サピックスのかしこい使い方 14のポイント 2023年版
こちらの記事は、SAPIXをお子様が使いこなすために重要なことを実績をもとに分析したものとなります。ぜひ最後までご覧ください。記事の末尾にサピックスをお子様が使いこなせているかチェックするスピード診断がありますので、ぜひご利用ください。
サピックス(SAPIX)とは?
サピックス(SAPIX)は、中学受験で高い合格実績を誇る進学教室です。
復習主義で、教材は原則当日配布。授業速度が速く、家庭学習量も多いことで有名。
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県に展開しています。
優秀なお子さんがどんどん伸びていくことができるという点で、非常にすばらしいカリキュラムを有しているのが特徴です。
授業毎に渡される教材を積み重ねると、1年分で身長を超えてしまうと言われているほど、受験生が触れる問題数の多さにも定評があります。
その一方で、やるべき問題の取捨選択をしなければ、宿題に追われるばかりで成績が上がらないというお子さんが多いのも特徴の一つ。
サピックスに通うお子さんが体験する3つのハードル①「莫大な宿題量」
学期を通して使用するテキストは存在せず、毎回デイリーサピックスとデイリーサポートという単元別の教材が配布されます。
さらに、それを補完する補助教材として、プリントや問題集を指定されることがあるため、宿題の量が莫大となってしまうのです。
もちろん、教材やカリキュラムは非常によく研究されているため、授業で取り扱った問題をその日のうちに復習し、その他の問題はその週のうちに消化、デイリーチェックという授業で行われる小テストで得点ができるようにする、という流れができあがっていれば、揺るぎのない実力がつくようになっています。
しかしながら、ほとんどの子にとって、この流れに乗ることは不可能に近いといえます。
ですから、全てをこなそうとするとほとんどのお子さんがつぶれてしまうことになります。
特に、6年生で配布されるプリントの量は尋常ではありませんから、全てをこなすことはほぼ不可能です。
この、ハイレベルで膨大な宿題を無理矢理こなそうとして、しっかり読まなくなったり、じっくり考えることが出来なくなったりしがちです。
また、式を書く時間さえも節約しようというような、追い詰められた気持ちになってしまうお子様が多いのです。
実は、これがミス多発の原因です。
サピックスに通うお子さんが体験する3つのハードル②「ハイレベル・ハイスピードの授業」
麻布のような、もともと賢い子が合格すると言われている(もう少し穏やかな言い方にすると「努力よりは能力の差が大きく出る入試問題」)中学校に、毎年100名以上もの合格者を輩出しています。
しかも、10名以上の合格者を輩出する教室もあります。
このことから考えると、アルファクラスには大人に近い感覚を身につけた、賢い子がひしめいていると考えて間違いありません。
また、授業中にデイリーチェックという小テストが実施され、授業も解説以上に問題演習が多いため、実質の授業時間はそれほど長くありません。
ですから必然的に、授業はハイレベル・ハイスピードになっていきます。
そのため、一度でも欠席してしまうと、取り戻すことが困難となります。
上位クラスも下位クラスもほぼ同じ学習内容となっているため、下位クラスの子にとっては、相当厳しい内容となっています。
サピックスに通うお子さんが体験する3つのハードル③「頻繁なクラス替え」
1~2か月に1度の定期的なマンスリーテスト・組分けテストの結果で、クラス替えが行われます。
1クラスあたりの人数が15名前後と少数であることに加えて、ターミナル駅前にのみ教室が設置されているので、小規模な校舎でも1学年につき5~6クラス、自由が丘校などの大規模校舎ならば1学年につき20クラス以上あります。
大手進学塾のなかでは、最も頻繁にクラス替えが行われるため、成績が安定しないとクラスの昇降に振り回されることになります。
例えば、クラス変更によって講師が変わったために、教え方や雰囲気に慣れるのに時間がかかるというような問題が発生します。
また6年生の土曜特訓やSS特訓などでは、学力によって志望校別コースが決まるために、5年生終了時のクラスができる限り上位(志望校のコースに入ることができるクラスに在籍すること)である必要があります。
サピックス3つのハードルの対策
サピックスの教材や宿題は、最もよくできる子にあわせて作られていると考えてください。
アルファの上位クラス生であっても、全てをこなせる子はそうそういないはずです。
ですから、全てをやる必要は絶対にありません。
