにチャレンジしてみましょう。

合格可能圏80%以上の場合は、2/2と2/3は2日続けて豊島岡女子を、80%未満の場合は、2/3を鴎友にします。特に鴎友の国語は比較的、難易度の高い記述問題で、桜蔭の国語を解く前段階の訓練になりますから、入試対策にはもってのこいです。2/4の浦和明の星と吉祥女子は、万が一ダメだったときの"おさえ校"ですが、大学受験で有名大学の理系を十分に狙える学校です。桜蔭志望の子は、"理系に強い女子校"を併願校に選びます。

【女子学院第一志望の場合のおすすめ併願パターン】

〈合格可能圏80%以上の場合〉
1/18 栄東(東大選抜Ⅱ) →1/20 市川 →2/1 女子学院 →2/2 豊島岡女子 または渋谷渋谷②→2/3 豊島岡女子②  →2/4 豊島岡女子③ →2/5 広尾学園③

〈合格可能圏80%未満の場合〉
1/18 栄東(東大選抜Ⅱ) →1/20 市川 →2/1 女子学院 →2/2 吉祥女子② →2/3 豊島岡女子② →2/4 浦和明の星 ② または吉祥女子③ →2/5 広尾学園③ または洗足学園③

女子学院志望の子は記述が少ない学校を選ぶのが賢明

桜蔭同様、女子トップクラスの女子学院も、理系を目指す女子達が憧れる学校です。「偏差値は高いけれど、記述は苦手」というタイプの子がこの学校を目指します。よって、併願校も記述が少ない学校を選ぶのがポイントです。

桜蔭志望で合格可能圏80%未満の子は、2/3に鴎友を受験しますが、女子学院志望の子は、豊島岡女子を選択した方がよいでしょう。なぜなら、鴎友の国語は高度な記述問題で、抜き出しなどが中心となる女子学院の国語とは大きくかけ離れているからです。

女子学院志望で合格可能圏80%以上の子であれば、2/2~2/4の受験はすべて豊島岡女子に絞ってもよいでしょう。万が一、第一志望がダメでも、豊島岡女子なら大学受験で有名大学の理系を目指せます。合格可能圏80%未満の子は、2/2に吉祥女子を"おさえ校"とし、2/3の豊島岡女子でやや挑戦、2/4の浦和明の星、または吉祥女子で確実におさえます。これらの学校は理系にも強い学校なので、大学受験で屈辱を果たすことが可能です。

【雙葉第一志望の場合のおすすめ併願パターン】

〈合格可能圏80%以上の場合〉
1/10 栄東(A) →2/1 雙葉 →2/2 渋谷渋谷② →2/3 鴎友② または学習院女子(B) →2/5 広尾学園③

〈合格可能圏80%未満の場合〉
1/10 栄東(A) →2/1 雙葉 →2/2 普連土② →2/3 学習院女子(B) →2/5 広尾学園③

雙葉と学習院女子は併願の相性抜群!

雙葉を志望する家庭は、そのブランドと校風に憧れて受験をします。よって大学進学実績にはそこまでこだわりません。学力に自信がある子なら2/2に渋谷渋谷、2/3に鴎友、または学習院女子、安全を考えるなら2/2に普連土、2/3に学習院女子という選択がいいでしょう。普連土と学習院女子は「礼儀を重んじる」など、雙葉と校風がよく似ているので、併願校としては定番です。特に学習院女子の問題は記述が多く、雙葉と問題傾向も似ているので、対策がしやすいという利点があります。

第一志望さえ決まっていれば、早い段階で併願校も決められる

こうして見ていくと、星の数ほどあると思っていた国公私立中学も、入試傾向や日程を考慮して組み合わせていくと、意外と選択肢は少ないことがわかります。

各校の入試日は、例年2月1日に入試を実施しているプロテスタント校が、礼拝日である日曜日に当たってしまう年だけ別の日に移行する「サンデーショック」の年以外は、大きく変わることはありません。

また、各校の偏差値のアップダウンも、どんなに変化があっても最大2ポイントほどです。つまり、毎年、偏差値も入試日程も大きくは変わらないということです。そのため、第一志望さえ決まっていれば、早い段階から併願校が決まり、受験スケジュールが立てやすくなります。

この記事を書いた人
主任相談員 西村 則康主任相談員 西村 則康
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