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中学受験 ピンチの克服法

中学受験 ピンチの克服法
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更新: 2017年01月05日 公開:
コンテンツ

Point1 どうしよう? 入塾テストで上位クラスに入れなかった・・・

大手進学塾は上位クラスほど有利になる

今の時代、中学受験をするのなら、大手進学塾に通うことは不可欠です。なぜなら、大手進学塾には中学受験に必要なカリキュラムがすべて揃っているからです。

大手進学塾の中学受験カリキュラムは、3年生の2月からスタートしますが、その少し前の12月~1月にかけて入塾テストがあります。この入塾テストは、「入塾そのものの可否の判断」と「クラス分け」の2つの目的があります。

大手進学塾も一般企業のひとつであり、塾生である"お客様"が増えれば、売り上げが上がります。ですから、よほど成績が悪くなければ、入塾はできます。けれど、大手進学塾に通えば、第一志望の合格が保証されたわけではありません。なぜなら、大手進学塾に通うメリットは、極端な話、上位クラスにしかないからです。

大手進学塾の授業は、中学受験のために作られた学習カリキュラムに沿って進められていきます。各テキストの内容は、予習をすることが前提となっているものだったり、予習は一切せず、授業を第一主義に進めていくものだったりとそれぞれに特徴がありますが、ひとつだけ共通していることがあります。それは、塾のテキストというのは、成績が優秀な子どもを対象に作られているという点です。

多くの塾にとって大切なことは、「何人の生徒を難関校へ合格させたか」という実績です。そのため、塾にとって一番ありがたいのは、難関校へ入ることができる頭脳や実力を持った子どもがその塾へ通ってくれることなのです。ですから、テキストをはじめ、大手進学塾のすべてのカリキュラムは、そうした成績優秀な子どもを満足させるための内容になっています。

つまり、誰でも理解できる内容ではないということです。授業はテキストに沿って進められていきますので、その内容が理解できなければ、不完全なまま授業を受け続けることになります。そうなると、家庭での復習が必須になります。しかし、塾によっては宿題が大量に出されるところもあり、多くのお子さんはそれをこなすだけで精一杯になってしまい、授業の復習もテスト対策も満足にできず、クラスアップを挽回するのが難しくなってしまうのです。

さらに、大手進学塾では、難関校へ合格できそうな優秀な生徒たちのために、上位クラスほど優秀な講師を配属させます。優勝な講師は、合格のノウハウを熟知しています。つまり、クラスのレベルが高ければ高いほど、志望校に合格しやすくなるというわけです。

ですから、大手進学塾へ通わせるのなら、まずは入塾テストで上位クラスを狙うことがポイントとなります。

好スタートが切れなかった子は、9月までにクラスアップを

しかし、塾のテストは、学校のテストとは形式も難易度も大きく異なるため、初めて見るテストに戸惑う子も多くいます。そのため、思うように点が取れず、上位クラスへ入れない場合があります。

中学受験情報に詳しい親御さんなら、この入塾テストの大切さをよく知っているだけに、「どうしよう! うちの子、上位クラスに入れなかった・・・」とスタート地点で嘆いてしまう方もいますが、そこまで悲観的になる必要はありません。

確かに、入塾テストで上位クラスに入れば、好スタートを切れますが、現時点の段階ではまだ挽回は可能です。とはいえ、「いつかはクラスが上がるでしょう」とのんびり構えていてもいけません。

目標としては、4年生の夏休み明けに実施される組分けテストで、できるだけクラスを上げましょう。4年生のスタート地点では、まだ多くの子どもは塾通いに慣れていませんし、何をどのように勉強してよいのかがわかりません。そこでまずは1週間の学習スケジュールを立ててみましょう。その日にやるべきことをTO DOリストにして、1週間のやるべきことを"見える化"するのです。

現時点で算数の計算に不安を感じている子は、計算のスピードアップを意識していきましょう。丁寧に解くことも大事ですが、この先ますます複雑な計算が出てきますので、スピードを上げていかなければ、中学受験の入試には対応できません。

理社は暗記科目だからテスト前に覚えればなんとかなると思わず、まずはこの科目が好きになるように、親は働きかけてあげてください。4年生のうちはまだ時間に余裕がありますから、自然や科学博物館、歴史博物館などに連れて行き、好奇心を伸ばしてあげると、それが学力にもつながっていきます。

いずれにしろ、中学受験の勉強はまだ始まったばかり。最初のテストで思うようにいかなかったとしても、がっかりしてはいけません。中学受験で子どもの心を支えるのは、お母さんの笑顔です。お母さんががっかりした顔をしていたら、子どもは不安な気持ちになり、勉強に集中できません。「秋までに頑張ろうね」と笑顔で応援をしてあげましょう。

Point2 いつまでたってもクラスアップができない

「不本意なクラス」に長くいるデメリット

塾の学年は2月に変わります。そのとき、「希望のクラス」で新学年が迎えられたら、その時点では安心できるのですが、もしそうでない場合は、早めの対応が必要です。なぜなら、「不本意なクラス」で長く時間を過ごしてしまうと、実力も意識もそのクラスの基準に馴染んでしまい、なかなかクラスアップすることができなくなってしまうからです。