問題を取捨選択して、やらせてください。
取捨選択といっても、非常に難しいでしょうから、方針を以下のようにしてみましょう。
- 1.授業で取り扱われた問題とその類題(テキスト中に豊富に用意されています)が確実にできるようにしましょう
- 2.デイリーチェックで間違った問題の類題を、テキストに戻って復習する時間を確保してください
- 3.マンスリーで間違った問題のうち、正答率が高い順に、類題をテキストに戻って復習する時間を確保してください
上記の流れを作って、苦手な単元・問題を把握し、完全にできるようにすることが大切です。
特に、わかることと解けることは違うのだということをしっかりと認識しておきましょう。
授業を聞いた直後はわかったつもりになっていても、自分でやらせてみると解けないということが大いにあります。
まずは、授業が少しでも頭の中に残っているその日のうちに、授業で取り扱った問題だけでいいですから、解き直しをさせるようにしてください。
その時に、簡単に解けた問題と苦労して解いた問題を区別しておくことが大切です。
そして、授業の2~3日後(例えば、火曜日に授業があったとすれば水~金曜日)に、授業のときに苦労して解いた問題の類題を解かせるようにすると定着度が向上します。
家庭での目標は、『授業で説明を聞いてわかった問題を、自力でできるようにすること』です。
方針なく、大量の問題を片っ端から解かせるというやり方では、結果は望めません。
まずは、確実にベースとなる力を育てていきましょう。
サピックスの対策方法「アルファクラスの方」
1.不得意をなくすことに全力を注いでください。
特に、成績が激しく上下動する科目があれば要注意です。
受験に合格することは第一目標ですが、サピックスという塾での最終目標はズバリ、6年生の9月から始まるSS(サンデーサピックス)の志望校別特訓で希望するコースに入ることができるかどうかです。
入試での合格実績を上げたいのですから、塾としては当然総合力の高い子を選抜したいと考えています。
そのため、科目バランスが悪い子はふるいにかけられてしまうことが多いのです。
得意教科を伸ばそうといわれるのは、成績下位の生徒の話です。 上位生で、科目バランスが悪い場合は、科目バランスの修正に力を注ぎましょう。
2.できている問題を何度も繰り返し練習させないで下さい。
宿題で大切なことは、できていないことは何かを見極めることです。
できていないことを見極めるというのは、答えが間違っているかいないかをみることではなく、どこを間違ったのかを自分で見つけられるようにするということです。
間違った問題をはじめから解き直しをさせるのは、もってのほかです。 図や式を書くのは、どこを間違ったのかを発見させるためと考えてください。
この習慣をつけることで確実にミスは減っていきますし、宿題をこなすスピードも徐々に向上していきます。
3.春休みや夏休み等の長期の休みにまとめて弱点補強しようと考えないで下さい。
このことは、やらなければならない内容が莫大となる6年生の方には、ぜひ知っておいていただきたいことです。
6年生になると夏期講習で18日、さらに夏期集中志望校錬成特訓で5日、合計23日の講習を受講することになります。
講習会中は長時間の授業を受けるわけですから、必然的にやらなければならないことも増えることになります。
小6生の場合は、志望校別対策が中心になりますから非常にレベルの高い授業となっています。
やらなければならないことが質・量ともに増えるわけですから、長期の休みといっても、それほど時間的な余裕が持てるわけではありません。
積み残したものを一気にこなすことはできないというのが現状です。
9月になると、思うように計画が進まなかったというご相談が多くなるのはこのためです。 週に一日は、積み残しを解消する日を計画的に設けてください。
そうすることで、長期の休みには本当に必要なことだけを復習できるようになります。
サピックスの対策方法「アルファクラス以外の方」
1.得意教科を作りましょう。
まずはお子さんの得意教科を作ることで、
『やればできる』⇒『できると楽しい』
と感じられるようにすることで、モチベーションを高く保てる状態を作っていきましょう。
比較的できると思う教科、好きな教科があるなら、まずその教科の成績を伸ばすことに全力を注いでいただきたいと思います。
サピックスに通われるお子さんで、成績がなかなか上がらないと悩まれている場合、お子さんの能力の問題で成績が上がらないのではなく、気持ちが切れてしまったり、「何とかできそう」という実感を持てないことが、成績アップを阻害している事がほんとうに多いのです。
