中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

コロナが変えた「5年生の中学受験の今」を徹底分析

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公開: 最終更新日:2021年08月10日

こんにちは。
中学受験情報局主任相談員の西村則康です。

夏休みが終わり、塾と学校に通う日々が戻ってきて、早いもので1ヶ月がたちました。

本年度の中学受験はコロナにより非常に不規則なものとなっておりますが、
塾と学校が再開したことで、お子さんの生活リズムがまた変わってしまい、大変な毎日を過ごしているとたくさんのご相談が届いております。

ご相談内容を拝見していて、実は今私が心配しているのが5年生です。
本年度は6年生も特に大変ですが、実は5年生もコロナによって、後々の成績に響く大きな影響を受けているのです。

簡単にまとめますと…

コロナによる5年生の中学受験への影響

■ 塾の先生は受験が近い6年生の対応を優先
■ 休講中に比・割合・速さなど最も大切な単元が集中している
■ 「読書量」をはじめ、塾の休講での圧倒的な反復練習不足
■ 学校見学など受験のモチベーションが高まるイベントの中止

といった背景があり、まだ見えていない大きな影響が今後5年生に出てくると見ております。

ただし、今からしっかり対策をできれば、お子さんの成績を確実に伸ばしていけるため、このピンチをぜひチャンスへと変えていただきたいと思っています。

そこでコロナの影響がどの程度5年生に出ているのかを調べるために、先日中学受験情報局でもメール相談を募集してみました。

予想を超えた大多数の反応を頂いており、現在の私の担当しているお子さんの状況とメール相談、そしてオンラインセミナーにご訪問いただいている親御さんからのご相談から見えてきたことを、こちらの記事にまとめました。

もちろん5年生に限った話ではなく、4年生以下にも影響が出てくることご説明しておりますので、ぜひ、ご参考ください。

1. 本当にコロナによってお子さんの成績は下がったのか?

私の体感ですが、コロナ前と比較して、お子さんの成績が伸びたというご家庭が全体の3〜4割程度とみています。

これは全学年に共通して言えることです。

この数字を見て私自身驚いているのですが、コロナによる休講でお子さんの成績がプラスに転じたというご家庭は決して少なくありません。

その一方で…
「偏差値が10以上下がった」「塾のクラスが2クラスダウンした」といったように大幅にお子さんの成績が下がったというご家庭も少なくはありません。

結局のところ一概には、コロナによってお子さん成績が下がったとも、成績が上がったとも、一概には言えないというのが現状です。

ですが、「コロナ休講で成績が上がった」というご家庭からも、塾と学校が再開した今、安定して成績を伸ばしていくことができないのでは?また成績が下がり始めるのでは?というご不安の声も頂いております。

そこで、「コロナで成績がアップしたご家庭」と、「コロナで成績がダウンしたご家庭」の2パターンにわけて、今後飛躍的に成績を上げていくためのポイントを下記にまとめてみました。

2. コロナを通して見る ご家庭別 成績アップのポイント

2.1.1コロナで成績がアップしたご家庭の場合

コロナによる休講を経て成績がアップした、お子さんの学習がうまくいくようになったというご家庭に共通していることが1つあります。

それは「塾に通っているときより、余裕を持って学習ができた」ということです。

実際に成績が好転した理由として、親御さんからよく挙げられているのは下記になります。

コロナで成績が好転した家庭に共通している理由

■ お子さんが「わかっていないこと」に学習を絞って行った
■ オンライン授業でわからないところを繰り返し見た
■ 通塾しない分、学習時間を増やすことができた
■ 塾の宿題に追われなくなり、学習が非常に楽になった
■ 通塾の負担が減って、お子さんの体力に余裕が出た

その中でもするどい親御さんは上記の理由から、「そもそも成績が上がらなかった原因」まで特定できている方も多いようです。

コロナを経て成績がアップしたご家庭に共通して言えることが1つあります。
それは、「元々塾の授業と課題に忙殺されて、必要な学習が充分にできていなかった」ということです。

塾と学校が再開した今、授業についていけるのか?成績を維持できのか?という新たな不安があがっていることから、多くのご家庭では、「元々成績が伸びていなかった根本的な原因」を既に見抜かれているようです。

このまま成績を安定して伸ばしていくためには、どのようなことに気をつければよいのかを下記に簡単にまとめてみました。

コロナで成績が好転したご家庭が今後気をつけること

■ 積極的にオンライン授業を選択することも検討する
■ 塾から与えられた宿題を全部やろうとしない
■ 毎回のカリキュラムは最低6割理解できれいればいいと考える
■ 課題の取捨選択を親御さんが積極的に行う

ただ、こう書いてしまうと、「もう塾には行かなくていいということですか?」という質問が来ると思います。

例外を除き、基本的に中学受験において、「塾に通うこと」は必須です。

その理由は各塾が提供しているカリキュラムの優秀さにあります。
各塾のカリキュラムは、長年研究されてきた合格への最短ルートといっても過言ではないでしょう。

ただし、当然与えられたカリキュラムを正しい形で消化していくことができなければ、成績を上げることはできません。

コロナで成績が上がったご家庭に共通していることは、元々与えられたカリキュラムを100%こなさないといけないと考えられていたご家庭が多いということです。

ところが実は塾のカリキュラムというのは、初めは基礎の60%程度が理解できていれば良いように設計されています。

残りの40%はテストや6年生時の学習など、後々の繰り返しの復習の機会を経て、100%に近づけていくのです。

最初から100%理解できるようにしようと、睡眠時間を削って、塾から与えられた宿題を全てこなし、今頑張ってもわからない問題に時間を使ってしまうと、本来完璧にしておくべき60%の学習がおろそかになってしまい、頑張っているのに成績が上がらなくなってしまうのです。

