6年生の夏期講習中の学習ポイント まとめ
今回の特集動画では、「6年生に特化した、中学受験の夏期講習の準備」について、中学受験情報局主任相談員の辻義夫が解説します。
6年生、中学受験最後の夏休み。
どのご家庭も、「何とか成績UPの機会にしたい」そう考えられていると思います。
ただ、やはり「夏期講習に通って、言われるがまま勉強しているだけ」では、どうしても成績は上がりません。
大人でもこなせないような膨大な勉強量を取り扱うため、お子さんが苦手なことに集中して、どれだけできることを増やせるのか?が、成績UPの分かれ目となってきます。
下記に動画の内容を要約しておりますので、こちらも合わせてご参考ください。
1. 6年夏期講習の構成は「大量演習」であることを理解する
6年生の夏期講習では、4年生〜6年生前期で取り扱ったすべての内容を再度復習していきます。
「復習」とはいっても、「もう1度ていねいに初めからやり直せる」と考えてはいけません。
2年半かけてきた内容を1ヶ月で復習するため、ていねいな解説というよりは、「問題の大量演習」で、わからないことを浮き彫りにしていくと考えましょう。
6年生の夏休み以降は、授業が「演習型」に変わります。
これは、これまでの「先生が教えてから演習問題を解く」スタイルとは異なり、**まず自分で問題を解き、その後に先生が解説を行う**形式です。
自分がどこを覚えていたか、分かっていなかったかをその場で確認し、理解し直すことを繰り返すという、これまでより高度な学習スタイルが必要になってきます。
このようなスタイルの授業において、たとえば理科や社会の知識が足りないと、授業前半の問題演習の時間に手が止まってしまい、時間の大半が無駄になってしまいます。
そのため授業を受ける前に、あらかじめ授業までに4年生・5年生のテキストなどで一問一答的な知識だけはつけておく、といった準備が大切になります。特に、お子さんが苦手としている単元は、授業前に思い出したり、理解をある程度固めなおすことを前提にしていないと、授業に出ても何もわからなかいまま帰って来るということも、珍しくありません。
1問1問ていねいに説明していると、とてもカリキュラムが消化できないため、先生の解説は、あくまで「振り返り」程度の簡単な解説にとどまり、最初に聞いたときより簡略化された解説になるからです。
そのことを踏まえて、ご家庭側に「授業でわからなかったことを振り返る = 復習の体制」と「明らかに理解できていない部分を対策しておく = 予習の体制」の両方が必要となってきます。
これを理解しないまま、「授業に出て、宿題を解く」だけの夏期講習にしてしまったご家庭は毎年、夏が終わる頃に「あれだけ時間を使ったのに、何も変わっていない/むしろモチベーションが下がった」となります。
2. ご家庭側に「わからないこと」を理解する体制は、できているか?
夏期講習で成績を上げるには「授業に参加して問題を解くだけで終わらない」ことが必須です。
毎日、山ほど問題を解くことになりますが、**問題を解きっぱなしにせず、必ず復習する**ことが非常に重要になります。
具体的には、問題を解き終わったらすぐに、以下の点を振り返ることが推奨されています:
・「この問題のどこが難しかったのか?」
・「間違えたのは、何が分かっていなかったからなのか?」
・「何を忘れていたからいけなかったのか?」
・「次に解けるようになるためのポイントは何か?」
これらの振り返りを一言でも良いのでメモに残し、付箋などをつけておくことが「財産」となります。
このメモや付箋は、夏休み後半や9月以降の過去問演習の際に改めて見直し、自分の弱点や重要なポイントを再確認するのに役立ちます。
この習慣が、入試の得点力につながり、初めて見る問題に対しても、どの知識や解法を使えば良いかを思いつく力を養います。
また、お子さんだけで「わからなかったことを全部やり直す」のでは効果は出ません。
「わからない問題の中でも、もうちょっとでわかりそうなもの」を優先して、「どこでわからなくなっているのか?を追っていき、その部分をしっかり説明してもらえる環境」が必要になります。
【メモ】市販の教材を活用することも検討する