ですから、まずは「できる」と感じさせてあげること、やる気が続くようにすることが大きな課題です。
例えばデイリーサピックスの中で
「自分でできた」
問題の類題から先にあたらせてみます。
そうすることで「できる」実感をもたせることができるようなります。
算数や国語でなくても、社会や理科からでもかまいせん。
とにかく早急に得意教科を作ることが重要になります。
2.塾に行くのが楽しいは要注意
成績はなかなか伸びないのに、なぜか「塾に行くのが大好き!」というお子さんは多いものです。
特に、サピックスのように講師がお子さんたちを率いていく個性が出やすい塾では、このような現象が多く起きます。
講師はクラスの雰囲気を盛り上げるために、あの手この手で取り組みます。
一斉型の授業では、「授業が楽しい」ことが前向きな雰囲気を作る上で最も重要な要素となるからです。
ですが、成績の伸びないお子さんの多くは、授業を一種のエンターテイメントとして認識してしまう場合が多いのです。
これに加えて、優秀児を多く擁するサピックスに通っている、というプライドも醸成されてきます。
プライドを持つというのはすばらしいことなのですが、お子さんの中にはそのことだけに満足してしまっている場合、つまりサピックスに通っているからそれで満足してしまうといったこともあるようです。
成績を上げていくことは、「授業が楽しい」だけではなかなか難しいものです。
今お子さんにとって必要な学習が何かを具体的に明らかにしていくようにしましょう。
3.まずはマンスリー
マンスリーは出題範囲が1ヶ月間の学習内容ですので、比較的得点しやすいといえます。
そのために、デイリーチェックで間違った問題の類題を、デイリーサピックスに戻って自分でできるようになるまで練習するようにしましょう。
またマンスリーの解答は、途中の解説が省略されていることが多いので、お子さんが自分で解答・解説を見ても理解できないと考えておいたほうが無難です。
省略されている部分を補いながら、説明をしてあげるようにしましょう。
時間がかかるかもしれませんが、とにかく自分でできるようになるまで、じっくりと取り組んでいくようにします。
マンスリーで得点できるようになれば、学力の基盤が固まってきた証拠です。
3ヶ月ほどで徐々に実力がついていきます。
気になることがあっても手を広げてあれこれやろうとせずに、まずは目の前のマンスリーに集中してみましょう。
サピックスをかしこく使って合格を目指す「慶応普通部」編
サピックス 慶応普通部「算数」対策
サピックスは難関校向けの塾ですから、学習する内容も難しめの問題が多くなっています。
慶應普通部に向けては平常授業の「デイリーサポート」でB、C程度の問題、高得点を狙うならDまでの内容を確実に身につけましょう。
難しい問題に気をとられてあれもこれもとやろうとすると、B、Cレベルですらあやふやなままになってしまうので注意が必要です。
慶應普通部を第一志望とする人は、まずはB、Cレベルの問題を確実にすることを重視しましょう。
サピックス 慶応普通部「国語」対策
サピックス生で慶應普通部を目指す場合、国語の平常授業の2つのテキストは少し使いづらいものがあります。
Bテキストのように記述問題の訓練を特にする必要はありませんが、Aテキストで十分かというとそうでもありません。
慶應普通部を志望校とするなら、Aテキストの文章内容は精読しましょう。
ただ漫然と読むのではなく問題意識を持って読むようになれば効果が出てきます。
サピックスのテキストは、論説文、物語文、随筆文のうち、物語文に重点が置かれていますが、慶應普通部は、論説文、随筆文も出題されるので、これら2つの読み取り精度の向上が課題になる受験生が多いです。
サピックス 慶応普通部「理科」対策
デイリーサピックスでは、星2つまでの問題を確実に理解する事が大切です。
解くときには、1回目で正解できるように慎重に解いてください。
暗記に関しては、サピックスのものだけでなく、図などが豊富な市販教材(ズバピタなど)や予習シリーズの小4(上)(下)で補充しておきましょう。
マンスリーや組分けテストの間違い直しは、正答率40%以上の問題だけに限定して大丈夫です。
サピックス 慶応普通部「社会」対策
サピックスで慶應普通部を目指すなら、平常授業のテキストを隅から隅まで読み通して確認問題を2回くらい繰り返すことが必要です。
慶應普通部は、知識の有無を記号選択によって問う問題が多いので、ふつうの学習方法を徹底することが大切です。