大手進学塾のテキストは、成績が優秀な子どもを対象に作られており、誰もが理解できる内容ではありません。上位クラスにいれば、生徒の理解度が早いため、テキストの中身をすべてカバーすることができますが、下のクラスにいると、説明だけで時間を取られてしまいます。そのため、授業で扱われる問題も、宿題として出される問題も異なり、そこで与えられる問題をこなすうちに、「下のクラスの実力」になっていくのです。そうなると、クラスアップはますます難しくなってきます。

また、なんとか「希望のクラス」に入れたとしても、志望校合格レベルの学習についていけなくなる可能性があります。そうならないためには、一日でも早く「希望のクラス」に上がるようにしましょう。

学年が上がるとますます厳しくなる

大手進学塾の受験カリキュラムは、学年が上がるにつれて勉強量が増えます。4年生から5年生に上がると、それまでの学習量の1.5倍の学習量になります。これは、子どもにとって大きな負担です。授業後の復習と大量の宿題に追われるようになり、クラスアップを意識した勉強の時間を確保するのが困難になります。

ですから、新学期を迎える前か、そのタイミングでクラスアップができるように、これまでの学習を見直してみましょう。今何ができていて、何ができていないのかを正確に把握し、それに適した対策を取り、クラスアップを目指しましょう。

具体的な方法としては、塾の先生に意見を聞いてみましょう。わが子がクラスアップするには、今の学習の何を変えればいいのか、宿題はどのように進めていけばいいのか、今、何を優先的に取り組めば良いのか、具体的に聞いてみるのです。

しかし、大手進学塾の先生というのは、授業は教えても、生徒一人ひとりをじっくり見てくれるわけではありません。こういった質問をしたとき、きちんと答えてくれる先生ならよいのですが、ありきたりのことしか言えない先生もいるでしょう。こういうやりとりをすることで、塾の先生がどのくらい自分の子どもを見てくれているのかがわかってくると思います。塾の先生にはあまり期待ができないと感じたら、第三者の立場で見ることができるプロの家庭教師や個別指導塾の先生に相談をしてみる方がよいかもしれません。いずれにしろ、ここは急いで対応することが大事です。

具体的な対策が見えてきたら、1カ月くらいの期間は様子を見ることにします。復習テストや公開テストなどの結果を見ながら、その効果が出ているかチェックしていきましょう。

クラスアップを目指すなら、学年が上がる少し前のタイミングがベストです。これを逆算して、「いつ」「何を」「どのように」対策してするのか、目標と計画を明確にすることが、クラスアップの近道になります。

Point3 ケアレスミスでもう泣かない!

その間違いは本当にケアレスミス?

本当は正解できたはずなのに、失点してしまってもったいない!
多くの親御さんが、ケアレスミスに対しこう思います。

でも、その問題は「本当にできた問題」だったのでしょうか?

例えば九九であやふやな部分があったとします。いつもは間違えないのですが、何回か、または何十回かに一度、間違うことがある、といった状態だったらどうでしょう。テストではその「何回かに一度」に、たまたま当たってしまう場合があります。テストでは間違ったけれど、直しのときはちゃんとできるといっても、あやふやな部分がある限り、それは本当に「できている状態」とは言えないのです。

「あやふや計算」は筆算で間違いをチェックする

九九に限らず、計算の手順などのうろ覚えやあやふやな記憶などが原因で、かなりの失点をしているお子さんがいます。計算ミスの原因を突き止めるときに役立つのが、計算用紙です。塾によって、テストで計算用紙が配布される場合とされない場合がありますが、計算用紙がない場合は、問題用紙の余白に残された計算が手がかりとなります。

かけ算やわり算の「あやふや計算」は、筆算で発見することができます。「あやふや計算」が見つかったら、その対策です。「あやふや計算」の原因の多くは間違った記憶なので、間違えを見つけたときに覚え直します。九九にあやふやな部分がある場合は、その周辺の計算まで再確認するようにしましょう。

例えば「7×8=56」をときどき「7×8=54」と間違えてしまう子がいるとします。その場合、「7×8」を暗算する際に、「7×7=49」「7×8=56」「7×9=63」といったように流れで思い出すようにします。

その他の計算ミスで多いのは、繰り上がりと繰り下がりです。このミスの多くは、繰り上がり・繰り下がりの数字を書かない→書かずに何が上がったか、繰り下がってどうなったかを忘れる、といったものです。書かないから間違うのであって、きちんと書く作業を行うことでミスを防ぐことができます。高学年になると、計算もスピード力が求められるようになり、繰り上がり・繰り下がりの数字を書かず、記憶を頼りにするようになりますが、計算ミスが多いのであれば、もう一度、繰り上がり・繰り下がりの数字を書くようにすることで、ミスをなくしていくことができます。

不安に思ったらその部分だけ検算する

字を乱雑に書いていると、自分の書いた字を間違い、それで計算ミスをすると考える方もいます。例えば「0」と「6」を見間違うといったケースです。確かに、自分の書いた字を見間違うことによって起こる計算ミスもあります。でも、それはさほど多くはありません。

実は、算数ができる子の数字がきれいに書けているかといえば、必ずしもそうとは限りません。かなり乱雑な字を書くのに、算数がよくできるお子さんもいるのです。彼らが、自分が書いた数字を読み間違わないのかというと、実はよくできるお子さんでも「あれ、この数字は0だっけ?6だっけ?」となることはあるのです。

では、なぜできる子はそこで間違わないかというと、不安に思ったときにササッとその部分だけ計算し直したり、検算したりするからです。そして、「ああ、やっぱり間違ってなかった」と確認をし、自信を持って先へ進んでいきます。それに対しミスが多い子は、不安に思ったときに「多分こうだろう」と確認をせず進めてしまいます。

テストのときは時間の制限がありますから、とにかく先へ進まなきゃと焦る気持ちも分かります。そのため、ある程度は字が乱雑になってしまうこともあるでしょう。でも、少しでも不安に思ったら確認をする習慣のあるなしで、正確性は大きく変わってくるのです。「?」と思ったときは、少しだけ検算に時間を費やすという習慣をつけることで、計算ミスをなくすことができます。

Point4 6年生 頑張っているのに成績が下がり続けるのはなぜ?

