中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

【大手塾別】5年生の夏期講習中の学習ポイント まとめ

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公開: 最終更新日:2025年07月02日

今回の特集動画では、「5年生に特化した、中学受験の夏期講習の準備」について、中学受験情報局主任相談員の辻義夫が解説します。

5年生にとって、夏期講習は非常に重要な位置づけです。
学年が上がるにつれて学習内容が難しくなるため、各塾のカリキュラムを理解し、効果的に活用することが求められます。特に算数は難度が上がり、中学受験全体からみても山場を迎えるタイミングでもあります。

とはいっても、6年生に比べれば、まだ時間的な余裕があるため、勉強と遊びのメリハリをつけることが大切です。

下記に動画の内容を要約しておりますので、こちらも合わせてご参考ください。

1. 各大手塾の5年生の夏期講習の特徴 まとめ

サピックス(グノーブルも概ね同様)

4年生時と同様で、サピックスは、5年の夏期講習もカリキュラムがどんどん先に進む「先行型」の夏期講習です。夏期講習は年間カリキュラムの一部として組み込まれており、他塾と違って、夏期講習だからといって、これまでの内容を復習したり、おさらいはしません。

夏休み期間に授業があるのは18日間。1回の授業は3時間と、他の塾に比べると比較的短く見えますが、まずは、これがいかにハードスケジュールかを理解する必要があります。

授業周期は「2日授業→1日休み」というサイクルが中心となります。

この2日間の授業で、通常授業でいうところの2週間分の分量を学習します。

つまり「1日の休み」に2週間分の宿題をこなす必要が出てくるのです。

授業時間が短い分、帰宅後にも学習時間がありますが、かなりハードな日々になること必至です。

そして8月末のマンスリーテストは、夏休みに学習した内容がほぼそのまま出題されます。
しかし、サピックスのテストはテキスト通りに見えても細かい部分に引っ掛けがあるため、表面的な理解だけでは点数に繋がりません。夏に頑張ったにも関わらずマンスリーで悪い結果となり、「徒労感」だけが残るお子さんも多いため、このような学習にならないようには、とにかく事前の準備が重要になります。

夏期講習の日程をすべて手帳やカレンダーに入れていき、どこで何の復習をするのかを予め決めておきましょう。

「授業に出て、その場その場で宿題をする」だけの学習になってしまうと、まず成績UPは望めない点に注意してください。

四谷大塚(準拠塾含む)& 早稲田アカデミー

日程的にはサピックスよりもハードになる傾向があるのが、四谷大塚と早稲田アカデミーです。

夏期講習は復習内容と予習内容の両方を含んでいます。

もともとは復習型の夏期講習だったのですが、2022年のカリキュラム変更以降、通常授業も進めるというハードなカリキュラム編成に切り替わっており、以降毎年多くのお子さんが苦労されています。

四谷大塚の夏期講習

前半は「予習内容」、つまり先に進む部分が含まれており、特に算数・理科は9月以降の授業の前提となるため、休むことができない内容です。

お盆休みを挟んで8月中旬から下旬にかけての「8月特訓」(8日間)は、復習内容が中心となります。これは元々の四谷大塚の夏期講習の内容に近いものです。

要するに、5年生の夏期講習は予習と復習の2回に分かれているイメージです。
特に注意が必要な点が授業時間です。
5年生の授業時間は、4年生の200分(3時間強)から300分(5時間)に増えているため、これについていけるかが鍵となってきます。

早稲田アカデミーの具体例

四谷大塚と同様に、夏期講習中に予習内容と復習内容がすべて含まれており、合宿も実施されます。

合宿は、個別の指導を受けている場合や家庭教師を利用している場合は、その期間に集中的に個別学習を行うことも選択肢となります。

ただし、自宅でだらけてしまう場合や、親が学習状況を見てストレスを感じる場合は、塾の合宿で先生の目の届く範囲で学習させるのも良い選択肢です。

どちらの塾でも、夏期講習の前半と後半の位置づけを理解し、どこで手を抜き、どこは手を抜いてはいけないのか、また各カリキュラムで扱う内容と子供の苦手分野を照らし合わせて、塾でやるべきことと家庭でやるべきことの配分を計画することが重要です。

合宿については、家庭でできることと塾に任せた方が良いことを考慮して判断することが求められます。必ずしも「参加した方が成績が伸びる」わけではないことに注意してください。

日能研

夏休み中に授業があるのは約20日間ですが、お盆期間に約10日間まるまる休みがあるため、他の塾に比べて夏休みをゆったりと使うことができます。

日能研の夏期講習は純粋に「復習だけ」を行う塾です。 そのためじっくりと、これまでの学習内容を振り返りやすい傾向があります。

ただ、こちらも授業に出るだけで良いかというとそうではありません。
夏休みまでの期間に、子供がどれくらいのことができるのか、どこが手薄な部分なのかを明確に把握してから夏期講習に臨むことが大切です。