その知識は、例えば広島市であれば「世界文化遺産があり、近くではかきの養殖と自動車工業が盛んな広島市」、というように広島市を多面的な情報を結びつけて学んだものが望ましいです。
知識を有機的に関連させて理解し、記憶する事を意識して授業に臨みましょう。
語句をばらばらに暗記するのではなく、他の事項と関連させて覚えるのです。
夏ごろ購入する最新年度の中学入試問題集をうまく活用し、記号選択問題だけを「つまみ食い」して演習するのも効果的です。
サピックスをかしこく使って合格を目指す「栄光学園中」編
サピックス 栄光学園中「算数」対策
栄光学園合格にはかなりの実力を要しますが、サピックスのテストの成績とは必ずしも一致しません。
サピックスのテストのマンスリーテストなどの問題と、栄光学園の入試問題の傾向が違うからです。
志望校判定サピックスオープンのBタイプ、学校別サピックスオープンの栄光学園の問題は傾向が一致しているので、普段のテストで偏差値が届かなくても、これらのテストで結果が出ていれば、合格する可能性はあります。
サピックス 栄光学園中「国語」対策
平常授業のBテキストは、数ある塾のテキストの中でも、栄光学園の出題傾向にマッチしたものです。
SS特訓から栄光学園の記述対策が始まるのではなく、Bテキストを十分に消化していれば合格にかなり近づくといっていいでしょう。
Bテキストでは、物語文に比べて論理的文章の分量がやや少ない印象を受けること、論理的文章のジャンルで栄光学園でよく出題される自然科学系の文章が少ないことは注意を要する点です。
夏ごろ購入する最新年度の中学入試問題集の中から、自然科学に関する文章の問題を偏差値に関係なくピックアップして演習するのが効果的です。
記号選択問題が多い入試問題でも構いません。選択問題を、記述問題として解くことも栄光学園のよい対策となります。
サピックス 栄光学園中「理科」対策
他塾に比べて、テスト(マンスリーや組分けテスト)の問題が難しい分、栄光学園受験には有利だといえます。
これらのテストの間違い直しを徹底してやりましょう。
正答率10%以下の問題を除き、正解したら終わりではなく、なぜそうなるのかを自分で説明できるよう練習しましょう。
デイリーサピックスの星3つの問題は、宿題でなくても解いておくとよいでしょう。
自力で解けないときは、解説を読み込んでください。
平常のクラスは、αクラスが望ましいです。
授業中の解説が、御三家受験者向けに論理的であったり、場合によっては中学の知識も聞けることがあるからです。
サピックス 栄光学園中「社会」対策
サピックスで栄光学園を目指すなら、社会の記述訓練に早目に着手するとよいでしょう。
平常授業のテキストやテストなどでは、記述問題があまり出題されないので、後手に回る危険性があります。
ある事がらの背景はどのようなものか、その原因は何で、それはどんな結果になったのか、それは何の目的でできたのか、などの観点から文章を読む訓練が効果的です。
栄光学園は1つの大きなテーマを巡って総合問題のかたちで出題するので、このような出題傾向に沿った問題もやる必要があります。
夏ごろに購入する最新年度の中学入試問題集から、似た傾向の問題をピックアップして演習すると効果的です。
サピックスをかしこく使って合格を目指す「駒東」編
サピックス 駒場東邦中「算数」対策
サピックスでは6年生前半までデイリーサポートを中心に学習を進めます。
デイリーサポートのA、B問題は確実に解ける事が必要です。
C以上のレベルを駒東レベルの目安として学習し、解けなかったところをしっかりと復習して考え方の流れを理解しておきましょう。
後期からはSS特訓を中心に学習を進めます。
駒東の過去問や傾向の似ている他校の問題が集まっていますので、ここで駒東の傾向に慣れておきましょう。
SS特訓では、正解することだけに満足せず、考えかたの流れを自分で説明できるようにしておきましょう。
サピックス 駒場東邦中「国語」対策
サピックスのBテキストには、物語文の記述問題が多数含まれます。
これを上手に利用して学習しましょう。
サピックスの授業では、全ての問題を取り扱うのではない点がデメリットです。
記述問題の正解を見ながら「なぜこのような解答になるのか」「どういう心情表現が必要か」「どのような骨組みで解答するのか」を自分で確認することを心がけましょう。
SS特訓は、駒場東邦中志望者にとって最も大切な授業です。
復習を徹底するようにしましょう。
駒場東邦中に説明的文章が出題されませんが、その分野の記述問題を解くことも必要です。
記述問題への答え方の大きな枠組み自体は、文章のジャンルを問わず同じだからです。
サピックス 駒場東邦中「理科」対策
平常授業のデイリーサピックスは、授業中に全問は解きません。