頑張りすぎはかえって伸び悩む

6年生になると、ほとんどの子が受験生であることを自覚し、頑張って勉強をします。にもかかわらず、成績が上がらない、むしろ下がってしまう子がいます。

すると、親御さんは「うちの子はこんなに頑張っているのに、どうして成績が上がらないのだろう? 上位の子達は、睡眠時間を削ってきっともっと勉強をしているに違いない」と思い込み、さらに勉強をさせようとします。

しかし、睡眠時間を削るといった無理を強いれば、お子さんの健康面、精神面にまず間違いなくマイナスの影響が出ます。小学生には十分な睡眠が必要です。睡眠時間を削ってまでして、勉強をする必要などないのです。

長時間勉強することによる弊害は他にもあります。それは、中学受験で最も重要な「集中力」が身に付きづらくなることです。そして、長時間ダラダラと勉強する習慣が付いてしまうと、むしろどんどん「集中力」がなくなっていきます。

短時間で効率よく勉強することで「集中力」を高める

中学受験の試験時間は、国語と算数が各60分、理科と社会は各30分程度です。算数を例にとってみると、設問1問あたり5分から10分程度の配分になるものがほとんどです。

長時間ダラダラと勉強をさせていると、本来5分から10分で解かなければいけない問題であるにもかかわらず、解法が分からない箇所で思考が停止し、ボーッとしてしまうという悪い癖がつきます。そういった子の多くが、テストの時間配分で失敗します。そうならないためには、日ごろから時間を意識した学習をする必要があります。

時間配分が苦手な子は、「早く解かなきゃ!」という焦りから、簡単な問題でのケアレスミスが増えます。その結果、テストの点が安定せず、最終的に成績が下がってしまいます。

学校や塾の授業が、1コマ40分~90分程度なのは、一般的な人間の集中できる時間がその程度だからです。肉体的にも精神的にも幼い小学生であることを考えれば、家庭でもダラダラと長時間勉強させず、中学入試と同様に30分~60分程度に時間を区切り、集中して学習させた方が、はるかに学習効果が高いのです。

成績アップの秘訣は「選択」と「集中」

6年生の段階で、志望校に偏差値が10以上届いていないという場合、正直に言うと「成績逆転」はなかなか難しいものです。お子さんのタイプと状況にもよりますが、平常の授業、特訓授業、そして志望校の過去問と、5年生のときよりもさらにやるべきことが増え、それをこなすだけでいっぱいいっぱいになってしまうからです。

志望校に偏差値が届いていない場合、まずはその原因を正確に把握する必要があります。特定の科目の成績が悪いのなら、その勉強の仕方を見直します。やるべきことが多すぎて回っていないのなら、絶対にやるべきこととそうでないことを決め、やるべきことに集中しましょう。

特に苦手な単元や分野があるのなら、それは何か? テストの小問ごとの正誤表を使い、苦手を把握しましょう。そして、それを少しずつ、日常の学習に混ぜる形で復習していくのです。

しかし、いつまでもそれに時間を割くわけにはいきません。ですから、期限を決めます。例えば「○月の判定テストで、偏差値55を超えたら第一志望校を変えずに挑戦する。偏差値55を超えなかったら、第一志望校をあきらめ、志望校を変える」といったように決めてしまうのです。

やるべきことを選択し、期限までそれに集中して取り組み、結果は割り切って受け止める。親子ではじめからそう決めて、行動に移してみましょう。そうすれば、本人もやるべきことが明確になり、集中して取り組めるようになります。

Point5 いつやる? どうやる? 苦手単元の克服

その単元のどこが苦手?

苦手単元や分野は、授業中、「少し分かりにくいな」と感じていたけれど、そのまま放置してしまった、質問の機会がなくそのまま先生が先に授業を進めてしまった、ということが積み重なって、だんだんと理解度が低くなってしまったという状況から生じるものです。

その場ですぐに、理解できるまで質問したり、説明を聞いたりすることができればいいのですが、残念ながら多くの子どもを受け入れている大手進学塾では、お子さん一人のために授業の進行を中断して説明することはできません。

苦手単元や分野ができてしまったら、まずはそれを克服しましょう。克服の方法は2通りあり、一つはご家庭で克服をする方法、もう一つは塾や家庭教師を利用する方法があります。

いずれにしろ、まずは何が苦手なのかをはっきりさせることが重要です。「算数が苦手」「文章題が苦手」というお子さんは多くいますが、その中の何が苦手なのかを把握していないことがよくあります。「なんとなく苦手」と思い込んでしまっているだけで、どの分野の何が苦手というのがはっきり分かっていないのです。そこが曖昧なまま、ただ闇雲にドリルをやらせても、それは非効率的です。