なので、コロナの休講を経て成績がアップしたというご家庭では、「課題を取捨選択する」ということにより一層気をつけてください。

また通塾によって、お子さんの体力が持たないといったケースや、オンライン授業で充分理解できているということであればオンライン授業を積極的に選択していきましょう。

カリキュラムをきっちりと消化できているのであれば、「通塾」にこだわる必要もありません。

コロナによる休講を経て成績が上がったと思われることを大切にして、無理に課題を消化したり、通塾をすることをせず、課題の取捨選択をしていけば、引き続き安定して成績を伸ばしていけるはずです。

2.2 コロナで成績がダウンしたご家庭の場合

コロナによる休講を経て成績がダウンした、お子さんの学習うまく回らなかったというご家庭では、成績が下がった理由として、親御さんから下記がよく挙げられています。

コロナで成績がダウンしたご家庭に共通している理由

■ お子さんの学習に対するモチベーションが極端に下がった
■ ご家庭で苦手な分野を教えてあげることができなかった
■ お子さんが動画授業を理解できなかった/ぼーっと見ているだけだった
■ 塾から与えられた課題をほとんどこなせなかった
■ 親御さんがお仕事で課題をみてあげられなかった
■ 特に国語の成績が急激に下がった

上記を見てわかることは、成績が下がった理由として、全て「お子さんの学習に対するモチベーションがあがらなかった」ことが原因であることが考えられます。

また親御さんがお仕事で忙しく、ついてあげていられなかった上に、先生とも会えなかったことで勉強ができなかったという大変心苦しいケースもたくさんお伺いしております。

コロナによって成績がダウンしたお子さんを見てみると、実は地頭がよく、塾の先生から与えられた課題を器用にこなし、「やっていかなきゃ!」という思いから宿題も元々はこなせていたという子が多いことがわかります。

ところが塾に通えなくなったことから、「先生」という一種の強制力が外れてしまい、しっかりと学習をし、カリキュラムをインストールする機会が失われてしまったことが成績ダウンの大きな原因と言えるでしょう。

中でも、「国語」の成績が極端に下がったというご相談が多く見られておりますが、これは塾の授業で先生の音読を耳に入れてもらう機会が減ったことや、読書量が極端に減ったことが原因と考えられます。

体力があり、先生や塾から学習する時間しっかり提供してもらえれば、成績が伸びてきたタイプのお子さんほど、コロナによる成績ダウンを経験しているようです。

塾と学校が本格的に再開したことに加え、元々の塾の授業についていけるだけ、体力があり、地頭も良いタイプのお子さんが多いですから、成績を挽回することは充分に可能です。

ただし、ここから成績をのばしていくためには、いくつか注意しなければならない点がありますので、下記にまとめてみました。

コロナで成績がダウンしたご家庭が今後気をつけること

■ 休講中の遅れは確実に後々足を引っ張ることになる
■ 休講中の補助として短期的に家庭教師・個別指導の導入も検討する
■ お子さんのモチベーションを保つために塾の先生に声掛けをお願いする
■ 国語の成績が下がっている場合は家庭での「音読」の時間を増やす
■ 特に5年生は「比・割合」の単元は復習し、確実にわかるようにする

コロナ前の方がうまくいっていたというご家庭では、塾と学校が再開した今、お子さんの元のモチベーションも回復していくでしょう。

どちらかといえば、これからのことより、問題視すべきなのは、遅れてしまった単元の方です。

休講期間〜夏休みの間の学習の遅れは、必ず後になって影響が出てきます。
特に5年生の「比・割合」のように、先のカリキュラムが全く理解できなくなるということも容易に予測できます。

なので、通常の授業の課題を取捨選択し、学習時間を作りながら、理解ができていない単元の復習も同時並行で行ってください。

もちろん、これは容易なことではないことはわかっています。
元々、塾に通いながら、宿題をしながら、しっかりと成績を伸ばせていたお子さんだからこそできることになります。

とはいえ、現状成績が下がってしまった中で、過去の復習をするというのは非常に難しいでしょう。

またコロナで成績が下がってしまったご家庭の多くで、親御さんがお仕事等で忙しく、勉強を見てあげられなかったということもお聞きしています。

そういったご家庭では、塾に通いながら、ご家庭だけで家庭学習もサポートすることは難しいことでしょう。

そのような場合は、1〜2ヶ月または冬休みの間の短期間だけでも良いので、個別指導や家庭教師の先生をつけることで、短期間で遅れを取り戻すことも検討してみてください。

今から対策をきっちりとっていくことで、ピンチはチャンスに変えられます。
上記内容を、ご参考にしていただけます嬉しく思います。

ご家庭の中学受験が成功することを祈っています。

この記事を書いた人
主任相談員 西村 則康 主任相談員 西村 則康
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