授業で解いた残りの問題を解くことが宿題になるのですが、問題を解くだけではなく、テキスト前半の説明をしっかりと読んで覚えてから問題を解くようにしましょう。
日曜日のSS特訓は必須です。
SS特訓の教材は、理科的な思考力が必要な問題を、駒東の過去問と全国の中学校の入試問題からピックアップしてきたプリント教材です。
難問も含まれていますが、このような問題に慣れていくことが必要です。
サピックス 駒場東邦中「社会」対策
駒場東邦中を志望するサピックス生は、平常授業のテキストを隅から隅まで読み通すことが基本です。
駒場東邦中の問題は、サピックスの平常テキストだけでは対応できません。
SS特訓の授業とテキストが最重要です。
テレビ、新聞、小学生向けの雑誌などで、国際社会や日本社会の様子に少しでも触れる必要もあります。
夏期講習前に購入する最新年度の入試問題集から記述問題を選んで学習することが、駒場東邦中合格への近道になります。
SS特訓は最重要ですが、SS特訓授業だけに頼るのではなく、幅広い学習を心がけることが大切です。
サピックスをかしこく使って合格を目指す「女子学院中」編
サピックス 女子学院中「算数」対策
サピックスで行われるマンスリーテストも使用している算数のテキストも、女子学院の入試問題に十分に対応しています。
女子学院の算数は質・量ともに高度ですから、安定した力がある子ども達のみが合格します。サピックスに通っているとはいえ、秋には成績が安定していることが望ましいでしょう。
サピックスの教材はレベルが高く、問題量も多いので、時間を意識しながら向き合わなければなりません。この点で、処理力とスピードが要求される女子学院の算数への対応力を鍛えるのに適していると言えるでしょう。
サピックスの教材すべてを自力で解こうと思わず、授業後の「質問教室」を活用するなど、講師の力なども上手に利用しながら効率よく学習を進めてください。
サピックス 女子学院中「国語」対策
サピックス生の女子学院向けの国語対策には、注意が必要です。
Bテキストは難関校向けですが、近年記述形式の出題が増えてきているとはいえ、女子学院の国語問題とBテキストの出題形式は完全には一致しません。
ただし、問題を精読する練習には適していますので、Bテキストの使い方また授業の受け方を女子学院向けにすることが大切です。
具体的には、短時間(試験時間40分)で大量の問題を処理しなければならない女子学院の国語の合わせ、素材文を一度読んだら、あとは何度も素材文に戻って読み直さなくていいように内容の記憶を心がける、1問あたりの演習時間に制限を設ける、などとなります。
精読に精読を積み重ねる姿勢で、問題処理のスピードを上げる練習を重ねましょう。
サピックス 女子学院中「理科」対策
理科の出題範囲を、知識単元と計算単元に分けると、女子学院はやや知識単元の配点が大きいといえます。
確実な漏れのない暗記を心がけてください。
αクラスでなければ女子学院に合格できないというわけではありません。
アルファベットクラスの上位でも、ふだんの学習を丁寧に行っていれば大丈夫です。
小4生のうちから、理科のデイリーサピックスを丁寧に学習することを心がけましょう。
問題を解くだけではなく、前半の説明部分を隅から隅まで読み込んで理解し、覚えて、そして最後に問題を解くという学習方法が大切です。
女子学院の理科計算はそれほど難しくありません。
力学や化学の計算はデイリーサピックスの星2つまでを中心に学習し、星3つの問題に時間をかけ過ぎないようにしてください。
SS特訓は必須です。ここで、知識をまとめ直すとともに、知識を正確に引き出してくる練習を重ねてください。
超難問の出題はない学校ですが、テーマは化学分野で「食酢」、物理分野で「ソーラーカー」、地学分野で「国際宇宙ステーション」など、目新しいものが取り上げられる傾向があります。
これらへの対応力も、SS特訓の教材を活用して身につけていくようにしましょう。
サピックス 女子学院中「社会」対策
サピックス生で女子学院志望者は、必要な知識を丸暗記するのではなく、テキストを精読して理解しながら暗記することが必要です。
女子学院の出題は、知識重視型でありますが、知識の背景、因果関係などを問う問題、時事的な問題を出題するからです。
デイリーのテキストだけでは、女子学院合格に必要な知識量にやや不足します。
足りない分はSS特訓や新聞、テレビの報道番組などを活用して、知識に厚みをつけていきましょう。
サピックスをかしこく使って合格を目指す「桜蔭中」編
サピックス 桜蔭中「算数」対策