苦手単元の把握は月例テストの正答率をチェック

きちんと苦手単元を把握して克服するには、テストを活用するのがいいでしょう。日能研なら公開模試、サピックスならマンスリーといった月例テストの数ヶ月分の結果から判断するのが適切です。苦手単元を洗い出すには、テストの正答率表をチェックします。正答率が高い問題で、お子さんが間違っているものをマーカーでチェックし、それがどの単元かを見ていきます。

正答率表でのチェックから、この単元が「苦手」とクリアになったら、それを克服するには、どの問題をどのくらいやればいいか塾の先生に聞いてみましょう。そのとき、塾の先生が「この問題集のここをやりなさい」と適確なアドバイスをくれればいいのですが、大手進学塾の講師はそこまで面倒見がいいわけではないので、基本は家庭で克服をしていくことになります。

苦手分野を家庭で克服していくには、ある一定の条件が揃う必要があります。まず、良質な参考書など、お子さんが自分で読めば理解できるようなものを揃えましょう。単元別、テーマ別に編集されているものが市販されていますので、お子さんと書店に出向き、一緒に選ぶといいでしょう。

しかし、苦手克服は重要とはいえ、平日は塾があり、その復習をしなければならないし、塾からの宿題も毎日あります。そう考えると、苦手克服に充てる時間というのは案外ないのです。ですから、苦手克服に充てる時間を事前に確保しておく必要があります。例えば4・5年生なら、平日はやらず、土日にやるなど、あらかじめ計画を立てておくといいでしょう。そして、その時間に集中して取り組ませます。

苦手をピンポイントで把握するならプロの手を借りる

塾や家庭教師を利用する場合も、基本的な手順はご家庭の場合と同様です。ただ、こちらはプロですから、苦手分野を見極めるのがより正確という利点はあります。ひとくちに苦手単元・分野といっても、その問題の種類はさまざまです。例えば「つるかめ算」ひとつをとっても、オーソドックスな「つるとかめ」が登場するものから、3者のつるかめ算、速さのつるかめ算、弁償のつるかめ算などいろいろあります。

お子さんはその中でできているものは何か、つまずいているのはどこかなどをはっきり見分けられるのは、やはりプロの力を頼ったほうがいい場合もあります。特に高学年になるほど、学習量が増え、苦手分野に費やす時間が十分に取れなくなります。そのときに、苦手がピンポイントで把握できていれば、そこだけを集中して取り組むことができ、ムダを省くことができます。

また出てくるから大丈夫ではない!「スパイラル方式」に要注意!

大手進学塾の受験カリキュラムは、「スパイラル方式」と呼ばれるものを取り入れています。"スパイラル"とは"螺旋"のことで、同じ単元をくり返し何度も習うことを意味しています。例えば算数なら、図形の面積は4年生から学習がスタートし、5年生、6年生でも同じ単元として学習していきます。このスパイラル方式は、学年が上がるごとに少しずつレベルを上げ、何度も学習することで理解を深めるという狙いがあります。

しかし、ある単元の理解がうまくいかなかったときに、塾の先生から「この単元は5年生でまだ出ますよ」と言われることがありますが、また出てくるから今は分からなくても大丈夫、と考えてはいけません。なぜなら、同じ単元でも次に出てくるときには、今よりもレベルの高い内容になっているからです。

例えば同じ図形でも、高学年での面積の問題は、より比の考え方を多用するものや、前回までに学んだことをベースとして、応用・発展的な内容を学習することがほとんどです。

ですから、「また出てくるから大丈夫」ではなく、「また出てくるから、今しっかり定着させておかなければ」なのです。4年生の段階であやふやだった単元は、5年生ではさらに難しくなり、6年生ではますます難しくなり、学年が上がるほど太刀打ちできなくなってしまうというのが、スパイラル方式の落とし穴。スパイラル方式は、順調に理解ができている子にはとてもよいシステムですが、そうでない子にとっては挽回が難しいシステムなのです。

そうならないためには、4年生の段階でしっかり知識を定着させておくこと。苦手分野であれば、5年生で再び登場する前にもう一度、学習をし、苦手を克服しておくこと。こうした準備をしておくことで、負のスパイラルを回避することができます。

Point6 子どもを勉強嫌いにする親の行動

低学年の頃は、素直に勉強をしていたのに、近頃はおしりを叩かないとやらない、何か言えば反発される、何を言ってもやる気が感じられないなど、お子さんの勉強に手を焼いている親御さんも多いことでしょう。

お子さんに成績を上げて欲しい、やる気を出して欲しい、そして志望校に合格して欲しいと願うのは、どの親も同じです。でも、その親の言動が、知らず知らずのうちに、お子さんを「勉強嫌い」にしていることがあります。

では、どんな行動が、子どものやる気を奪ってしまっているのでしょうか? 

NG行動① 「できて当たり前」という対応をしてしまう

中学受験の勉強は、小学校の勉強とはまったくの別物です。もうすでに大手進学塾に通い、受験勉強を始めているご家庭であれば、それがどのくらい違うものかは理解できると思います。学校のテストで満点を取れるお子さんでも、進学塾のテストではなかなか点が取れない。それが中学受験というものなのです。

にもかかわらず、中学受験の勉強が長く続くと、「こんな問題はできて当たり前」「これができなかったら○○中には合格できないわ」と親御さんたちは思ってしまう。では、親御さん、今お子さんが解いている問題を全問正解できますか?