■ 苦手な単元や理解が浅い単元については、塾のテキストだけでなく、市販の問題集やテキストも活用することも必要です。
■ 特に、問題と回答・解説の分量が同程度、あるいは解説の方が充実している教材を選ぶと使いやすいでしょう。これは、市販の教材が「読んだだけで理解できる」ことを前提に作られているためです。
■ 塾のテキストは先生が説明することを前提にした簡易的な解説になっているので、1度授業を聞いて理解できなかった問題を、お子さんが読み直したところで「どうしてそうなるのか?」まで理解できません。
■ 具体例として、理科の「魔法ワザ」のような、特定の単元に絞って基礎を固められるようなユニット構成の問題集が挙げられています。
3. 6年夏期講習は準備で決まる。7月上旬〜夏休みまでの過ごし方
夏休みから「授業の復習を意識する」というのでは、当然間に合いません。
このような習慣を、夏休みからではなく、今すぐにでも実践し始めることが重要です。
また各教科の苦手単元については、夏期講習のどの時期に取り扱うのか?を事前にチェックし、予習と復習の予定を予め取っておくようにしてください。
「苦手教科は得意教科でカバーするから諦めている」というのは、中学受験ではまず通用しません。
受験直前期に10点程度得意教科でカバーするというの話であっても厳しいため、この夏にできるかぎり苦手を克服しておく必要があります。
そのためには、事前に夏休み中に対策をする単元と、9月いっぱい対策する単元にわけて、確実に理解できるように予習・復習を行う時間を予め設けてください。
予習についてですが、最上位クラスの生徒でも、全ての単元を完璧にこなせるわけではなく、不安のある単元や分野があるものです。
特に理科や社会では、知識部分の暗記がまだ不十分な場合が多いとされています。
夏期講習の演習型授業が始まってから、知識がないために問題が全く解けないという事態を避けるため、1問1答形式の知識だけでもできる限り身につけておくことが重要です。
34. 夏期講習中の過去問演習はどう考える?
夏休みは、本当に塾の学習量が多いため、ご家庭で別途過去問に取り組む時間を取るのは、時間的に厳しいでしょう。
とはいっても、一部の塾、サピックスや四谷大塚などでは、、夏期講習中から過去問の演習が課題として出されます。
過去問演習の目的は、入試問題を見た際に、「この問題はどうやって解くのだろうか?」と、その解法を自力で見つけ出すことができるようになること、今解いている問題が、過去に解いたどの問題と似ているのか、どの知識や解法を使えば解けそうなのかを瞬時に判断できる力を養うことなどです。
今の段階では、「最終的な合格者」でも解けないものばかり。
そのため、解くこと自体が問題ではなく、こちらも「わからなかった問題を、理解すること」が打目的の勉強が求められます。
そういった意味では、その練習をするのが夏休みとも言えるでしょう。
過去問については、まずは、夏休みまでに、お子さん自身または親御さんが「行きたい学校」の過去問を見ておく(解く必要はない)ことをおすすめします。
あらかじめ第一志望校の過去問を見ておくとよい理由は、たとえば「開成中は国語の解答欄が記述ばかりで真っ白、選択問題がほとんどない」といったことや、「麻布中の理科は長文問題で、今まで見たことも聞いたこともない話題の文章を読んで解答しなければならない」といったことがわかるからです。
それを意識した上で夏休みに望めると良いですね。
6年生にとって夏休みは「受験の天王山」と言われる勝負の時期であり、この期間にどれだけ質の高い学習ができるかが、その後の受験結果に大きく影響します。
夏期講習中に塾から出される過去問について、「国語」は積極的に取り組みたいですが、基本的には苦手単元の克服を優先することがベターです。
いかがでしたでしょうか?
6年の夏期講習は、「問題を解くだけ」「やり方を覚える」といった学習では太刀打ちできないことを理解した上で、ご家庭側の学習習慣が大切になります。
わからないことを、どのように理解すればよいのか?
成績を上げるための「理解を伸ばす勉強方法」の習得方法については、下記ハンドブックもご参考ください。