桜蔭中の問題は難度が高めであるとはいえ、サピックスは元々難関校を対象とした塾であるため、きちんとカリキュラムの内容を習得すれば合格に必要な力はつきます。
桜蔭中志望者なら、サピックスの平常授業で使われるデイリーサポートでD、Eレベルの問題(少なくともDまで)を確実にすることが必要です。
このレベルの問題をきちんと扱うのはαクラスとその下のクラスぐらいまでなので、αクラスをキープし続ける成績が望ましいです。
とはいえ、解法の丸暗記だけで乗り切っていると、いずれ成績が下がります。
マンスリー、組分けテストで急激に成績が落ちる場合には暗記に依存している可能性が高いと言えるので注意が必要です。
SS特訓では桜蔭クラスが必須です。
この時期になると、女子向けのクラスで桜蔭レベルの問題を扱うのは、このクラスしかないからです。ただし、テキストには入試で出されてもほとんどの人が解けないレベルの問題も混じっています。
桜蔭中ではそのような問題出題される可能性があるので、取り組んでみるという姿勢は重要ですが、全部できないからといってそれを気にしすぎないようにしましょう。
サピックス 桜蔭中「国語」対策
デイリーではB授業での記述対策がメインということになりますが、サピックステキストの問題よりも、桜蔭の文章素材のレベルが数段高いので、SS特訓が始まるまでは、自分で高度な論説文や随筆などを読むことを心がけましょう。
有効な素材は新聞の社説、筑摩書房などから刊行されている中学生向けの文章読本などです。
サピックスオープンや組分けテストなどでは、テスト返却後に選択問題を記述問題として、自分で文章として答えられるかどうか解き直してみるなど、手を動かして記述練習を心がけることが大切です。
自分の力で文章を作り上げる力も、これらの努力で育てていくことができるでしょう。
サピックス 桜蔭中「理科」対策
サピックスの教材であるデイリーサピックスは、桜蔭受験者にとって過不足のないテキストです。
小6の1学期までは、毎週このテキストの説明を隅から隅まで読み、星2つの問題までを丁寧に解いていくことが大切です。
SS特訓は、桜蔭コースが必須です。
ここで使われるテキストは桜蔭レベルとそれ以上のものが中心です。
相当レベルが高いものも入っていますから、一部取捨選択が必要ですが、よくできたテキストです。
また、一問あたりの演習時間は短めに設定されていますから、桜蔭の「多量の問題をスピーディーに解く」という訓練にもなります。
桜蔭の合否は、マンスリーや組分けテスト、志望校判定サピックスオープンの結果との誤差が少ないのが特徴です。
知識の精度や思考の正確さという、普段の学習姿勢によって得られる能力を見る問題だからです。普段の試験の成績変動を少なくする学習が必須と言えます。
サピックス 桜蔭中「社会」対策
サピックスでいうと、デイリーサピックスとウィークリーサピックスの内容を網羅しておけば、7割~8割の得点が見込めます。
SS特訓の桜蔭コースのプリントはレベルが高く大変ですが、これを含めると9割、残りの1割が時事問題や細かい(おもに地理の)問題です。
デイリーサピックスに載っているコラム「もっと知りたい」に目を通す習慣をつけるのがよいでしょう。
サピックスをかしこく使って合格を目指す「早稲田中」編
サピックス 早稲田中「算数」対策
サピックスは、多くの俊英たちが集まり、最難関校受験に対応できる算数教材を使って刺激のある授業が行われています。
考える力を養うことは早稲田中受験にはもちろん大切です。
しかし、サピックスの教材と宿題をすべてやり遂げようとすると逆効果です。
マンスリーテストで間違った問題の解き直しを、別にノートを作ってやってみて下さい。
オーソドックスな算数の問題を、難度の高いものまで確実に解けるようにしていくのが合格への近道です。
図形を中心に、解法知識に「穴」がない状態を目指しましょう。
サピックス 早稲田中「国語」対策
サピックスの平常授業のAテキストだけでは、早稲田中の国語に必要とされる読み取り精度を目指す練習ができません。
一方で、早稲田中の出題傾向はBテキストのような記述中心型でもありませんので、やや使い勝手が良くないのです。
SS特訓を十分に活用することはもちろんのこと、自分で学習するには、早稲田中の類題校演習がお勧めです。
慶應普通部や桐朋も読み取り精度を試す問題が多くあるので、活用しましょう。
なお、語句の意味用法を試す問題の対策には、市販されている薄い問題集を一冊仕上げると自信がつきます。
サピックス 早稲田中「理科」対策
サピックスでは、デイリーの星2つまでの問題を、もれなく速く解ける練習が必要です。