塾では定期的にテストが行われ、「今お子さんができていないところ」を教えてくれます。塾のテストは小問ごとの正誤や正答率が示されます。「みんなできているのに間違った問題」から"苦手"を洗い出し、「今後どうするべきか」を考えるヒントが得られる、非常に便利なツールです。

しかし、だからこそ「できていないところばかり確認するツール」になってしまいがちです。多くのお子さんが正解している、つまり「できて当たり前」の問題をできるようにすることは、もちろん大事です。でも、その一方で、「みんなができていないところができた」問題にも目を向け、それをしっかり認めてあげることも大事なのです。

子どもは親に認められたり、誉められたりすると、自信を持ちます。「ここの問題は間違えてしまったけれど、みんなができなかったこの問題はできてすごいね!」、そう言ってもらえるだけで、同じ間違いを指摘されても、気持ちが落ちることはありません。むしろ、誉められたことで、「よし、じゃあ今度はここも正解してみるぞ」と前向きな気持ちになれます。

NG行動② 同じことを何度も言う

「早く勉強しなさい!」
「宿題は終わったの?」
「明日のテスト勉強はやったの?」

毎日のように口にする言葉。でも、それを言ったところで、あまり効果がないのは、みなさんももうお気づきなのではないでしょうか?

気分が乗らない、やる気が出ない。そんなときに、いつも同じことを言われても、子どもはただ聞き流すだけ。そのうち子どもは、お母さんの言うことは基本的には聞き流して、お母さんの「怒りの本気度」だけで対応を決めるようになります。お母さんの怒りが爆発したら、しぶしぶ勉強に取りかかる、といった具合です。

なぜそうなるかといえば、お母さんが半ば自動的に、上記のようなフレーズを言っていることに気づいていないからです。自分がどの科目の、どんな難しい問題を、どんな大変な思いでやるのか、お母さんは知らないし、知ろうともしない、そう思っているのかもしれません。そんなときに、いつも同じことをくり返し言われたら、やる気も失せてしまいますよね。

例えば、同じメッセージを伝えるにしても、
「今日はどんな宿題が出たの?」
「へぇ、難しいことをやっているのね」
「そんな考え方するんだ。よくわかったね」

と、言ってみたらどうでしょう?
中学受験の勉強は、お母さんが実際に内容を教える必要はありませんが、お子さんが今どんなことを勉強して、どんなことが理解できるようになったのか、どんなことで苦労しているのかなど、お子さんの理解度に興味を持つことは大切なことです。

宿題が終わったか、テストで点が取れたかなど、結果ばかりを気にせず、今お子さんがどれくらい頑張っているかに、どれくらいできるようになったかに目を向け、頑張っているお子さんを認め、誉めてあげましょう。そうすれば、お子さんのモチベーションはグンと上がるものです。

NG行動③ 他の子と比較する

大手進学塾での受験勉強は、他の子どもとの比較の毎日です。テストで成績順位が発表され、クラスが決まります。さらに、成績の順でクラス内の席順が決まる塾もあります。

だから、「他の子と比較されて、いちいち傷ついてなんていられない」と考える親御さんもいるかもしれません。でも、他の子との比較は、塾でもう十分ではないでしょうか?

「○○くん、テストの偏差値66もあったんだって。すごいね」
こんなひと言に、お子さんはひどく傷つきます。

また、他のお母さんと話をしていて、お子さんの前で相手のお子さんを誉め、謙遜の気持ちから「うちの子なんて、こんなこともできなくて・・・」と言うのも、子どもはいい気持ちがしません。

お子さんは今、自分がどんな位置にいるのか分かっています。塾にいれば、否応なしに分かるのです。だから塾も、子ども達を競争させ、「よし、頑張るぞ!」と立ち向かってくれることを期待しているわけですが、誰もがそうできるとは限りません。でも、そうできる子は、「僕は頑張ればできる」という「根拠のない自信」を持っています。

この「根拠のない自信」を支えるのが、お父さんとお母さんです。幼い頃から「あなたには素晴らしい才能があるのだから、絶対に大丈夫よ」と言われ続けた経験が根拠になっているのです。子どもが小さい頃は、駅の名前が全部言えた、大きな数まで言えたなど、些細なことでも「うちの子って天才!」と大喜びするのが親です。しかし、成長するにつれ、大げさに喜び誉めてあげる機会は減っていきます。また、子どもも高学年になってくると、たいしたことじゃないのに大げさに誉められるのを嫌がるようになります。

ですから、大げさに誉める必要はありません。「いつも頑張っているね」とさりげなく誉めてあげる。それだけで子どもは嬉しい気持ちになるものです。

中学受験の合否はテストの点数で決まります。塾のクラスは成績で決まります。他の子との比較は塾がやってくれます。ですから、さらに親が他の子と比較をする必要などないのです。中学受験は、比較される毎日です。でも、それを受け止めた上で、「大丈夫!僕は頑張ればできるんだ!」とお子さんが思えるようなサポートをすることが、親の大事な役目であることを知って欲しいと思います。

Point7 「中学受験をやめるという選択」をする前に

前向きな判断で、高校受験でリベンジ

例年、夏休みが終わると、6年生の中で「中学受験をやめる」という選択をするご家庭が出てきます。今の年齢で背伸びをして中学受験をするより、ここはいったんあきらめて、高校入試に照準を合わせて勉強をしたほうがよいのではないか、考える家庭です。