復習内容に特化しているからそ、しっかりと計画を立てて活用することが重要です。
特に、復習するための授業は、どうしても前回の授業よりも解説が簡略化されがちですので、苦手な単元ほど、授業前にどんな内容だったかを振り返ってから、授業に臨むことをオススメします。

夏休みをきっかけにもう1つ行っておきたいことが「テスト対策」です。
日能研の平常授業のテキスト内容と育成テストや公開テストの内容には「乖離」があるとされています。特に下位クラスの生徒は、テキストの宿題をこなすだけでは、育成テストの共通問題で問われる「実力要素」を含む問題に対応できません。

この乖離を埋めるため、夏休みの余裕のある時間に、苦手な単元をリストアップし、市販のテキストで補強したり、個別指導や家庭教師を検討したりすることが有効です。

6月から7月の間に市販テキストを試してみて、それでも難しい場合は個別指導などを検討するのも良いでしょう。

また日能研では「割合」の学習を夏前までに終えているため、夏休み中に「割合」をしっかり習熟させ、9月後半から始まる「比(ひ)」の学習に備えることも意識してください。
これは中学受験算数全体の成績に関わってきます。

浜学園

4年生と同様に、5年生も夏期講習が新規生徒の受け入れ口となっており、夏期講習は、それまでの平常のマスター授業で学習した内容の「総復習」となりす。

夏期講習の授業と平常のマスター授業は完全に別立てで進められます。

もしお子さんが「割合」や「比」などの以前に習った内容でつまづいている場合、夏期講習はもう一度外部生も含む形で一から教えてくれる性質の授業となっているため、ここで挽回を目指すことができます。

お子さんの状況に応じて、どの部分に力を入れるべきか(例:総復習として夏期講習を最大限活用するか)を意図的に計画し、残りの1ヶ月で具体的なプランを立てることが推奨されます。

そういった意味もあり、浜学園は「使いやすい塾」とも表現されており、戦略的な利用が可能です。

中学受験を目指す5年生にとって、夏季講習を最大限に活用するために家庭で準備すべきことは、以下の通りです。

2. 【まとめ】5年生が夏期講習で成績を上げるためには?

上記の特徴を踏まえたうえで、夏期講習までにやっておくべきことを予め計画・準備しましょう。

■ 講習日程の視覚化と全体像の把握

各塾の夏期講習の日程は全て発表されています。
まずは、それを手帳やカレンダーにプロットし、「いつ、どれくらいの時間授業があるのか」「いつ休みがあるのか」といった全体の流れと大変さを把握しましょう。
お子さんの夏休み期間中の生活リズムを具体的にイメージし、計画を立てやすくなります。

■ 夏期講習で何をやるか把握し、それに合わせて準備する

夏期講習で取り扱う単元を確認し、事前に予習しておくか、夏期講習でしっかり復習するかといった目論見を立てましょう。

例えばサピックスのように、夏期講習が復習内容ではなくどんどん進んでいく塾の場合、これまで手薄であった単元は、夏までにご家庭で解決しておくことが望ましいですね。

逆に日能研のように夏期講習が復習内容で、カリキュラムが進まない塾であれば、夏期講習の授業で理解を深めようというスタイルも成り立ちます。

四谷大塚と早稲田アカデミーは、夏期講習が復習内容と新出単元の折衷型になります。あらまじめ、どの単元がこれまでの復習で、どれが新しく習う内容なのかを確認しておくようにしましょう。

■ お子さんの学習状況の把握

加えて、夏期講習に臨む前から、お子さんが「どれくらいのことができるのか」「どの単元が手薄なのか(苦手なのか)」を明確に把握しておきましょう。過去何回かの実力テストを振り返ると良いでしょう。特に5年生では、扱う単元が4年生に比べて格段に難しくなるため、事前把握が必須で、苦手なことは授業前から、しっかりと対策をしましょう。「授業を聞けばわかるだろう」と考えるのではなく、苦手単元については「授業で聞いて分かる最低限の準備をして、授業に臨む」ことを必ず行ってください。

■ 学習と遊びのメリハリ

5年生は6年生に比べれば時間的な余裕があります。

夏休み中に勉強ばかりでなく、遊ぶ時間や楽しむ時間とのメリハリをつけることが大切です。

というより、来年の6年生は余裕がない夏休みになります。なので、5年生の夏休みこそ余裕を持って過ごせるように学習計画を組みましょう。今から休み無く詰め込まないと、ついていけないのであれば、6年生を乗り越えることができません。適度な遊び時間を確保できないのであれば、学習習慣及び学習方法を根本から見直すことが最優先になります。

いかがでしたでしょうか?

夏休みは限られた時間内で、確実に授業内容を習得する必要があります。

成績の上がる学習ルーティンは作れていますか?

勉強した分だけ成績が伸びる学習ルーティンの作り方について詳しくは、下記ハンドブックもご参考ください。

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