解答が出て終わりではなく、その回答に至るまでの道筋を、解説などでたどり、間違った問題に関しては自分で最後まで解きなおす、というオーソドックスな受験勉強が合格への近道です。
後期のSS特訓はもちろん過去問と類題校の問題が中心ですが、早稲田中の過去問が早稲田中対策の最善の教科書です。
サピックス 早稲田中「社会」対策
サピックス生が早稲田中学校を目指すなら、平常授業のテキストの完全消化が目標です。
テキストの授業の確認問題<基礎編>の問題正答率は90%以上、<発展編><実戦編>の問題でも80%以上の正答率を維持できるように毎日の学習を進めましょう。
早稲田中を志望するなら、むやみやたらに難問にチャレンジする必要はないので、学習量と学習の質に気をつけましょう。
時事問題絡みや国際関係に関する出題に早目に対応する学習スケジュールを組むと、SS特訓授業の効果が強く出ます。
追い込み期に、国際関係のような中学受験生が苦手とする分野を集中的に学習するのは、避けたほうがよいでしょう。
サピックスをかしこく使って合格を目指す「麻布中」編
サピックス 麻布中「算数」対策
サピックスから麻布中へは毎年多くの合格者が出ていますが、αクラス以外からも合格者は出ています。
とはいえ、後期のSS特訓で麻布中コースを受講するためには一定の成績が必要ですから、通常の授業を軽視しないようにしましょう。
6年生前期までに基本的・定型的な問題の解法はもれなく身につけておくべきです。
後期はSS特訓を軸に学習を進めていきましょう。
ここで麻布中の傾向を踏まえた問題をじっくり学習することになります。
注意しなければならないのは、サピックスに限らず、大手進学塾の授業では1問1問を解くために与えられる時間は短めに設定されているということです。
そのために、じっくりと考えて解く練習としてはよい問題であっても、ともすれば 「解法を覚えて速く解かなければならない」と錯覚しがちです。復習段階でとにかく解法を覚えることに終始せず、自分の力で考える練習をする必要があります。
まずはSS特訓の復習をじっくり行いきちんと理解することを最優先に、それ以外については無理に全部やろうとはせずにできる範囲で行っていきましょう。
サピックス 麻布中「国語」対策
御三家をターゲットにした塾であることを考えると、サピックスの平常授業を完璧に理解することが合否の鍵となります。
特に、他塾に比べて圧倒的に記述対策が豊富なBテキストは、麻布中を目指すお子さんには心強い存在と言えるでしょう。
一方で、志望校別のSS特訓は有意義ですが、それまでの蓄積が少ない場合は効果が薄いです。つまり、ふだんから平常授業のBテキストをきちんと復習するのが効果的なのです。
これが、麻布対策に着手する前の準備になります。
授業でふれられなかった記述問題の残りは、できるだけ自分で書いておくようにします。
1回の復習で最低200字は書くようにしましょう。
サピックス 麻布中「理科」対策
平常授業のテキスト「デイリーサピックス」はよくできたテキストです。
前半の説明が充実しているからです。
ところがサピックスでは、問題演習の時間を確保するために、デイリーサピックスの説明部分をじっくり読む時間は授業中にはあまりありません。
授業後、家に持ち帰ってからじっくりと隅から隅まで読むことが大切です。
また、前半の確認問題は麻布タイプの問題でないので、後半の発展問題に十分な時間をかけて、「しっかり読む」「出題者の意図をしっかり考える」という学習をしましょう。
平常授業のクラスはαが望ましいですが、αでない場合でも、その2つ下までには入っていてください。
小6のSS特訓では麻布コースに入っている必要があります。
麻布のコースでは、”これでもか!”というほどに麻布タイプの問題を演習することになります。
相当難解な問題も入っていますから、問題の取捨選択が大切になります。
麻布では、単純な知識を問う出題は非常に少ないのですが、わずかに出題はあります。
併願校の受験対策の意味でも、基礎知識は疎かにはできません。
サピックス 麻布中「社会」対策
サピックス平常授業のテキスト構成に対して、麻布の入試傾向があまりにも特殊なので、まず平常授業で語句の意味など基本的な知識を十分につけた上で、土曜特訓やSS特訓の講座を受講するのが有益です。
夏ごろから購入する最新年度の中学入試問題集も、問題を演習するのではなく、問題文を読むことが麻布の社会対策になります。
記号選択問題を記述で答えてみるなど、「麻布風」にアレンジして解くのも効果的です。
サピックスをかしこく使って合格を目指す「開成中」編
サピックス 開成中「算数」対策