中学受験の勉強をいつ始めたかは人それぞれですが、少なくとも1年、2年と続けてきた受験勉強。親としては、そう簡単にはあきらめがつかないと思います。

でも、今の状況からさらに苦しい状況になってしまうというのであれば、ここで一度冷静になって考えてみるのもいいと思います。

中学受験をあきらめる大きな原因のひとつに、通っている小学校の問題があります。私立の小学校に通っていて、併設の中学校への内部進学と外部受験を天秤にかけ、結果として内部進学をしたほうがよいと判断するケースです。この場合、根拠は明確で、外部受験で進学できそうな学校よりも、今通っている学校に内部進学したほうが将来的に有利だろうと判断した結果なので、それほどダメージはないと思います。

また、今の学力では希望の中学へは行けず、かなりランクを下げることになりそうだ。それならば、地元にレベルの高い公立高校があるので、中学受験はせずに、地元の公立中学に進学して、高校受験で難関公立高校を狙うというケースもあります。

いずれも、いくつか考えられる進学先から、将来性を見据えてより有利な進学先を選ぶわけですから、どちらかといえば前向きな進路変更ということになります。

ですから、中学受験を途中でやめるときは、お子さんとしっかり話し合った上で、「この決断は前向きな決断である」ことを伝えましょう。くれぐれも、挫折感を植え付けないように、配慮してあげてください。そうすれば、お子さんも納得をし、次の目標に向かって頑張ろうという気持ちになります。

親子ともに気持ちが切れてしまうことも・・・

一方、とても残念なことですが、子どもの成績が上がらず、志望校には到底届かない、子どものやる気が出ないなどという理由から、泣く泣く中学受験をあきらめるケースも少なからずあります。

なかには、お父さん、お母さんの気持ちが切れてしまい、「そもそもあなたが受験をしたいって言い出したんじゃないの! やる気がないなら、やめちゃいなさい!」といった感じでやめさせてしまう場合もあり、それは非常に残念なことです。

このような状況になってしまう多くの場合、志望校とお子さんの学力にギャップがあり、「どうせ頑張ってもダメ」とお子さん自身の気持ちも切れてしまっています。

特に6年生の夏休み明けは、それが顕著に表れる時期です。というのも、6年生の夏休みは、どんな子でも一生懸命勉強をします。にもかかわらず、成績が下がってしまうと、「夏にこれだけ頑張ったのに・・・」という失望の気持ちが強まり、いよいよ親子ともども気持ちが切れてしまうのです。

ちょっと頑張れば達成できる目標を立てる

「どうせ頑張ってもムリ・・・」、一度そう思ってしまうと、お子さんのモチベーションはなかなか上がりません。それは大人でも同じですよね。でも、「ちょっと頑張れば達成できそう」という希望を感じるとき、人は頑張れるものです。

例えば今の学力で、「何がなんでも御三家に合格する」というのは、目標が高すぎて、「そんなのムリだ・・・」と気持ちが萎えてしまかもしれません。でも、「今度のテストで10点アップする」という小さな目標であれば、もしかすると何とかなるかもしれないと思えるものです。

6年生の秋なので、あまり時間はありませんが、それでも今の状況から抜け出すことはできるかもしれません。

その際、次のことをはっきりさせておきましょう。

①夏が終わった段階で、志望校と現状の偏差値にどのくらいのギャップがあるのか
②そのギャップをうめるための方法として、どのようなことが考えられるか
③現実問題として、ここから数カ月間で偏差値をどのくらい上げられる見込みがあるのか

この3点をはっきりさせると、志望校を検討する必要があるかどうか、冷静に判断ができます。くれぐれも、このまま第一志望だけを目標にし、そこに到達できなかったら、今までやってきたことが無駄になるといった考えだけは、お子さんに持たせないようにしたいものです。

例えば、第一志望校は無理かもしれないけれど、第二志望校であれば可能性はグッと上がるとか、その第二志望校にも第一志望校に負けないくらいよいところがたくさんあるとか、そんな情報をお子さんに伝えてあげることで、「○○中学に合格できなければ、何もかもおしまいだ」といったような追い詰められた気持ちから解放され、モチベーションも上がってくるものです。

第一志望校にこだわりすぎない

中学受験における第一志望校というのは、お子さんの意志だけで決められるものではありません。「あの学校に行きたい!」という気持ちにさせたのは、お母さんが文化祭に連れていってあげたり、その学校のよいところを伝えてあげたりしたからでしょう。「お母さんがあの学校をとても気に入っているから、私もそこに通いたいな」、そんな感じで志望校を決めていくことがほとんどです。そうやって気づかないうちに子どもは、親の希望に添うように学校を選んでいるのです。

ですから、親が第一志望校にこだわればこだわるほど、「○○中に絶対入らなければ!」と子どもは思ってしまいます。それは、子どもにとってはプレッシャーです。第一志望として、憧れの学校をチャレンジしてみるのはいいと思います。でも、そこだけにこだわるのは危険です。

中学受験で、第一志望校に入れる子は、全体の約3割。残りの約7割は、第二志望校、第三志望校へ行くことになる、というのが現実です。ですから、もしかして、お子さんが通うことになるかもしれない第二志望校、第三志望校も納得のいく学校選びをして欲しいと思います。そして、どの学校へ通うことになっても、「うちの子にとってはいい学校」と胸を張って言えるような受験ができれば、その受験はよい受験だったと言えるでしょう。

毎年、中学受験を途中であきらめてしまう家庭は少なからずいます。今の状況が本当につらければ、その選択もありだと思います。けれど、ほんの少し見方を変えることで、気持ちが楽になることもあるということを知って欲しいと思います。

