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中学受験 国語の「心情の読みとり」はパターンとして覚えておく

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中学入試の国語の中でも「心情の読みとり」を求められる問題は多くあります。
そのためにはもちろん読書体験も大切なのですが、ちょっとしたコツがあるので今回はそのことについて考えてみたいと思います。

「パターン」を覚えておく

読み手によって解釈が大きく分かれそうな詩などの問題が出題される場合は、必ず設問にどのように解答にたどり着けばよいのかの方向性が示されています。
小説家や詩人のように深く人間観察をしたり、自分の内面を研究したりする必要はありません。
設問の方向性にしたがって、文章中に描かれている状況を把握し、合理的に感情を判断していけばいいのです。

その中で、ある状況や文章を読んで、それに象徴される一般的な感情を読みとったり、主人公のセリフや行動から感情を推測するような感受性は必要かもしれません。
でも、ある程度のパターンを知っておくことで、解答を導き出しやすくなります。

たとえば、以下のような状況が問題文に書かれていたとします。

「主人公は小学5年生の男の子で、父と母、中学3年生の姉と暮らしている。姉が高校入学を機に寮生活をすることになり、家を離れることになった。主人公は家族と一緒に、姉の旅立ちをニコニコと笑顔で見送る。しかし姉の姿が見えなくなったあと、静かに涙をこぼした」

この文章における「主人公が笑顔で姉を見送った心情」は、「本当は別れるのが寂しいけど、姉を心配させては行けないと、平気なふりをした」ということになるでしょう。
しかし、これは家族関係が良好で、父母と姉弟が仲良しであることが前提です。

たとえば、「酒を飲んでは暴力をふるう父と、毎日のように生活の恨み辛みを子どもたちにぶつける母のもとで、姉と弟は長年、耐え忍んできた。姉弟はいつか一緒に家を出ようと話し合っていた」という状況だったら、解釈はまったく異なってくるでしょう。

この状況の場合、姉が家を出るのを笑顔で見送る弟の心情は、複雑なものではないでしょうか。
自分を置いて家を出る姉に対して、裏切られたような感情があるかもしれません。
でも、家を出るために一生懸命勉強して全寮制の高校に合格した姉の努力を認め、前向きな気持ちで送り出そうとしている。

そして、主人公自身もいつか家を出てやるという決意を固めつつ、姉が出て行くことの辛さに耐えかねて涙が溢れ出している。
このような感情が読みとれるのではないでしょうか。

難関校の入試には、前提がネガティブな文章も出る

学校の教科書には、上の例に出したような、前提となる状況がネガティブな文章はあまり出てきません。
「お別れ」という場面の前提として「家族みんなが仲良しである」ことが多いでしょう。
ですので、お別れの場面で主人公が泣かなかった理由は、「本当は寂しいけど、姉を心配させたくない」とすぐにわかります。

しかし、「親子関係が特殊で複雑」など前提となる状況がネガティブな文章が難関校の入試に出てくることがあります。
このような問題は、一般的な小学生には重く、受けとめにくいでしょう。
このような問題を出す背景には、人間の心理に向き合う意識と力を持っている子を取りたいという学校側のメッセージとも言えます。

世の中はきれいごとばかりではないし、誰もが心に闇を抱えて傷ついている。
また努力が常に報われるわけではないが、それでももがきながら前向きに生きようとする人びと。そんな人間の姿と真摯に向き合う想像力が求められています。

そういう意味で、ネガティブなストーリー展開も「入試問題の典型パターン」のひとつなのです。

「人の感情の動き」をパターンとして整理する

例に挙げた「家族との別れ、旅立ちの涙」に関しては、以下のように状況別に感情の動きを整理することができます。

状況A
「仲の良い家庭で育ったきょうだいの旅立ち」
心情「寂しさ」「思いやり」

状況B
「恵まれない家庭で一緒に耐えてきたきょうだいの旅立ち」
心情「孤独感」「羨望」「悔しさ」「決意」「不安」

A に関しては、多くの小学生がその感情を想像することができると思います。
でも、Bとなるとなかなか難しいかもしれません。
そもそも、お姉ちゃんが進学のために家を出るという経験がある小学生はほとんどいないでしょう。

家庭環境に限らず、人の感情を理解するために小学生の実体験が役に立つことはほとんどないのです。
そうなると、不足している実体験を別の形で補う必要があり、それにはやはり読書が適しています。人の感情や状況などを疑似体験できるのは、今も昔も変わらず、本を読むことです。

しかし、「国語の入試問題で出題される、人の感情に関する問題を解きるようになりたい」というだけで、限られた時間を読書に費やすことはできませんね。
中学受験の国語の問題が解けるようになることと読書を、直接結びつけることは、間違いです。
感情理解度を上げたいからといって、時間がない子にやみくもに読書量を増やす、という方法はおすすめできません。

練習問題を通して「パターン」を覚えておく

たくさんの入試問題を見ているとわかるのですが、国語で問われる感情パターンはあまり多くありません。
問題練習を通して、以下のような「定番の物語」の感情パッケージを覚えておけばいいのです。

・継母に冷たく当たられる子どもの物語
・母子家庭の子どもの物語
・両親が離婚して父親に引きとられ、その後父親が再婚する物語
・父母と死別し、祖父母に引き取られて育った子どもの物語
・昭和初期の家族の物語
・戦時中または終戦直後の家族の物語

これらは入試問題のひとつの典型ですので、こういう状況での人の感情の動きを、練習問題を解きながら「パターン」として意識して覚えておくと、別の文章を読んで感情に関する問題を解くときに応用がきくようになります。

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