多くの塾で「開成」を冠するコースが設定されており、上記の傾向を踏まえた問題を中心に演習が行われています。
このコースに入れないと合格は厳しくなるので、6年生の前半まではこのコースに入れるようにすることが最低限のラインです。
難関校SS特訓(6年生後期~)に開成向けのコースが設定されています。
開成中の過去問とともに同様の傾向をもった他校の入試問題も学習するので、これを軸として学習するとよいでしょう。
過去に出された超難問も含まれており、全体的に近年の開成中の入試問題より難易度は高いので、できないからといって悲観する必要はありません。
毎回の授業の内容を、解法の丸暗記ではなく1つ1つきちんと理解するという姿勢を維持しながら身につけていくことが大切です。
サピックス 開成中「国語」対策
記述式の回答のみという開成中の入試傾向に対応するサピックスの授業は、平常授業のBテキストです。
6年生前期までは、授業で取り扱われなかった問題も、復習としてできるだけ学習した方が開成中対策として効果的です。
6年生後期には、SS特訓の授業内容の消化を最優先にした学習を行いつつ、多種多様な文章に読み慣れる時間を少しでも作ることです。
サピックスの開成中受験者は、理系科目先行型の学習をしていることが多く、それがサピックスの特長である一方、弱点でもあります。
開成中に合格したいなら、国語も大切に学習する姿勢が必要です。
上記のように記述式回答のみの開成中の国語に応型する学習を6年生前期までにしっかり行っていないと、算数の学力を活かせなくなってしまうかもしれません。
近年は字数制限がある形の出題が多かったものの、2023年には字数制限なしの形式に戻りました。解答欄の大きさに合わせ、字数を考慮しながら記述回答を組み立てる練習が必須です。
9月以降に開成中の入試問題を見て驚くのでは遅すぎます。早い段階から開成中の出題傾向を意識した学習を取り入れることが、最大のポイントとなります。
サピックス 開成中「理科」対策
開成中に合格するためには、まず普段のクラスがαであることが必要です。
サピックスから開成中には、定員の50%以上合格していますが、そのほとんど全員がαクラスの生徒達です。
また、SS特訓(サンデーサピックス)では、開成コースに所属していることも大切なことです。
普段の授業で使うデイリーサピックスは、授業中に扱う問題や宿題に出される問題がクラスによって大きく異なります。
αクラスや開成中コースでは、特に計算単元においては、開成中に合格するための必要十分な質と量を扱います。
他のクラスやコースでは、この計算単元の質と量が不足してしまいます。
一方、一つ落とし穴があります。
α+開成コースの場合、宿題として与えられる問題の量が過剰になりがちです。
開成中の問題の特徴である「実験や観察」の問題では、じっくりと一語一句を大切に読んでいくことが必要なのですが、出された宿題を闇雲に解くことで、この「じっくりと読んで題意を正確に把握する」という学習姿勢を無くしてしまうお子さんが多いのです。
開成中の理科の入試は、合会社平均点が9割、受験者平均点が8割を超えることも多く、非常に高得点勝負になります。「速く仕上げてある程度の得点を確保すれば合格できる」というスタイルの勉強では、合格点にはとてもおぼつきません。
課題を全部やりきることを目標とはせずに、半分ぐらいこなせなくても良いですから、一つ一つを確実に理解していくことを第1の目標にやっていく必要があります。
サピックス 開成中「社会」対策
学習のしかたは、平常授業のテキストを隅から隅まで読み通すのが基本です。
サピックスのテキストを利用した、授業の確認問題は簡単なので9割の出来で当然という意識を持ちましょう。
夏期講習前には、最新年度の入試問題集に着手しましょう。
志望校別SS特訓授業だけに頼らず、幅広い学習、早めの学習を心がけることがポイント。
特に、SS特訓授業のレベルは高度であり、この授業についていくだけの学力を蓄えることがサピックスの開成中志望者の資格、といっても言い過ぎではありません。
理科同様、開成中の社会の入試においては8割、9割の得点率が「当たり前」という年度が多く、より正確に得点を積み上げられる学習を心がけることが非常に重要になります。
とくに首都圏では「難関校に行きたいのならサピックス」と言われるほど、難関校に特化したカリキュラム、テキストを完成させているのがサピックスです。その分、活用にも工夫が必要になります。
ぜひお子さんの志望校に合わせて上手に活用し、合格を勝ち取っていただければと思います。
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