いずれにしろ、中学受験でお子さんの人生が決まるわけではありません。そう思うと、少し気持ちが楽になり、冷静な判断ができるようになります。

Point8 受験直前期 あと10点上げるには

苦手克服は11月までと割り切る

12月に入ると、受験生である6年生は、いよいよラストスパートを迎えます。4年生からスタートした受験勉強の結果がたった1回の入試で決まってしまうと思うと、心穏やかではいられません。特に12月の最終模試で思うような結果が出なかったりすると、「何とかしてあと10点上げなければ」と気持ちが焦ります。

けれども、今はあれもこれもと手をつけてはいけません。

理想の受験直前期とは、6年生の夏までに志望校を決め、9月までに第一志望校の過去問を解き、問題の相性を確認しておきます。そして11月末までに、苦手分野を克服し、併願校を含めたすべての過去問を解き終えます。12月は仕上げに入り、あとは気持ちを整え本番を迎えるといった状態です。

しかし、このような状態にもっていける子というのは、実際はごくわずかで、残りの多くが「追い込み型の直前期」を迎えているはずです。

「追い込み型の直前期」とは、11月末の段階でまだ苦手分野の克服ができていない、過去問が終わっていない、といった状態を指します。しかし、12月に入っても、その状態を続けるわけにはいきません。

中学受験の入試は、国算理社の4科目の総合点で合否が決まります。どの教科も高得点が取れればそれは理想的ですが、高得点を取ることにこだわりすぎて、この時期に苦手分野をいつまでも学習し直すのはおすすめできません。

例えば12月の時点で、算数の「速さ」や「場合の数」などを苦手としている場合、それはもう克服するのは手遅れです。苦手分野の克服は11月までと割り切って、この時期は少しでも得点を上げていく勉強に切り替えていかなければなりません。「できているところは伸ばす」「あと少しでできそうなところはできるようにする」ことに集中するのです。

「できそうなところ」を見極めるには、過去問やテキストを見直すことが有効です。そのとき、解説を読んで「なんだ、そういうことか」と納得できれば、本番の得点につながる可能性は大。類題を積んで確実に点が取れるようにしましょう。

過去問を何度も解く必要はない

「直前期は過去問を何度も解く」と思っている親御さんは多いと思います。けれど、過去問は今できているところとできていないところを点検するものであって、力そのものを伸ばすものではありません。ですから、直近の1、2年は直前期まで残しておいていいけれど、それよりも前の年度のものは、11月までに終わらせておくことが理想です。

第一志望校の過去問は、5年分はしっかりやりましょう。併願校の過去問も疎かにしてはいけません。第二志望校、第三志望校は、偏差値で見れば、第一志望校より劣るかもしれません。だからといって、必ずしも合格するという保証はどこにもないのです。

1月の「お試し受験」で思わぬ不合格を取り、本番で気持ちを上げられず、第一志望校が不合格・・・。そのまま気持ちを引きずって、第二志望校、第三志望校も落としてしまうというのは、決してめずらしいケースではありません。ですから、第二志望校、第三志望校の過去問もしっかり取り組みましょう。

国語は一度解いたら、同じ過去問を何度も解いても意味がないので、同形式の問題でトレーニングを積むことをおすすめします。国語の入試にはいくつかのパターンがあるので、それをしっかり頭に入れておきましょう。例えば、指示語の問題が出たらこういうパターンがある、主人公の気持ちの説明をするときはこういうパターンがあるなど同形式の問題でトレーニングを積んでおくと、本番で慌てることはなくなります。

算数の入試は大問と小問があります。大問には小問が1~3問あり、だんだんと難しくなっていくというパターンがほとんどです。入試には時間制限があり、すべてを順番に解こうとすると、難易度の高い小問3で時間がかかってしまい、本来解けるはずの次の大問の小問1と2が解けなくなってしまう恐れがあります。

そうならないためには、難しい小問3は「捨てる」覚悟で、確実に解ける小問1と2に集中するほうがよいでしょう。というのも、小問は難易度に関わらず、配点が同じだからです。難易度の高い小問3に時間を取られるくらいなら、確実に点が取れる小問1と2で正解をしたほうが得点率は上がります。

こうしたことを、過去問を見ながら確認し、戦略を練っていくのです。

暗記科目は必ずアウトプットする

理科と社会は暗記科目なので、直前期に取り組むのはベターだと思います。ただし、理科の「てこ」や「濃度」などの計算問題が苦手という場合は、算数同様に今から克服するのは難しいので、「捨てる」覚悟も必要です。その代わり、「生物」など必ず出題されるもので、暗記でなんとかなるものはしっかり学習しましょう。

ただし、ここで気を付けなければならないことがあります。暗記というと、テキストやノートを眺めてただ覚えるだけと思いがちですが、そうやって覚えたものというのは、時間が経つと忘れてしまいます。知識を定着させるには、覚えたものを一度アウトプットしなければ、すぐに忘れてしまうのです。覚えたものはドリルでアウトプットをし、知識の定着を確認しましょう。

こうして少しでも得点につながる勉強をしていくのです。

「できていないところ」よりも「できているところ」に目を向ける

直前期になると、親も気持ちが焦り、できていないところが気になってしまうものです。しかし、この時期はできていないところを指摘しても、子どもを不安な気持ちにさせるだけ。それよりも、「ここはもう大丈夫だね」とできているところを確認したり、「ここはあと少しでできそうだね」と合格をイメージさせたりするような言葉がけをしてあげるほうが、子どもの気持ちは落ち着くものです。

この時期に必要なのは、子どもに自信を与えることです。今の入試は、記述問題や初見の問題を出題する学校が多く、過去問で点が取れたからといって必ず合格できるとは限りません。知識よりも、今持っている力で戦う入試になっているのです。だからこそ、「できていないところ」に目をむけるよりも、「できているところ」=「今、持っている力」に目を向けることが大事なのです。

Point9 中学受験 もしも本番うまくいかなかったら・・・

12歳の子どもが挑む中学受験に「絶対」はない

首都圏の中学受験は、1月に千葉・埼玉で一足先に入試が始まり、東京と神奈川は2月1日~3日に本番を迎えます。都内在住の受験者の場合、1月にまず「お試し受験」として、千葉・埼玉の学校を1~2校受験し、ひとつ合格を手に入れて、気持ちが乗ってきた状態で2月の本番を迎えるというのが一般的です。

第一志望校の合格可能圏が80%以上の場合と未満の場合とでは、併願校の選び方も変わってきますが、2月1日に本命校を受験した場合、2月2日は万が一のことを考えて安全校を受験するといったパターンが、無理のない中学受験だと思います。そういう場合、万が一、2月1日の本命校が不合格だったとしても、2日で合格が取れれば、3日で再び挑戦校を受験するということも可能です。

しかし、わずか12歳の子どもが挑む中学受験に「絶対」はありません。塾のテストではいつも高得点を取っていたのに、本番で緊張をしてしまい、本来の実力が発揮できず不合格になってしまう・・・というケースは誰にでもありうることです。

自信をなくしている子には「受かるイメージ」を与える

また、第一志望校で不合格になり、そのまま気持ちを立て直すことができず、本来なら余裕で受かるはずの第二志望校を落としてしまうというケースもあります。

第一志望校、第二志望校と立て続けに不合格となると、さすがに子どもも気持ちが落ち込みます。なかには「もう明日の試験は受けたくない!」と言い出す子も出てきます。

そうなると、親はどうしていいのかわからずアタフタしてしまうでしょう。そんなときは、塾の先生に相談をしてみてください。

落ち込んでいる子どもに、「明日は大丈夫よ」とただ励ましてみたところで、不安な気持ちを拭い取ることはできないでしょう。自信をなくしてしまった子どもに、自信も回復させるには、できていることを教えてあげることが効果的です。「○○はこの問題のここはわかっているんだね。ここもできているんだね」とできているところを言葉にして伝えて、「受かるイメージ」を与えてあげるのです。そうすると、「もしかすると、次は大丈夫かもしない」と思えるようになり、気持ちが前に向きます。

あがり症タイプの子は、当日の自分をイメージさせる

どんな子どもでも、本番にまったく緊張をしないという子はいないと思います。ですから、「緊張することは悪いことではないのだ」「緊張するのは当たり前なのだ」ということを、まずはお子さんに伝えてあげましょう。

あがり症のタイプの子におすすめの方法があります。それは、入試前日までに数回、当日の自分をイメージしてみることです。

例えば、朝起きて、顔を洗って、リビングで計算問題を解き、新聞の社説欄を読んでから、朝食を食べる自分。

家を出てから駅までの道、混雑した電車に乗って、学校の最寄り駅から学校に向かう道。校門で待っている塾の先生達とまわりの受験生の顔。

付き添いのお母さんと別れ、試験会場に入り、トイレに行く自分。

席で待機していると試験開始の時間が来て、問題が配られ、「はい、始め!」という合図を聞き、受験番号と名前を書く自分。まわりから聞こえてくる鉛筆のカツカツとした音・・・。

問題を一通り見て、どういう順番で取りかかるか判断するのに30秒。そして、ゆっくり丁寧に解いていく自分・・・。

このように、その日の自分をイメージしておくと、案外落ち着けるものです。

もし、それをせずに当日を迎えたら、受験会場の最寄りの駅でたくさんの受験生を見ただけで、ドキドキしてしまうかもしれないし、中学受験ではお約束の"塾のお見送り"も、かえってプレッシャーに感じてしまうかもしれません。それを楽しむまではいかないにしても、「いよいよ本番を迎えるのだな」とどこか一歩引いてみることができると、落ち着いて試験に臨めます。

本番中は気持ちの切り換えが大事

そうはいっても、何が起こるか分からないのが中学受験です。最初の国語のテストで、思うように実力が発揮できなかった場合、「次の教科で取り返せばいい」と気合いを入れすぎるのは、かえって危険です。国語は国語、算数は算数と別に考え、まずは一度気持ちをリセットすることが大事です。

気持ちが高ぶってしまったら、休憩時間にトイレに行き、水に手を濡らすだけでも気持ちが落ち着いてくるものです。また、本番で焦りそうになったら、一度、テストから目を離し、天井を見るなど、目線を切り替えてみることで、気持ちがリセットできることもあります。とにかく煮詰まらず、切り替えることが大事です。

中学受験の合否は、4科目の総合点で決まります。最初の国語のテストがうまくいかなくても、他の3科目が安定していれば、合格の可能性はあります。最後まであきらめず、今ある力を最大限に出すことができれば、望みがあることを忘れてはいけません。

この記事を書いた人
主任相談員 西村 則康主任相談員 西村 則康
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